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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
1:輪廻転生、おいでませガムラン町

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34/744

34:大道芸人(幼女)、魔剣(居合抜き)を放つ

 剣術(けんじゅつ)多少(たしょう)心得(こころえ)があって、いくさ場に身をおいたならぁ――居合(いあい)のまねごとなら、できるようになる。

 できねえやつぁ、生きちゃいねえ。


 ましてやおれぁ、前世(ぜんせ)錫杖(しゃくじょう)仕込(しこ)んだ日本刀(カタナ)で、酒代(さかだい)をかせいでた。


「さぁて、おたちあい。とりだしましたる、この魔剣(まけん)。ひとたび抜きゃあ電光(でんこう)石火(せっか)一刀(いっとう)両断(りょうだん)――――」

 街道(かいどう)にある茶店(ちゃや)や、めし(どころ)(きゃく)あいてに披露(ひろう)してきたのは、つまるところ大道芸(だいどうげい)だ。


「――――カカンッ!」

 拍子木(ひょうしぎ)はおれの合図(あいず)迅雷(ジンライ)に打たせる。

 そら飛ぶ(たく)のほうが珍しそうなもんだが、〝宛鋳符悪党(アーティファクト)〟をおもしろがるやつぁ――――ひとりしか(・・・・・)居ねえ。


 (よこ)にわたした角材(かくざい)に、ならべられたのは鋳鍋(いなべ)酒瓶(さかびん)


 鋳物(いもの)は切れるやつと切れねえやつがあるが、この(なべ)は切れるやつだ。念入(ねんい)りにたしかめた。

 (びん)()れづれぇのを迅雷(ジンライ)にえらばせた。

 ()れやすいやつだと、かたちが(のこ)らなくて、(げい)にならねえからな。


 ――――がやがやがやがや。

「(満員御礼(まんいんおんれい)ですね、シガミー)」

 (よこ)一文字(いちもんじ)にするだけなら、ガキのおれにでもできらぁな――できねえと、こまる。



 ふぅーーーーっ、息をととのえる。

 (かた)にはまらねえ、もとは手習(てなら)いの居合(いあい)

 つまり(ぜろ)太刀(たち)だ。


七天(しちてん)抜刀(ばっとう)根術(こんじゅつ)(ぜろ)太刀(たち)。」


 しずかに吸気(すう)

 酒瓶(さかびん)のひとつに、ちかよる。


 ――くすくすくす。

 (こし)をおとした(あし)さばきが面白(おもしろ)かったのか、小さなわらいがおこった。

 しかたねえだろ、(くつ)ってのは(じめん)をつかむのに向いてねえんだよ。


 排気(はく)

 みる。目標(もくひょう)までの距離(きょり)と、カタナの長さ(まあい)確認(はかる)

 吸気(すう)

 もういちどみる。目標(もくひょう)までの距離(きょり)と、カタナの長さ(まあい)(ふたたび)確認(はかる)

 ――くすくすくす。


「チィェェェェ――――」

 まあたらしい(さや)のなかを、刃先(きっさき)がすべる。

 こつりとつたわる、はじめての感触(かんしょく)

 前世(ぜんせ)じゃ、刃先(きっさき)(さや)にあたる事はねぇ。

 だがここは来世(らいせ)だ。しかたがねえ。

 いきなり曲がった(けん)を作らせて、それを収められる(さや)まで用意(ようい)してくれたんだ。

 こりゃ、むしろ上等(じょうとう)部類(ぶるい)だ。

 薬指(くすりゆび)にちからを()め、

 刃先(きっさき)をうかす。


「――――ェェェェイ!。」

 からだごとぶつかるように、切先(きっさき)をふりぬいた!

 ――;――――ザッギィィィィィッン!

 切先(きっさき)がいつまでも鳴っている。

 まっぷたつにした酒瓶(さかびん)(ちゅう)に浮いている。

 迅雷(ジンライ)内緒話(ないしょばなし)をしてるわけじゃねえ。

 これは、仏門(ぶつもん)に入るまえにならった、剣術(けんじゅつ)修行(しゅぎょう)成果(せいか)だ。


「っぷぅーー!」

 息をととのえる。切れた酒瓶(さかびん)が――地に落ちた(がっしゃん)

 ヒュヒュッ――振り抜いた(かあたな)の向きをもとにもどす。


 鞘口(さやぐち)にあてた(やいば)はうごかさず、(さや)をもちあげ(おさ)めていく。

 スゥゥゥゥゥゥゥ――チャキ!

