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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
3:ダンジョンクローラーになろう

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346/744

346:龍脈の回廊、バリアントと化け猫とゴーレム馬改

「ギギュ――――!!!」

 青年(せいねん)よりも、猫の魔物(おにぎり)よりも(ふと)い――(かめ)(あし)

 それが(すさ)まじい(いきお)いで、突き出される!


「ふっみゃぁごぉう、みゃにゃごにゃ――♪」

 ふぉん♪

『おにぎり>あたらなければ、へいきだもの♪』

 「ぽきゅぽきゅぽきゅむぅーん」と(かめ)(あし)を避け、果敢(かかん)突進(とっしん)する、(ねこ)魔物(まもの)黄緑色(きみどりいろ))!


「ああもう、こっちは(はし)(つづ)けたあげく、おにぎりの背中(せなか)で揺られて――(つか)れ果ててるってのにっ――――!!」

 ドゴゴドゴゴゴドゴゴゴッゴォゴン!

 舞う砂塵(さじん)に、制服姿(せいふくすがた)がのみこまれた。


 ザッギィィィィィィィィィィンッ――――――――!!!

 抜刀(ばっとう)される〝鍵剣(かぎけん)セキュア〟。

 ガムラン(ちょう)鍛冶工房(かじこうぼう)(つく)られた、参考価格(さんこうかかく)2ヘククの安物(やすもの)

 廉価(れんか)理由(りゆう)は、怪力自慢(かいりきじまん)工房長(ノヴァド)をもってしても――

 「持ち上げるのにコツが要る(・・・・・)」と言わしめた――

 超重量(ちょうじゅうりょう)のせい。


 攻撃力(こうげきりょく)はたったの34だが、(かれ)が手にすればソレは――

 安物(やすもの)(けん)のように、軽々(かるがる)と持ち上げられる。

 きらめくセキュア――その正体(しょうたい)は、聖剣(せいけん)なれの果て(・・・・・)

 ガムラン最強(さいきょう)とうたわれる(ぼう)伯爵令嬢(はくしゃくれいじょう)により折られた(・・・・)魔王討伐(まおうとうばつ)必須(ひっす)アイテム(未使用(みしよう))。


 多少(たしょう)心得(こころえ)がなければ、出来(でき)ない――

 真っ(こう)から打ち合うことを、(さけ)けるための(かま)え。

 それは巨大亀(きょだいがめ)(あし)を、背後(はいご)へ受けながした。


 ドドゴゴゴゴォォォォンッ!

 爆発(ばくはつ)する地面(じめん)(あし)を止める(かめ)

 亀の足(てき)一本(いっぽん)ずつしか、地を(はな)れない。


 先行(せんこう)する(ねこ)魔物(まもの)が、(かめの)甲羅下(ふところ)到達(とうたつ)した!

 ぽぎゅぎゅむっ――!

 両手(りょうて)を地につけ屈み込む、自律型強化服(シシガニャン)おにぎり。

 いままさに空圧(ちから)を溜め込み――巨大亀(てき)(した)から突き上――――フッ!?


 おにぎりを陽光(ようこう)から(さえぎ)る、(かげ)

 それは――――ドドドゴゴゴゴガガガガァァァンッ!!!!!

 (かめ)頭突き(・・・)だった!


「にゃみゃごにゃっ♪」

 ふぉん♪

『おにぎり>くびがながいもの♪』


 物置小屋(ものおきごや)で言うなら、数件分(すうけんぶん)

 ガムラン(ちょう)(きゅう)ギルド屋舎(おくしゃ)でいうなら一階(いっかい)フロア程度(ていど)

 (しん)ギルド屋舎(おくしゃ)なら、地下五階(ちかごかい)猪蟹屋(ししがにや)二号店(にごうてん)店舗(てんぽ)およびバックヤード程度(ていど)工場部分含(こうじょうぶぶんふく)まず)。

 そんな巨体(きょたい)からは想像(そうぞう)できない、(かめ)素早(すばや)(うご)き。

 蹴りをかいくぐれば――

 上空から亀頭(あたま)が飛んでくる。


 ぽっぎゅぎゅぎゅぎゅぎゅぎゅぎゅむむむんっ――――♪

 直上(ちょくじょう)からの頭突(ずつ)きをくらい、(つぶ)される猫の魔物(おにぎり)

