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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
3:ダンジョンクローラーになろう

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333/744

333:龍脈の回廊、王女と婚約の儀

「まず、くわしいお(はなし)を聞かなければ、なりませんわね。いま、人払(ひとばら)いを――レー……リオレイニア」

 令嬢(れいじょう)リカルルの号令(ごうれい)


「はい、お(じょう)さま」

 スッとそばに(ひか)える、侍女(じじょ)リオレイニア。


 白鳥(はくちょう)(おも)わせる仮面(かめん)に、クチバシは無く。

 磁器(じき)(つや)やかさと、(ふち)に入ったツル(くさ)意匠(いしょう)

 彼女(かのじょ)上品(じょうひん)なたたずまいに、かすかなアクセントを添えているが――


 ギロリッ――――!

 その仮面(かお)に見つめられた、(なが)テーブルに(すわ)面々(めんめん)が――

「「「んぐぅ、んぎぎ」」」

 苦渋(くじゅう)表情(ひょうじょう)をうかべ、椅子(いす)やテーブルにしがみ付いた。


「アナタたちときたらもう……ソコまで興味(きょうみ)がおありですの?」

 あきれ(がお)の、名物(リカルル)(・リ・)付令嬢(コントゥル)


「あるよっ! ニゲルさんはシガミーの友達(ともだち)だし、狩りの師匠(ししょう)だし、王女(おうじょ)さまもかわいそうだしっ!」

 テーブルにしがみ付いたまま、(かお)を上げる子供(こども)レイダ。

「あたくしさまもぉー、ニゲルの(こい)行方(ゆくえ)にわぁー、一家言有(いっかごんあ)りますのでぇ(・・)

 紅茶(こうちゃ)のカップにしがみ付く、根菜(こんさい)丸茸(まるきのこ)のような。


「ニゲルの故意(・・)? そういえば、どういうつもりか知りませんけれど……、この指輪(ゆびわ)を付けてくれたとき、ギュッと手をいつまでも(にぎ)られましたわね?」

 心底(しんそこ)不思議(ふしぎ)そうに右手(みぎて)薬指(くすりゆび)を見つめる、伯爵令嬢(はくしゃくれいじょう)リカルル。

 金色(きんいろ)(かがやく)指輪(ゆびわ)には――

 朱色(しゅいろ)のラインや文様(もんよう)が彫られていて、キズひとつ無い(・・・・・・・)


「ぴゃらっ――ニゲルさまから(いただ)いたぁ、指輪(ゆびわ)ぁららぁん!?」

 白目(しろめ)をむいて(たお)れる、ラプトル王女殿下(おうじょでんか)

 カチャカチャガシャラララッ――――ふわさ。

 その(からだ)を、(ちか)くに浮かんでいた女神(めがみ)眷属(けんぞく)迅雷(ジンライ)が、そっと受け止めた。

 王女(おうじょ)(かか)えた(とり)(あし)のような(くろ)細腕(ほそうで)が、もう一本(いっぽん)(ジンライ)から生え――

 ヴッ――ゴドン!

 フカフカのソファーを置き、その(うえ)王女(かのじょ)(よこ)たえた。


「クツクツクツクツクツッ、フェスタも終わっちゃったしさぁ、こぉーんなぁ面白(おもしろ)そぉーなぁイベントおぉー見逃(みのが)す手わぁぁ、無いじゃありませんのぉ――コッコォォォォン♪♪」

 テーブル(せき)陣取(じんど)必死(ひっし)にしがみ付く、コントゥル家名代(けみょうだい)伯爵夫人(はくしゃくふじん)ルリーロ。


「あぁーもぉー、名代(みょうだい)まで――はしたないですわよ」

 (ひたい)に手を当てる、伯爵令嬢(ごれいじょう)


「ひょっとして迅雷(ジンライ)も、この(けん)興味(きょうみ)がおありですか?」

 (とり)仮面(かめん)のメイドが、浮かぶ(ぼう)(たず)ねた。


「ニルゲ互助会(ごじょかい)会員(かいいん)とシては――ヴヴヴヴヴヴッルルッ――、無視(むシ)できナい案件(あんケん)ではありマ()

 浮かぶ棒(ジンライ)が、まるで(はち)のような(うご)きで、高揚(こうよう)した内面(ないめん)表現(ひょうげん)した。


   §


「ニゲルを四六時中(しろくじちゅう)、ゴーレムでぇ追いかけ(まわ)したぁ!?」

 あきれ(がお)の、リカルル(ひめ)


「だ、だってらん! ニゲルさまとの婚約を認めさせるには(・・・・・・・・・・)らん、必要(ひつよう)儀式(ぎしき)だったんですらぁぁぁぁんっ!」

 (いき)を吹き(かえ)すなり釈明(しゃくめい)する、ラプトル(ひめ)


面白(おもしろ)いね、リオレイニアさん♪」

 ふさぎ込みがちだった子供(こども)に、笑顔(えがお)がもどる。

「コラ、レイダ。(ひと)恋路(こいじ)(わら)ってはいけません――ぷふっ!!!」

 彼女(かのじょ)(よこ)を向き、(なに)かに耐えている。


「けどおかしくなぁい? ニゲルの(けん)(うで)わさぁ、見た目に(はん)して結構(けっこう)なものだったんでしょお? ならゴーレムなんて、イチコロじゃぁ無いのぉ(・・)

