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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
3:ダンジョンクローラーになろう

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332/744

332:龍脈の回廊、シガミー探索四日目

「それで、シガミー(さが)しは、どーなってんだ?」

「まだ、音沙汰無(おとさたな)しなのですわよね? さっき見てきたら、(おど)(つづ)けていましたわ」

「はい、おにぎりが捜索(たんさく)(はじ)めてからは、シガミーと会話(かいわ)出来(でき)なくなってしまいましたし」

「まさか、このまま(かえ)ってこないなんてことは……うぅ、ぐすん」

「「あー、泣かない泣かなぁい。大丈夫(だいじょうぶ)大丈夫(だいじょうぶ)ぅ、なんせ美の女神(イオノファラーズ)であるあたくしさまたち(・・)がぁ付いているのですから()――なんとぉ二匹(にひき)もぉ()」」

「イオノファラー、せメて二体(にタい)、もシくは二柱(ふたはシら)(かゾ)えてクださい。そレと、同期(パケット)ロスが発生(はっセい)していマ()


「あら、みなさま。どうなさったのですか、こんな(ところ)でニャン()

 二重(にじゅう)に立てた衝立(ついたて)の、上から(のぞ)く――(ねこ)(みみ)


「「ぎゃ()、見つかった()」」

 おどろき飛び跳ね、尻餅(しりもち)をつく御神体(イオノファラー)


 金糸(きんし)(かみ)をなびかせ(あらわ)れたのは、給仕服(きゅうじふく)姿(すがた)の――

 カヤノヒメニャン。


 (つの)のように生えてきていた木の(えだ)は――

 (あたま)に乗せた猫耳(ねこみみ)を避けるように、うしろへ折れ曲がっている。

 ぎっちりと編み込まれた見た目は、樹皮(じゅひ)(しろ)いのもあってまるで――


「お出かけするときの、リカルルさまみたい♪ カワイイっ!!」

 はしゃぐ子供(こども)

「そうですわね、木の(みき)というか(つの)というか、上手(じょうず)(かく)せていますわね♪」


「うふふ、くすくす、ありがとうございますニャン()

 研修中(けんしゅうちゅう)丸札(まるふだ)も取れ、猪蟹屋(ししがにや)二号店(にごうてん)店長以上に(・・・・・)切り盛りする――やり手美少女(てびしょうじょ)である。

 ここは猪蟹屋(ししがにや)二号店店内(にごうてんてんない)に、(しつら)えられた区画(くかく)

 まるで貴族(きぞく)のダイニングか、高層階(こうかいそう)にあるクェーサー家作(けつくり)りつけのテーブルのような。

 やたらと(なが)いテーブルが、二脚並(にきゃくなら)べられている。


「イオノファラーさま(がた)同期(どうき)遅延(ちえん)(しょう)じていますわ。(ねん)のためクイックセーブ(・・・・・・・)して、同期(どうき)(なお)すニャン()

 「「あー、クイックセーブねぇー、あれさぁーなぁーんかさぁー、キュピキュピって変な感じ(・・・・)するからさぁー、また今度(こんど)で――」」

 テーブルから飛びおりる御神体(ごしんたい)

 その(かげ)に、もう一匹(いっぴき)……いやもう一柱(ひとはしら)姿(すがた)が、見え(かく)れしている。


 コン、コトン♪

 お盆(トレー)で受け止められる、御神体(イオノファラー)

 その(おと)は、二つ重(・・・)なっていた(・・・・・)


「「くそう、さすがはシガミーの(からだ)にぃ、星神(ほしがみ)のぉ中身(なかみ)ねぇ()……に、にげられなぁい()」」

 スッと持ちあげられた、お盆(トレー)(うえ)

 ポコポコンと座りこむ、御神体(イオノファラー)ズ。


我慢(がマん)しテください、イオノファラー。シガミー探索(たんサく)のタめの仮想環境(かそうかんキょう)維持(いジ)しなければなりマせ()

 ヴォォォン♪

 獲物(えもの)を逃がすまいとするかのような、飛ぶ棒(ジンライ)機動(マニューバ)


「カヤノヒメ名義(ログイン)でイオノファラーさま(がた)CTRL+S(クイックセーブ)ニャン()

 美少女(びしょうじょ)カヤノヒメが――ぱちんっ♪

 (ゆび)を鳴らすと――


「キュピピピッ――!?()

「キュピピピッ――!?()

 双子(ふたご)生きた(・・・)丸茸(まるきのこ)がパタリと(たお)れ――そのうちの一匹(いっぴき)が、(ひか)(きり)(つつ)まれて消えた。


 カララララァン――♪

 ご来店(きたく)を知らせる、鈴の音(ベル)


 くるくるん♪

 テーブルの(うえ)(かる)(まわ)されるお盆(トレー)――コト、コトリ。

 そっと置かれる女神御神体(イオノファラー)視認可(ビジブル))と、仮想化(バーチャル)女神御神体(イオノファラー)視認不可(インビジブル))。


「おかえりなさいませニャ――ン()

 ご帰宅(らいてん)したお主人(きゃくさま)出迎(でむか)えるため、すべるように姿(すがた)を消す、超絶(ちょうぜつ)美少女(びしょうじょ)カヤノヒメニャン。


「おい、ありゃぁ――リオレイニアよか、(いた)に付いてるんじゃぁねぇのか?」

 本日(ほんじつ)金槌(かなづち)なしの工房長(ノヴァド)

 作業着(さぎょうぎ)でもなく普通(ふつう)のさっぱりとした服装(ふくそう)


