表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
3:ダンジョンクローラーになろう

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

343/744

343:龍脈の回廊、続々・ゴーレム馬について

「ピンポロロン♪ ピンポロロン♪」

 玄関横(げんかんよこ)(しつら)えられた魔法具(まほうぐ)から、騒々(そうぞう)しくも落ちついた音色(ねいろ)(はっ)せられた。


「ぐぬぬぬぅ、ど、どなたかいらっしゃい――ましたよ?」

 (おお)きな曲がった(いた)(ちから)ずくで、さらに押し曲げていたタター(16)が玄関(げんかん)をみてから、テーブルに陣取(じんどる)二人(ふたり)をみた。

 どうやら手が(はな)せないらしい。


(だれ)だろう? イオノファラーさまやリオレイニアさんは、夜遅(よるおそ)くまで(いそが)しいって聞いてるし――はぁーい♪」

 (ところ)せましと置かれた、配線(はいせん)筐体(きょうたい)や、アーティファクトのような機械群(きかいぐん)

 それを(ざつ)蹴飛(けと)ばしつつ――玄関(げんかん)ドアへ駆けていくレイダ(12)。


「まさか、ニゲルさまらぁん♪」

 巨大(きょだい)なネジを(てつ)骨格(ほね)に取り付けながら――(ゆめ)みるラプトル王女殿下(おうじょでんか)(21)。


王女(おうじょ)さま、ニゲルさんの(ゆめ)は――うぬぬ――お(やす)みになってから、み、見てくださいぃ――ぐぎぎぎっ!」

 ひきつづき、(いた)を折り曲げるメイド。

 (ふく)れる(ほほ)、寄る目頭(めがしら)、おちょぼ(ぐち)

 彼女(かのじょ)誠心誠意(せいしんせいい)王女(おうじょ)のゴーレム改造(かいぞう)協力(きょうりょく)しているのだ。

 けっして面白(おもしろ)(かお)を、訪問者(ほうもんしゃ)に見せたいわけではない。


「はぁーい、いまあけまぁーす」

 (かべ)(さわ)ると、ひとりでに(ひら)引き戸(ドア)


「こんにちわ、(みな)さま♪ くすくす()

 ソコに立っていたのは、行儀(ぎょうぎ)の良い少女(しょうじょ)シガミー(10)。


カヤノヒメさま(・・・・・・・)、お(かえ)りなさい♪ きょうは(はや)かったんですね♪」

 いまシガミーの(からだ)(なか)には、この(まち)が有る(ほし)(つかさ)る――惑星(わくせい)ヒースの(かみ)存在(そんざい)している。


「はい、〝オルコトリアさん砲弾事件(ほうだんじけん)〟のあおりをうけて、今日明日(きょうあす)休業(きゅうぎょう)になりました()

 レイダが、お行儀良(ぎょうぎよ)いシガミーの手を取り――

 室内(なか)(まね)き入れようとして、その(あし)を止めた。


「あっ、ゴーレムの部品(ぶひん)だらけで、(あし)の踏み場もなかった!」

 (ところ)せましと置かれているのは、大小様々(だいしょうさまざま)魔法具(まほうぐ)(なぞ)部品(ぶひん)

 無骨(ぶこつ)鉄製(てっせい)骨格(こっかく)や、それらを(つな)配線(はいせん)

 アーティファクトのようにも見える、用途不明(ようとふめい)装置(そうち)


 その(なか)でも(おく)(かべ)に立てかけられた、黄緑色(きみどりいろ)――

 丸々(まるまる)(ふと)った、子馬(こうま)ぬいぐるみ(・・・・・)は――

 (とく)異彩(いさい)(はな)っている。


 それは王女(おうじょ)(ふく)に張りついていたものに、瓜二(うりふた)つだったが――

 その(おお)きさは、胴体部分(どうたいぶぶん)成人男性(せいじんだんせい)がスッポリと(おさ)まるほどもあった。


 中身(なかみ)はすべて、室内(しつない)にぶちまけられ――(なに)も取り付けられていない、空洞(からっぽ)

 それでも室内(しつない)散乱(さんらん)する機械群(きかいぐん)の、すべてを納めるには(・・・・・・・・・)――もう一匹(いっぴき)くらいは必要(ひつよう)そうだ。