 その中身(なかみ)は、ほぼ空気(くうき)だ。

 押し込められた全長(ぜんちょう)が、三分(さんぶん)二程度(にていど)に――縮まっている(・・・・・・)


「ああもう、ぽぎゅぽぎゅうるっさいなぁ――――チィィィィィィイェェェェェイイイィィイイィィィイヤァァァァァァァッ!」

 (うごき)きを止めた亀頭(あたま)をめがけ――突進(とっしん)する〝安物(やすもの)聖剣(せいけん)使(つか)い。


 その(あゆ)みは(だれ)にも――ニゲル本人にも(・・・・・・・)止められない(・・・・・・)

 〝勇者の歩み(ブレイブ・ステップ)〟スキルの詳細(しょうさい)を知るのは、行儀が悪い(・・・・・)シガミーだけだ。


   §


「んあぁあぁ!? おい、なんだ!? 地揺(じゆれ)()――ニャッ!?」

 (ぼう)をつきたて、耐える化け(ねこ)


「まったく、(だれ)仕掛けか(・・・・)しらねぇが、おれぁちゃんと壁の模様を並べた(・・・・・・・・)だろうが! さっさと(みち)を、あけやが()――ニャァ!」

 どなってやったぜ――化け(ねこ)(こえ)(かさ)なるから、締まらねぇけど。


 おれの(こえ)(とど)いたのか――――ゴゴゴゴッゴオッゴンゴン、ガッチャリ♪

 模様(もよう)(えが)かれた(かべ)――『(つばさ)(ひろ)げた(わし)のような動物(どうぶつ)』の壁画(へきが)は、(とびら)だったらしい。

 向こう(がわ)には(なに)もなく、コッチと(おな)じような通路(つうろ)があるだけだった。


「これで(さき)(すす)めるぞ。おい、さっきの地図(ちず)を見せてく()――ニャァ」

 ふぉふぉん♪

 浮かびあがる八枚重(はちまいがさ)ねの、(ひかり)(いた)

 その一番上(いちばんうえ)のを、手に取る。


「んーっと、いま居るのがココで、(した)への階段(かいだん)があるのがコッチで――お? この(さき)階段(かいだん)まで(つう)じて()――ニャァ」

 よぉーし、手間取(てまど)っちまったが、どんどん行くぞ。(した)にいきゃぁ、なんかあるだろ。


 ぽきゅぽきゅぽきゅぽきゅ――化け猫(おれ)は、薄暗(うすぐら)地下迷路(ダンジョン)(すす)んでいく。


   §


「ひひん、ひひひぃぃぃぃん?」

 (いなな)子馬(こうま)成体(せいたい)サイズ)。

 ぽっきゅらぽっきゅら――(せま)室内(しつない)外周(がいしゅう)を、ゆっくりと(ある)く。

 リビングの家具(かぐ)は、収納魔法具(しゅうのうまほうぐ)仕舞(しま)ったのか、(すべ)て取り(はら)われている。


「カワイイ♪」

「ギュチギュチ言わないだけでも、すごく良くなりました♪」

「――けど、どうして疑問形(ぎもんけい)なんでしょう? くすくす(/)

 子供(こども)、メイド、(くぎ)をかしげる幼女(ようじょ)


「それは、たぶん――単発型(たんぱつがた)バレルの搬送経路(はんそうけいろ)を取り(はず)してつくった、油圧式(ゆあつしき)バランサーを利用(りよう)して発声している(・・・・・・)ためらぁん」

 ツナギ姿(すがた)王女(おうじょ)

 四人(よにん)部屋(へや)の真ん(なか)に立ち、子馬(こうま)(うご)きを目で追っている。


今度(こんど)こそ完成(かんせい)!? これならきっとニゲルさんも、飛び乗りたくなるよねっ?」

 なぜならそれは、〝自分(じぶん)が飛び乗りたくて仕方(しかた)ない〟から。

 その感情(かんじょう)に突き(うご)かされた子供(コドモ)が――

 椅子(いす)を手に、子馬(こうま)成体(せいたい)サイズ)を追いかけ(まわ)す。

 (おお)きな背によじ(のぼ)るには、椅子(いす)必要(ひつよう)になる。


一応確認(いちおうかくにん)しますけれど、落下(らっか)暴走(ぼうそう)危険(きけん)は有りませんか?」

 そう王女(おうじょ)(たず)ねながら、レイダを――

 うしろから持ち上げる、新米(しんまい)メイド・タター。


 子供(こども)椅子(いす)から手を(はな)し――ぶらんと大人(おとな)しくなった。

 子馬(こうま)には、木と(かわ)(つく)った(くら)(あぶみ)が取り付けられている。


心配(しんぱい)ないらん、(わたくし)呪文(じゅもん)起動(きどう)した以上(いじょう)(わたくし)睡眠中(すいみんちゅう)でも言うことをきくらぁん」

 ぽすんと子馬(こうま)(あたま)(さわ)り、子馬(こうま)(あし)を止める王女(おうじょ)


