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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
3:ダンジョンクローラーになろう

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350/744

350:龍脈の回廊、一本角と眼鏡とカフスボタン

「オルコトリアッ――!」

 そんな高貴(こうき)同僚(どうりょう)(こえ)が聞こえたのか――

 (かた)を落として(ある)いていた、一本角(オルコトリア)(うえ)を見た。


「ぎっやっ!? なにごと――――!?」

 驚愕(きょうがく)鬼娘(おにむすめ)

 いつものギルド制服(せいふく)や、冒険者姿(ぼうけんしゃすがた)ではなく――

 こざっぱりとした、ドレスのような(ふく)を身につけている。


 (おに)(くち)がいつまでも(ふさ)がらないのは、無理(むり)からぬことだろう。

 降ってくる(・・・・・)のは、ガムラン最凶(さいきょう)受付嬢(うけつけじょう)リカルルと、ギルド(ちょう)(むすめ)レイダ。

 それと見覚えのない(・・・・・・)大きな子馬(・・・・・)と、新人(しんじん)メイドのタター。

 そしてさらに――不規則(ふきそく)軌道(きどう)(えが)魔法杖(まほうつえ)翻弄(ほんろう)される、魔神の再来(リオレイニア)


「「「「うぉわぁあぁあぁあぁぁ――――!?」」」」

 鬼娘(おにむすめ)に駆けよるのは、驚愕(きょうがく)鍛冶工房(かじこうぼう)数名(すうめい)


 飛び散るガラスは、大気(たいき)に溶け――

 割れた(まど)再構成(さいこうせい)した、窓枠(まどわく)(ひか)った。


「おおーっ♪ 自己修復(じこしゅうふく)魔法具(まほうぐ)が、(うご)いたぞぉー!」

 「「「うぉぉぉおぉー」」」とよろこぶ、小柄(こがら)職人(しょくにん)たち。


「こらっ、そんなこと言ってる場合(ばあい)じゃないでしょ! 蘇生薬(エリクサー)持ってたら用意(ようい)して!」

 ごきりっ――ごきりっ、ばきばきばきょ!

 (ほね)の鳴る(おと)

 両腕両足(りょううでりょうあし)(ばい)(ふく)れあがり――

 大柄(おおがら)体躯(たいく)巨大化(きょだいか)した!

 一本角(いっぽんつの)がバキリと伸びる!


 パリパリリッ――――放電(ほうでん)する(つの)

 ぐぐぐぐ――どかん!

 かがんだ(からだ)一気(いっき)に伸ばし、跳躍(ちょうやく)する(おに)


「たまの休日(きゅうじつ)に、なにやってんのアンタはっ!」

 (おに)が、令嬢(れいじょう)を抱きとめた!


「ふ、不可抗力(ふかこうりょく)ですわよ! それに、そっくり同じ言葉をお返し甚しますわっ! あぁ、もっと向こう!」

 (かか)えられたガムラン代表(だいひょう)受付嬢(うけつけじょう)が、必死(ひっし)に手を伸ばした。


「よし、(つか)まえた! もう大丈夫(だいじょうぶ)ですわよ♪」

 子供(こども)(あし)(つか)まえ――たぐり寄せ抱きかかえた。


 (おに)最凶(さいきょう)子供(こども)の――

 親亀(おやがめ)背中(せなか)子亀(こがめ)子亀(こがめ)背中(せなか)孫亀状態(まごがめじょうたい)


「きゃっ、きゃやぁぁぁぁあぁあぁっ――――り、リカルルお(じょう)さまぁぁっ!?!?」

 主人(リカルル)(たす)けたいものの、不規則な(あばれる)(つえ)(うご)きを押さえ込む(コントロールする)だけで精一杯(せいいっぱい)


「タターさん!」

 子供(レイダ)必死(ひっし)にメイドを抱きかかえようと、手をのばすが――


当家(とうけ)のメイドは、自分(じぶん)の身は自分(じぶん)(まも)れますわ! あまり(うご)くと落ちてしまいますわよ!?」

 ぎゅっと子供(レイダ)を押さえ込む、甲冑姿(リカルル)


「ひひひん? ひひひぃん?」

 留め具(カフスボタン)は、いまだ(はず)れない!

 子馬(こうま)(いなな)き? ジタバタと(あし)(うご)かした。


「ああもう。こら、お(うま)……てんぷーら(ごう)! アナタ、当家(とうけ)(もの)に擦り(きず)ひとつでも付けてご(らん)なさい? その(くび)、落としますわよ?」

 (うま)(みみ)脅しをかける(・・・・・・)、ご令嬢(れいじょう)


 (かれ)もしくは彼女(かのじょ)は、とてもお利口(・・・)だった。


 子馬(こうま)がさらに(おお)きく、ジタバタするうちに――ぽすむん♪

 少女(しょうじょ)タターを、背に乗せることに成功(せいこう)


「きゃぁあぁあぁあぁあっ、あぁあぁぁっ!」

 前後逆(ぜんごぎゃく)だが、必死(ひっし)にしがみ付くタター。

「ひひひぃん? ぶるるるるん?」

 落ちていく、子馬(こうま)とメイド。


「ねえ、リカルルさま、〝テンプーラゴウ〟ってなにっ!?」

 好奇心(こうきしん)(かたまり)と化す子供(レイダ)(かみ)が、フワリと持ちあがる。

 ジャンプした(いきお)いがなくなり、落下(らっか)(はじ)める(おに)


