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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
3:ダンジョンクローラーになろう

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359:龍脈の回廊、活気と殺気

「おおおおおぅわぁ!? お、大人しくしねぇか!」

 シュルルルル、カチ――シュルルルルルッ、カチカチャ――――!

 つかんだ独古杵(どっこしょ)が、どこまでも伸びていきやがる。


 こんなに(はげ)ぇのを持ってたら、(おも)さで(つぶ)されちま――わねぇな?

 どうなってる?


 いつもみたいに(・・・・・・・)、伸びても(おも)さは変わらん。


 ただ、あまりの(なが)さで、ほんの(すこ)(かたむ)けただけで地面(ゆか)にぶち当たる。

 ゴガガガガッ――ギャリギャリガギャリィィンッ♪

 あぶねっ、水平(すいへい)(もど)(もど)せ!


 っていうかこれ、手に持ってねぇ(ほう)が良いか?

 けど――――シュルルルル、カチ――シュルルルルルッ、カチカチャ――――!

 (ほう)りだすのも、なんか(こえ)ぇし!


 巻物(まきもの)(おお)われた地面(じめん)は、この世のものにゃぁ見えねぇ。

 こんどこそ(・・・・・)正真正銘(しょうしんしょうめい)地獄(じごく)か?


 ボッゴガバァァァァンッ――――「いかん、なんかに突き刺さった!」

 振りかえる。


 (やま)稜線(りょうせん)(くだ)かれ、その向こうにある(あか)(つき)巻物(まきもの)に巻かれて(いろ)(いま)、見えねぇが)まで(くだ)けた!


 (ほど)けた巻物(まきもの)隙間(すきま)から、四散(しさん)した(つき)欠片(かけら)がこぼれだす。

 (てん)()(つらぬ)いて、この世だか地獄(じごく)だかの(ことわり)を――駄目にしちまった(・・・・・・・・)

 罪悪感(ざいあくかん)が押しよせる。


 あまりの(おそ)ろしさに、手を(ひら)いたが。

 なんでか手から、(はな)れない。


 どうすりゃぁ良い?

 (だれ)(たす)けてくれよ。

 大食(おおぐ)らいの根菜(こんさい)でも、小言(こごと)を言う(ぼう)でも良いからよう。


 仕方(しかた)なく独古杵(どっこしょ)を、力一杯引(ちからいっぱいひ)いた!


ボッゴガァァァァァァァァンッ――――(つき)ってのはこんなに(もろ)かったか?

 巨大(きょだい)な、空一面(そらいちめん)満月(まんげつ)が、ボロボロと欠けていく(・・・・・)


「やっちまった!」

 粉々(こなごな)(くだ)けた、(あお)破片(はへん)が――巻物(まきもの)に巻かれた大地(だいち)に、降り(そそ)ぐ!

 ドガンボゴガァン、ズドドドドゴゴゴッゴォオォオォォオオオオッ――――!


「うわぁ!」

 落ちた(つき)衝撃(しょうげき)で、大地(だいち)が揺れる。

 足下(あしもと)巻物(まきもの)が、シュルシュルルルッ!

 (ほつ)れた巻物(まきもの)隙間(すきま)から――漆黒(しっこく)(のぞ)く。


地面(じめん)がねぇっ!? 落ちる!」

 ががぁん――――すんでの(ところ)で、(ぼう)巻物(じめん)に引っかかってくれた。


 独古杵(ぼう)をつかむ手に、(ちから)を込めるが――シュルルル、じゃきいん♪

 ソイツは勝手(かって)(もと)の、巻物(まきもの)くれぇの(なが)さに(もど)った。


「うわぁぁぁぁぁぁっ――――!!!」

 漆黒(しっこく)に落ちていく。

 (かお)のまえ。(すみ)に見えていた、積み(かさ)なった地図(ちず)(あらわ)れては消える。

 地獄(じごく)(した)には、(なに)があるって言うんだ?


