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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
3:ダンジョンクローラーになろう

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370/744

370:龍脈の回廊、ニゲルVSサメ

「ギギギギギギギギギギギギィィィイッィィィィィイッ、ギャァァァァァァァォォォウゥウゥ――――――――!!!!」

 (すさ)まじい(うな)(ごえ)


 ヒュボォ――――――――ゴゴゴゴォゥワッ!

 (なが)く伸びる(ほのお)

 この世界(せかい)のサメは、ここまで(おお)きく(全長約(ぜんちょうやく)15メートル。ニゲル換算(かんさん)で8・5ニゲル)成長(せいちょう)すると――

 (そら)を泳ぎ、(くち)から火を吐くのだ。


「きゃぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 女性(じょせい)悲鳴(ひめい)に、振りかえるニゲル。

 見れば、(おお)きな(たまご)大事(だいじ)そうに(かか)えた神官(しんかん)ナーフが、うずくまっていた。


「み、御使(みつか)いさまの(たまご)さまは、(わたくし)がお(まも)りせねばっ!」

 地上(ちじょう)を焼き尽くす、(ほのお)(なが)れ。

 その(ねつ)から、おにぎりの(たまご)(まも)っているのだ。


 ガムラン最凶(リカルル)よりも手練(てだ)れの、ニゲルをもってしても――

 身を(かく)さずには居られないほどの、(いか)つい形相(ぎょうそう)


 (きば)()がついたような、(おそ)ろしさを体現(たいげん)するフォルム。

 神官(しんかん)という職業(しょくぎょう)を差し引いたとしても、彼女(ナーフ)献身(けんしん)は――

 立派(りっぱ)だった。


「あのそれっ! そこまで大層(たいそう)(もの)でもないので――放っといて逃げてくださぁーい!」

 物陰(ものかげ)から身を乗りだし、(こえ)を掛ける青年(ニゲル)


 あの(たまご)(なか)には、自律型一号(おにぎり)構成(こうせい)するアーティファクトが(はい)っている。

 自律型(じりつがた)シシガニャンの中枢(ちゅうすう)にして神髄(しんずい)


 廃棄(はいき)された、(ふる)時代(じだい)女神像(めがみぞう)

 その(なか)から発掘(はっくつ)された、まるでおにぎり(・・・・)みたいな三角形(さんかくけい)物体(ぶったい)

 それは(ふた)つ組み合わせることで、神々(かみがみ)が持つ遠大(えんだい)演算単位(・・・・)獲得(かくとく)する。

 SDK(エスディーケー)(ソフトウェア開発(かいはつ)キット)として機能(きのう)するソレは――

 遠隔操作出来(リモートでき)裏天狗(うらてんぐ)筐体(ボディー)や、神域惑星(しんいきわくせい)設置(せっち)した女神像(めがみぞう)土台(どだい)などにも使(つか)われている。


 詰まるところ、おにぎりの卵(・・・・・・)大層(たいそう)(もの)であり、換えのきかない代物(しろもの)だ。

 だが(けっ)して――(いのち)()してまで、(まも)るほどの(もの)ではない。


 ヒュボォ――――――――ゴゴゴゴォゥワッ!

 サメの(くち)から、(なが)く伸びる(ほのお)

「きゃぁぁぁぁぁぁぁっ! い、イオノファラーさまぁ――――!」

 (たまご)を抱きかかえ、組んだ手を(はな)に押し当てるナーフ・アリゲッタ。


「し、仕方(しかた)ない――――!!」

 御使(みつか)いさまの従者(じゅうしゃ)(おも)われているが、青年(せいねん)はイオノフ(きょう)信者(しんじゃ)ではない。

 それでも敬虔(けいけん)信徒(しんと)である神官女性(しんかんじょせい)を、〝見捨(みす)てる〟という選択肢(せんたくし)はなかったようで――

 飛び出すニゲル青年(せいねん)


 その足取(あしど)りに(まよ)いはなく。それは前世(ぜんせ)日本(ひのもと)

 遺跡獣(いせきじゅう)闊歩(かっぽ)する世界(せかい)で生きていた(かれ)(つちか)った、〝死に(ざま)〟も関係(かんけい)しているのかも知れない。


「ッチッィイイィィイェェェェェェエェェェエエエィ――――――――!」

 いざ(うご)き出してしまえば、聖剣(・・)セキュア使(つか)いであるニゲルに、切れぬ(もの)などなく――

 接敵(せってき)のための直線(あしば)さえ確保(かくほ)できれば、()(てき)帰結的(きけつてき)一刀両断(いっとうりょうだん)される。


 置きっぱなしの荷車(にぐるま)――タァン!

