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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
3:ダンジョンクローラーになろう

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342/744

342:龍脈の回廊、竪穴式おにぎりとニゲル隊員

「――がちゃ、ガサガサッ――もしもし、聞こえてますかっ!? 不肖(ふしょう)西計(にしかず)三十六(みとむ)! 全身全霊(ぜんしんぜんれい)をもって、拝命(はいめい)させて(いただ)きまぁーすっ!」


 寿司(すし)は〝箱詰(はこづ)めで唐揚(からあげ)げが添えられている(もの)〟と(かんが)える、新時代的(しんじだいてき)(かれ)にしては(ふる)めかしい宣誓(せんせい)

 ゲームか(なに)かの受け売りと(おも)われる。


 ドッガッぽっきゅドドドドッぽっきゅぽきゅッガ、ドッガぽきゅぽきゅドドドドンッ――――ぽぽむぅーん♪

 やがて耳障(みみざわ)りな騒音(そうおん)音量(おんりょう)を増し、コントゥル家邸宅(ペントハウス)木霊(こだま)した。


「うるっさぁぁいっ!? スゥマァホォー(こわ)れぇたぁあー()

 (みみ)をふさぐ御神体(メガミ)


「いいエ、WIFI(ワイファイ)出力安定(しゅツりょくあんてい)、バッテリー残量(ざンりょう)83(パーセント)通話(つウわ)異常(いじょウ)はありマせん。ニゲルが掘削現場(おにぎり)(ちか)づいたようで()

 ヴォォォヴォン♪


「――おぉーい、おにぎりー! その(した)にシガミーがいるんだろー?」

 やる気をみなぎらせた追跡隊員(ついせきたいいん)総員一名(そういんいちめい)が、追跡対象(おにぎり)肉迫(にくはく)しているようだ。


「――にゃみゃがにゃやーにゃ? みゃ、にゃがみゃご!」

 ギルド最上階(ペントハウス)に、猫族(ねこぞく)共用語(きょうようご)が((りゃく))。

「おにぎりの(こえ)? なんて言ったのかしら?」

 (みみ)を押さえた伯爵令嬢(リカルル)が問う。


「「このしたになにかいるような? そんなきがするもの!」と言っていマ()

 ヴォ・ォ・ゥ・ゥン♪

 まるで時計(とけい)(はり)のような、小刻(こきざ)みな(うご)き。


 ドッガッぽっきゅドドドドッぽっきゅぽきゅッガ、ドッガぽきゅぽきゅドドドドンッ――――ぽぽむぅーん♪

 耳障(みみざわ)りな騒音(そうおん)が((りゃく))。

 ドッガッぽっきゅドドドドッ((りゃく))――♪

 耳障(みみざわ)り((りゃく))――。

 掘削(くっさく)はいつまでも(つづ)く。


「ちょっと、(なに)も無いじゃありませんのっ!?」

 激高(げっこう)するお(じょう)さま。


「イオノファラーさま、向こうの様子(ようす)を見ることはできないのかい?」

 進言(しんげん)する女将(おかみ)


迅雷(ジンライ)衛星映像(えいせいがぞう)()せぇるぅー?」

 ヴォォォン♪

 クルクルと回転(かいてん)する、INT(インテリジェンス)タレット迅雷(ジンライ)

 ふぉふぉふぉふぉふぉおふぉぽこん♪


 地図(テーブル)(うえ)に、(うつ)し出された画面(がめん)


 それは青々(あおそ)(しげ)(ふか)山中(さんちゅう)

 真上(まうえ)から見た景色(けしき)拡大(かくだい)され――

 木々(きぎ)の切れ間を――とらえた。

 そこには、真っ(くろ)(あな)

 その(おく)(なに)かが――黄緑色(きみどりいろ)(うごめ)いている。


「ちょっと、ニゲル! サボってるんじゃ有りませんわよ?」

 (うつ)し出された平面(へいめん)(ゆび)を突きたてる、リカルル隊長(たいちょう)

 (あな)のかたわら、(こけ)むした倒木(とうぼく)にだらしなく(すわ)青年(せいねん)姿(すがた)を――

 高貴(こうき)(ゆび)が、突き抜けた。


「――えっ!? リカルルさま、いや……追跡隊(ついせきたい)隊長殿(たいちょうどの)! サボってはおりませんっ!」

 いつまでも止まらないおにぎりに、やる気もそがれ――

 脱力(だつりょく)しきっていた青年(せいねん)が、飛びおきたっ!