「アナタたちがギルド(じゅう)(はし)(まわ)っているあいだに、カヤノヒメさまから聞きましたのよ」

「カヤノヒメさまと?」

 ごそり、甲冑(かっちゅう)胸元(むなもと)から取り出したのは――丸茸(まるきのこ)……もしくは根菜(こんさい)御神体(ごしんたい)

 「まだ(つな)がっているようですので、どうぞ」と、レイダの(みみ)に押し当てるリカルル。


「――レイダさんですか? カヤノヒメです。それはお(うま)さんのお名前(なまえ)ですわ、くすくす()

「わ!? イオノファラーさまから、シガミーの……カヤノヒメさまの(こえ)!?」

 目を(まる)くして面白(おもしろ)がる、子供(レイダ)


「――おにぎり(・・・・)にちなんだ名前(なまえ)がよろしいと言うことになって、シガミーさんの故郷(こきょう)のお料理(りょうり)(てん)ぷら〟から取らせていただきましたの、くすくすくす()

 半開(はんびら)きな(うえ)白目(しろめ)までむいた、御神体(メガミ)

 〝美の化身(けしん)〟の化身(けしん)には、とても見えない。


「アンタたち――そろそろ(した)に着くから、(くち)を閉じて!」

 鬼の娘(オルコトリア)言葉(ことば)にそっと(した)を見る、お(じょう)さまとお子さま。


 (さき)に落ちたはずの子馬(テンプーラゴウ)が――ぽっきゅむむぎょぽぉん♪

 と飛びあがり、(ふたた)(そら)へ舞いもどる!

「きゃぁぁあっぁあぁぁっ――――!?」

 少女(しょうじょ)タターは(さけ)(つづ)ける。


「あっぶなっ――――!?」

 身をよじり(かわ)す、オルコトリア。


「ふう、タターもなんとか無事(ぶじ)ですわね。まぁ、おにぎりの親戚(しんせき)みたいなのでしょうから――心配(しんぱい)はしていませんでしたけれど――ほっ♪」

 (さき)に落ちた使用人(しようにん)無事(ぶじ)確認(かくにん)し、安堵(あんど)(いき)をつく名物令嬢(リカルル)


 どっずうううううううぅぅぅぅぅぅぅぅうん――――ゴッバギャァッ!

 (しん)ギルド屋舎前(おくしゃまえ)、突き刺さる筋骨隆(きんこつりゅうりゅう)々。


「みなさまー、ご無事(ぶじ)ですかー?」

 暴走(ぼうそう)した魔法杖(つえ)(ぎょ)し、楚々(そそ)と降りたつ鳥の仮面(リオレイニア)


 ガヤガヤと(あつ)まっていた人垣(ひとがき)が――魔神(まじん)再来(さいらい)(うた)われる、給仕服(メイド)登場(とうじょう)(とも)に散っていく。


 ぽきぱき――ふしゅるるる。

 倍化(ばいか)していた筋肉(きんにく)が、その血を開放(かいほう)する。

 巨躯(きょく)を駆る一本角(いっぽんつの)麗人(れいじん)が、(もと)どおりの(ふと)さになった。


 脱力(だつりょく)尻餅(しりもち)をつく麗人(れいじん)

 (うつく)しい(かお)(おに)が、(つの)(ちじ)め――

 リカルルを開放(かいほう)した。


「リカルルさま、降ろして!」

 もがく(おさな)少女(しょうじょ)

「さぁて、どういたしましょうかしら?」

 そう言って、180度回転(どかいてん)

 ソコに立っていたのは――


「こらっ、レイダァ! いつもはシガミーの(かげ)(かく)れていて、目立(めだ)ちませんでしたが――今日(きょう)という今日(きょう)は、お説教(せっきょう)をします! いいですね?」

 ギュギュギュギュィィィイィィィィィィィンッ!

 ギルド(ちょう)眼鏡(めがね)は、アーティファクトである。

 興味(きょうみ)対象(たいしょう)をよりくわしく調(しら)べるときと、感情(かんじょう)(たか)ぶったときに〝(つま)み〟が(はげ)しく(うご)く――(なぞ)仕様(しよう)


 ジタバタともがく子供(こども)を、しっかりと親元(おやもと)へかえすリカルル。

 泣きわめく少女(しょうじょ)(かか)えたギルド(ちょう)の、長髪(ちょうはつ)がはらりとほつれた。


「ギルド(ちょう)男手(おとこで)ひとつで、大変(たいへん)ですわねぇ――」

 去って行く(おとこ)背中(せなか)には、哀愁(あいしゅう)(ただ)っていた。


 連日(れんじつ)のギルド屋舎破壊(おくしゃはかい)――ぽっきゅらぽっきゅら♪

 (むすめ)教育(きょういく)――ぽっきゅぽっきゅむ♪

 なぜかあとをついていく、間抜(まぬ)けた子馬(うま)爪音(つまおと)と――


「お(じょう)さま!? あの降ろしてください! これ、(はず)れないんですけど!」

 厄介(やっかい)ごと((とく)黄緑色(おうりょくしょく)関係(かんけい))に巻き込まれやすい、メイドの(さけ)(ごえ)は――

 ギルド会館(かいかん)(した)から(うえ)まで、(ひび)(わた)ったという。

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