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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
1:輪廻転生、おいでませガムラン町

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32:大道芸人(幼女)、鍛冶工房はあつい

「シガミーッ、生きてるー!?」

 (ドア)蹴破(けやぶ)り、飛び込んできたのはレイダ。


「おう。なんともねえぞ。わりい、ギルド長。小屋(こや)をこわしちまった」


「はぁはぁ、ふーっ。無事(ぶじ)でなによりです……この小屋(こや)物置(ものおき)にしか使っていないので、少しくらい(こわ)れても平気(へいき)です」

 (かた)(いき)をするギルド長。大あわてで()けつけてくれたのだ。


「ギルド長どノ、この大量(たいりょう)の使イふるしの避雷針(ひラいしん)はどうサれるのですカ?」


「コレは、組成(そせい)変化(へんか)魔術(まじゅつ)特性(とくせい)がなくなったオリハルコンを、保管(ほかん)しているだけですが……」


「この良質(りょうしつ)電解(でんかい)(てつ)有効(ゆうこう)活用(かつよう)しないのは、冒険者(ぼうけんしゃ)ギルドの……いえ、このガムラン町の損失(そんしつ)ではないのでスか?」


   §


 (しつ)低下(ていか)した希少金属(オリハルコン)は、市場(しじょう)に出すこともできなくて、小屋(こや)にためこまれていたのだ。


「シガミー(じょう)ちゃんよう、ほんとうにこんな、やわらけえ(てつ)そんな(・・・)魔剣(まけん)が打てるってのかい?」

 ここはかれら、小柄(こがら)種族(しゅぞく)たちの鍛冶(かじ)工房(こうぼう)


 製鉄(せいてつ)金属(きんぞく)加工(かこう)のための設備(せつび)が、ところせましと(なら)んでいる。


「ほんとうだぜ、(まえ)にいたとこじゃ、〝白鋼(しらはがね)〟なんて言われて(かたな)材料(ざいりょう)にされてた」


 おれとそんなに変わらねえ背格好(せかっこう)の、この怪力(かいりき)おやじは食堂(しょくどう)常連(じょうれん)で、鬼娘(オルコトリア)とも顔なじみだ。

 なまえは(なん)だったか――「(ノヴァドです、シガミー)」


「(そんな名前(なまえ)だったな。あちい……迅雷(おまえ)(あつ)くねえのか?)」

 ノヴァドたちの工房(こうぼう)で、これから始める実演(じつえん)の手つだいをしてるが、(あつ)くて(たお)れそうだ。


「(はい、問題(もんだい)ありません。まもなくデモンストレーションを開始(かいし)できます)」

 がやがやがや――野次馬(やじうま)が集まってきてる。


   §


 おれたちには、ちょっとした目論見(もくろみ)があった。


 そのためには、あの小屋(こや)にあった大量(たいりょう)の〝()らねえモノ〟を〝()るモノ〟にかえる必要(ひつよう)がある。


 〝いらねえモノ〟が、なまくらになった金属棒(オリハルコン)

 〝いるモノ〟が、いまからつくる――魔剣(まけん)


「(おい、ほんとうにできる(・・・)んだろうな?)」

 もういちど、確認(かくにん)しておく。

 ここまで大がかりに話をすすめた以上(いじょう)、うまくいってくれねえと、()()がねえ。


「((ちょう)高純度(こうじゅんど)(てつ)は〝浸炭(しんたん)〟することで、()びず(さん)にも()けない性質(せいしつ)(たも)ったまま、表面(ひょうめん)硬化(こうか)させられま――)」


「(理屈(りくつ)はいらねえ――居合(いあい)(とう)ができりゃそれでいい)」

「(はい。ひつような性能(せいのう)(たっ)しなかったとしても、〝()びることのない(かた)(てつ)〟が確実(かくじつ)に手にはいりますので、(びょう)火箸(ひばし)などの日用品(にちようひん)提供(ていきょう)可能(かのう)です)」


「(――よし、はじめるぞー?)」

 あたりをもういちど見わたすと、ギルド長が工房(こうぼう)に足を踏み入れている。


「――迅雷(ジンライ)どの、この(どろ)が入った(おけ)は何に使うのですか?」

 鍛冶(かじ)職人(しょくにん)連中(れんちゅう)指示(しじ)をだしていた迅雷(ジンライ)に、ギルド長がたずねた。


「こノ(わら)をまゼた(どろ)で、部分(ぶぶン)(てき)にコーティング……段階(だんかイ)(てき)硬度(こうど)調整(ちょウせい)をしマす」

 ちなみに迅雷(ジンライ)は、(れい)密談(みつだん)のほかにも、いっぺんに大勢(おおぜい)(はなし)ができたりするみてえだ。

 つまり、おれがやることは、ほとんど()え。


「うん、さっぱりわからねえな。(じょう)ちゃんこいつ(・・・)ぁ、何を言ってやがるんだ?」

 迅雷(ジンライ)とギルド長の話を聞いていた、工房長(ノヴァド)()をあげる。


大丈夫(だいじょうぶ)だ、おれにもわからん。だまされたと思って言われたとおりにやってみてくれねえか」


「しかしなあ、こんな剣の製法(せいほう)は――見たことも聞いたこともねえぞ?」

 魔法(まほう)(てつ)(ねっ)してたたき、(けん)のかたちに成形(せいけい)水桶(みずおけ)に入れて急激(きゅうげき)()ます。

 くりかえす工程(こうてい)のなかの、〝(ねっ)する方法〟に〝(すみ)〟をつかう。

 変わったところは、それだけだ。問題(もんだい)はねえはず。


「――――お・ねぇ・がぁ・い、うぅふぅふぅ~♡」

 レイダがギルド長に頼みごとをするときに、毎度(まいど)やってるクネクネしたしぐさと台詞(せりふ)

 しゃらあしゃらした感じのを、見よう見まねでやってみた。


 工房(こうぼう)の外から、レイダがこっちを見ている。

 なんだその、ジットリした目は。

 ちょっと、おめえの真似(まね)をしてみただけじゃねーか。


 工房長(ノヴァド)はおれから目をそむけ、鉄塊(てっかい)みてえな金槌(かなづち)を手にした。

目論見/計画すること。くわだてること。

純鉄/まじりのない純粋な鉄。

浸炭/炭素の少ない鉄に炭素を吸わせ、表面が硬い鋼にすること。

鋲/頭が大きくまるい釘。

火箸/炭火をつかむための金属製の箸。

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