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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
3:ダンジョンクローラーになろう

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320/744

320:惑星ヒース神(シガミー)、虚空をさまよう

 ぽっきゅぽっきゅ――ぽきゅむ♪


 (やぶ)けた(うで)をどうにかこうにか、(しば)りつける。

 これで、おれの中身(・・)が出て行っちまうことは、なくなった。


「ふぅ、ひと安心(あんしん)だなぁ」

 あたりを見わたすも、(なに)も無い。

 ただ、地面(じめん)何度(なんど)か踏みしめると――

 踏んだ(ところ)(しろ)く、まるで(こおり)か張ったみたいに(いろ)が付くようになった。

 ピキパキと割れそうな(おと)もするから、あまり(つよ)くは踏めないけど。


 ぽきゅぽきゅぽきゅきゅむ♪

 この足音(あしおと)がなんだかはわからないけど、(なに)もない(きり)(なか)(おと)がするのは(たの)もしく(おも)えた。


「この化け(ねこ)なんだとしても(・・・・・・・)、おれを(すく)ってくれたことにかわりはねぇ」

 大事(だいじ)着てやる(・・・・)ことにする。


「さぁ、ここはどこだ?」

 わからねぇやぁ。


「じゃあ、おれはだれだ?」

 わからねぇやぁ。


「じゃあ、どこへ行けば良い?」

 わからねぇやぁ。

 なんせ、この(きり)(なか)で見つけたのは――

 この化け猫一匹(ねこいっぴき)だけだからなぁ。


「なにもわからんなぁ」

 それでも(つよ)(ひかり)が、どっかに行ってくれたのは(たす)かった。


   §


「ねぇ――ルリーロちゃん……もぎゅもぎゅ()

「もぎゅもぎゅもぎゅ……なぁんでぇすぅかぁー?」

 猪蟹屋(ししがにや)一号本店(いちごうほんてん)、フロアを一望(いちぼう)できる奥座敷(おくざしき)


 (ひく)(ひら)テーブルの(うえ)に、山盛(やまも)りの冷えた揚げ(いも)

 そのまわりに(なら)べられた小鉢(こばち)(かず)は、十個(じゅっこ)ほど。


「この柚胡椒(ゆずこしょう)なんて、良くなぁい()

柚胡椒(ゆずこしょう)? どれぇ、もぎゅ? こほっ、こほっ!?」


「あれ? お(くち)にぃー合わーなぁーいぃー?」

「こほっ――か、(かお)りがつよぉて、かないませんわぁ!」


「また、京都弁(きょうとべん)になってるよぉ? そんなに、おいしくなかったぁ?」

久々(ひさびさ)使(つこ)うてしもたら、ついつい(くち)をついて出てしまいますなぁ――わては……わたくしわぁ、こっちのバベキュウ(あじ)(ほう)がぁ(この)みどすぇー♪」


   §


「すこし、あるいてみるかな」

 ぽきゅぽきゅぽくぽくむぎゅっ♪

 (しば)った(ほう)の手が(みじか)くて、(ある)きづれぇけど普通(ふつう)(ある)けてる。


「はしれるかな?」

 ぽっきゅぽっきゅぽっきゅきゅぽぽきゅきゅむっ――♪


 んゐ?

 ぽっきゅぽっきゅぽっきゅきゅぽぽきゅきゅむっ――♪

 ぽっきゅぽっきゅぽっきゅきゅぽぽきゅきゅむっ――♪

 ぽっきゅぽっきゅぽっきゅきゅぽぽきゅきゅむっ――♪


 結構速(けっこうはや)(はし)れるぞ!?


「こりゃぁいいやな、へへへ」

 飽きるか(たお)れるかするまで、(はし)(つづ)けてみるか?


 ――――――――ををん。

 ん、なんかうるせぇなぁ。


 (おと)がした(ほう)を見――――――――ヴォォン!

「んっぎゃぁっ――――!?!?」

 (あか)(ひかり)

 脈打(みゃくう)(おお)きな血色(ちいろ)(ひかり)

 そんなのが(うな)りをあげて、飛びかかってきた!


 さっきの(まぶ)しいヤツに、また見つかったらしい。


「うっぎゃぁぁぁぁ――――!?」

 (はし)る。

 (つよ)(ひかり)から(とお)ざかる!


 ぽっきゅぽきゅぽきゅぽきゅぽきゅぽきゅぽきゅぽきゅ――――――――ヴォォン!


