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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
3:ダンジョンクローラーになろう

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319/744

319:惑星ヒース神(シガミー)、聖女さま串揚げをうる

「まぁまぁ、みなさま。ようこそおいでくださいましたわ、くすくす()

 陽光(ようこう)に照らされた金糸(きんし)が、上質(じょうしつ)薄衣(うすぎぬ)のように(なが)れる。


「ぎゃっ!? シガミィーちゃんかい? お、(おど)かさないでおくれよっ?」

 たまたま一番(いちばん)まえに居た(きゃく)が、唖然(あぜん)としている。


「これはこれは、お向かいの(おく)さま。本日(ほんじつ)(なに)を、お(もと)めでございますか()

 小首(こくび)をかしげる仕草(しぐさ)に、非の打ち(どころ)はない。


(おく)さまだなんてよしておくれよ、この子わぁ。いつもみたいに「おい、ばぁさま、今日(きょう)(なに)を買いに来たんでぇい?」って聞いておくれっ」

 うろたえる、お向かいの(おく)さま。


「そういうわけにはまいりませんわ、大切(たいせつ)なお客様(きゃくさま)ですもの――そうでございますねぇ……(いま)でしたら揚げ(いも)ができたてで、熱々(あつあつ)のをお出しできま――――あらぁ?」

 店内(てんない)を見わたし、ふたたび(まえ)をむくまでの、わずかの(あいだ)


「ニャヤァァー! お得意(とくい)さんが、ちりぢりに逃げてくニャア!」

 (あたま)(かか)える、(ねこ)(あたま)をした青年(せいねん)


「あーぁ、そりゃぁそうわよねぇーん()

 カウンターの(うえ)、ゴロゴロと(ころ)がる猪蟹屋御神体(イオノファラー)

 ココは猪蟹屋(ししがにや)一号本店(いちごうほんてん)

 売れ行きは(かんば)しくないようで、串揚(くしあ)げも揚げ(いも)大量(たいりょう)に積み(かさ)なっている。


二号店(にごうてん)わぁ真新(まあたら)しいギルドの(なか)に有るからかぁ、多少(たしょう)こじゃれた接客(せっきゃく)をされても、みんな買ってってくれたんだけどぉー」

 困惑(こんわく)御神体(ごしんたい)


「――まぁ、こうなりますわよねぇ」

 今日(きょう)もギルドの仕事(しごと)を抜けてきたのか、ギルド受付嬢(うけつけじょう)制服姿(せいふくすがた)

 ギルド職員(しょくいん)制服(せいふく)とほとんど(おな)じだが、(えり)を止める(ぬの)やスカートが多少華(たしょうはな)やかだ。


「リーカールールーちゃぁん。昨日言(きのうい)ってたのわぁー、こーいうこと(・・・・・・)だったのねーぇ?」

 カウンターから身を乗りだす、全長(ぜんちょう)10(すう)センチ。


「――まぁ、コレだけではないのですけれど……まずは今日一日(きょういちにち)、お仕事(しごと)をさせてあげてみてくださいな。本人(ほんにん)(たの)しんでいるようですので」

 落ちそうな御神体(めがみ)を、手でつかむ受付嬢(うけつけじょう)


「ネコアタマさぁん♪ 串揚(くしあ)げ30(ぽん)、お買いあげでぇーす!」

「ニャはい、ただいまお持ちしますニャア!」

 すっかり気の抜けていた、(ねこ)(あたま)青年(せいねん)が――

 大慌(おおあわ)てで、串揚(くしあ)げを(ふくろ)に詰めていく。


(そと)から来たお(きゃく)さん……シガミーのことを知らない(ひと)だと、普通(ふつう)に買っていってくれるわねぇー。なんか面白(おもしろ)い、ぷぷぷふ♪」


「――まぁ、面白(おもしろ)いで――――!?」

 脱兎(だっと)(ごと)(はし)り出し、人混(ひとご)みに(まぎ)れてしまうガムラン代表(だいひょう)にして最強受付嬢さいきょううけつけじょう


「あっ、イオノファラーさまぁ、ちょうど良い(ところ)に。リカルル見なかった?」

 入れ替わりに(あらわ)れたのは、(ひたい)から突き出た一本角(いっぽんつの)

 (おな)じく受付嬢(うけつけじょう)制服(せいふく)に身を(つつ)み、書類仕事(しょるいしごと)(たば)をはさんだ(いた)(かか)えている


「えっとねー……どーしたの?」

 カウンターの(うえ)上下逆(じょうげさか)さまにひっくり(かえ)った御神体(ごしんたい)が、問い(かえ)す。


「いや、いつものサボりよ、サボり。たまにはちゃんと仕事(しごと)させないと、(ほか)職員(しょくいん)(しめ)しがつかないから(さが)してるんだけど……!?」

 店内(てんない)を見わたし――異質(いしつ)(もの)発見(はっけん)する(おに)(むすめ)


