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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
3:ダンジョンクローラーになろう

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290/744

290:ダンジョンクローラー(シガミー御一行様)、ねこのまものとアレ

 ドアを開け、(はい)ってきたのは――

「くふくひゅらーん♪ さぁ一体(いったい)どんなマモノが、ひっかかったのかしらーん♪」

 どうしてこう、この世界(せかい)女供(おんなども)は。

 (つよ)いヤツほど、そしてかつ、たぶんだが――

 高貴(こうき)なヤツほど、(かたぶ)いてやがるんだ!


 央都(おうと)(もよお)された宴会(えんかい)

 あの場にいた貴族(きぞく)連中(れんちゅう)に似た、しゃらあしゃらした(ふく)

 ソレに(おお)きな……(さか)さにした鉄瓶(てつびん)みたいな、(まる)(かぶと)

 (かぶと)には注ぎ口(くち)(ふた)つ付いてて、ソコから一房(ひとふさ)ずつ(かみ)が垂れている。


 そこまでは……まぁ良い。

 高貴(こうき)身分(みぶん)で、冒険者筆頭(ぼうけんしゃひっとう)のヤツも居るからな。

 しゃらあしゃらしたまま気ままに冒険(たび)に出て「せめて(あたま)だけでも(まも)れ」と、お付きの連中(れんちゅう)に言われたのかもしれんし。


 だが、その(かた)胸元(むなもと)袖裾(そですそ)(くつ)、しまいには背中(せなか)にとんでもなく――どでけぇ!?


「(おい迅雷(ジンライ)、ありゃなんだ? まさか、(うま)か?)」

 やたらと沢山(たくさん)(からだ)に付けられているのは。

 寸足(すんた)らずの四つ(あし)


 そんな、魔物(まもの)動物(どうぶつ)――(とく)(うま)みたいな……(つの)が生えてない鹿(しか)みたいなの。

 そういう生き(もの)に似せて(つく)られた、人形(にんぎょう)か?


「(そのようですね、馬車(ばしゃ)を引くために使役(しえき)される、(あし)(なが)魔物(まもの)酷似(こくじ)していま――――――ザヴユギュキ!)」


「っきゃぁぁぁぁ! 魔物(まもの)ららーん!?」

 迅雷(ジンライ)念話(ねんわ)を聞くやいなや、胸元(むなもと)馬人形(うまにんぎょう)をカラダから引きちぎって――

 (おも)い切り投げつけられた!


 っていうか、魔物(まもの)っておれのこと(・・・・・)かぁー!

 ぽこん♪

 猫耳頭(へっど)にぶちあたったが、全然(ぜんぜん)まるで(いた)くねぇ。

 コッチは二号(シシガニャン)を着てるしな。


 その油断(ゆだん)が、あだになった。


 ここは(ひと)子一人居(こひとりい)なくても、曲がりなりにも(てき)本丸(ほんまる)

 そして(わな)だらけの城中(じょうちゅう)を、平気(へいき)(ある)いてるヤツなんて。

 まともであるはずがなかったのだ。


 馬人形(うまにんぎょう)が、広がっていく(・・・・・・)


「みゃ――――――――!?」

 (おお)われる視界(しかい)

 (くろ)(なに)かで、(つつ)み込まれる。


「(なんだぜこりゃ!? 迅雷(ジンライ)!?)」

 返事(へんじ)がねぇ、それと二号(からだ)(きゅう)(おも)くなった。


「――、――――♪」

 なんかボソボソと、(こえ)が聞こえる。

 迅雷(ジンライ)ー! 五百乃大角(いおのはら)ー!

 聞こえてねぇのかぁ――――!?


 (やみ)のなか――ガチャガッチャガチャ、ゴッドドゴゴゴ、ゴドゴドゴドドン!

 地を割るような、うるせぇ。


 ガチャガッチャガチャ――ゴッドドゴゴォォン!

 どこかへ(はこ)ばれているのか?


 やべぇ、やべぇな。

 迅雷(ジンライ)もダメ、五百乃大角(いおのはら)も居ねぇ。

 二号(からさ)(うご)かねぇし、どーすりゃ良い?


 あ、まさか、この(しろ)(だれ)も居ねぇのは――

「(さっきの(おんな)(なん)かの魔法(まほう)か、(なん)かのスキルかぁ!?)」


 こいつぁいけねぇ、どーにかしねぇと。

 魔物(まもの)がすでに(たお)されてるなら、おれも(おな)末路(まつろ)をたどる。

 そしてもし、どこかに連れ去られてるってんなら――


 おれは魔物(まもの)たちが閉じ込められた場所(ばしょ)へ、(ほう)り出されることになる。


   §


 パッカパッカポッコポッコ♪

 しばらく(まえ)から騒音(そうおん)が止んで、これに乗せられてる。

 暗闇(くらやみ)(なか)、揺られること――どのくらいか。

 迅雷(ジンライ)画面(がめん)(なに)(うつ)し出さなくなっちまったから、まるでわからねぇ。


「んぎぎぎぎっ――――()ってぇなっ!」

 シシガニャンの(うで)から、むりやり自分(じぶん)(うで)を引っこ抜く。

「ひかりのたま」

 魔法(まほう)使(つか)える?

