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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
3:ダンジョンクローラーになろう

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291:ダンジョンクローラー(シガミー御一行様)、杓子女とねこのまもの

「にゃみゃがぁぁあぁっ――――!」

 (てつ)格子(こうし)(よこ)にはらう!


 ガキュッ――――キィィン!

 直刀(ちょくとう)(さき)が、折れて飛んだ。


「ぅらぷっ――!?」

 (おんな)足下(あしもと)に刺さった刃先(はさき)をみて、取り(みだ)す。

 (からだ)に付けた(うま)人形(にんぎょう)をちぎっては投げ、ちぎっては投げ――


 ポポポポポポイッス♪

 コッチへ向かって、バラ撒かれる(うま)


 この(せま)場所(ばしょ)じゃ、仕込(しこ)(がたな)を振り抜けねぇ――すぽん♪

 ヴッ――ぱしん。

 錫杖(しゃくじょう)をしまい、小太刀(こだち)をだした。


 投げつけられた人形(うま)姿(すがた)が――――異形(いぎょう)に変わる。


 目を形作(かたちづ)る、鋭利(えいり)宝石(ひとみ)

 (くち)からは、銃口(あな)の空いた黒金(くろがね)銃身(じゅうしん)

 四つ(あし)(ふと)不格好(ぶかっこう)で、(うま)らしくはなかったが。

 (なが)(かお)(くび)(どう)を見るかぎり、やっぱり(うま)つもり(・・・)らしい。


 背骨(せぼね)にぶら下がる(はら)(おお)きくて、まるで(ひと)ひとりくれぇすぽんと(おさ)まりそうなほどだ。


ふぬぅ(にゃみゃ)檻を囲まれた(みゃぎゃにゃぁー)!」

 迅雷(ジンライ)迅雷(ジンライ)五百乃大角(いおのはら)よう、(ひめ)さんでも妖怪狐(ルリーロ)でも(だれ)でも良い。

 (たす)けろやぁー!


 ついさっきまで、こんなことになるとは(おも)ってなかった。

 ガムラン(ちか)くの岩場(いわば)生まれ落ちて(・・・・・・)から――(あら)れた(てき)はすべて(たお)してきた。

 今回(こいつ)も、錫杖(しゃくじょう)小太刀(こだち)事足(ことた)りるはず――という(おご)り。


 毎日(まいにち)が、それなりに(たの)しくて、研鑽(けんさん)(おこた)ってなかったか。

 どこか(こころ)が、ゆるんでいたのだ。

 悔やんでも悔やみきれない。


   §


「なんて(あせ)ったときもあったが……もぐもぐもぐ」

 こうして(・・・・)暮らしてみたら、ココもそれほど(わる)かねぇ。


「にゃみゃがにゃん、にゃみゃみゃごぉ♪」

 (めし)のあとは、(あま)くねぇ菓子(かし)が食いてぇにゃぁ♪


 小太刀(こだち)一本奪(いっぽんうば)われたが、そのあとは(なに)もされず――

 (めし)献立(こんだて)をコノ――目玉(めだま)ギラギラ野郎(やろう)が、甲斐甲斐(かいがい)しく聞きに来てくれやがる。


 (はら)から飛びだす(いた)

 ソコに(えが)かれた(めし)の絵の(なか)から、食いてぇ(もん)(えら)ぶとソレがちゃんと出てくる。


 最初(さいしょ)のウチは〝死んだ(つの)ウサギ〟、〝死んだ蝙蝠(こうもり)〟、〝死んだふた(くび)大鷲(おおわし)〟、くらいしか(えら)べなかった。

 (えが)かれた絵を肉球()で押すと、ほどなく死んだ(なに)かが(とど)くから――

 自分(じぶん)でさばいて、料理(りょうり)して食った。


 収納魔法具(しゅうのうまほうぐ)(はい)ってる食い(もん)は、できるだけ温存(おんぞん)しときてぇからな。

 とにかく、五百乃大角(おおぐらい)対策(たいさく)で持ち(ある)いていた(めし)支度一式(したくいっしき)が、(やく)に立った。


 そのうち〝(とり)丸焼(まるや)き〟とか〝焼き(ざかな)〟とかが出てくるようになったのは、むしった(はね)毛皮(けがわ)(うろこ)を、(さら)にのせて突っかえし(つづ)けたからかも知れない。


