表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
3:ダンジョンクローラーになろう

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

355/744

355:龍脈の回廊、二つの月影

「いよぉし! やぁぁっと、巻きとったぞ!」

 どうしてくれよう、このほとんど(なに)も書いてねぇ巻物(まきもの)


 ぽきゅ、ぽぽきゅきゅ♪

 化け猫(からだ)(さぐ)るも、(みじか)い毛が生えてるだけで――

 (そで)(ふところ)もねぇから、仕舞(しま)っとく場所(ばしょ)がない。


「どうしたもんかな。いつも(おれ)のうしろ(あたま)に張りついてたヤツに聞けりゃ、どうにかなる気がするんだがなぁ」

 巻物(まきもの)(じく)(わら)仏像型(ぶつぞうがた))を小脇(こわき)(かか)える。


 ぽきゅぽきゅぽきゅ♪

 丸々(まるまる)(ふと)った(きのこ)根菜(こんさい)でも、見つかりゃ良いんだが(なに)もねぇ。

 化け猫(おれ)巻物(にもつ)だけが、なんでか見える。

 (そら)(つき)のひとつも、ありゃしねぇってのに。


「やっぱり、ここわぁ地獄(じごく)なんじゃねーのかー?」

 そう言葉(ことば)にしたら――

 おそらくは――

 (だれ)か――

 聞いてたヤツが――

 (とばり)を巻き上げやがった。


 ――――スウゥゥゥゥッ。

 (きゅう)化け猫(からだ)(かげ)が、わかるようになった(・・・・・・・・・)

「あかるくなっ――――!?」

 (かげ)出所(でどころ)を振りかえる。


 あるのは空一面(そらいちめん)の――(つき)


 もしコレが天道(てんとう)さまなら、化け猫(からだ)は消し(ずみ)(のこ)らねぇ。

 この(つよ)いが(あたた)かみのない、(あお)みがかった仄暗(ほのぐら)さは――

 (ひと)(いのち)燃やした(・・・・)発露(はつろ)だ。


「うぎゃっわわわわっわっ――――――――!?!?」

 こりゃ、理屈(りくつ)じゃねぇ。

 おれは(ふたた)(つき)に背を向けた!


 あんなもんを、あんな(つき)(ひかり)を、こんな間近(まぢか)で浴びたら――

 身も(こころ)も、化けもんになっちまう(・・・・・・・・・・)


 よだつ夏毛(なつげ)を押さえる。

 (しん)(ぞう)を、両手(りょうて)(ひざ)(おお)(かく)す。


 どこか(かく)れられる場所(ばしょ)はねぇのか!?

 ドコまでも(たい)らで、(くさ)ひとつ生えない地面(じめん)

 なめらかで、(かた)いのか(やわ)いのかすら、ハッキリしない。


 ぽっきゅごむん♪

 (たた)いてみたが、ビクともしない。

 それでも(いま)できることは、コレしかない。


 ぽぽきゅきゅごごむわん♪

 ぽぽきゅきゅごごむわん♪

 ぽぽきゅきゅごごむわん♪

 ぽぽきゅきゅごごむわん♪


 (くろ)地面(じめん)に落ちる(かげ)が、自分(じぶん)足下(あしもと)殴りつける(・・・・・)

 それは自分(じぶん)(からだ)(たた)いて、押し込めてるみたい(・・・・・・・・・)で――

「はぁはぁ――こりゃ駄目(だめ)だ。気が滅入(めい)らぁ!」


 そのとき――振りあげた(こぶし)がスゥゥと、(ばい)増えた(・・・)

 増えた(こぶし)背後(はいご)へ――ばかでけえ(つき)に向かって、流れ落ちていく(・・・・・・・)

 あんなに(あか)るい(つき)に向かって――どうして。


(かげ)が落ちる?」

 地面(じぶん)(たた)くのを止め、(かお)を上げる。


 見れば一目瞭然(いちもくりょうぜん)光源(ひかり)二つ(・・)になっていた。

 (ひら)たいだけだと(おも)ってた、地面(じめん)(さき)