 よく見れば、(くび)胴体(どうたい)手足(てあし)がバラバラにされ――

 黄緑色(きみどりいろ)毛皮(けがわ)でかろうじて筐体(がわ)(つな)がり、馬形(うまがた)(たも)っている。


 そして(うま)胴体(どうたい)には、『ピンク色の猫の魔物によるMOD試作機/エコノミーモードで起動せず』――などと書かれた(かみ)が、木製(もくせい)のクリップで留められていた。


「くすくすくす♪ おかまいなく――タターさんはいつも表情(ひょうじょう)面白(おもしろ)……(ゆた)かで、(こころ)がなごみますわ()


「んぎぎぎぎっ――えっ、いつも(・・・)!? いつもはしてないですよね? ねぇ?」

 ふぅふぅはぁはぁ――(いき)(とと)えるタター。

 図面(ずめん)(とお)りに、ちゃんと曲がったらしい(いた)を、テーブルに立てかけるメイド。


 ちなみに、図面端(ずめんはし)には『馬タイプゴーレム14式/ケットーシィガミー&ラプトル』などとサインが入れられている。

 どうやらこの図面(ずめん)は、行儀の悪い(・・・・・・)シガミーが(・・・・・)引いた物(・・・・)(もと)にしているらしい。


「こんにちわですらぁん、カヤノヒメさま……そろそろ、こんばんわかしら?」

 万能工具(まほうつえ)を置き(ひたい)(あせ)をぬぐう、王女(おうじょ)ラプトル。


「ラプトル(ひめ)さまも、ご機嫌(きげん)うるわしくぞんじますわ。うふふ()

 キョロキョロと自室(・・)をみわたす、星の神(カヤノヒメ)


「すみません、いますぐ片付(かたづけ)けますので――」

 メイドが、手近(てじか)なパーツを(ひろ)い上げる。


「それは……活力(マナ)変圧器(トランス)ですわね? こっちのは、二枚板(バイメタル)(しき)発動機(モーター)……いえ、人造筋肉(じんぞうきんにく)でしょうか()

 さっきメイドが面白(おもしろ)(かお)で、必死(ひっし)に曲げていた(いた)(ゆび)さす少女(しょうじょ)


「「「これが(なに)か、わかるの!?」」――のですらぁん!?」

 星の神(しょうじょ)言葉(ことば)に、唖然(あぜん)とする三人(さんにん)


「いちおう、神々の技術(イオノクラフト)……イオノファラーさまたちの持つ技術水準(ぎじゅつすいじゅん)は、履修済(りしゅうず)みですわ()

 くるんと一回(ひとまわ)り、くすくす?

 その態度(たいど)から、この年端(としは)も行かない自称星神(カヤノヒメ)には。

 このぬいぐるみの中身(なかみ)意味(いみ)が、理解(りかい)できてるようだ。


「ジンライさんが居ないと、構造(こうぞう)がわからない部品(ぶひん)(おお)くて(こま)っていたらぁん!」

 王女(おうじょ)が、星神(ほしがみ)に泣きつこうとして――

 足下(あしもと)部品(パーツ)を、蹴飛(けと)ばす!


「あぶないっ!」

 飛んできた鉄塊(てっかい)(しょう))を、靴裏(くつうら)でトラップするメイド。


「ふう、気をつけてください。怪我(けが)を……しても、この部屋(へや)常備(じょうび)してある回復薬(ポーション)(こと)なきを得られますが、(いた)いのは良くありませんよ」

 よいしょと、両手(りょうて)に乗る程度(ていど)鉄塊(パーツ)を持ち上げ――テーブルに置くメイド。


「ごめんなさいですらぁん! これを(こわ)したら(わたくし)ドルイド(・・・・)のスキルでは、(もと)どおりに出来(でき)ない(ところ)でしたらぁん!」

 鉄塊(てっかい)(ぬの)(みが)王女(おうじょ)


「ドルイドって……なんだっけ?」

 メイドに聞くレイダ。

「たしか、森林(しんりん)の持つ知識(ちしき)(ちから)召喚(しょうかんする)する……血筋(ちすじ)発現(はつげん)する職業(しょくぎょう)――〝自然使(しぜんつか)い〟のことだったと?」

 王女(おうじょ)を見つめる二人(ふたり)


「はい、そうですらん。ふぅ、よかった(こわ)れてはいないみたいですらん♪」

 鉄塊(てっかい)を見つめる王女(おうじょ)


「そちらは……(わたくし)にもわかりません、マナ伝導効率(でんどうこうりつ)(たか)いわけでもありませんし……くすく、す()

 散らばるパーツ(ぐん)を避け、テーブルに(ちか)づく星の神(カヤノヒメ)


