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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
3:ダンジョンクローラーになろう

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283:ダンジョンクローラー(シガミー御一行様)、川下りおわり

 ふぉん♪

『>ルートBには川を逆行できる強力な推進力が、

  必要なようです』

 じゃあ、はやくソイツを出せやぁ!


「――推進力ぅ? ないよ()――」

 はぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?


 ぽっぎゅ、ぽぽぎゅむ、ぎゅむ、ぼっごん――♪

 シシガニャン特撃型(とくげきがた)は、背中(せなか)をまるめてて――なんていうか。

 浮かべたタライだ。


 むっぎゅむ、ぽぎゅぽぎゅ、ぼぼぽん――♪

 どういうわけか(はな)れず、ひしめき合い――ぶつかる(おと)が、うるせぇ。


 けど、さぁぁぁぁぁぁぁ――――♪

 ながれる景色(けしき)清々(すがすが)しく吹く(かぜ)

 吹く(かぜ)

 まて、この服(シシガニャン)は――外の風も感じる(・・・・・・)のか?


 ふぉん♪

『>プロダクトアームのアブソーバーを任意稼働(にんいかどう)することにより、

  センシング・ワン程度(ていど)触感(しょっかん)再現(さいげん)しています』

 わからーん。

 けど、わるくねぇ。


 ふわさぁぁぁぁぁあぁぁ。

 (うえ)から見ていたのとは、まるで(ちが)景色(けしき)

 (とお)くの(そら)を、でけぇ蝙蝠(こうもり)みてぇなのが飛んでるけど――

 川遊(かわあそ)びでもしてる気分(きぶん)だぜ。


意外(いがい)(たの)しいですわね♪」

「お(じょう)さま、立ちあがらないでください!」

 そういう自分(リオ)は、立ちあがってるけどな。

 魔法杖(つえ)に乗る腕前(うでまえ)を見りゃ、落ちることもないだろうが。


「シガミー、もう一回(いっかい)! 落っこちる(ところ)からやりたい♪」

 なんて言ってられたのは、ほんの5(ふん)くらいで。

 ざざざざざざぁぁぁああぁぁああぁぁあ――――――

 (かわ)(なが)れはしだいに(いきお)いを増して――


 阿鼻叫喚(あびきょうかん)音声チャンネル(みんなのこえ)(しぼ)られ、(かす)かにしか聞こえてこなくなった。

 みんな(ゆる)せ、あとで五百乃大角(いおのはら)小突(こづ)いとくから。


 ふぉん♪

 地図(ちず)が切りかわる。

 山岳地帯(さんがくちたい)まで、この(なが)れがずっと(つづ)いてる。

 このままだと、魔物勢力地(まものせいりょくち)のど真ん(なか)まで一直線(いっちょくせん)だ。


   §


「ぷはっ、きゃっ、きゃははははははははっ――♪」

「ウヌォォ、ぐぬぬおぉぉォ――――!?」

 子供達(ガキども)(こえ)。生きてる証拠(しょうこ)だ。


 ドドドドドドドドォ、ドパァァァァァァァンッ――――!!

 ときおり(おそ)いくる落差(らくさ)(すさ)まじい急流(きゅうりゅう)

 ただただ(なが)され、すべり落ちていく。

 みんなはシシガニャンたちに(かか)えられ、荒れ(くる)(なみ)(なか)(いき)をするのも大変(たいへん)そうだ。


 どぼどぼどぼどぼぉぉん――♪

 ぽぎゅぽぎゅぽぎゅぎゅむ――♪

 たとえひっくり(かえ)ろうとも――――ぽっぎゅるるんっ♪

 かならず(うえ)を向く。

 濡れはするが、生活魔法(せいかつまほう)(からだ)(かわ)かせる。


 二号(にごう)を着てるおれは、どんな姿勢(しせい)でも関係(かんけい)ねぇけど――

 こう(はげ)しいと――(つれ)ぇ。

 (かえ)りたい、一刻(いっこく)(はや)(まち)(かえ)りたい。


「――ふう、もう(わたくし)覚悟(かくご)を決めましたわ――」

「――そうですね、なんどか(とお)った(みち)(つう)じているようですし――」

「――(たて)(よろい)仕舞(しま)います。魔物(まもの)(おそ)ってくる気配(けはい)もありませんので――」

 〝(たて)(よろい)に〟てのは、エクレアの(たて)(よろい)手甲(てっこう)収納(しゅうのう)できるように――

 烏天狗(ぼく)手甲(てっこう)細工(さいく)したヤツだ。


 荷物(にもつ)収納魔法(しゅうのうまほう)仕舞(しま)うことに無頓着(むとんちゃく)冒険者(ぼうけんしゃ)連中(れんちゅう)も、生活(せいかつ)(なか)(なが)かったり(おも)かったりする武器(ぶき)背中(せなか)(かつ)いで行動(こうどう)するのに――