 ときおり格子(こうし)(ひら)くから(そと)に出ると、道先(みちさき)はひとつしかなく。

 結局(けっきょく)(べつ)格子(こうし)(うつ)るだけだった。


 それでも(おり)次第(しだい)(おお)きくなり、テーブルに椅子(いす)(かわや)に――なんと(ちい)せぇが風呂(ふろ)まで付くようになった。


 (そで)から(うで)を抜いて冒険者(ぼうけんしゃ)カードをとりだし、現在日時(げんざいにちじ)(たし)かめるのにもなれ――

 丸一日(まるいちにち)が過ぎた。

 さっき(えら)んだ菓子(かし)(とど)くのには、一時間(いちじかん)くらいかかる。


「みゃにゃがぁー、みゃみゃがやーにゃん♪」

 風呂(ふろ)にでも(はい)るか。おれぁ(まつ)りからずっと、(はたら)きづめだったからな♪


 (もず)()(かたな)(やり)(とお)さない(ふく)を着たまま、風呂(ふろ)(はい)ることに意味(いみ)はない。

 それでも((しり)しか(しず)まねぇが)(みず)に浸かる。

 そして二号(にごう)(なか)を〝みずのたま〟で満たし、(くび)から(した)(みず)につけた。

 すると(あたた)かくなってまるで、風呂(ふろ)にでも(はい)っているような気分(きぶん)になるのだ。


 二号(ふく)に溜まったぬるま湯は、(かわや)(いき)むと勝手(かって)に落ちて(なが)れていく。

 コレはもとから強化服(ししがにゃん)仕組(しく)みで、普通(ふつう)出来(でき)る。

 猫耳頭(へっど)をしたまま(めし)を食ったり、(つく)った道具(もの)(くち)から(そと)に取り出したりするやつの――(ぎゃく)をするのだ。


 ただ、強化服(きょうかふく)(なか)に着ていた(ふく)防具(ぼうぐ)は、ぜんぶ(こし)収納魔法具(しゅうのうまほうぐ)仕舞(しま)った。

 (なか)には(こし)(かわ)ベルトしか装備(そうび)していない。


 風呂(ふろ)のあとの乾燥(かんそう)魔法(まほう)も、だいぶうまくなったし……半年(はんとし)くらい住むか。

 などと(かんが)えたころ、アイツがやってきた。


   §


「こんにちらぁーん、ねこのまものらーん♪」

 どうやらコイツぁ、地声(じごえ)がこうらしいらーん♪

 (れい)(おんな)だららーん♪


 この来世(らいせ)(ひろ)いもんだぜ。

 (いろ)んなヤツが居るが、ゴーレムを(あやつ)(おんな)……か。

 そんな酔狂(すいきょう)(やつ)(はなし)なんて……あれ?

 どっかで聞いたか?


 ガガンガンゴゴガガン♪

「みゃがにゃっ!」

 うるせぇ、また杓子(しゃくし)格子(こうし)(たた)いてやがる!

 お(まえ)さまは、そうやっておれの飼い主面(ぬしづら)をしてろ。

 おれが、いかに快適(かいてき)に過ごし、だらけきっているのかも知らずになぁ。


 この(おんな)は、猫族(ねこぞく)猫族共通語(ねこぞくきょうつうご)をしゃべれない。

 ゴーレムたちも、(はな)すことは出来(でき)ないらしい。


 おれが(だれ)で、オマエが(だれ)なのか?

 ここはドコで、この(ろう)(なん)だ?

 なんていう(はなし)は、まるで出来(でき)ていない。


 猫語(ねこご)共用語(きょうようご)に書きなおす(いた)が、出せりゃ良かったんだが――

 迅雷(ジンライ)収納魔法(しゅうのうまほう)が使えないから、どうしようもねぇ。

 というより、どうも(くび)うしろに居るはずの迅雷(ジンライ)居ねぇ(・・・)っぽい。


 つまり掛け値なしに、お手上(てあ)げだ。


 ガガンガンゴゴガガン♪

 また杓子(しゃくし)格子(こうし)を、(たた)(おんな)


 目玉(めだま)ギラギラのゴーレムが、付き(したが)ってる。

 今日(きょう)のヤツは、(ひと)(かたち)をしていた。

 (うま)蜘蛛(くも)(かたち)(ほう)が、まだましだぜ。

 気持(きも)(わる)さに拍車(はくしゃ)がかかって、見るにたえない。


 カタカタカタ――ン。

 そのおぼつかねぇ足音(あしおと)もやめろにゃ。

 気が滅入(めい)ってくるだろみゃぁ。


「にゃみゃがやー、みゃにゃん♪」

 いいからさっさと(あま)くねぇ菓子(かし)を持ってきてにゃ。

 ぬるくてあまりうまくない(さけ)と、ツマミ代わりの(とり)丸焼(まるや)きでもいいけどみゃっ。


 ゴーレムの足音(あしおと)につづく――――ぽっきゅぽきゅぽきゅきゅ――――ん?

 聞きなれた、ふざけた足音(あしおと)が聞こえてきた。


 格子(こうし)(ひら)かれ――――ぽきゅぽきゅと(おど)り込んできたのは。

 (ねこ)魔物(まもの)みたいな連中(れんちゅう)


「ららぁーん♪ きょうはおともだちを、つれてきてあげたらぁーん♪」

 ソレは、シシガニャンの群れだった。

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