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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
3:ダンジョンクローラーになろう

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374/744

374:龍脈の回廊、ジンライ鋼製巨大プラモVSニゲル

「シガミーこそ、どうして斬りかかってくるんだ!?」

 姿(すがた)は見えねぇ。

 ピピピピピ、ピピピピピプゥ――――――――♪

 耳元(みみもと)(とり)(ごえ)


 ふぉふぉふぉふぉふぉぉぉぉぉぉん♪

『▼▼▼』『▲▲▲』『◄◄◄』『►►►』

 四方八方(しほうはっぽう)から次々(つぎつぎ)(せま)る、(あか)三角印(さんかく)が――

 血をたぎらせやがる!


「わかりきっタことを聞くんじゃネぇやい! (てキ)わァっ、斬()――ニャ()

 なんせ(だれ)だか(わす)れたが、もうすぐ(もど)るって(ちか)った――気がするからな。

 なにより、折角作(せっかくつく)った鎧武者(よろいむしゃ)(からだ)だ――(ため)したくて仕方(しかた)がねぇ!


「――あー、ニゲルー? その巨大(きょだい)なシガミー(?)ですけどぉ、ぶっちゃけ変異種(バリアント)ですので――斬れる(もの)なら斬り捨てて見せなさいな」

 なんだか聞き(おぼ)えがある。

 さっき部屋(へや)(なか)に居た(ヤツ)じゃねぇーか?

 あんまり(てき)(まわ)したくねぇ(かん)じの(こえ)


「なに言ってるんだよ、リカルルさまぁ! あんなロボット相手(あいて)に、どうしろって言うんだよぉ!」

 見えねぇ(ニゲル)が、泣き(ごと)を言いやがる!

 だからぁ、お(まえ)さんわぁ――好いた(おんな)の手を(にぎ)ることもぉー、出来(でき)ねぇんじゃねーのかぁ?


「――ニゲルー! その(おお)きいのに勝てたら、イオノファラーさまたちがどうにかしてくれるらしいからっ、存分(ぞんぶん)に立ち合いな!」

 こっちも、聞き(おぼ)えがある。

 やっぱり、いくさ場では会いたくねぇ(かん)じの(こえ)だ。


「その(こえ)――女将(おかみ)さんまで、無茶言(むちゃい)わないでよーぉ!」

 見えねぇ(ニゲル)が、泣き(ごと)(つづ)ける!

 だからぁ、お(まえ)さんわぁ――野菜(やさい)(した)ごしらえをサボっては、木さじで(なぐ)られてるんじゃねーのかぁ?


 鉄棍(はしら)は割られちまったが、手応え(・・・)はあった。

 なら、やるこたぁひとつ。

 (こし)に付いた太刀(かたな)を抜いて、飛んでくる気配(けはい)(たた)っ斬る。


 けど、いくら(てつ)出来(でき)武者(むしゃ)(からだ)を手に入れたって、これだけ長ぇ太刀を抜く(・・・・・・・)ニャァ――コツが居る。


 右手(みぎて)(つか)左手(ひだりて)(さや)

 右手(みぎて)は添えるだけ。

 長刀(ちょうとう)を抜き(はな)つ、居合(いあ)いの絶技(ぜつぎ)は――

 太刀(たち)(おも)さの真ん(なか)

 (つば)にちかい(あた)りを(はじ)く――押し手(・・・)にある。


 すでに開けた(・・・)太刀(かたな)は――(はばき)(はし)に乗せてあるだけ。

 (さや)を突き出せば――まえに飛んで行く。


 最大(さいだい)間合(まあ)いへ(つう)じる、最速(さいそく)抜刀術(・・・)

 鯉口(こいくち)を切り――

 放り投げた(・・・・・)(かたな)をつかんで――

 (さや)(こし))を引く。


 長刀(ちょうとう)の切っ(さき)を、いかに(はや)く――

 (さや)から抜き(はな)つかに、尽きる。


 一言(ひところ)で言うなら、まさに大道芸(だいどうげい)

 飛ぶ(とり)を斬るのとは、またちがう(はなし)だが。

 長刀(ちょうとう)(なげ)間合(まあ)いは、ソレだけで十分(じゅうぶん)(つえ)ぇ!


