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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
3:ダンジョンクローラーになろう

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306/744

306:仙果到達ルートC、召喚の女神像

「ひかりのたまららぁん」

 (あか)りを(とも)し、スルスルと(なか)(はい)っていってしまう王女(ラプトル)


「ちょっと待つで、ごぜぇますわぜ」

 ちっ――リカルル(たい)ニゲルの行く(すえ)が気になるが。

 二人(ふたり)勝負(しょうぶ)(うつ)画面(がめん)は、その場から(うご)こうとしねぇ。


「(迅雷(ジンライ)この画面(がめん)は、コッチじゃみられねぇのか?)」

 コッチってのは、耳栓(みみせん)から突きでた(ぼう)から(うつ)しだされてる、(ちい)さめの画面(がめん)のことだ。


 ふぉん♪

『>メディア再生ホスト側であるイオノファラーが、

  制御を手放さないので視聴できません』

 目のまえのうまそうな果物(くだもの)に、(こころ)(うば)われたか。

 じゃあ、オマエがソッチの様子(ようす)をこっちに(うつ)せ。


 ふぉん♪

『>通信環境が良いのはイオノファラーであって、

  私がその恩恵を受けるにはイオノファラーが、

  操作するデバイスの半径8メートル内、

  でなければなりません』

 ちっ、ソバに居ねぇと――迅雷(オマエ)使(つか)えねぇなぁ!

 五百乃大角(いおのはら)野郎(やろう)を呼び戻せ!


 ふぉんふぉふぉん♪

『>FATSシステム内線#10286を呼び出しています

 >呼び出しています

 >呼び出しています

 >通話が出来ませんでした』


「イオノファラーガ。呼ビ出シに(おウ)じマせん」

「あの、飯神(めしがみ)め」


「でハ、コレでハどうでしょうか()

 ぽきゅりとコッチを向く二号(ジンライ)

 (くび)から下げられた木板(きいた)

 ソコに(えが)かれていくのは――

 (すみ)(えが)かれた風景画(ふうけいが)


 (なが)(あか)りの魔導具(まどうぐ)を振り(まわ)す――(くろ)ずくめの人?

 その頭上(ずじょう)から、のど(もと)へ食らいつかんとする――(くろ)(きつね)

 こりゃ……リカルルか?

 じゃ、こっちが……ニゲルっぽい。


一色(いっしょく)しか使用(しよう)できませんし、遅延(ちえん)1分以上(いっぷんいじょう)にもなりますが」

 ねえよか良いやな。


「よし、そのままあとからついてこい」

 おれはドアの隙間(すきか)を、(とお)り抜けた。


 ぽぎゅむ――――瓦礫(がれき)でドアがつっかえた。

 (あたま)がはさまった二号(ジンライ)(うで)を、必死(ひっし)に引っ張る。


「さあ、こっちですよ。ケットーシィちゃんたち♪」

 瓦礫(がれき)隙間(すきま)から、そんな(こえ)が聞こえてきた。

 だから決闘死(ケットーシィ)、やめろやぁ。


   §


 瓦礫(がれき)(はば)まれつつ、ドアをふたつくらい(とお)り抜けた。

「はぁはぁ――!」

 ぽっぎゅり――♪


 やっと(ひろ)めの場所(ばしょ)に出た。

 瓦礫(がれき)(つぶ)され(ひざ)からポキリと、折れちまってるけど――

 まちがいなく、こいつは――


「――女神像(めがみぞう)だぜ」

「たシかに――変わっタ(かタち)でス()

 しかもコイツは、ソコソコでけぇ。


 (かお)つきや服装(ふくそう)は、ギルドにおいてある女神像(めがみぞう)とおなじ。

 背中(せなか)(はこ)もおなじ。


 ちがっているのは――

 手にした(もの)(はこ)じゃなくて――

「鳴り(もの)……か?」


 太鼓(たいこ)にしちゃぁ、片側(かたがわ)しかねぇ。

 真ん(なか)反対側(はんたいがわ)がなくて、どうやって(おと)が鳴るのかわからねぇが――

 (へり)には(ひら)たい(かね)っぽいのが、やたら付いているし――

 音を出す物(・・・・・)だってことは、間違(まちが)いねぇと(おも)う。


「ナリモノ……?」

 がっちゃがちゃ、がっちゃらぁん♪

 うるさい(おと)を立てて、王女(おうじょ)がどこかから引っ張りだしたソレは――

 女神像(めがみぞう)が持っているのと、瓜二(うるふた)つ。


「振るコとで(オと)がスる、楽器(がっキ)のこトで()

 二号(ジンライ)がそう言う。やっぱりコイツは、鳴り(もの)らしい。


「あら、よくご(ぞん)じらん。瓦礫(がれき)をどかせれば一曲(いっきょく)、舞ってお見せましたのらぁん」

 タンタァン――ガララチャラララン♪

 振りあげたソレを、振りおろす。

 なかなか(こし)が入った、良い(うご)きだが――


「コレ、やったのは王女(おうじょ)さまなんだろう?」

 ちいさな瓦礫(がれき)を――ゴロリと蹴飛(けと)ばしてやる。


「まぁ、そーなのですけれどらん♪」

 (わる)びれもせずに、(たお)れた(たな)(あさ)りはじめる。


迅雷(ジンライ)王女(おうじょ)さまを手伝(てつだ)ってやってくれ」

 女神像(めがみぞう)のことなら、迅雷(ジンライ)(まか)せるに(かぎ)る。

 瓦礫(がれき)腰掛(こしか)け、フゥと(いき)を吐く。


「でハ、少々(しょうしょウ)オ下がりくだサい、ラプトルさ()

 ぽきゅぽきゅ――どがたぁん!

