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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
3:ダンジョンクローラーになろう

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316/744

316:惑星ヒース神(シガミー)、追憶の結び目と稲荷式痩身術と三途の川(録画)

「どうして(ひも)が、切れなかったのかしら?」

 冒険者(ぼうけんしゃ)カードを見つめ、(りん)とした(こえ)


直接切(ちょくせつき)られればぁ、たとえ落ちた首(・・・・)でもぉ(もと)にぃ(もど)るぅはーずーだーしーぃ。(ひも)にぃ(からだ)おぉ(とお)した状態(じょうたい)でぇ死ーんーだーらぁー、(ひも)がぁ肩代(かたが)わりに事切れて(・・・・)――生きかえる、はーずーだぁーしぃぃー?」

 家宝(かほう)(ひも)(ゆび)でつまんで(たし)かめる、(した)っ足らずな(こえ)


「ふーん、蘇生薬(エリクサー)とわぁ(ちが)うのん()

 どこか調子(ちょうし)っぱずれの抜けた(こえ)

 聞き(かた)によっては、かわいらしく聞こえなくもない。

 そんな美の女神(イオノファラー)のしゃべり口調(くちょう)は、(ひま)があればいつもお茶会(ちゃかい)をしているからか――


蘇生薬(エリクサー)わねぇ、ひと呼吸(・・・・)する必要(ひつよう)があるのよぉぉん。けどこの(ひも)わぁ死んだらぁ、その場でぇ生きかえる……はずなんだけどぉ?」

 200歳超(さいご)えという年齢(ねんれい)からは(しん)じられないほどの、かわいらしい口調(くちょう)――


 伯爵夫人(ルリーロ)美の女神(イオノファラー)、ふたりのしゃべり(かた)は、よく似ていた。


類推(るイすい)に寄レば(ムす)びツける対象(たいシょう)がガ内に有ル場合(・・・・・・)死亡(しぼう)という発動条件(はつどうじょうけん)を満たさないよウで()

 女神(めがみ)眷属(けんぞく)神々(かみがみ)技術(ことわり)により(つく)られし――空飛ぶ棒(INTタレット)迅雷(ジンライ)

 その口調(くちょう)(かた)く、声質(こえしつ)には――金属的(きんぞくてき)(ひび)きが混じる。


「そうわのぉー、へーぇ。なんかぁ小腹(こばら)がぁ、()いてきたわねぇー()

 令嬢(れいじょう)夫人(ふじん)(ぼう)から、見つめられた美の女神(イオノファラー)映像(うつしみ))が――

 「くぅきゅりゅるぅー♪」と(はら)(むし)を鳴らした。


「オヤツにはスこし(ハや)いでスが、(さキ)ほドのコッヘル夫人(フじん)かラのお見舞(ミま)イを……お出ししマすか()

「そーねっ、そうしてくれる!? お(ひめ)ちゃんもぉールリーロちゃんもぉー、ご遠慮なぁくーどぉーおぉーぞぉぉーぅ♡ いーっぱいあるから()

 ごとん、がちゃん、ことことこととととこと――からっらん、ことん♪

 ちいさな(つくえ)(さら)(なら)べるための(たな)で――複雑怪奇に(・・・・・)埋め尽くされた。


   §


「イオノファラーさまが、ガムラン(ちょう)降臨(こうりん)なさって半年(はんとし)体重(たいじゅう)にして(やく)こぉん(・・・)キロ――もぐもぐもぐ、無関係(むかんけい)では無いと(おも)いますわ――ごくごくごく、ぷはぁ♪」

 摘まむほど(・・・・・)ではない脇腹(わきばら)を、指先(ゆびさき)で押す――ご令嬢(リカルル)

 その(かお)に、ほんのり(あか)みがさしている。


「そぉうねぇ――そぉんなぁリカルルちゃぁんにぃー、朗報(ろーほー)ですぅ――♪」

 もぐもぐもぐもぎゅ――――パチリと(ゆび)を鳴らす――ご婦人。

 ひろげた指先(ゆびさき)に――ぼぉぼぉぼぉぼぉぼぉぉう♪

 仄暗(ほのぐら)(ほのお)を、立ち(のぼ)らせた。


 真似(まね)をするように――――ぼぉうぼぉうぼぉうぼぉぉうぼぼぅ♪

「この(あつ)くない(ほのお)高等魔術(こうとうまじゅつ)――狐火(きつねび)が、どうかしたんですのぉ?」


「コレねぇ、燃料(ねんりょう)にぃわぁーねぇ――命を使っている(・・・・・・・)のぉーですわぁぁん♪」

 ひゅごぼぉわ――♪

 それほど(つよ)くないエール(さけ)を呑み、(くち)からほそい気炎(ほのお)を吐く母狐(ルリーロ)


