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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
3:ダンジョンクローラーになろう

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345/744

345:龍脈の回廊、子馬と低警戒度バリアント

「ポポポーン、ピピピピッププンッ――ギュギギィギギチッ♪」

 その場で、足踏(あしぶ)みをはじめた(うま)が――(いなな)いた。

 リビングの椅子(いす)やテーブルは、片付(かたづ)けられている。

 散乱(さんらん)していた部品(ぶひん)も、ひとつも(のこ)ってない。


(うご)いた? できたの!? やったぁっ♪」

 室内(しつない)で跳ねる子供(レイダ)

 目のまえには、黄緑色(きみどりいろ)子馬(こうま)

 しかし、その体高(たかさ)子供(こども)(のぼ)れないほど(たか)い。


「でもこれじゃぁ、ニゲルさまを〝捕縛(ほばく)する(おり)〟がありませんらぁん!」

 眼鏡(めがね)をはずし、地団駄(じたんだ)をふむ王女(おうじょ)


「お(なか)には、必要(ひつよう)部品(ぶひん)を――ぜぇーんぶ、押しこんじゃいました(・・・・・・・・・・)からね」

 改造作業(かいぞうさぎょう)熾烈(しれつ)さを(おも)わせる大量の、配線(はいせん)の切れ(はし)(あま)ったネジを――

 王家(おうけ)紋章入(もんしょうい)りの鉄箱(パーツボックス)へ、(ほう)り込んでいくメイド。


「けど、どうして……仕舞われた物を(・・・・・・・)一度出すと(・・・・・)――(もと)どおりに、(はい)らなくなっちゃうんだろうね?」

 (うで)を組み、(くび)(かたむ)ける子供(こども)


不思議(ふしぎ)ですよね?」

 (うで)を組み、(くび)(かたむ)けるメイド。


「らぁん?」

 (うで)を組み、(くび)(かたむ)ける王女(おうじょ)


「くすくす()

 (うで)を組み、(くび)(かたむ)ける幼女(ようじょ)

 その向きは、ひとりだけ反対方向(はんたいほうこう)だ。


「けど、これは快挙(かいきょ)ですよ♪」

 興奮(こうふん)のメイドが、黄緑色(きみどりいろ)子馬(こうま)を撫でた。


「そうだね、この子はゴーレムのくせに――よいしょっと!」

 ガタガタ、コトリ。

 (ちか)くへ置いた椅子(いす)(うえ)

 飛び乗った子供(レイダ)が――

「えへへっ――すっごくカワイイ♪」

 子馬(こうま)大きな腹(・・・・)に、抱きついた。


百歩譲(ひゃっぽゆず)って、カワイイのは容認(ようにん)しても――ニゲルさまを捕縛(ほばく)できないなら、(なん)意味(いみ)も無いですらぁん!」

 悄気(しょげ)王女殿下(おうじょでんか)(かた)に、(やさ)しく手を乗せるカヤノヒメ。


(よう)するに、ニゲルさんを一定時間(いっていじかん)、お(うま)さんの周囲(しゅうい)留めておく(・・・・・)ことが肝要(かんよう)なのですよね、くすくす()

 正確無比(せいかくむひ)滑舌(かつぜつ)(すず)の音の声色(こわいろ)

 だがその目は――


「「そうかな?」」

 (うで)を組み、(あご)(こぶし)を添えるタターと――

 その真似(まね)をするレイダ。


「いちおう、そうなるらぁん?」

 (なな)(うえ)天井(てんじょう)に埋め込まれた魔法具(あかりとり)を見つめる、ラプトル(ひめ)


「でしたら、妙案(みょうあん)御座(ござ)いますわ()

「「「みょうあん?」」」


「はい。ニゲルさんは二号店(にごうてん)備品(びひん)(えら)びの最中(さいちゅう)、かわいらしい(もの)度々(たびたび)(こころ)(うば)われておりましたわ()

 金糸(きんし)のような(かみ)をなびかせ、一回転(クルリ)

 ポムンと子馬(こうま)(あし)(たた)く。


「「「その(こころ)は?」――って言うんだよね、こういうとき?」らぁん?」

 一歩下(いっぽさ)がり、星の神(ようじょ)正対(せいたい)するメイド。

 子馬(こうま)に抱きついたまま、椅子(いす)(うえ)から幼女(カヤノヒメ)見下(みお)ろすレイダ。

 ひとり神妙(しんみょう)眼差(まなざ)しの王女(おうじょ)が、期待(きたい)不安(ふあん)の混じった視線(しせん)を――

 シガミー(てい)家主(・・)へ向けた。


「このかわいらしいお(うま)に、ニゲルさんを乗せて(・・・)しまいましょう()

 その目が(かす)かに、(ほそ)められた。


   §


低警戒度(ていけいかいど)のバリアントを検出(けんしゅつ)低警戒度(ていけいかいど)のバリアントを検出(けんしゅつ)。ただちに調査(ちょうさ)ならびに迎撃行動(げいげきこうどう)開始(かいし)してください!」

