表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
1:輪廻転生、おいでませガムラン町

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

30/744

30:E級冒険者(幼女)、魔物図鑑ととんがり屋根

 おれの前世(ぜんせ)修行(ぎょう)体現(たいげん)することに特化(とっか)していた。

 体がうごきゃあ、道理(どうり)がとおせる。

 魔物(まもの)に狩りの手順(・・)があるなら、そいつをこなすのに、おれの自在(じざい)にうごく(からだ)邪魔(じゃま)になるこたぁあるまい。


 そう考えたおれは、ある場所(ばしょ)に向かった。


   §


「食える魔物(まもの)で……ちがうな。食ったらうめえ(・・・)魔物(まもの)で強えやつは居んのか?」

 ここは冒険者(ぼうけんしゃ)ギルドの書庫(しょこ)


「まだ該当(がいとう)すル魔物(まもの)は見つかりマせん」

 長机の上につみあげたのは、本の山。

 細腕(かいな)を器用にのばし、一冊をひろい上げ、(ちょう)をめくる独鈷杵(ぼう)


草原(そうげん)で狩れる小さいのでも、おいしいよね。女将(おかみ)さんの店の料理(りょうり)は特に」

 子供(レイダ)も手近なのをえらんで、ぺらぺらとめくっている。


「そうだなー。昼飯(ひる)はいつも木さじ食堂(おかみのみせ)だしなー」

 (かい)(つの)ウサギを納品(のうひん)するついでだ。

 ときどき食える草なんかも届けるけど、そっちはまったく(かね)にならない。


「どれ、おれはこいつを読んでみるか――よいしょお」

 大きくて重い図譜(ほん)をひらく。

 見たこともない、ふざけたかたちの魔物(まもの)が、へたくそな絵で描かれていた。


 前世(ひのもと)じゃ、コレだけの書物(ほん)自由(じゆう)に見ることなんてできなかった、

 それが、この冒険者カード一枚有りゃ、見放題って言うんだから――

 この上なくありがてえってもんだぜ。

「(どうだ? なんか使えそうなことは、見つかったか?)」


「(イオノファラーの持つ情報(じょうほう)と照らしあわせていますが、もどってくる情報(じょうほう)有益(ゆうえき)なモノは、まだありません)」

 独鈷杵型(みじかいぼう)迅雷(ジンライ)が、ひらいた書物(ほん)のうえをころがる。


「(五百乃大角(あいつ)うまいかどうか(・・・・・・・)しか、知らねえみてえだしなー)」

 どうやら、ころがるだけで読めるらしいが……楽だなソレ。

「(イオノファラーです、シガミー)」


「高く売れたり、LV(レベル)とやらを上げんのに、うってつけなやつでも良いぞ」

LV(レベル)経験値(けいけんち)も高いのはやっぱり、マンドラゴーラだよ。ふつうは森のおくまで行かないと、いないはずだけど……このあいだはなんで、あんなところにいたんだろ?」

 レイダは薬草(やくそう)なんかが、くわしく書かれた図譜(ほん)をめくっている。


「あの大根(だいこん)は、そうとうめずらしい奴だったんだなー……なんか(しゃく)にさわるぜ」

 おう゛ぉごぴゃぎらびゃ――――つい思い出しちまった。


「(〝経験値(けいけんち)〟ってのわぁ修行(しゅぎょう)成果(せいか)なんだっけか?)」

「(はいそうです。一定量を超えるたびに、実際の能力や技術(ぎじゅつ)が上昇するしくみです)」

 うむ。出来高(できだか)(こう)として表れるってのは実に、風情はねえが実理があるぜ。


万鐃甲羅(マンドラゴーラ)はあれから一匹(いっぴき)もみねえ。森んなかに取りに行けりゃいーんだがなぁ」

 鬼娘(オルコ)の話じゃ、おれたちが森に入れるのは、まだまだ先らしい。


「シガミー、このあいダのマンドラゴーラ討伐(とうバつ)成功(せいこう)したのは、ほかに魔物(まもの)がイなかったからです。森の中でマンドラゴーラの攻撃(こうげき)にヨり行動(こうどう)不能(ふのう)におちいった場合(ばあい)、まず生きて(もど)れないとお考え下サい」