 多少(たしょう)不便(ふべん)は、(かん)じていたらしくて。


 工房長(ノヴァド)から、まとまった(かず)仕事(しごと)(たの)まれてる。

 (まち)(もど)ってもやることが、いつまでもなくならねぇ。


 フェスタ後に、ひとまずだらけるはずが――

 おれはいまこうして――

 ――なぜか魔王城(いくさば)へ向かっているし。


 廃棄(はいき)された女神像(めがみぞう)をさがす(たび)に出られるのは、いつになるのか。


 ゴゴゴゴォォォォォォォォォォォォ――――――――!!!

 また突発的(とっぱつてき)急流(きゅうりゅう)か?

 揺られつづけること――何時間(なんじかん)でぇい?


 ふぉん♪

『>火山を出発してから3時間19分。

  平均河床勾配1/10の急流を、

  平均18ノットで2時間34分、流されました』

 わからん。

 もう(なが)れるのには飽きた、そろそろどっかの(きし)から(おか)にあがろうぜ。


 なんて言ってた矢先(やさき)――――▼▼▼(ププピー)

「――1(キロ)(さキ)断崖(だんガい)検出(けんしゅツ)衝撃(しょうげキ)(ソな)えてくだサい()――」


 先頭(せんとう)を行く、五百乃大角(いおのはら)(かか)えたゲールを(しょ)っ切りに。


 すぽーん、ぽぱーん、ぽすーん、ぽすぽーん――!

 すぽーん、ぽぱーん、ぽすーん、ぽすぽーん――! 

 小気味(こきみ)よく投げだされる、八連星(おれたち)


 (たき)だ。

 先世(せんせ)でも今世(こんせ)でも、お目にかかったことのないほどの。

 (した)から見上(みあ)げたら、さぞかし荘厳(そうごん)だろう。

 落ちていく。

 生身(なまみ)だったらまず(たす)からねぇ程度(ほど)(たか)いところから。


 ひゅるるるるるぅぅぅぅっ――――――――!!

 やべぇ――――最初(さいしょ)断崖(だんがい)とココまでの急流(きゅうりゅう)で、(すこ)しくらいの(たき)じゃ(どう)じなくなっちまってる。

 これは駄目(だめ)なやつだ。

 この気のゆるみは、全滅(ぜんめつ)につながる。


 ごごおごっごおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ――――――――!!

 (みず)しぶきの一粒一粒(ひとつぶひとつぶ)が、おれと一緒(いっしょ)に落ちていく。


 どぱぁーん、どぼぉーん、ごぼぉーん、ぱごぉーん――!

 もきゅーん、ろりゅーん、にゃりーん、めぎゅひゃぁーん――!

 なんかおかしな(おと)を立てて、滝壺(たきつぼ)に飛びこむ(やっ)つの(ほし)


 ごぼがばごぼがば――――二号()(なか)に居るおれ以外(いがい)は、滝壺(たきつぼ)のうねりに飲まれて大変(たいへん)だ。

 しかも(たき)落差(らくさ)は、最初(さいしょ)断崖(だんがい)ほどじゃなくても相当(そうとう)で。

 それ相当(そうとう)にふかく(しず)みこむわけで。


「(おい、みんなは大丈夫か!?)」

 ふぉん♪

『>バイタルに異常値は見られません。

  空中での自動制御により、互いにぶつかる心配もありません』


 どおっぷんっごぉわぉぉぉぉっ――――んぁ?

▼▼▼(ピピピッ)――――♪』

「(接触(せっしょく)までゼロ(びょう)直上(ちょくじょう)から来ます())」

 

 むっぎゅごっつん――(いて)ぇ、ぶつかってんじゃねーか!

 また猫の模様(じゅうごう)だ。(あぶ)なくてしゃーねぇーんだが!?