伝導効率(でんどうこうりつ)……はい、アダマンタイトやオリハルコンなんて使(つか)ったら、その一体(いったい)だけでお小遣(こづか)い……製作費(せいさくひ)が尽きてしまいますから、当然(とうぜん)ですらん」

 央都(おうと)自治領(じちりょう)第一(だいいち)継承者(けいしょうしゃ)は、お小遣い制のようだ(・・・・・・・・・)


「すこし興味(きょうみ)が湧いてきましたわ、うふふくすくす()

 少女(しょうじょ)(かべ)に貼られた、(おお)きな図面(ずめん)をみた。

 それには、鋭角(えいかく)なフォルムの――馬のような物(・・・・・・)と。

 (まる)っこいフォルムの――ぬいぐるみ(・・・・・)(えが)かれていた。


 ふたつの物体(ぶったい)内部構造(ないぶこうぞう)を、(せん)(むす)ばれているが――

主要(しゅよう)部品位置(ぶひんいち)や、類推(るいすい)される機能(きのう)に――まるで相似(そうじ)がありませんねぇー()

 (せん)をちいさな指先(ゆびさき)でなぞる、少女(しょうじょ)カヤノヒメ。

 その(かお)は、とても真剣(しんけん)


「そうなんですらぁん! ケット……シガミーちゃんの(かんがえ)えはもう、ダンジョンに(かく)された(かく)通路(つうろ)のようで、さっぱりわからないのらぁん!」

 工具箱(こうぐばこ)から紙束(かみたば)をドサリと取り出す。


 紙束(かみたば)(うえ)から数枚(すうまい)、ぺらぺらとめくる少女(しょうじょ)

「なるほど、これはひょっとして……機能(きのう)犠牲(ぎせい)にしてでも、心理的(しんりてき)視覚効果(しかくこうか)重視(じゅうし)したのでは? それでしたら、おにぎりさんたちのような、完全空圧式(かんぜんくうあつしき)換装(かんそう)してはいかがですか()

 ツナギ姿(すがた)のラプトル王女(おうじょ)を見あげる(かお)は、やはりとても真剣(しんけん)


「だ、だめですらぁん! ケットーシィの〝ぽきゅぽきゅ(・・・・・・)〟は、(わたくし)には(あつか)えない埒外(らちがい)技術(ぎじゅつ)ですらん! (わたくし)のスキルで(うご)かせないのでは、採用(さいよう)することはできませんらぁらぁぁん!」

 白熱(はくねつ)する議論(ぎろん)


王女(おうじょ)さまにわからないことが、わたしたちにわかるわけがないよね?」

「はい、カヤノヒメさまも(たの)しそうですし、ここはお二人(ふたり)にお(まか)せしましょう」

 リビングを抜けだし、(おく)部屋(へや)避難(ひなん)するレイダとタター。

 そっと戸が閉じられ――


「――ドゥゥゥゥンッヴォィン♪」

「なぁに、この(おと)ぉ!?」

 ガラリ――引き戸が開けられる。

王女(おうじょさま)さま、(なに)かしましたかぁ!?」

 突然(とつぜん)(あや)しい(おと)に、(もど)ってくる子供(こども)とメイド。


女神像通信(めがみぞうつうしん)のようですわ。たぶんイオノファラーさまからのご連絡(れんらく)かと(おも)いますが――(わたくし)がお受けしても、よろしいでしょうか()

 小首(こくび)をかしげる、少女星神(カヤノヒメ)


「「「どうぞどうぞ――女神像(めがみぞう)の?」――受け(かた)なんて?」――わからないですらぁん?」

 突き出される手のひら×3。


 女神像(めがみぞう)が持つ(ちい)さな(はこ)に、手を当てる見た目はシガミー(カヤノヒメ)

女神像通信(めがみぞうつうしん)オン――もしもし、こちらシガミー(てい)の、カヤノヒメでございます()

 女神像(めがみぞう)が持つ(はこ)から、飛びだす(ひかり)(いた)


「――あ、いたいたぁ♪ カヤノヒメちゃぁーん。わたしわたし、イオノファラーだけどさぁー、アレどうなってんの? おにぎりの追跡(ついせき)ぃー()

 (ひかり)(いた)(えが)かれた(ちい)さな丸茸(アイコン)が、まくし立てる。


「イオノファラーさまの(こえ)だね」

「うるさ……よくとおる(こえ)ですね」

「らぁん」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