 棒が書物をめくる細腕(うで)をとめ、こっちをみた。


「そうだね、『マンドラゴーラは状態異常(じょうたいいじょう)にした魔物(まもの)をべつの魔物(まもの)(おそ)わせて、その死骸(しがい)養分(ようぶん)にする』って、ここにも書いてあるよ」

 青ざめた(つら)でそう言われると、おれもさすがに怖くならぁな。


 せっかくひろった〝来世(らいせ)〟だ。()きこのんで危ねえモンに近づくこたぁねえ。

 レイダの(かい)()りに、おれの(つの)ウサギ()りで、最低限(さいていげん)生きちゃあいける。


「ここらで一発(いっぱつ)でかい獲物(えもの)をって思ったけど……日の(かて)(かせ)げるようになっただけで、よしとするかー」

「えへへ、そうだね。F(きゅう)クエストがなくなっちゃって、どうしようかと思ってたもんね」

 う、そりゃ、おれのせいだから、攻められてる気がしないでもねえ。


「ぅふぇーぃ♪」と、おれは(つくえ)につっぷした。

 われながら、なんて覇気(はき)のねえ声か。


 まどの外には荷馬車(にばしゃ)冒険者(ぼうけんしゃ)たち。

 ここは冒険者(ぼうけんしゃ)ギルドだからなー、いかつい連中(れんちゅう)ばっかりになるよなー。

 みょうに細長(ほそなが)(かげ)が、冒険者(ぼうけんしゃ)たちを突き刺すようにのびている。


「なんだ、あの(かげ)?」

「どうしたの?」

 レイダが(つくえ)のむこうがわで、おなじように(つくえ)につっぷした。


「いや、あの(かげ)がみょうにとんがって(・・・・・)んなーって思ってよ」

「あれは、この冒険者(ぼうけんしゃ)ギルドの(かげ)だよ」

 そういや、ギルドに最初(さいしょ)に来るときに目印(めじるし)にしたっけ。


「風が吹いたら折れちまいそうだけど、なんか意味(いみ)あんのかぁ――うけけけ♪」

 いけねぇ、五百乃大角(イオノファラー)のがうつっちまった。


意味(いみ)はあるよ……えーっと、たしか……なんだっけ――うけけけ♪」

 レイダにまでうつったぞ。人から聞かされるとやっぱり、魔物(まもの)みてえなわらい方だよな。


「――今日(きょう)もたのしそうですね。魔物(まもの)のマネですか?」

 背後(はいご)気配(けはい)に気づかなかった。焼きが(まわ)ったもんだが、おれぁいま子供(ガキ)だからな。

「お父さん!」

 細身の長身に飛びつくレイダ。子供(こども)か。


「いマは、ギルド施設(しせつ)屋根(やネ)形状(けいじょう)にツいて意味(いみ)があるのノかを議論(ぎロん)していマし――」

 ことのしだいを説明(せつめい)する迅雷(ジンライ)に、ギルド長が飛びついた。子供(こども)か。


「や、屋根(やね)のかたちには意味(いみ)がありますよ。ひひひひひとことで言うなら、〝カミナリが町に落ちななななないおまじない(・・・・・)〟です!」

 寡黙(かもく)でうれいのある(たたず)まいが、一転(いってん)

 長髪(かみ)をふりみだし、一心不乱(いっしんふらん)独鈷杵(ぼう)を愛でるギルドの(おさ)


 まだ〝宛鋳符悪党(アーティファクト)〟である迅雷(ジンライ)への興味(きょうみ)は、つきてねえみてえだぜ。

道理/正しい道筋や理屈。

出来高/収穫した作物などの総量。

実理/日々の実体験から得た道理。経験則。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