「ふふん♪ まだまだですわよ。本気(ほんき)を出したレーニアニャンの可憐(かれん)なことときたらもう♪」

 血色(けっしょく)ばみ、興奮(こうふん)するご令嬢(れいじょう)


「そうだね! ポイントカードが溜まると描いてもらえる、あの小さい絵(・・・・)は、リオレイニアさんと一緒(いっしょ)のが一番(いちばん)(おお)いもんねっ♪」

「もう、やめてください、リカルルさまも、レイダもっ!」

 ヒラヒラと舞う子供(レイダ)の手を、ギュッと押さえるメイドさん(元侍女長(もとじじょちょう))。


「ガハハハ、〝魔神(まじん)〟も(かた)なしだぜ、こりゃ――――♪」

「ノヴァド工房長(こうぼうちょう)? いつまでもこんな(ところ)(あぶら)を売っていて、平気(へいき)なのですか?」

 ヒュォォォォ――――!

 冷気(れいき)を受けたレイダが、身を(ふる)わせる。


「おっと、いけねぇ。じゃ、じゃぁ、シガミーのことぁ(たの)んだぜ!」

 ピューっと(みせ)通用口(うらぐち)から、(はし)り去ってしまう工房長(こうぼうちょう)


 店員用(てんいんよう)通用口(つうようぐち)から「ノヴァドはどうしたんだい? あわててたけど……」

 と入れちがいに、出てきたのは――


「あら、ニゲル。ちょっとコッチにいらっしゃいな♪」

 お(じょう)さまが、たまたま(とお)りがかったらしい(くろ)服装(ふくそう)

 二号店(にごうてん)店長(てんちょう)青年(せいねん)を、気安(きやす)く呼びつけた。


「り、リカルルさまに、みんなも来てたの?」

 うしろ(あたま)をかきながら、やってくるのは――

 (あたま)(ねこ)(みみ)を乗せた、(たよ)りがいのなさそうな。

 (こし)には(やす)そうな(けん)が、(たずさ)えられている。


「ええ、シガミー探索(たんさく)経過報告(けいかほうこく)をしていましたのよ。良ければアナタも参加(さんか)なさいな」

 命令(めいれい)する伯爵令嬢(リカルル)

 やや派手(はで)な、裾長(すそなが)大人(おとな)じみたドレス。


「はい、(おお)せのままに」

 うやうやしく(こうべ)を垂れる青年(せいねん)

 自分(じぶんの)(ぶん)のカップを持ち、着席(ちゃくせき)しようと――


「あら、これはこれは、ルリーロお(じょう)さま♪ 本日(ほんじつ)はポグバードとムシュル(がい)が手に入りましたので、ダイニングへご案内(あんない)いたしますかニャン()

 カヤノヒメの鈴の音(こえ)が、店内(てんない)(ひび)(わた)る。


「えぇー、そぉうなぁのぉー? じゃあシェフのお(かせ)せコースでぇー、二名様(・・・)ぁご案内(あんなぁい)ーっ♪」

 そんな(した)っ足らずな(こえ)に、(かお)をしかめるご令嬢(リカルル)

 長テーブル(バンケットテーブル)のある一画(いっかく)まで、その(こえ)(とど)いたようだ。


 衝立(パーテーション)の向こうから、姿(すがた)(あらわ)したのは――

「あらぁ、みなさまもぉー、来ていらしたのぉねぇぇー♡」

 質素(しっそ)なドレスに、魔法(まほう)(つえ)

 ただし、山菜(さんさい)のような(かたち)(たば)になっておらず一本きり(・・・・)

 本日(ほんじつ)(つえ)質素(しっそ)なようだ。


「みなさま、ごきげんようらぁん♪」

 おなじく質素(しっそ)なドレスに身を(つつ)んだ、連れの女性(じょせい)(あらわ)れた。

 (うま)人形(にんぎょう)のようなものを、沢山(たくさん)くっつけたb彼女かのじょをみるなり――


「――――っ!?」

 がたん――――カチャリ。

 鳴るカップ、姿(すがた)を消すニゲル店長(てんちょう)


「あら、ラプトル(ひめ)さま、ごきげんよう♪ ニゲル、ちょうど良いですわ、アナタにお(はなし)が――――あら?」

 キョロキョロと、あたりを見わたすご令嬢(リカルル)


 不意(ふい)伯爵夫人(ルリーロ)(かお)が、天井(てんじょう)を向く。

 一斉(いっせい)(うえ)を向くと――天井(てんじょう)張りついていた(・・・・・・・)のは、(くろ)制服(せいふく)


「ちっ――さすがは奥方(おくがた)さまだっ、逃げられない!」

 ッチェェェェェィィィィ――――――――ばたん!

 天井(てんじょう)(さか)さまになって駆けぬけ、換気(かんき)ダクトへ飛びこんでしまう店長(てんちょう)


「ぴゃ、ぴひゃらぁぁぁっ――――ららぁぁん!」

 その場に(くず)れ落ちる、央都(おうと)自治領(じちりょう)第一王女(だいいちおうじょ)


「あー、泣いちゃった。王女(おうじょ)さま――」

 たたたたと、駆けていくレイダ。

「お待ちなさい、ソレは布巾(ふきん)ですよ!」

 子供(レイダ)を追いかける給仕服姿(リオレイニア)


「まったくもう、ニゲルってば。お二人(ふたり)には一度(いちど)、きちんと(はな)し合って(いただ)かなければいけませんわねぇー」

 お(じょう)さまが(おと)もなく、紅茶(こうちゃ)をすすった。

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