 やがて巻物(まきもの)出来(できた)一面の地面(・・・・・)が、見えなくなったころ。

 化け猫(おれ)(からだ)に書かれた文字(もじ)が、また(ひか)った。

 右手首(みぎてくび)から左足(ひだりあし)まで。

 つなげて読んだら――


『いまです。(とな)えるのです。もう一度(いちど)、「(めっ)せよ」と』

 このまま落ちるだけなら、なんでもやるさ。


(めっ)せよっ!」

 ばがん、ごどん!

「ぎゃ!? (そこ)抜けた(・・・)!?」

 なんかのソコが開いて、おれはソコから(まろ)びでた。


 ごろろろおろろっ――――ぽぎゅりん♪


「いってーな()――ニャン!」

 (あた)りは薄暗(うすぐら)いが――――がやがやがや。

 なんでか、活気(かっき)があった。


   §


「たのむよぅ、まださっきの怪我(けが)のせいか、本調子(ほんちょうし)じゃないんだよー。一時間(いちじかん)、いや30(ぷん)でも良いからさぁ、寝ぇかぁせぇてぇよぉ――ニャン?」

 (ねこ)魔物(まきもの)のようなソレに、懇願(こんがん)する(くろ)づくめの制服姿(せいふくすがた)青年(せいねん)

 (ねこ)魔物(まもの)への敬意(けいい)(あらわ)したつもりなのか――

 (かれ)(あたま)には、猫耳(ねこみみ)(かざ)りが乗せられている。


「みゃにゃごにゃぎゃやー、みゃにゃんやーみゃみゃみゃにゃ♪」

 ふぉん♪

『おにぎり>たまたま今ちょうど、間断期にはいったから少しなら寝てても良いんだもの♪』


「ありが――すやぁ――ニャァン♪」

 自分(じぶん)にしなだれかかり、即寝落(そくねお)ちした青年(せいねん)を。

 (ねこ)魔物(まもの)(やさ)しく、抱きかかえる。

 ひょっとしたら、仲間意識(なかまいしき)芽生(めば)えたのかも知れない。


 ♪

  ♪

   ♪


「ふみゃにゃごぉー、みゃにゃごにゃや――♪」


 ♪

  ♪

   ♪


「ふみゃにゃごぉー、みゃにゃごにゃや――♪」

 (ねこ)魔物(めもの)に抱きかかえられ(ねむ)る、猫耳(ねこみみ)を乗せた青年(せいねん)

 (ねこ)魔物(まもの)は、青年(せいねん)(からだ)魔法(まほう)を掛ける。


「ふにゃみゃー♪」

 どばっしゃぁぁん♪

 全身(ぜんしん)を濡らされても、(かれ)が起きる様子(ようす)はない――

 とても(つか)れているのだ。


「みゃみゃみゃー♪」

 ぼぼわぁぁパチパチ♪

 全身(ぜんしん)(あたた)められても、(かれ)が起きる様子(ようす)はない。

 とても(つか)れているのだ。


「みゃにゃみゃー、みゃにゃやみゃー♪」

 ぼっふぁぼふぁぁん♪

 全身(ぜんしん)(かわ)かされても、(かれ)が起きる様子(ようす)はない。

 とても(つか)れているのだ。


 そんな様子(ようす)(だれ)かが見たら、ソレは(なか)むつまじく見え――


「ぎゃぁあっぁっ! て、てぇへんだぁー! (ねこ)魔物(まもの)(ひと)(おそ)ってるだぁー!!!」

 背中(せなか)には(おお)きな(かご)

 手には(ちい)さな枝切(えだき)包丁(ぼうちょう)

 山菜(さんさい)(つの)ウサギでも取りに来た、近隣(きんりん)村人(むらびと)(おも)われる。


 それから10(ぷん)もしないうちに――

 農具(のうぐ)(かま)えた村人(むらびと)たちに、(ねこ)魔物(まもの)青年(せいねん)は取り(かこ)まれた。

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