 ふぉん♪

『>シガミーの〝水泳上達〟ならびに〝潜水術〟による、

  水中での挙動に特撃型のオートクルーズ機能で、

  対処するのは困難です』

 (まえ)のヤツを追いかける(・・・・・)ヤツな。


 おれは滝壺(たきつぼ)をススイと(およ)ぎ、十号(じゅうごう)から(はな)れてやった。

 ごぼぼぼぼぼごごごおぉおぉぉっ――(あわ)視界(しかい)


 (う゛ぉぎゅう゛ぉぎゅう゛ぉぎゅう゛ぉぎゅぎゅむむむっ――――――――)♪

 不気味(ぶきみ)(おと)が、どこかでしてる。


 すこし(はな)れたところに、一筋(ひとすじ)泡柱(あわばしら)が立った。

 それは神域惑星(しんいきわくせい)で見た――――ぼぎゅぼこぴゅぅーん♪

 巨大(きょだい)河鱒(かわます)だかを一撃(いちげき)でノシた――――あの(いきお)い。


 (ぼぎゅぼこぴゅぅーん)♪

 (ぼぎゅぼこぴゅぅーん)♪

 (ぼぎゅぼこぴゅぅーん)♪

 つぎつぎと立つ、泡柱(あわばしら)


 ぼこみゅぎゅ――――!?

 一瞬(いっしゅん)(からだ)二号(にごう)に締め付けられた。


 つぎはおれの(ばん)か――――――――!!

 ぼぎゅごぽぽこぴゅぎゅりゅぼこぎゅっごぼがぼごぉぉぉぉぴゅぅーん♪

 ――――ざっぱぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!

 水面(すいめん)からとびだした。

 まわる視界(しかい)。とおくなる滝壺(たきつぼ)

 三号(さんごう)から九号(きゅうごう)までが――我先(われさき)へと落ちていく。


「「ふわふわうかべかるくなれ、ふわふわうかべかるくなれ、ふわふわうかべかるくなれ、ふわふわうかべかるくなれ、ふわふわうかべかるくなれ、ふわふわうかべかるくなれ、ふわふわうかべかるくな……るかも――――!」」

 大小(だいしょう)魔法杖(つえ)

 二刀流(にとうりゅう)のリオレイニア。


 生活魔法(せいかつまほう)お化けの元給仕長(もときゅうじちょう)にして、おれの生活魔法(せいかつまほう)の師。

 修行中(しゅぎょうちゅう)(すず)しい(かお)で、いろんな魔法(まほう)披露(ひろう)してくれる彼女(かのじょ)

 その(かお)が、(けわ)しい。


 ぽきゅり、ぽきゅる、ぽきゅら、ぽきゅれ、ぽきゅろ、ぽきゅん、ぽきゅどたり――――♪

 全員無事(ぜんいんぶじ)着地(ちゃくち)した。


 (たき)正面(しょうめん)には地面(じめん)があり、(かわ)(よこ)に抜ける大穴(おおあな)(なが)れこんでいる。

 なるほど、(かわ)途中(とちゅう)出来(てきた)段差(だんさ)が……(たき)になってるんだな。


 ぐるぐるぐるるるるっ。

 まわる視界(しかい)、揺られつづけた最後(さいご)に――――これは。

 酔った、吐きそうだ。


 ふぉん♪

『>着用者の随意評価が低下、一時的な酩酊状態と判定。

  緊急姿勢制御――ジャイロマスター作動します』


 ぽぎゅっきゅきゅん――――うぇぇぇぇーぃ!

 ゆらすなぁぁぁぁ――――さっき(おぼ)えた空中(ちゅう)(あし)を蹴る(うご)き。

 あの何倍(なんばい)(するど)いのが、二号(おれ)(あし)から繰りだされた。


 キュルュリュンッ、ぎゅるるるるうぇっぷるっるっ――――ぽきゅわぁんっ♪

 二号(おれ)着地(ちゃくち)。それはそれは見事(みごと)だったらしい。


 きゅるゅりゅんっ、ぎゅるるるるるっるっ――――ぽきゅにゃ♪

 寸分違(すんぶんたが)わぬ(うご)きで二号(にごう)の、うしろ頭(。。。。)着地(ちゃくち)する――十号(じゅうごう)


 (けわ)しい山岳地帯(さんがくちたい)裾野(すその)に空いた、巨大(きょだいな)(あな)


 滝壺(たきつぼ)から飛びだして、華麗(かれい)着地(ちゃくち)した(さき)は――

 またもや地下洞窟(ダンジョン)


「うっぷっ、うげぇぇぇぇぇぇぇぇっ――――――――!!!!」

 おれは吐き、気を失った。

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