 一頭(いっとう)しか居ない、牛舎(ぎゅうしゃ)屋根(やね)――タタタァン!

 屋根(やね)(くず)れた、サイロの塔壁(とうへき)――スタタタッタァン!


 それらを踏み(だい)にし、(かれ)果敢(かかん)にも(てん)(のぼ)る!


 ごっぼごぼごぼ――――どっぱぁぁぁん!

 ニゲルを察知(さっち)旋回(せんかい)する、空飛(そらと)大口(おおぐち)

 気性(きしょう)(あら)さを体現(たいげん)する、凶悪(きょうあく)(きば)

 巨大(きょだい)な目に、感情(かんじょう)はなく――


 ニゲルとサメの視線(しせん)交差(こうさ)する――――ザッギィィィィィィンッ!

 ひゅぼぼぼぼぉぉぉぉう――――切り裂かれる(ほのお)


 鍵剣(かぎけん)セキュアを(はな)つ、勇者(ゆうしゃ)(のなりそこない)ニゲル。

 セキュアは進路(しんろ)数回(すうかい)折り(かえ)すことで、音速(おんそく)を超える。

 だが足場(あしば)のない空中(くうちゅう)では――折り返すこと(・・・・・・)出来(でき)ない。


 スッタン!

 サメの鼻先(はなさき)へ、靴裏(くつうら)がつく。

 身をよじるサメの体表(たいひょう)を、駆けだすニゲル。


 ザシュッ、ジャギジャギジャギジャギジャギジャギギザギギザザギギギィィィィィンッ――――!

 鮫肌(さめはだ)鼻先(はなさき)から、尾びれまで。

 ぐねる(さかな)を、一曲線(いっきょくせん)(はし)るニゲル――――ッシュッカァァァァァンッ!

 (けん)を振り抜き――離脱(りだつ)


「ひぃやぁぁぁぁぁぁぁぁっ――――(いか)ついよ、(なに)あの(くち)! そしてあの目、(こわ)(こわ)い!」

 (むら)(そと)(もり)木々(きぎ)(うえ)に落ちていく青年(かれ)(かお)が、ふたたび――恐怖(きょうふ)にゆがむ。


 ドダァン――ドゴドゴドタタタァン!

 着地後(ちゃくちご)十人並(じゅうにんな)みの(はやさ)さで――逃げていくニゲル。


神官(しんかん)さまー、(いま)のうちですじゃぁー!」

 村長(そんちょう)(こw)(とお)くから、かすかに聞こえる。


 ばしゃばしゃざざざぁぁ――――!

 (そら)(はし)水音(みずおと)は、青年(ニゲル)を追いかけ加速(かそく)する。


「ッチィ――まるで切れやしないな!」

 振りかえる(かれ)の目に(うつ)るのは――

 追撃(ついげき)開始(かいし)した、大海空(おおうなぞら)泳ぐ(・・)サメ。

 その胴体(どうたい)に、(あか)(すじ)が見えた。


 致命傷(ちめいしょう)にはほど(とお)い、薄皮一枚(うすかわいちまい)

 サメの体表面(たいひょうめん)(おお)(うろこ)には、ナノサイズの渦流(ボルテックス)生成器(ジェネレーター)配置(はいち)されている。

 それは規格外(きかくがい)揚力(フォース)発生(はっせい)させるだけでなく――

 活力(マナ)(なが)すことで、堅牢(けんろうな)(よろい)にもなるのだ。


   §


「あれれ!? 外部(がいぶ)アドレス#44Ga3(シシガミ)存在確率(プロパビリティ)がさぁ――100(パーセント)なんだけどぉー、ウ・ケ・ルーゥ()

 目のまえの画面(がめん)のひとつに、目を留めた御神体(メガミ)がそんなことを言った。


 ヴォオゥゥウゥン♪

 まるで変化(へんか)がなかった映像空間(えいぞうくうかん)中央(ちゅうおう)

 (おも)(にぶ)効果音(SE)が発せられ――

 猫の魔物(シシガニャン)姿形(かたち)が、赤色(・・)変化(へんか)した!


「ど、どういうことかしら? 仮想化(かそうか)シシガニャン、顕現(けんげん)しますわぁ()

 (ひたい)を押さえ、取り(みだ)星神(ほしがみ)

 ぱぁぁぁ、ぱぱぱぱぁぁぁぁっ――ぼっがぁぁんぼぼぼぼががぁぁぁんっ!

 (しん)ギルド会館(かいかん)最上階(ペントハウス)、コントゥル家邸宅(けていたく)は――

 天井(てんじょう)まで(はな)で埋もれた。

ボルテックスジェネレーター/空力特性を高める突起群。空気を切り裂くことで、揚力を高めたり、騒音を軽減したりする。

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