 あまりにも(ちか)くてまぶしいから、(あたま)(うえ)(ほう)(あかり)を追いやる。


 (くび)に掛けた(ひも)をたぐり、冒険者(ぼうけんしゃ)カードを取りだした。

『〇〇○/△△/××

 現在時刻 10:27』

 たしか玉座(ぎょくざ)()に飛びこんだのが、九時過(くじす)ぎくらい。

 それほど時間(とき)は、過ぎてなかったが――


 クエスト期限(きげん)は、明日夕刻(あすゆうこく)まで。

 (ガムラン)(もど)るのに一週間(いっしゅうかん)はかかりそうだし、火龍(ゲール)三号店(ねどこ)は「壊る(・・)」ちまうなー。


 パッカパッカポッコポッコ♪

 しかし、この揺られ(かた)は、まちがいなく(うま)だな。

 (ねむ)くなるぜ。

 さっき投げつけられた(うま)人形(にんぎょう)に、乗せられてんのか?

 いや、人形(アレ)はせいぜい……1シガミーの半分(はんぶん)半分(はんぶん)だった。


「ふわぁーあふぅ♪」

 パッカパッカポッコポッコ♪

 ううむ、(ねむ)い。


 (ほど)なくして――――ぱかり♪

 (きゅう)(あか)るい場所(ばしょ)(ほう)り出された。


「こんにちらぁーん、ねこのまものらーん♪」

 どうも、ふざけてるわけじゃなくて、地声(じごえ)がこうなのだな。

 鉄瓶(かぶと)を脱いださっきの(おんな)が、目のまえに居る。


 ココは、無数(むすう)魔法具箱(まほうぐばこ)で照らされていて、昼間(ひるま)のように(あか)るい。

 鉄格子(てつごうし)ごしに見た(おんな)(かお)には、まるで表情(ひょうじょう)というものがなかった。


「にゃみゃごにゃ――ぁ!」

 あっ、猫語(ねこご)しか(しゃべ)れねぇぜ。


 どうする?

 迅雷(ジンライ)が、黙りやがったままだ。

 まだ(めし)……神力(かみなり)十分残(じゅうぶんのこ)ってたはずだ。

 どういうわけだか、画面(がめん)(とお)して(そと)様子(ようす)だけは見聞(みき)出来(でき)るのが、せめてもの(すく)いだった。


温泉入浴(にゃにゃんみゃ)八町分(にゃーごにゃご)!」

 猫耳頭(へっど)を開ける呪文(じゅもん)を、(とな)えてみたけど(はず)れない。


「ららぁあぁん?」

 (おんな)仁王立(におうだ)ちで、猫耳頭(こちら)値踏(ねぶ)みしている。


 すこし(はな)れた(ところ)に、(べつ)(おり)が有って――(なか)には。

 ぐぅううわぉるぅぅぅぅうっ♪

 石吐(いしは)(おおかみ)(いろ)ちがい。

 まるでレイダが乗ってた特撃型(はでなニャン)みたいな、縞模様(しまもよう)

 (からだ)(おお)きいし、なんか(つよ)そうなのだけはわかる。


 アイツは、(なに)吐く(・・)んだろーなー?

 なんて(かんが)えてたら――――ガガンガンゴゴガガン♪


「みゃにゃにゃやーみゃん!」

 びっくりするじゃねーかよ!


 (おんな)杓子(しゃくし)で、格子(こうし)(たた)いたのだ。

 うるせぇぞ!

 (しず)かにしやがれやぁ、っていうかスグ出せいま出せ、とっとと出せ――みゃにゃぁ♪


 ヴッ――――じゃりぃぃん♪

 錫杖(しゃくじょう)を出した。


「えっ? いま武器(ぶき)を出したらぁーん?」

 (あと)ずさる(おんな)。見てくれは(わる)くないが、不気味(ぶきみ)(おも)えてきた。

 声質(こえ)五百乃大角(いおのはら)妖狐(ルリーロ)と、似たようなもんなのに――

 (なに)(かんが)えているのか皆目(かいもく)つかめねぇのだ。


 ギィィ――――戸が(ひら)(おと)

 そっちを見たら、ソレが居た(・・・・・)


「にゃ、みゃぎゃみゃぁぁぁぁっ――――!?」

 宝石(ほうせき)のような、きらびやかな(ひとみ)

 八つ(やっつ)ある()はひしめき合い、天高(てんたか)く伸びていて――

 (くち)のような(あな)からは、大筒(おおづつ)のような円筒(えんとう)が――

 三本(さんぼん)も突き出ていた。


 ソレ(・・)自分(じぶん)の背に大鍋(おおなべ)を乗せ、(おと)も立てずに目のまえまでやってきた。

 おれはソレ(・・)を、〝絵に描いてもらって〟、見たことがあった。


 ゴーレムとかいうやつだ。

 実物(じつぶつ)を見るのは、もちろん(はじ)めてだ。


 ニゲルが逃げるのも無理(むり)からぬと、つくづく納得(なっとく)した。

 その蜘蛛(くも)みたいな姿(すがた)をしたソレ(・・)は、直視出来(ちょくしでき)ないほど――(いびつ)姿(すがた)をしていた。

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