「ありがとぉーございましたぁわぁー♪ あらぁ、オルコトリアさん、こんにちわぁ、うふふ♪」

 異質(いしつ)――それは天上(てんじょう)調(しら)べ。

 普段(ふだん)と変わらないはずの(こえ)が――

 楚々(そそ)として、労働(ろうどう)(はげ)んでいる。


「れ、礼儀正(れいぎただ)しいっ!? ま、魔物(まもの)かっ!?」

 手にした(いた)を、(たて)のようにかまえる。

「いいえ、シガミーですニャ。串揚(くしあ)げ、お一つどうですかニャ?」

 (ねこ)(あたま)をしたネコアタマ青年(せいねん)が、(おに)(むすめ)事実(じじつ)を突きつける。


「あー、そーいやなんか。たしか大爆発(だいばくはつ)した魔物(まもの)(のろ)いかなんかで……まるで聖女(せいじょ)さまみたいに、なったんだっけ? いつもの(わる)ふざけかと(おも)ってたけど……」

「イオノファラーさまの使(つか)いって意味(いみ)ニャら、もとから聖女(せいじょ)さまだけどニャア♪」

 置かれた重心(じゅうしん)(わる)かったのか、ひっくり(かえ)ったままの御神体(めがみ)

 ジタバタするソレをつかんで、(もと)(もど)してやる猫頭青年(ネコアタマ)


「アンタたち猪蟹屋(ししがにや)従業員(じゅうぎょういん)も、つぎからつぎへと大変(たいへん)よね……串揚(くしあ)二本(にほん)もらう――」

串揚(くしあ)二本(にほん)で2キーヌになりますわぁ、うふふっ♪」

 すかさず、二個入(にこい)りの(つつ)みを差しだす――猪蟹屋(ししがにや)店主(てんしゅ)(カヤノヒメ)。


「ぅひゃわっ――――じゃ、じゃぁコレ、お(かね)ね……おだいじに」

 チャリン♪

「おだいじに? 体調(たいちょう)はわるくりませんけれど、ちょうど(いただき)きましたわ――それと差し出がましいとは(ぞん)じますけれどぉ、リカルルさまでしたらアチラの木箱(きばこ)裏側(うらがわ)に、お(かく)れになられましたのを見ましたわぁ()

 告げ(ぐち)をする聖女(せいじょ)


 (とお)りの向こう、細路地(ほそろじ)に詰まれた木箱(きばこ)を見やる――(おに)形相(ぎょぷそう)


毎度(まいど)ありがとうございましたぁ――いらっしゃいませー()

 クルクルと店内(てんない)を舞う、聖女(せいじょ)シガミー。


(こころ)なしか……客足(きゃくあし)がぁ(もど)りつつ、あるわねぇ()

「そう、ソレを考えて(・・・・・・)あげないとね。これ一本(いっぽん)ちょうだい?」

 御神体(ごしんたい)へのお(そな)えの(さら)から、揚げ(いも)(くし)をひょいと一本(いっぽん)つまみ上げる――

 コントゥル家名代(けみょうだい)ルリーロ。


一本(いっぽん)だけだからねっ!? ……それで、(かんが)えてあげないとってぇ、(なん)のことぉ()

 負けじと揚げ(いも)にかじりつく、美の女神(イオノファラー)御神体(ごしんたい)


「あのシガミーちゃん……カヤノヒメちゃんわぁ、お仕事(しごと)がぁものすごくぅ出来(でき)るのよねぇ、クツクツクツクツクツ、コォン♪」

 手首(てくび)にまいたベルトを、確認(かくにん)する名代(みょうだい)

 今日(きょう)町娘(まちむすめ)のような服装(ふくそう)に、たすき掛け一つ(・・・・・・・)という軽装(けいそう)


 手首(てくび)のベルトには、(ちい)さな黒板(くろいた)が張りついている。

「あ、ソレぇ! 腕時計(うでどけい)みたいでぇ、カワイイねぇ()


 名代(みょうだい)(なに)(おも)ったか、手首(てくび)から『シガミー(がさつ)現在位置』をはずして――カチャ♪

 御神体(イオノファラー)(くび)へ、巻いてやった。


「あらん♪ コレならあたくしさまの御神体(からだ)でも、巻き付けられるわ――――ってこれじゃ、あたくしさまが見られないじゃぁ無いのっ!?()

 美の女神(イオノファラー)(くび)。巻かれた黒板。

 (うえ)(みっ)つの数字(すうじ)が、じわじわと減っていく。


 (した)数字(すうじ)が〝花畑(きてん)〟だとするなら『シガミー(がさつ)』は、着実(ちゃくじつ)(ちか)づいていることになる。

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