   §


「ねぇ、イオノファラーちゃぁん?」

「そうわねぇ、魔山椒(まざんしょう)コンソメ(あじ)もぉ、おいしぃよぉー()


「いいえ、そうでわなくてぇー。シガミーちゃんのぉー数字(すうじ)がぁ、増えてるみたい(・・・・・・・)だけどぉ――?」

「んぇ!? 増えてる(・・・・)? 迅雷(ジンライ)どー言うことぉ!?()

 ごとん――――ヴュゥゥゥンッ♪


 テーブルに(あらわ)れた、(おお)きめの黒板(くろいた)

 ソコには、(れい)(みっ)つの数字(すうじ)とおぼろげな地形(ちけい)

 それに、シガミー(カヤノヒメ)の健康状態(けんこうじょうたい)などが表示(ひょうじ)されている。


 ふぉん♪

『>どうやら、何かから逃げているようです。音声を出します』


「うっぎゃぁぁぁぁ――――!?」

「「シガミーの(こえ)()」」


迅雷(ジンライ)、メガホン出して!《・》」

 ふぉん♪

『>通話を試みることは可能ですが。

  店内では迷惑になりますので、

  コチラをお使い下さい』


 ヴッ――それは(ちい)さなマイクスタンド。

 立てた爪楊枝(つまようじ)のようなソレに、駆けよる御神体(イオノファラー)


「ココワァン――――シガミー、聞こえるぅー!?()

「だれでぇーい、おれぁ死神(しにがむ)じゃねぇやぁーぃ!」

「「返事(へんじ)きたっ()」」


「シガミー、無事(ぶじ)なのっ!? ソコはドコなの!? いますぐ(かえ)ってきなさぁぁぁぁぁいっ――――!!!()

 まばらな店内(てんない)猫の頭の(ネコアタマ)青年(せいねん)がチラリと振り向く。


「おれは御武家様(おぶけさま)じゃぁねぇやぁい。まぶしぃぃやぁぁーぃ!」

「もう、なにいってるのっ!? とにかく、そっちじゃないわよっ! どんどん(とお)ざかってるわよっ()

 (うえ)数字(すうじ)が増えて、(した)数字(すうじ)との差が(ひら)いていく。

 (うえ)数字(すうじ)黄色(きいろ)になり、とうとう(あか)くなった。


「シガミーちゃぁん!」

「シガミー、引キ(かエ)してクださ()

 黒板(くろいた)(はな)しかける、(きつね)(みみ)のご婦人(ふじん)とアーティファクト。


「だからぁ、おれぁ死神(しにがみ)じゃねぇやぁーぃ!」

(らち)があかないわねぇっ()

 コトコトコトコトトトッ――地団駄(じだんだ)を踏む御神体(ごしんたい)


「もっきゅもっきゅもきゅもきゅもきゅもきゅ――――♪」

「この(おと)わぁ、シガミーの足音(あしおと)ぉー()

 コトコトコトトトト――――!

 跳ねる御神体(ごしんたい)


「そのよウで()

 ヴォォンヴヴヴヴッ――――!

 うなるアーティファクト!


「あぁあぁもぉう、どんどん(はな)れてしもてますやないのぉっ!」

 その(するど)視線(しせん)は、テーブルの(うえ)御神体(イオノファラー)へ。

 その(くび)へ、釘付(くぎづ)けになる。


 バシィィンッ!

 狐夫人(きつねふじん)平手(ひらて)一閃(いっせん)

 御神体(ごしんたい)(まる)(あたま)を、ペチリ。


   §


「うをわぁぁぁぁああっぁ!?」

 な、なんでぇい?


 (あか)(たま)から逃げてたら、どこかから(はなし)(ごえ)が聞こえてきやがった!

「だからぁ、おれぁ死神(しにがみ)じゃねぇやぁーぃ!」

 ぽっきゅぽっきゅぽきゅぽきゅぽきゅきゅきゅむ♪

 (はし)(はし)る。

 (きり)(なか)をドコまでも。


「あぁあぁ■ぉう、どんどん(■■)れて■■■■■■ないのぉっ!」

 なんて言ってるか、わかりゃしねぇ。


 ――――ぞっぶぅん!

 (きゅう)足下(あしもと)がぬかるんだ!


「うっぎゃぁぁぁぁっ――ち、血の池地獄(いけじごく)かぁ!?」

 あたり一面(いちめん)が真っ赤に染まり――

 おれの(からだ)が、(しず)んでいく。


 おれはジタバタともがき、すんでのところで赤くねぇ地面に(・・・・・・・)たどり着いた。

「はぁはぁはぁはぁ――――し、死ぬかとおもったぜ!」


   §


「ちゃいますぇ! そっちに行ったらあきませんぇ!」

 ペチペチペチリと御神体(イオノファラー)(あたま)平手(ひらて)(たた)く、伯爵夫人(ルリーロ)


「うぅむ、面妖(めんよう)な!? あたくしさまの(あたま)(たた)くと()――」

 ぺちぺちと執拗(しつよう)(たた)かれる、御神体(じぶん)(あたま)

 (いた)くはないのか、まるで(どう)じない美の女神(めがみ)


 ふぉん♪

『>はい。シガミーの進行方向が変えられるようです』


「そうっ、そっちどすぅぇ――――♪」

 数字(すうじ)緑色(みどりいろ)にもどり――御神体(ごしんたい)(たた)く手が止まった。

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