「ニゲルくぅーん、ウケケケッ♪ 上見(うえみ)て手を振ってみてぇー()

「――(うえ)ぇー?」

 (くろ)(ふく)を着た青年(せいねん)姿(すがた)が、さらに大映(おおうつ)しになる。

 青年(かれ)はいぶかしみながらも、ちいさく手を振ってみせた。


「ぷふふふっ、面白(おもしろ)いですわねコレっ! ニゲル、(うえ)を向いたまま(あな)のまわりを一周(いっしゅう)してみてっ♪」

「――リカル……隊長殿(たいちょうどの)、それは隊長命令(たいちょうめいれい)ですか?」

「はい、隊長命令(たいちょうめいれい)ですわ。(はや)く、お(まわ)りなさいなっ♪」


 ニゲル隊員(たいいん)(うえ)を向きながら、ゆっくりと(あな)周囲(しゅうい)一周(いっしゅう)――――グラッ!

「――うわぁぁぁぁぁぁぁぁあっ――――!?」

 (あな)(ふち)(くず)れ、あわれ隊員(ニゲル)転落(てんらく)

 おどろく(ひま)もなく、遠ざかる(・・・・)マヌケ(がお)


「あっはははっはっ――――なっ、なんですのあの(かお)っ――――あっはっはははははっ♪」

 ばしんばしん――テーブルを(たた)く、ご令嬢(れいじょう)

 メイド姿のリオレイニアは、かすかに肩をふるわせている。


(たの)しそうねぇん。まぁ、(した)にはおにぎりが居るぅしぃー、落ちてもぉ大丈夫(だいじょうぶ)でしょ♪」

 女神(メガミ)のお墨付(すみつ)きに、女将(おかみ)(かお)もほころぶ。


 ドッガッぽっきゅドドドドッぽっきゅぽきゅッガ、ドッガぽきゅぽきゅドドドドンッ――――ぽぽむぅーん♪

 ゼロ距離(きょり)からの耳障(みみざわ)りな大騒音(だいそうおん)が、コントゥル家邸宅(ペントハウス)木霊(こだま)する。


「(うるさいからぁ、おにぎりの掘る(おと)だけ消してねぇん♪)」

 回転(かいてん)する迅雷(ジンライ)

「――(もぅ、リカルルの)……隊長(たいちょう)のせいで、(ひど)い目にあったじゃないかぁ! うるさあぁぁいいぃぃぃい!」

 騒音(そうおん)は消え、青年(ニゲル)の泣き言が(ひび)(わた)る。


 おにぎりの背に立った(かれ)が、(みみ)をふさぎ(てん)(あお)いだ。

 (たか)らかに(わら)う、ご令嬢(リカルル)。つられてほころぶ女神(メガミ)女将(おかみ)

 メイド姿(リオレイニア)は、かすかに(かた)をふるわせている。


 ふぉふぉぉん♪

 直上(ちょくじょう)からの映像(えいぞう)が、(ふか)くなる縦穴(たてあな)(なか)を――小刻(こきざ)みにズームしていく。

 その都度(つど)青年(せいねん)(かお)横長(よこなが)縦長(たてなが)(おお)きくブレた(・・・)


 ご令嬢(れいじょう)高笑(たかわら)いは、いつまでも止まらない。

 いくら高性能(こうせいのう)超々(ちょうちょう)望遠(ぼうえん)カメラでも、静止軌道間(このきょり)被写体ぶれ(モーションブレー)では荷が(おも)い。

 (あな)(そこ)から(てん)をあおぐ(かお)が、面白く映ってしまう(・・・・・・・・・)のは――仕方(しかた)がないことだ。


「――おにぎりっ、うるさいよっ――――あっ、そーだ! シガミーからもらった耳栓(みみせん)っていうか、イヤホンがあったっけ!」

 被写体(ニゲル)は、ごそごそと(なに)かを取りだし、(みみ)に押しこんだ。

 一部始終(いちぶしじゅう)をみつめる、3(めい)とひと(はしら)と1眷属(けんぞく)