 ふぉん♪

『ヒント>太刀風の太刀/全長2・7メートル。刀身2・4メートル。刀身幅22センチメートル。ジンライ鋼製総重量90キログラム』

 わからんが、数字(すうじ)は読めるな……結構(けっこう)(おも)さで、とても生身(なまみ)じゃ(かつ)げん。


「んぅニャ? 鯉口(こいくち)に〝押しこめる引き(がね)〟があ()――ニャッ()


 押せるものは押す。

 チキッ――――ビィィィィィッ!

 なんだ(とり)め、うるせぇ――――!?


 ギュルルルルルルッ――――――――――――――――ガリリリリリリリリィィィィィンッ!!!

 (さや)についた歯車(はぐるま)がまわって――散る火花(ひばな)

 あらわれる太刀(たち)(むね)には、のこぎりみてぇな(みぞ)


「こイつ()――ニャァ()

 ものすげぇ(いきお)いで、(かたな)が打ち出される!

 おれがやろうとしてた、長刀抜(ちょうとうぬ)きの大道芸(だいどうげい)を――太刀(かたな)がやってくれやがった!

 一瞬(いっしゅん)で切っ(さき)まで抜けた太刀(かたな)が、すっ飛んでいく!

 やべぇー、太刀(あれ)を無くしたら、(ニゲル)太刀打ち(・・・・)できるわけがねぇ!


 必死(ひっし)(からだ)をまえに(すす)める。

 伸ばした(うで)を、さらに伸ばした。


 ふぉふぉん♪

『スラスター点火:2秒』

 シュゴ――ォォォォォッ、ガァァァァァァンッ!

 背中(せなか)大筒(おおづつ)で、撃たれたぁ!?


 吹き飛ばされた(からだ)が、打ち出された太刀(たち)に追いついた。

 (いた)くはねぇが――すこし(あつ)い。


 いまは兎に(かく)太刀(かたな)をつかめっ!


 ギュギゴゴッ――――ガチィン!

 手甲(てっこう)についた(やっとこ)が、勝手(かって)太刀(たち)(はさ)んだ。

 ガシィィンッ!

 引き寄せられたソレを、ちゃんと(てつ)(うで)でつかむと――

 ギュギゴゴッ――(やっとこ)太刀(たち)(はな)した!


 (さき)手甲(てっこう)(つか)(はさ)んで、くれなかったら――

 おれぁ、寸鉄(すんてつ)()びず、(ふた)つにされてた(ところ)だぜ!


 いや、小刀(こがたな)(からだ)のあちこちに埋め込まれてるが――

 小刀(ことう)がバシャバシャバシャと、開いちまう(・・・・・)から――

 余計(よけい)なことを、(かんが)えるな。

 いまは太刀(たち)を、(いきお)いに(まか)せて振り抜け!


 切っ(さき)が、(まえ)を向く。

 パッコォォォォォォォッォンッ――――なんだこの(おた)ぁ!?

 奇っ(かい)(おと)


 (いきお)いあまって剣筋(けんすじ)(みだ)れ――

 ゴギャギャギャ、ガッチャ、ガシィィンッ!

 まわる景色(おれ)


 見えねぇ(ニゲル)にゃ、かすりもしなかったが――

 ニゲル(あいつ)(からだ)一瞬(いっしゅん)止まって見えた(・・・・・・・)

 この居合(いあ)いは――いろいろ使(つか)える!

 バキバキィ――甲冑(よろい)がまた割れ落ち。

 バチバチィ――(からだ)のあちこちから、(いなづま)(ほとばし)る。

 

 こんな(もろ)(よろい)(ニゲル)(かたな)(ふせ)げるのか、不安(ふあん)になるが――

 (てつ)(からだ)は、そうそう斬れね――

 いや、さっき立派(りっぱ)鉄棍(てっこん)を、割りやがった(・・・・・・)っけなぁ!