 丸茸(まるきのこ)のようなフォルムが、テーブルに鎮座(ちんざ)……寝そべ……(ころ)がっている。


「そうでスね。シガミーでサえ太刀打(たチう)ちできナい、ニゲルノ実力(じツりょく)。ソレを(モっ)てしテも達成(たっせイ)できナい儀式(・・)とイうのは、不自然(ふしゼん)()――コトン」

 浮かぶのにも飽きたのか――(ぼう)がテーブルに(あし)(?)をついた。


国益(こくえき)だけでなく国家存亡(こっかそんぼう)(かか)わることですのでー、くわしいことは言えないのですけれどらぁん――――つ、(つよ)すぎるので昼夜(ちゅうや)を問わず、この子で(・・・・)追いかけるしかなかったのですらぁん!」

 ブチリと(こし)から馬の人形(ぬいぐるみ)をちぎり取る、ラプトル王女殿下(おうじょでんか)


 (なが)いテーブルの、使(つか)われていない(ほう)へ向かって――――ポイッス♪

 投げられた人形(うま)姿(すがた)が――異形(いぎょう)に変わる。


 目を形作(かたちづ)る、鋭利(えいり)宝石(ひとみ)

 (くち)からは、銃口(あな)の空いた黒金(くろがね)銃身(じゅうしん)

 四つ(あし)(ふと)不格好(ぶかっこう)で、(うま)らしくはなかったが。

 (なが)(かお)(くび)(どう)を見るかぎり、やっぱり(うま)つもり(・・・)らしい。


 ガシャッ――ピピププゥーン♪

 (とり)(さえず)りのような、電子音(パイロット・ビープ)


「「きゃぁぁ――――ゴ、ゴーレム!?」」

 椅子(いす)(たい)し飛び退()く――伯爵令嬢(リカルル)元侍女長(リオレイニア)


「レーニア!」

 カップや丸茸(まるきのこ)蹴散(けち)らしテーブルに上がる、ガムラン最凶(さいきょう)受付令嬢(うけつけれいじょう)

 その高貴(こうき)(かかと)が――ガッ、コワァーン♪

 お盆(トレー)(ふち)を踏みつけた。



「はい、お(じょう)さま――!」

 椅子(いす)蹴上(けあ)がり、くるくると舞うお盆(トレー)をつかむ給仕服姿(メイド)


「――ひかりのたてよ!」

 盾のように(・・・・・)構えられた(・・・・・)、その表面(ひょうめん)に――

 光の文様(マジック・シールド)が浮かび上がった。


「すぅぅぅっ――♪」

 (おお)きく(いき)を吸い、やや中腰(ちゅうごし)

 高貴(こうき)指先(ゆびさき)がテーブルに付く。


「――コォン、コォン、コォン、コォン!」

 ややツリ目の受付嬢(うけつけじょう)

 その(するど)視線(しせん)から(つら)なるのは――

 ――連続(れんぞく)狐火(きつねび)


「ギュギギッチ――――?」

 (てん)を突くような尖った目鼻口(・・・・・・)

 ゴーレムの(かお)が、(きつね)(みみ)正対(せいたい)する。


 (ちい)さな尻尾(しっぽ)ごと振られるドレス――

 ぼぼっヴヴォ――――チチュィィィン!

 青白(あおじろ)(ほのお)が、重なっていく(・・・・・・)


 ヴォォン――――――――!!!

 ゴーレムの(とが)った(かお)(はし)る、灼熱(しゃくねつ)閃光(せんこう)


 (こし)(けん)は抜かれていないが、神速の剣(ひかりのつるぎ)がゴーレムに到達(とうたつ)する!

 ――――――――ぼごぉんっ!


「ピュプピュゥゥン!?」

 ドシャッリ!

 テーブルに沈む、厳つい顔(ゴーレム)


「ふぅ、まったく(なに)(かんが)えていますのっ! こんな(ところ)でゴーレムを出すなんて!」

「そうですね、子供(こども)が見たら卒倒します(・・・・・)!」

「だ、大丈夫(だいじょうぶ)だったよ……(かお)(すご)かったけど」

 大丈夫(だいじょうぶ)だった子供(こども)の、(くち)(はし)が引きつる。


「けど納得(なっとく)ですわ。いきさつはどうあれ、アレ(・・)に追いかけ(まわ)され(つづ)けたら――」

 うなだれ、(ひたい)に手を当てる、ご令嬢(れいじょう)

「――毎度(まいど)脱兎の如く(・・・・・)逃げ出すのも……(うなず)けますね」

 (おな)じくうなだれ、(ほほ)に手を当てる、メイド。


理解(りかイ)しマした。(よウ)すルに〝婚約(こんヤく)の儀〟というのは――ニゲル青年(せいネん)討伐(とうバつ)もしくは鹵獲(ろかく)スる、必要(ひつヨう)があるのでスね?」

 ヴォヴォォン♪


「えーっ、そうわのーっ? (ぜん)(ぜん)っ、わからなかったわー、ソコまで興味(きょうミ)も無いけどさー(・・)

 イオノファラーの興味は(・・・)――(はこ)ばれてきた料理(りょうり)に、すべて注がれていた。

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