「――ふぅ、(しず)かになった♪」

 手にしたスマホで、ペアリング。


「――これで、みんなの(こえ)が聞こえれば――ねー、なんか(しゃべ)ってみてくれない?」

 直上(まうえ)を向いた青年(にげるの)のおもしろい(かお)――が直下(ちょっか)振動(しんどう)で、時計回(とけいまわ)りを(はじ)めた。


「あーははははっははははっ、なっつ、何ですのアレっ♪ とうとう、ま、(まわ)り出しましたわっ――――♪」

 ぱしぱしぱしん――テーブルを(たた)く、ご令嬢(れいじょう)


「――よし、(こえ)が聞こえる♪ けど……(まわ)り出すってなんだい、リカルル隊長(たいちょう)?」

 青年本人(せいねんほんにん)は、微速回転(びそくかいてん)していることに気づいていない


 回転(かいてん)残像(ざんぞう)をのこす知人(ちじん)(かお)が――かすかに(かたむ)く。

 それは、面白(おもしろ)くないわけがないようで。

 ドゴンッ――――じっと耐えていたメイドの(こし)が曲がり、テーブルに上半身(じょうはんしん)をうずくまらせた。


「ニゲル隊員(たいいん)。リカルル隊長(たいちょう)からぁ定期連絡(ていきれんらく)があるのでぇ、しっかりはたらくよぉーぅに。どこまで掘り(すす)むのかぁ、しっかりぃ見っ(とど)けてねぇーん()

(りょう)か――――ピプッ♪」

 切られるスマホ。


「そういやぁ、茅野姫(カヤノヒメ)ちゃんわぁ? おにぎりの位置(いち)特定(とくてい)する手はずだったんじゃ()

 (いま)さら気づく御神体(ごしんたい)女神(めがみ)といえど万能(ばんのう)ではないようだ。


「あら、カヤノヒメさまなら、さっき三階(さんがい)階段(かいだん)で見かけましたけれど?」

 (みだ)れた(かみ)を手ぐしでなおす、ご令嬢(れいじょう)

 メイドはテーブルに、這いつくばったままだ。


三階(さんがい)? じゃぁ、シガミー(てい)用事(ようじ)でもあるのかねぇー?」

 女将(おかみ)が「やれやれどっこいしょ」と、椅子(いす)腰掛(こしか)けた。


迅雷(ジンライ)女神像(めがみぞう)(つな)いでぇみてぇー()

了解(りょウかい)しまシ()

 ヴォヴォ・ヴォン♪

 銀色(ジンライ)先端(さき)が、階下(かいか)ある地点(・・・・)を指ししめした。


   §


「やっぱり、ただの行き止まりだ()――ニャァ?」

 ヒュンッ――ボッゴガァァン!

 おれは、岩壁(いわかべ)を輪っかの付いた(ぼう)で、力一杯突(ちからいっぱいつ)いてやった!

 爆発(ばくはつ)する(かべ)、舞い上がる土塊(つちくれ)


「ごっほごほ、けほけほ()――ミャ!」

 化け(ねこ)毛皮(けがわ)(とお)して、(つち)(いし)のにおいが(ただよ)う。

 毛皮(けがわ)(あな)()いてねぇのにな――さすがは化け(ねこ)か。

 おれが話すと(・・・)、化け(ねこ)鳴き声も聞こえて(・・・・・・・・)来るし。


「かてぇ(かべ)(おく)にありやがる。(あな)が空かねぇんじゃ、突き(やぶ)って(すす)むのは無理(むり)()――ニャァ?」

 パラパラリッ――きらり!


 なんかあったぞ!?

 がさごそ――散らばる土塊(つちくれ)

 それは(いた)っぺらみたいな、割れ(かた)をしてる。


 その裏側(うらがわ)は、朱墨(しゅずみ)をぬったように赤かった(・・・・)

「血!? じゃねぇな、こっちのは黄色(きいろ)いし、コッチのは(あお)みがかって()――ニャッ?」

 さっぱりわからん?

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