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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
3:ダンジョンクローラーになろう

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293/744

293:ダンジョンクローラー(シガミー御一行様)、ニゲル事変(二回目)と魔海

「ふぅ、まさかこんな(ところ)で、おこもり……じゃなくてドルイド(ひめ)遭遇(そうぐう)するとは……」

 (くろ)騎士(きし)表情(かお)は、苦渋(くじゅう)に満ち満ちていたらしい。


「いま、お(とう)さま……コントゥル伯爵(はくしゃく)から外交(がいこう)ルートで手を(まわ)して(いただ)いていますわ」

 狐面(きつねめん)(あたま)(うえ)に跳ねあげた剣士(けんし)も、通信機(つうしんき)を手に困惑(こんわく)表情(かお)だったとか。


情勢(じょうせイ)(かンが)みルに、こノ場に伯爵夫人(はくシゃくふじん)が居あわせナかったことは――不幸中(ふこうチゅう)(さイわ)イか()

 (そら)に浮かぶアーティファクトが、冷静(れいせい)(こえ)(はな)す。


「そーですね、領民(りょうみん)であるシガミーを……(かどわ)かされたと知ったら――」

 頭上(ずじょう)(ただよ)(ぼう)のようなアーティファクトを、じっと見つめる給仕服(メイド)の――

 その背が、ちいさく(ふる)えた。


 ギャリザキィィン――――!

 剣戟(けんげき)(するど)(おと)

 ゴッゴン、ガガァン、バッガッ――バラバラバララァァッ!

 散らばる、(ぼう)(たま)鉱石(こうせき)

 累々(るいるい)(よこ)たわるのは、かつて(ひと)(かたち)をしていた(もの)


「消えてぇ、なくなれぇぇぇぇぇっ――――――――!!」

 目にも止まらぬ(はや)さで、異形(いぎょう)怪物(かいぶつ)解体(こわ)していくのは――

 (あたま)(ねこ)(みみ)をのせた青年(せいねん)


「それにしても、ニゲルさん。す、(すさ)まじいですね」

 ケープを羽織(はお)った女性(じょせい)が、驚愕(きょうがく)する。


本当(ほんとう)でしたのねぇ――シガミーが、「おれでも(かな)わねぇ」なんて言ってたのは……」

 狐面(きつねめん)をおろし、(たたか)いの支度(したく)をととのえる剣士(けんし)

 面越(めんご)しの(ひとみ)金色(こんじき)(ひかり)が、宿(やど)ったとか宿(やど)らなかったとか。


鬼気迫(ききせま)るものが、ありますね――」

 ガッチャリと、大盾(おおたて)をかまえる騎士(きし)


「ニゲルさん、まるで冒険者(ぼうけんしゃ)みたい!」

 呑気(のんき)様子(ようす)で――

「ウヌゥ――相対(アイタイ)したくない相手(アイテ)だ」

 はたまた剣呑(けんのん)様子(ようす)で――

 まるで(おど)(くる)青年(せいねん)を、見つめる子供(こども)たち。


 タパァ――ン♪

 突然(とつぜん)号砲(ごうほう)は、青年(せいねん)(しん)(ぞう)めがけ飛んで行く。

 すたん――すとん。

 凶弾(ソレ)歩幅(ほはば)振幅(しんぷく)でかわし――()を進める青年(せいねん)


 (とが)った目を持ち、(くち)から鉄弾(じゅうだん)を吐く異形(いぎょう)怪物(かいぶつ)

 ソレが、〝一匹(いっぴき)だけ立ちつくしていた(ねこ)魔物(まもの)のような生き(もの)〟に飛びかかった。

 ぽっぎゅむ?

 魔物(ねこ)一瞬(いっしゅん)で、怪物(かいぶつ)(はら)(おさ)められる。


「いぃなぁくぅなぁるぇぇぇぇぇぇぇぇっ――――――――!」

 猫耳(ねこみみ)のせ青年(せいねん)に、寸断(すんだん)される瞬間(しゅんかん)――ボッゴォ♪

 怪物(かいぶつ)は地に(しず)み――姿(すがた)を消した。


 コカカァァァァァッ――――!

 すっかり(さび)が落ちた、(ひか)(かがや)(けん)を――じっと見つめる高貴な瞳(・・・・)


「ちっ――逃げられたかっ!!!」

 忌々(いまいま)しそうに、(けん)(さや)(おさ)めていく青年(せいねん)

 その()が、狐耳(・・)正対(せいたい)した。


迅雷(ジンライ)くーん――首尾(しゅび)わぁ()

「はイ、シガミーへノメッセージヲ三件(さんケん)記述(きじュつ)しマし()

 こんな按配(あんばい)九号(きゅうごう)書状(しょじょう)は、したためられたんだそうだ。


 コレはぜんぶ、あとから聞いた(はなし)になる。

 魔王城(まおうじょう)城下町(じょうかまち)へたどり着いた一行(いっこう)は、大量(たいりょう)怪物(かいぶつ)――

 ゴーレムの襲撃(しゅうげき)に遭ったらしい。


(わタし)ひトりおめおめと逃げかエってきてしまいましたが、シガミーハ大丈夫(だいじょウぶ)でシょう()?」

 ヴォォォォン♪


仕方(しかた)ないでしょ、演算単位(えんざんたんい)使用不可(しようふか)空間(エリア)に逃げられちゃったんだから! むしろ二号(にごう)にロック掛けて、シガミーの保全(ほぜん)(はか)れただけでお手柄(てから)、お手柄(てがら)ぁー♪」

 カシャ――『(Θ_Θ)』

 ヴォォォォン♪


 浮かぶ(たま)に乗った根菜(こんさい)と――

 空飛(そらと)ぶアーティファクトが――

 (おお)きなテーブルを取りだし、(なん)らかの算段(さんだん)(はじ)めた。


   §


「ごっほ、がっはっ!?」

 ソレは火龍(かりゅう)寝床(ねどこ)最初(さいしょ)に吸った、焼け焦げた空気(におい)

 アレと似ていた。


 ダッダッダッダッダダダッ――――グゥワォウルゥ♪

 けっほけっほげっほ――!?

