表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
1:輪廻転生、おいでませガムラン町

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

35/744

35:大道芸人(幼女)、魔剣(全部入り)だいばくはつ

 おれは(こし)革紐(かわひも)から魔剣(まけん)居合刀(かたな)をひっこぬいた。


 正面(まんまえ)水平(まよこ)(かま)えた(かたな)に、間合(まあい)はねえ。

 このままぬいても、小枝(こえだ)一本(いっぽん)()れるかどうかだ。


「(迅雷(ジンライ)(まつ)りみてえな、お囃子(はやし)はできるか?)」

 拍子木(ひょうしぎ)だけじゃ、見ばえがしねえ。


「(可能(かのう)ですが、楽曲(がっきょく)のライブラリ情報(じょうほう)がありません)」

「(なんだ、ちゅうぶらりんたぁ?)」

 もう(カタナ)を抜かねえと――集中(しゅうちゅう)がもたねえのに。


「(……イオノファラーの個人(こじん)ストレージへのアクセスが可能(かのう)ですので、イオノファラーの所持(しょじ)する楽曲(がっきょく)参考(さんこう)に、新曲(しんきょく)生成(せいせい)できます――――)」


 できるんなら、(ふえ)でも太鼓(たいこ)でも派手(はで)に鳴らしてくれ。


「(了解(りょうかい)しました)――カッツ(ワン)カッツ(ツー)カカ(スリー)カン(フォー)――!」

 お、いいじゃねーか!


 たんたんたぁんたたん!

 (こし)をひねり、から足(・・・)()む。

 ――――ぎりりりっ……。

 ちいせえ(なり)でも、(あし)(こし)(はら)(かた)(うで)両目(りょうめ)(あたま)手首(てくび)(カタナ)


 その全部を(・・・)ずらしゃあ(・・・・・)――二間(にけん)……5メートルちょい? そんくれえの距離(・・)がかせげる。

 威力(いりょく)(やく)三倍。流派(りゅうは)によっちゃ秘伝中(ひでんちゅう)秘伝(ひでん)にして奥義(おうぎ)


 チィン♪

 おれは、(かたな)を抜――――――――


「ズッタンズッタンズタタッタズタタタン!」

 ずいぶん騒々(そうぞう)しい太鼓(たいこ)だな!

 つられて、半歩(はんぽ)余計(よけい)()みこんじまったじゃねーか!


 たたたぁん、ぐるぐるり――――ぎりりりりぃ……。

 全部(ぜんぶ)()りなら、間合(まあ)いはなくていい。

 うえの(・・・)腰高(こしだか)のまわしで回転力(ねじり)をためて、

 したの(・・・)(こし)が入ったまわしで距離(きょり)をつめる。


「ヴォーンォ♪ ヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォッ――――――――!!!」

 なんだ、その魔物(ヴォンォ)の咆哮(ヴォヴォヴォヴォ)!?


 視界()(はし)で、冒険者(ぼうけんしゃ)連中(れんちゅう)武器(ぶき)をかまえたのがわかる。


 たたん、くるくるくる――――ぎち……。

 いけねえ、腰を入れたまま半回転(はんかいてん)しちまった!

 せっかく()めた回転力(ねじり)が減っちまっただろうが。


 くそ、〝(かた)〟の最中(さいちゅう)迅雷(ジンライ)と話すのは、ほねがおれる。

 このままいくしかねえ。

 つぎの(ふし)で、もう一回(いっかい)――()める。


「ヴォヴォーゥン♪ こねこがいっぴき、キャッツ、ニュー、ワールドぉ、ヘェイ♪」

 この、すっとんきょうな声――――ききおぼえがあるぞ!?


「ぅにゃんにゃん、ぅにゃにゃん――――っ切りさけぇ~~♪」

 ザギィィィィィィィィ――――――――

 あーあああっ、なにしてくれてんだこいつぁー!

 「切りさけ」なんて言うもんだから、うっかり(かたな)ぁ抜いちまったじゃねーか!


 あと一歩とはんぶん、距離(きっさき)がとどかねえ!

「ずっはぁぁぁぁっ――――(迅雷(ジンライ)てめぇ!)」

 ちきしょう、()のさなかに息は継げねーのに――――


「(どうしましたか? ヘェイ♪)」

「(うっせぇ、カタナ抜いたら振りぬくしかねえのに、ここじゃ(とど)かねえんだよ! おまえのお囃子(はやし)のせいっていうか、なんだその五百乃大角(いおのはら)唄声(うたごえ)わぁ!)」

 ずっはぁぁぁぁぁぁぁぁあぁっ――――はぁはぁ、息を継いじまった!