 ずっと(とお)くに、(やま)が見えた。


 その(やま)地面(じめん)(おな)漆黒(しっこく)で。

 もう一つの月が(・・・・・・・)、その(かげ)から(のぼ)っていなかったら――

 稜線(りょうせん)に気づくこともなかっただろう。 


『>この惑星ヒースには、衛星が二つあります』

 文字(もじ)がでた。


 二つ(つた)(つき)がまたたき、その(いろ)濃くしていく(・・・・・・)


『>少し小さい方が真っ青な、ルィノ』

『>少し大きい方が真っ赤な、ウェレ』

 文字(もじ)がでた。


 揺らめく大気(かぜ)が、見える気がする。

 まるで蘇生薬(エリクサー)のような紫色(エリクサーいろ)に、染まっていく。



 ぽっふきゅっふむん――――♪

 (つき)(ひかり)一身(いっしん)に浴びた化け猫(からだ)が、とうとう悲鳴(ひめい)をあげた。

 (ひじ)のあたりから脇腹(わきばら)(とお)って、へそから(こし)まで。

 パァァッ――(なか)から(ひかり)が漏れだしたのだ。

 (やぶ)けちまったのか――!?


「あぁー、ここまでかー……『もういちど(あた)りを、よく見るのですよ』?」

 そんなことを言われても、まわりにゃ何もねーだろが。


 っていうか、なんだこの文字(もじ)わぁ!?

 体中(からだじゅう)文字(もじ)が書かれてるのは見えてたが――


『いいえ、(なに)もなくはありません』

 こんどは、反対(はんたい)手首(てくび)から背中(せなか)まで。

 (ひか)(じゅん)に読むと、意味(いみ)がつながってた。


「んぁ? なんで背中(・・)に書かれた文字(もじ)まで、読める(・・・)んでぇい?」

 ついつい読んじまったが、化け猫(からだ)をすかして(からだ)が読める!

 (だれ)仕業(しわざ)だぁ!?!


 そんなのは決まってる。

 おおよそ(ひと)じゃあるまい。


 うまい(めし)を食わせねぇえと、へそを曲げて世界(せかい)(ほろ)ぼす――アイツだ。


(とな)えるのです』

 なにをだ――?


『〝(めっ)せよ〟と』

 なんでだ――?


「おおーい――?」

 そこで文字(もじ)(ひか)らなくなったから――

 なんで(とな)えなきゃいけねぇのかは、わからなかった。


   §


「ねぇ、カヤノヒメちゃん――もぐもぐ、ぱくぱく()

 食事(しょくじ)の手を止めず給仕(きゅうじ)を呼ぶ、行儀(マナー)(わる)女神(めがみ)


「なんでしょうか? イオノファラーお(じょう)さまニャン()

 幼女(ようじょ)(ねこ)(みみ)を、(あたま)(うえ)にのせで――やってきた。


「なんか、今日(きょう)わぁ(りょう)がぁ(おお)くなぁいぃー? おかわりのぉ手間(てま)がぁ(はぶ)けて良いんだけどさぁ()

「いえ、ご指示通(しじどお)りの二人前(ににんまえ)ですけれど、くすくす――ニャン()

 猫手(ねこて)のように、(ちぢ)めた(こぶし)(そろ)えてみせるカヤノヒメ――ニャン。


「カヤノヒメ、そノ格好(かっこウ)ハどうされたのですか()

猪蟹屋(ししがにや)二号店(にごうてん)業務形態(ぎょうむけいたい)で、央都(おうとの)方々(かたがた)をお(むか)えしてはいかがかという(はなし)になりまして――ニャフフ()


「なんか、聞いてたお(はな)しと違いますね――シガミー……じゃなくてカヤノヒメさまは」

 それはそうだろう。


 まるで、聖女(せいじょ)のように可憐(かれん)(はかな)げな――幼子(おさなご)

 がさつで行儀(ぎょうぎ)(わる)いけど――本気(ほんき)のリカルルさまをも退(しりぞ)ける(つよ)さ。


 目のまえの猫耳メイド(カヤノヒメ)が、ウワサ(どお)りなのは――外見(がいけん)だけだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