 (とり)方角(ほうがく)から来るぞ!

 燃え散る火花(ひばな)(ごと)熱気(ねっき)

 ソレでいて――極寒(ごっかん)吹雪(ふぶき)に混じる(ひょう)のようでも有る。


 その濃霧(なか)疾走(しっそう)する――のは石吐(いしは)(おおかみ)に似ていたが、

 (いろ)がちがっていて、縞模様(しまもよう)が浮き出ていた。

 (おり)(つか)まってたのと、(おな)種類(ヤツ)だな。


 (みょう)息苦(いきぐる)しい!

 気がよどんでやがる。


 えーっと……神力棒(しんりょくぼう)は、どうやって取りかえるんだったか。

 ヴッ――指輪(ゆびわ)二本(にほん)、いれて置いたうちの一本(いっぽん)を取りだした。


 神力棒(しんりょくぼう)をつかみ、おにぎりに突き出す。

 これが精一杯(せいいっぱい)だった。


 グワォウゥルルルルゥ、グワォウゥルルルルゥ、グワォウゥルルルルゥ、――――♪

 消えかかる景色(けしき)

 飛んできたのは、(いし)(いあし)でも――

 透明(とうめい)(いし)だった。

 まるで、ゴーレムどもの目玉(ひとみ)みたいな。


 ぽっこきゅむっ――――ゴガンッ!

 それをかるく蹴りかえす、おにぎり。


 ギャワウゥウゥゥウンッ――断末魔(だんまつま)

 目玉(めだま)目玉(めだま)(つらぬ)かれた、目玉吐(めだまは)(おおかみ)事切(ことき)れた。

 あたりに(ただよ)っていた、(うな)りや足音(あしおと)(とお)のいていく。


 げっはごがはぁっ――く、(くる)しい。

 きゅむ――かちりっ♪

 (なに)かが脇腹(わきばら)あたりに、差し込まれた気がして――


 ふっしゅごわぁぁっ――――ずっはぁぁぁぁぁぁぁあっ!

 (いき)出来(でき)るようになった!

 はぁはぁ、杓子姫(しゃくしひめ)もどうにかしねぇと、(いき)出来(でき)なくて死んじまう!


今すぐ(みゃが)引き返せやぁ(にゃにゃんみゃぁ)♪」

 おにぎりが真っ(くろ)(ぬの)……迅雷(ジンライ)式隠(しきかく)(みの)を取りだした。


 (くち)にくわえた黒布(ソレ)で。

 片腕(かたうで)器用(きよう)にぐるぐると、第一王女(だいいちおうじょ)とやらを巻きあげた。

 まだ目を(まわ)したままなのか、ピクリともしやがらん。

 ――――死んでねぇだろうな?

 蘇生薬(エリクサー)が効いてねぇんじゃ?


「にゃみゃがぁ――♪」

 おにぎりが、なんて言ってるのかはわからねぇが。

 ソレが〝心配事(しんぱいごと)じゃねぇ〟のだけは、ちゃんとわかった。


 お? ジタバタできる!

 (いき)出来(でき)るようになったら、(からだ)(うご)くようになったぞ?


おにぎり(みゃがぁ)はなせやぁ(にゃぎゃぁ)♪」

 言うが(はや)いか――どばったり!

 おれは、投げ捨てられた。


 ひゅぅぅうぅっぉぉぉぉぅ――――焼け焦げた、ぬるい(かぜ)が吹く。

 一面(いちめん)の赤い景色(けしき)

 振りかえると――(とお)くの(ほう)に、石造(いしづく)りの建物(たてもの)が見えた。


 ひとまず(もど)るべきだろうな――ぽきゅ♪

 おれが()(すす)めると――ぽきゅむ♪


やい(にゃ)おにぎり(にゃぎゃ)! なんで(みゃぁ)ソッチへ行く(みゃにゃやー)?」

 なぜか背を向ける、極所作業(きょくしょさぎょう)用汎用(ようはんよう)強化服(きょうかふく)自律型(じりつがた)一号(いちごう)


 ぽきゅぽきゅぽきゅきゅむ――♪

 しかも軽快(けいかい)足取(あしど)りで。


 ぽっきゅぽっきゅぽっきゅぽっきゅぽっきゅ――♪

 一号(おにぎり)のあとを追い、一直線(いっちょくせん)にドカドカと(はし)り去る、特定作業用(とくていさぎょうよう)突撃用強化服とつげきようきょうかふく特撃型(とくげきがタ)たち。

 やべぇ――こんな(わけ)のわからん(ところ)に、置いてかれたら……死んじまう。


 ぽきゅぽきゅぽきゅぽきゅ♪

 おれは(ろく)金剛力(パワーアシスト)も出せなくなった二号(からだ)にむち打って、必死(ひっし)にあとを追った。

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