 すっぽ抜けた気合い(・・・)が、(ちゅう)()ぐ。


「(人間(にんげん)あきらめが肝心(かんじん)です、シガミー♪)ニャンニューワァルドー♪」

「(やっかましーゃ! から打ちした(・・・・・・)このカタナどーしてくれんだ!?)」


「((おさ)めればよろしいのでは?)にゃにゃあにゃ――♪」

 ざけんな、居合をはずす(にのたち)なんざ、みっともねえったりゃありゃしねー!


 おれは(からだ)逆にひねり(・・・・・)、そのまま(ひだりて)刀身(かたな)納めた(ガキン♪)


 カタナを(おさ)めたら、最初(さいしょ)のかたちと似たかんじになった。


 なんでか思い浮かんだのは、〝左太刀(ひだりたち)〟の三文字(さんもじ)

 前世(ぜんせ)のおれなら、やろうとも思わねえ(・・・・・・・・・)


 から打ちの(いき)いあまって、みぎ一杯(いっぱい)にねじった(からだ)

 それを文字(もじ)どおり〝かえす(カタナ)〟で――くるん、パシパシ――もちかえた。



七天(しちてん)抜刀(ばっとう)根術(こんじゅつ)(ぜろ)(かた)――ON(おぉん)――()太刀(たち)。」

 やけくその真言(しんごん)左太刀(ひだりたち)

 きき手じゃねえから威力(ちから)は落ちるが、真言(しんごん)をのせりゃ(きず)のひとつくれえは(はい)るだろう。


「チィィィィィィィィェェェェェェェェィイ――――――――ッ!!!」

 ガツン――――ザギィィィィィィィィィィンッ――――!!!

 こんどは届いた。

 (たい)あたりのいきおいにまかせて、ちからいっぱい振りぬいた。


「――ねこねこぉーこねこぉー♪」

 くるん、切っ先をまわし――――スゥゥゥゥゥゥゥ、ガギン!


 (カタナ)完全(かんぜん)(さや)におさめた。

 それを水平(すいへい)にかまえ、指先(ゆびさき)(いん)(むす)ぶ。


「ど、どどどど、どうした嬢ちゃん。お、(おれ)(たて)(きず)ひとつ入っちゃ――――」

 工房長(ノヴァド)がなんか言ってる。


 まさかの不発(ふはつ)か?

 (たて)を立てた(はしら)が、ぴくりともしねえ。


「っしゅるるるるるるるっ――――――――(めっ)せよ!」

 ――――――ィィィィィィィィィィン!

 (かね)()がきこえる。


「――、――――!?」

 なんかとおくで子供(ガキ)がわめいてる?

 ガムラン町(ここ)にいる子供(ガキ)なんて、おれとレイダだけだ。

 不発だっ(はずれ)たのを……心配(しんぱい)してんのか?


 心配(しんぱい)すんな。

 少しくらい失敗(へま)したって、どうせココじゃ居合(いあい)がわかるやつぁいねえ。


 ボッ――――――なんかが燃えたみてえな。火縄(ひなわ)に火でもつけたみてえな。

 みれば(たて)が真っ赤に、白熱(はくねつ)していた。



 キュドッ――――――ッゴッガガガガガガガガガァァァァァァァァァァァァァァァァッァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァンッ!!!!!!



 ここガムラン町は、カミナリが多発(たはつ)する。

 落雷(らくらい)大音響(だいおんきょう)には()れっこで、いまさら(あわ)てるヤツはいない。


 きゃぁあぁ、わぁあぁあぁ、わぁぁぁぁぁあぁぁぁっぁあぁ――――にげろぉぉぉぉぉぉぉっ!


 怒号(どごう)噴煙(ふんえん)に埋めつくされる、大道芸会場(みちばた)

 その場の全員(ぜんいん)が逃げだす、大惨事(だいさんじ)になった。


 おれと迅雷(ジンライ)以外、誰もいなくなったころ。

 ひゅるるるるっ――――ゴガッゴガン、グワラララン!


 真っぷたつになった(たて)が、そらから落ちてきた。

お囃子/神社の祭礼時に行われる、太鼓と笛などによる音楽。

左太刀/左利きのカタナの抜き方。普通はしない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