 それは、最上階(ペントハウス)(とどろ)大音量(だいおんりょう)


(なに)コレ、うるっさい!?()

「なんだいこれ!? 変異種(バリアント)が出たってのは、本当(ほんとう)かい!?」

 わめく御神体(メガミ)女将(おかみ)


「これは――すべての領主邸宅(りょうしゅていたく)設置(せっち)された、警報魔法具(けいほうまほうぐ)ですわ!」

 リカルルが(かべ)調度品(ちょうどひん)をガチリと、90度回転(どかいてん)させた。


 ガチガチガチガチガッチャリッ♪

 暖炉(だんろ)(うえ)細剣(ほそけん)が掛けられていた(かべ)が――ぱたんとひっくり(かえ)る。


 そこには、区域(くいき)地図(ちず)対応(たいおう)した伯爵領家名はくしゃくりょうかめいのリスト。

 そのなかの(ひと)つが、チカチカと(ひかり)(はな)っている。


女神像(めがみゾう)ネットワークへ照会(しょうかイ)詳細(しょウさい)出現地域(しゅつげんチいき)特定(とクてい)――表示中(ひょうジちゅう)地図(ちズ)(かさ)ねマ()


 ふぉふぉぉん♪

『凡』

 それは(おお)きな――


「これが変異種(バリアント)ぉ? 尻尾(しっぽ)がぁ付いたぁ、お化けみたいねぇん()

表示形状(ひょうじけイじょう)はサンプルでス。ソレよりモ出現範囲(しゅつげんハんい)中心地点(ちゅうシんちてん)確認(かくニん)してくだサ()


 『(バリアント)』は『(ニゲル)』に(かさ)なっている。

 全員(ぜんいん)の目が、見開(みひら)かれた!


「ああもう、レーニアがあんなこと(・・・・・)を言うからですわっ!」

「それをいうなら、お嬢さまが(さき)にニゲルの不幸を願うから(・・・・・・・)――」

 (かべ)のボタンを押し、警報音(サイレン)を止めるレーニア。


「はいはい、そこまでぇー。おにぎりにわぁ、いざってときのための蘇生薬(エリクサー)をたくさん持たせてあるからぁ――大丈夫(だいじょうぶ)よぉ()

 大丈夫(だいじょうぶ)とは言いつつも――足下(あしもと)がおぼつかない、全長(ぜんちょう)10(すう)センチ。


「イまココにシガミー……天狗(テング)が居てクれたらと、ツい(かンが)えてしまいまス()

 銀色(ぎんいろ)全長約(ぜんちょうやく)30センチが、ヴォォォォンと旋回(せんかい)する。


 以前(いぜん)、シガミー(ふん)する天狗(てんぐ)は、ガムラン(ちょう)壊滅(かいめつ)しかねなかった――

 巨大(きょだい)(つの)ウサギ変異種バリアントを、ほぼ単身(たんしん)撃破(げきは)した経緯(けいい)がある。


「そうわねぇ、けどぉ――いまここから飛び出しても、どっちにしろ間に合わないでしょぉー。ニゲルが居あわせてくれて、(たす)かった……あれ()

 美の女神(メガミ)が、かしげた(くび)(くび)さに耐えきれず――ごちり!


「どうしまシた、イオノファラー()

 (くろ)(ほそ)機械腕(きかいうで)を伸ばし、御神体(ごしんたい)(たす)け起こす――眷属(ジンライ)

 その細腕(ほそうで)の手のひらには、(あか)(ひか)光学(こうがく)レンズが埋め込まれている。


「うん、まさかコレさぁ――〝おにぎりが掘り当てた(・・・・・)〟――なんてことはないよねぇ()

 細腕(ほそうで)――機械腕(かいな)に持ち上げられた御神体(イオノファラー)が、問いかける。


「そりゃぁないだろう? 変異種(バリアント)地中から現れる(・・・・・・・)って聞いてるけど――(おお)きな地震(じしん)崖崩(かけくず)れが前触(まえぶ)れとして、(かなら)ずあるはずだろう?」

 (おお)きな木さじを、点検(チェック)する女将(おかみ)


「そうですね――まさか危険(きけん)変異種(バリアント)を好き(この)んで――」

 メイド・リオレイニアが、細身(ほそみ)聖剣(せいけん)(まがい(もの))を主人(しゅじん)手渡(てわた)す。


「――ほじくり(かえ)(ひと)も居ませんわ……よ?」

 ドレスの(うえ)から(かわ)ベルトを巻き、受け取った細剣(ほそけん)を差し込むご令嬢(リカルル)


「「「「あははっははっ()」」」」

 交錯(こうさく)する四人(よにん)視線(しせん)が――地図(テーブル)の上の『(バリアント)』に集中(しゅうちゅう)する。

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