 ひっくり(かえ)っていた(たな)が立ち、(なか)(はい)っていた(もの)が――

 ガシャガラララと、うるさい(おと)を立てた。


「おい、乱暴(らんぼう)(あつか)うなよ」

 (こわ)れても、おれが(なお)してやれはするけど。

「にゃミゃぎゃぁー()

 なんだその生返事(ねこご)は。


「うふふらん、なかがよいのですらぁん♪」

 ふわさり――王女(おうじょ)さまが、おれの(となり)腰掛(こしか)ける。


「良くわからんが、(なん)でまたこんなに、(こわ)しちまったんだ?」

 (こわ)したのが(だれ)かは聞いたが、何でかは(・・・・)――まだちゃんと聞けてねぇ。


「だって、魔王(まおう)(たお)されたことを知られたら――――」

 悪巧(わるだく)みを切り出すときの、伯爵夫人(ルリーロ)とか――

 リオレイニアに(あま)えるときの、子供(レイダ)とか――

 グネグネグネグネする指先(ゆびさき)

 ソレが椅子(いす)がわりの瓦礫(がれき)(つた)って、おれの(ひざ)まで乗りあげてきた。


「にゃひゃぃ――くすぐってぇ! それやめろ――」

 ゴーレムをバカみてぇな(はや)さで組み上げる、凄腕(すごうで)職人(しょくにん)とは(おも)えねぇ――たおやかな指先(ゆびさき)を、キュッとつかんだ。


(べつ)(おこ)りゃしねぇから、言ってみやが……言ってみて(くだ)さいわぜ?」

 聞きてぇことは、(ほか)にもあるが。


「せ、折角(せっかく)喚んだ(・・・)婿(むこ)さんを(もと)異世界(いせかい)に、(かえ)さなくちゃならなくなりそうだったから……つい」


「んぁ、婿殿(むこどの)? ……つい?」

 婿殿(むこどの)ってなぁ、(なん)のことわぜ?


全力(ぜんろく)で――――タンタァン――ガララチャラララン♪」

 さっきの(こわ)れた太鼓(たいこ)を、片手(かたて)器用(きよう)に打ち鳴らす。

手元足下(てもとあしもと)がすべってしまって、この有り(さま)というわけらぁん♪」

 いま、(あし)でも何かを(・・・)、蹴り飛ばしたぞ。


 まるで事態(じたい)は、わからんままだが――

 彼女(かのじょ)がココで、大暴(おおあば)れしたと言うのは――

 良ぉーく、(つた)わってきた。


「わざとじゃねぇーか……婿殿(むこどの)ってのぁ、なんだぜ?」

 二号(ジンライ)が、ぽきゅぽきゅ(しり)を振りながら、邪魔(じゃまな)瓦礫(がれき)を退けている。


「えっ!? そそそ、それ聞いちゃうらん!? そ、そそそそそそ、そんなこと、淑女(しゅくじょ)たる(わたくし)(くち)からはっ、言えませんわぁらぁぁぁん♪」

 〝そ〟がおおいな。

 (あば)れだし、杓子(しゃくし)に手が掛かったから――つかんでいた指先(ゆびさき)(はな)してやった。


 すぽん――うしろに、ひっくり(かえ)るところを――ぽっきゅぎゅ♪

 二号(ジンライ)がうしろ(あし)で、やんわりと受け止めてやる。


「(すまん、こんなに(あわ)てるとは、(おも)わなかったぜ)」


 ふぉん♪

『>子細わかりませんが、王女がその企てをしなければ、

  ニゲルは命を落とした元の場所へ、戻されていた可能性があります』

 死んだ場所(ばしょ)(もど)されてもな――


 ふぉん♪

『>はい、瓦礫の下敷きなら直後に圧死。

  水中なら、やはり数分後に溺死。

  その他の事故死なら場合によっては、

  命の危険が無い状態で生き返ることが、

  出来たかも知れませんが』


 おれならさしずめ、〝めし処香味庵(どころこうみあん)〟の土間(どま)か。

 ニゲルのヤツぁ(もど)されなくて、命拾(いのちびろ)いしたかも知れねぇ……のか?


 それで、婿殿(むこどの)てのもよぅ……一体(いったい)なんだぜ?

 言葉通(ことばどお)りなら、王様(おうさま)(なか)王様(おうさま)(むすめ)旦那(だんな)ってこったろう?

 ふぉん♪

『>〝お婿さん〟に関しては入力情報が、

  少なすぎて類推できません。

  女神像の背中の箱にアクセス出来れば、

  イベントログの復元が可能です』


 はい、わけわからん。

 けど、とにかく女神像(コレ)(もと)(もど)しゃぁ、(なに)かわかるんだな?

 ふぉん♪

『>はい、要領を得ない王女の言葉を待たずとも、

  おそらく、多くの謎が説破可能かと』


「よぉし、ラプトル王女(おうじょ)さまよぅ! この女神像(めがみぞう)(なお)しちまっても(かま)わねぇよな?」

 いくらかでも金剛力(こんごうりき)使(つか)えるなら、おれが二号(にごう)を着て全部片付(ぜんぶかたづ)けちまうぜ。


「だっ、だだだだだだだっだっめぇーーーーーーっ!」

 〝だ〟が多いぞ?


「ダメってのは、どういうこったぜ?」

 そろそろいい加減(かげん)、いろいろ煮え切らねぇ王女様(こいつさま)(はら)が立ってこないでもなくなってきた。

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