 (おさ)めたカタナを(こし)革紐(かわひも)におしこむ。


 ちょっと長めでも、せいぜい一呼吸(ひとこきゅう)だ。

 見せもんとしちゃ、ちと(おもむき)がねえ。


「(おい、やっぱり地味(じみ)だったか?)」

「(はい、元和(げんな)元年(がんねん)()(もと)(くに)より、この世界(せかい)剣術(けんじゅつ)のほうが身近(みぢか)なようですので――)」


 ならいっきにやって、(けむ)にまくとするかぁ。

 (こし)をおとしたまま、つぎの標的(ひょうてき)正対(せいたい)する。


「チィェェェェェェェェイ!。」

 小さめの(つぼ)。ガキュ!

「チィェェェェェェェェイ!。」

 大きめの(つぼ)。ザッシュ!

 足さばきで、笑うヤツが居なくなった。


「チィェェェェェェェェイ!。」

 鋳物(いもの)(なべ)。ザギィィィン!

 よし、ちゃんと切れた!

「チィェェェェェェェェイ!。」

 さいごはまた酒瓶(さかびん)。シュギィン!


 かららん、がちゃがちゃん!

 切ったモンの上半分(うえはんぶん)だけが、地面(じめん)におちる。

 よーし。もんだいねえ、切れた切れた。


「(お見事(みごと)です、シガミー)」

 おう、(カタナ)仕上(しあ)がりは上々(じょうじょう)だぜ。


 そして、やっぱりこの体の切れはすげえな。

 体力(たいりょく)がねえからなにやってもすぐ(つか)れちまうけど、こと〝体現(たいげん)〟することにかんしちゃ前世(まえ)のおれよか――――なんでもできる(・・・・・・・)


 チャキ!

 (カタナ)完全(かんぜん)(さや)におさめた。

 割れたやつが散乱(さんらん)し、角材(かくざい)の上には、その半分(はんぶん)がきれいな切り口のまま並んでる。


「な、なにがおきたのだ?」

「まほう? 風のまほうなの?」

「シガミー、また驚かせてくれたな」


 お? ちいとはうけたか?

 おれはレイダをみた。

 さっきのおれのしゃらあしゃらした仕草(しぐさ)を見たときと、おんなじ顔をしてやがる。


「(おい、どう思う? あのジットリ(・・・・)した目は、どういう意味(いみ)だ?)」

「(判断材料(はんだんざいりょう)不足(ふそく)しています。それでも見世物(みせもの)として、(はな)がたりてないと推測(すいそく)できます)」

 おなじ武器(ぶき)なら、大筒(おおづつ)とかのが見栄(みば)えがすっからなあ。


「いょおぉーし! じゃあ、さいごの大一番(おおいちばん)は、派手(はで)にやるかぁ!」

 どかっ――――ぐわらららっ、がっしゃ、ごしゃぱりぱりぃーん!


 自慢(じまん)げにならぶ両断(りょうだん)された鋳物(いもの)(びん)を、角材(かくざい)ごと()りとばした!


 最後(さいご)にのこったのは一番(かてえ)かてえらしい、(たて)だ。

 ふつうに切っても、切れねえかもしれねえ。


 おれは、とおまから(・・・・・)かまえる――――カッカッカッカッ、カカカカカカカカッ、カカンッ!


「いくぞおらぁ、七天(しちてん)抜刀(ばっとう)根術(こんじゅつ)(ぜろ)(かた)。」

 〝全部(ぜんぶ)()り〟で、たたっ切ってやる!


 とおくでレイダが、なんか言ってたらしいんだが、集中(しゅうちゅう)してたおれにゃぁ、聞こえなかった。

電光石火/ごく短時間。動作が素早いこと。

一刀両断/一太刀で二つに切ること。

拍子木/うちあわせて鳴らす二本の柱木のこと。柝(たく)。

鋳物/溶かした金属を型に流し込んで作ったもの。

仏門/仏の説く道。出家。

鞘口/刀の鞘のつばが付いてるところ。

大筒/戦国時代の大砲。または、竹で出来た大きな酒筒。

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