 (あわ)ててつかんだ(つか)にも、鯉口(こいぐち)(おな)じような〝引き(がね)〟があって――

「引け引け、引けるものは全部(ぜんぶ)、引いちま()――ニャァ()

 チキッ――――ピプゥゥゥゥゥッ!

 鳴く(とり)


 水平(すいへい)(かま)えた刀身が(・・・)――ビタリッ!!!!!!!!!!

 どういうわけか――――空中(ちゅう)(とど)まった!

 ゴガガガガッガァァァァン!


 引っぱられてた上半身(からだ)が、太刀(かたな)(むね)にぶち当たった!

 ギシギシギシギシィィィッ、ドガガガガァァァンッ!

 (いて)(いて)ぇ、太刀(かたな)を打ち出した鋸歯(のこぎりば)(からだ)に食い込む。


(いて)()――――――――ニャン!?()

 おれはずるりと、(くず)れ落ちた。

 ドズズズズゥゥゥンッ!


 見あげりゃぁ、空中(ちゅう)に浮かぶ太刀(かたな)

 ガッチン――!

 押しこまれていた引き金(・・・)が、ひとりでに(もど)り――

 ズド――ゴン!

 (たお)れたおれの鼻先(はなさき)に、太刀(かたな)が落ちた!


「あっブねぇーなっ、どうなってンだぜ()――ニャン()

 ニャンとか言ってる場合(ばあい)じゃねぇ――起きろ、起きやがれ!


 ギシギシ、バキパキッ、ガッチャンガチャ、バラララバララララッ!

 (からだ)から落ちる、余分(よぶん)鎧板(よろいいた)鉢金(かぶと)細工(さいく)

 かみ合わせが(わる)い、(ひじ)(ひざ)のつなぎ目。


 大丈夫(だいじょうぶ)か、この(からだ)

 このままバラバラに、なっちまわぁねーだろぉなぁ?


 その(とき)太刀(たち)が刺さった地面(じめん)の、すこし(さき)

 ドッゴォォォォォォォォォォッゥン――――♪

 木々(きぎ)土砂(どしゃ)が、一直線(いっちょくせん)に吹っ飛んだ。


 なんだぁ――!?

 もしたまたま自分(てめえ)(かたな)に当たって、這いつくばって(・・・・・・・)なかったら――


「ちきしょうめっ、見えねぇニゲルの見えねぇ太刀か()――ニャァ!?()

 おれは太刀(かたな)をひろい(こし)を引く。

 手甲(てっこう)にも手伝(てつだ)ってもらって、必死(ひっし)(さや)(おさ)める。


 (さや)にさし込むと今度(こんど)は、ギュルルルルッ――――ガガァンッ!!!

 歯車(はぐるま)逆回転(ぎゃくかいてん)し、太刀(かたな)勝手(かって)(おさ)まり――ズシャッ!

 納刀(のうとう)(いきお)いで半身程度(はんみていど)(からだ)回転(かいてん)した。


 この歯車太刀(はぐるまだち)――自抜刀(じばつとう)わぁ、相当使(そうとうつか)える!

 けど、それにしても――

 やる気のねぇ見た目に(はん)して、あんニャろう!


(たち)(わり)野郎(やろう)()――ニャァ()

 おれは――ガッチャガチャ、ガシガシィィンッ!

 (てつ)(からだ)鞭打(むちう)って、(ニゲル)様子(ようす)必死(ひっし)(さぐ)る。

鎺/はばき金。刀の鍔の先、刀身側に付けられる金具。納刀時に刀が鞘に当たらないように固定するための物。

鯉口/鞘の口に付けられた金具。親指で鍔を押し臨戦態勢に入る様を「鯉口を切る」と言う。

寸鉄/小さな刃物。小刀。または急所を突く、短い言葉。

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