「ソレって――寿命(じゅみょう)ってことですのっ!?」

 ぼっしゅるっ――あわてて狐火(きつねび)を消す娘狐(リカルル)


寿命(じゅみょう)であぁるぅ(たましい)わぁー、あ・く・ま・で・(ほのお)(とど)めるためのぉー(しん)につかうだけでぇーねぇー、燃やすための(あぶら)にわぁ、なんとぉ――――余計(よけい)なぁ、お(なか)まわりのぉーお(にく)な――――」


   焱


「あの、お(かあ)さま……」

 ぼぉうぼぉうぼぼぉうぼぉうわぁっ♪


「なぁに、リカルルちゃぁん?」

「この稲荷式痩身術(・・・・・・)詳細(しょうさい)は――レーニアには……内密(ないみつ)に、お(ねが)いできますかしら?」

 ふたたび指先(ゆびさき)に揺らめくのは、青白(あおじろ)(あか)り。


「どーしてぇ?」

「あのその、レーニアはああ見えて最近(さいきん)、二の(うで)まわりを気にしているらしくて――(わたくし)だけこんなイカサマ……(おく)の手を使(つか)えるだなんて知られたら――」

 その(かお)青白(あおじろ)く、照り(かえ)されている。


「えぇー、リオレーニアちゃんがぁ? あの()ぉわぁ、もぉーっとお(にく)おぉーつけたぁほぉがぁ、絶対(ぜったい)にぃー綺麗(きれい)なのにぃー――クツクツクツクツ、ココォォォンッ♪」

 指先(ゆびさき)蒼炎(ほのお)縦横(たてよこ)回転(かいてん)させる、妖狐(ようこ)ルリーロ。


「あれ以上(いじょう)綺麗(きれい)になられても(こま)りますわっ――また第二(だいに)第三(だいさん)魔王(まおう)が湧きそうで……ぱくり、もぐもぐもぐ♪」

 ふたたび料理(りょうり)に手を伸ばす、妖狐見習(ようこみなら)いリカルル。


「ひとのぉー身ぃわぁ、たぁいへぇんねぇー……もぎゅもぎゅもぎゅもぐ……ごくごく……ぷはぁ♪」

 御神体(ごしんたい)であるその(からだ)は、アーティファクト(せい)だ。

 食べた直後(ちょくご)(あたま)だか(からだ)だか、わからないほどに(ふく)れる――その(はら)

 ちいさな手でペチリと(たた)けば――即座に(すぽんと)引っこむ謎仕様(なぞしよう)


 (あら)たな大皿(おおざら)に手をのばす、美の女神(イオノファラー)

 ソレをじっと見つめる、巫女服(みこふく)伯爵夫人(ルリーロ)


「リカルルちゃあん、巫女(みこ)(なさ)けでぇすぅ。(おく)の手のことわぁ、リオレーニアちゃんにわぁ、(だま)っておいてあげまぁすぅ」

 (つき)(ひかり)をたたえる(ひとみ)が、御神体(ごしんたい)からそらされた。


   §


再現(さイげん)できマせんので、推測(すいソく)(イき)を出マせん()――」

 そんな前置(まえお)きで、はじまった(ジンライ)(はなし)


自我(ジが)でアるシガミーが喪失(そうしツ)さレた状況(じょうキょう)にもかかわラず、シガミーの中ニ(べツ)(なニ)カ……精神性(せいしんセい)発露(はつロ)(たマしい)肩代わり(・・・・)するモのが存在(そんザい)しタという仮定(かテい)が成り立ちマ()


「ソレ知ってるー! ログイン直前(ちょくぜん)にならった(ところ)だからぁー、たしか〝VR(ブイアール)エンジン概論(がいろん)〟とかいうやつぅー()

 ご機嫌(きげん)御神体(ごしんたい)(しょく)をすすめる手は、まだ止まらない。


「びあーる(えん)?」

人外論(じんがいろん)?」

 (くび)(かし)げる狐母娘(きつねおやこ)(しょく)の手は、すでに止まっている。


「いつ(だれ)がドコで、どう(おも)ったか――そのパーソナルなぁー過去(かこ)だけおぉー踏襲し(ふまえ)未来(みらい)予測(よそく)するぅ――つまるところ自我(じが)構成(こうせい)する内的要因(ないてきよういん)わぁー、外的要因(がいてきよういん)同義(どうぎ)ってぇーやつでしょぉぉう? ウッケケケケケケケッケッ()