「ではどうぞ、レイダ。手綱(たづな)はないから、(くび)に抱きついてください」

 メイドに(おお)きく振り上げられ――子馬(こうま)にまたがらせてもらう子供(レイダ)

 子馬(こうま)成体(せいたい)サイズ)の(くび)垂直(すいちょく)にそそり立っているので、子供(こども)(ちい)さな(からだ)でも苦労(くろう)ぜずにしがみ付けた。


「わわっ、結構高(けっこうたか)い♪」

 (おお)はしゃぎである♪

「うふふ、(こわ)くありませんか?」

 はしゃぐ少女(しょうじょ)を見て、微笑(ほほえ)むメイド。


「ちょっとこわいけど面白(おもしろ)い♪ 面白(おもしろ)い♪ 面白(おもしろ)い♪」

 「面白(おもしろ)い♪」マシーンと化したレイダが、(あぶみ)をかるく押しつける。

 間の抜けた早足(はやあし)――ぽっきゅぽぽっきゅぽぽん♪


「レイダ、せまい(ところ)(はし)っては、(あぶ)ないですよ!」

 (¥あわ)てるメイドが、静止(せいし)する間もなく――ヴッ!

 取り出した細長(ほそなが)い木の(えだ)……魔法杖(まほうつえ)玄関(げんかん)ドアの(よこ)(つつ)く。


「ピンポロロン♪ ピンポロロン♪」

 玄関(げんかん)ドアから廊下(ろうか)へ繰りだす――ぬいぐるみの子馬(こうま)

「ちょっとまって、レイダちゃん! お(そと)はあぶないですよぉ――!」

 追いかけるメイド。


「さてでは、重要(じゅうよう)なことを決めなければなりませんらぁん!」

「そうですね、王女(おうじょ)さま、くすくす()

 部屋(へや)に取りのこされた二人(ふたり)が――ヴッ!


 がたがたがたん、がたがったん!

 テーブル、椅子(いす)、ホワイトボード。

 かちゃかちゃがしゃ、かちゃちゃん♪

 そして、お(ちゃ)用意(ようい)


「その(いた)きな(いた)は、なんですらぁん?」

 紙束(かみたば)や、女神謹製(めがみきんせい)黒板(タブレット)を取り出した王女(ラプトルひめ)が、問いかける。

「こちらのフェルトペン……(やわ)らかい筆記具(ひっきぐ)で、字が書けますわ()

 そう星の神(カヤノヒメ)が答えると、王女(おうじょ)茶の用意(ティーセット)以外(いがい)の全てを――ヴッ!

 格納した(しまった)


 キュキュキュキュキューッ♪

『子馬ちゃん』

 まずホワイトボードへ書かれたのは、そんな言葉(ことば)


 キュキュキュキュキューッ♪

『弾劾のゴーレム号』

 負けじと王女(おうじょ)のフェルトペンも、言葉(ことば)(つむ)ぐ。


『おすしちゃん』

『贖罪のレイジングバレット号』

『てんぷらちゃん』

『煉獄のイエロウグリイン号』

『かきあげちゃん』

『狂瀾の』

 交互(こうご)に書き出される――(なん)らかのせめぎ合い(・・・・・)


王女(おうじょ)さまは――どうしても修飾語(しゅうしょくご)を、付け足したい(・・・・・・)のですね()

 手を止める星の神(カヤノヒメ)


「そういうわけではないのですらん。ただちょっとこう、(おそ)ろしさのような(もの)名前(なまえ)にだけでも込めてあげたいのですらぁぁん!」

 (ゆず)れない(おも)いを打ち明ける、その眼差(まなざ)しは揺らがない。


「それはそれは、技師(ぎし)として立派(りっぱ)親心(おやごころ)です……か? くすくす()

 その目がかすかに、困惑(こんわく)にゆがんだ。

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