「ココォォォン、ケタケタケッタケタケタッ――――♪」

 つられて、(わら)いだす妖狐(ルリーロ)

「うふふうふふっ、ウケケケッケケケケケッ――――()

 似たもの同士(どうし)女神(めがみ)夫人(ふじん)

 その(わら)(かた)だけは、まるで似ても似付(につ)かない。


「飲ミ過ぎでス、イオノファ()ー」


   §


「ここわぁどこだぜぇ?」

 (あた)りには、立ちこめる(きり)

 見わたすことが出来(でき)ているのかすらハッキリしない。

 背景(はいけい)である()がおぼろげで目をこらせば(きり)のように霧散(むさん)する。


 ()である自分(じぶん)(からだ)がおぼろげでギュッと(こぶし)(にぎ)っても感触(かんしょく)がない。


「なんだったかなぁおれぁ(なに)をしようとしてたんだったか?」

 (きり)はおれでおれも(きり)だ。


「おれってのわぁなんのことかなぁ?」

 そもそも(きり)ってなんだろうなあ。

 ただよっていると(とお)くから(ひかり)が差し込んでくる。


「んぁあ(しら)んできたなぁ、夜明(よあ)けかぁ」

 夜明(よあ)けってのもどういうもんだったかなぁ。

 わからんなぁ。


   §


「シガミーヲ蘇生(ソせい)さセる(サい)にハ、神々(かミがみ)使(ツか)生命(いノち)(こトわり)使用(しヨう)しマし()

「それって、ラプトル王女殿下(おうじょでんか)の……ゴーレムのアレ(・・)かしら()

 リカルルの表情(ひょうじょう)が、(ひど)くゆがむ。


「じゃぁ、今回紐(こんかいひも)が切れなかったのわぁ、迅雷(ジンライ)用意(ようい)した命綱(いのちづな)がぁ先に効いてた(・・・・・・)からぁ? ウケケッ()


「ミノタウロース(せン)ノとキは、そウです。ただしプロジェクションBOT(ボット)爆発(ばくはツ)()にハ、(わたシ)強制介入(きょうせイかいにゅう)すルより(まエ)ニ、外部(がイぶ)からの侵入(しんにゅう)痕跡(こんせき)がありまし()


ソレも(・・・)ぉ、聞いてないんだけど――視覚化(しかくか)ぁできるーぅ()

少々(シょう)オ待ちくだサ()


 ヴュザザザザァァァァァッ――ジ・ジ・ジ・ジ・ジッ、ピュゥゥン♪

 しぼんでいくイオノファラーの映し身(せいふくすがた)

 入れ替わるように、テーブルのよこに(あらわ)れたのは――

 切り取られた、どこかの景色(けしき)


「あら、これは(なん)ですの迅雷(ジンライ)?」

「お花畑(はなばたけ)ぇのようなぁ――きれいなぁところぉーねぇー♪」


「もぐもぐ……(だれ)か居るわねぇん()


 花畑(はなばたけ)中央(ちゅうおう)。ソコにたたずむのは――

 白髪(はくはつ)老人(ろうじん)のようでもあり――

 眉目麗(みめうるわ)しい(わか)(おんな)のようでもあり――

 (やり)(かたな)酒瓶(さかびん)のようでもあり――


「なんだっ、おまえさまわぁ――!?」

 突然(とつぜん)、聞こえた可憐(かれん)(こえ)

 ただし、その口調(くちょう)粗野(そや)かつ横柄(おうへい)で。


「「「シガミーの(こえ)っ!?」」」


 怒鳴(どな)りつけられた、白髪(はくはつ)老人(ろうじん)姿(すがた)をした(わか)(おんな)が――

 手にした串焼き(・・・)を振って光剣(・・)に変え、自分(じぶん)姿(すがた)(おお)きな四つ足の獣(・・・・・)へと変えた。


「わしゃぁ、なんでもないただの、(かみ)じゃて」

 四つ足の獣(・・・・・)前足(まえあし)(あたま)を掻いて、(おお)あくびをした。


「シガミーノ死後(シご)、〝精神世界(せいしンせかい)〟へ侵入(しんニゅう)シた何者(なニもの)かヲ――目に見エる(かタち)ニ置キ換えマし()

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