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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
3:ダンジョンクローラーになろう

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278/744

278:ダンジョンクローラー(シガミー御一行様)、ゲール少年

「――翼膜(よくまく)虹彩(こうさい)特徴(とくちょう)ハ、99%合致(がっち)してイま()――」

 背中(せなか)(つばさ)蜥蜴(とかげ)(まなこ)は、間違(まちが)いなく火龍(かりゅう)のソレだが。

 しっぽはなくて……手足(てあし)(ひと)と変わらない。


 それに、よくよく見れば、どことなく――

 (かお)つきと燃えさかるような(あか)(かみ)が、(ほのお)を統べる(りゅう)(かたど)っている。


「くすくす、あのボロボロの(ふく)。シガミーの部屋(へや)にあったのにそっくり♪」

 レイダがそんなことを言う。

 そういや(ふく)を、着てやがるぜ。

 おれがこの世界(せかい)に来たときにも、ボロ(ぬの)を着てたから――

 そういうもんなのかも、知れねぇ。


「ウヌゥ。これ以上分割す(わけ)ると、(なが)くはもたぬ……」

 図体(ずうたい)のでかい少年(しょうねん)が、大蜥蜴(おおとかげ)からおりる。

 グッギャギュギュギッ――ジロジロリ!?

 ボッボゥワッ――(あた)りを見わたす大蜥蜴(おおとかげ)(くち)からチロチロと、種火(たねび)のような(ちい)さな(ほのお)が、見え(かく)れしている。


 少年(しょうねん)(ゆか)に手をつき――「ヌオワァ――――フム!」


 ズゴドドドドドゴゴゴォォォォン!

 ぐわらぐらわ、らららわっ!

 ふたたびの地響(じひび)き。


「グッギャルルルルッ――――!」

 ボゴゥゴォウ、オゥワッ!

 地が爆ぜ、(とどろ)獣声(じゅうせい)

 少年(かれ)(あし)(した)から姿(すがた)(あらわ)したのは、燃えさかる何か(・・)

 それはまるで地の(そこ)から、(ほのお)化物(ばけもの)を呼び出したかのよう。

 少年(しょうねん)(ほのお)の四つ(あし)に、またがっている。


「燃える蜥蜴(とかげ)が――増えた!?」

 ドシドシンッ――(ほのお)蜥蜴(とかげ)(しょう))が地を踏みしめる。

 その(おと)(おどろ)いた(ほのお)大蜥蜴(おおとかげ)が、(あた)りを(はし)(はじ)めると――グワラララッ!


 またすっ(ころ)ぶ、おれたち。

 ガチャガチャァァン――パリパリィィン!


「おなべがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――――!?」

 取り(みだ)すな、みっともねぇ!

 それ、さっきもやっただろーが!


 カシャ――『(>д<)』

 ヴォォォォン♪

 浮かぶ(たま)に乗って、拠点(なべ)へすっ飛んでいく御神体(いおのはら)


 ズドドッド――ドガン!

 蜥蜴(とかげ)(だい))が蜥蜴(とかげ)(しょう))にぶつかった!

 グッギャォォォオオォォォォッ――――ギャギャギャガヤァオォォォオオォォオッ!!!


 すぽーん――――ぺちゃりっ!

 小蜥蜴(ことかげ)の背から振り落とされたゲール少年(しょうねん)が、ムクリと(からだ)を起こした。


「グヌゥ、コチラが研ぎ澄まされると、アチラが(ニブ)る――やはり普通(フツウ)魔物(マモノ)のように(アバ)れ出すようだな」

 少年(しょうねん)(あか)(かみ)(みどり)がかった茶色(ちゃいろ)に、変わってる。

 (かお)つきも(ひと)のソレで、背中(せなか)羽根(はね)もなくなり――なによりも(おお)きさがレイダと変わらなくなった。


 ドッガンバッガン――――ギュギョギュリュリュリュグググゥルル!

 二匹(にひき)(ほのお)床壁(ゆかかべ)を、縦横無尽(じゅうおうむじん)蹂躙(じゅうりん)する。

 グワラグワラグワラ――――ドゴドゴバガガァン!

 (かべ)(くず)れ、地が割れる!


(なが)くは持たねぇって――洞窟のこと(・・・・・)かぁっ!?」

 ドガン――(ちい)さな(いわ)が、ゲール少年(しょうねん)脳天(のうてん)直撃(ちょくげき)

「バカ、(あぶ)ねぇ! 迅雷(ジンライ)――金剛力だ(パワーアシスト)――!」

 バッ――おれは跳びはねる。

 金剛力(こんごうりき)使(つか)うには、体に迅雷(ジンライ)機械腕(かいな)を張りつけねぇといけない。

 そのためには、真上(まうえ)に飛ぶのが一番(いちばん)(はえ)ぇ。


 『▲▲▲(ピピピッ♪)

 ブブブブッキャチャカチャキャチャ――ぱしゃん!

 うしろ(あたま)に取りついた迅雷(ジンライ)が、細腕(かいな)をおれに巻き付ける。


 スタン――一足(ひとあし)で駆けよると、コッチをみあげる少年(しょうねん)


問題(モンダイ)ない」

 平気(へいき)っぽい――けど、血がたらり。

「ヌゥ?」

 バタリと(たお)れる。

 平気(へいき)じゃないっぽい。


「でぇぇぇぇいっ――――!!」

 ガシリッ、スタタァーン♪

 ガシリッ、「きゃっ!?」トトォン――――!

 子供二人(こどもふたり)(かか)えて、拠点(きょてん)へ逃げこむ!


「シガミー、はやく!」

 入り(ぐち)に飛びこむと、大盾(おおたて)(かつ)いだエクレアが――入り(ぐち)をふさいだ。

 ――ドゴガガァン!

「はぁーはぁーはぁー! や、やばかったぜ」

 燃えさかる(ちい)せぇ(ほう)(とかげ)は、この入り(ぐち)(とお)り抜けられる。

 (なか)(はい)られなくて、(たす)かった。


 どざざざ、ズザザァ――(タお)レ込ムなり迅雷(ジンライ)が、「――シガミーッ、跳んでくだサい()――」

 (やぶ)から(ぼう)にどうしたぁ!?


「でぇいっ――――!?」

 両手両足(よつあし)(うえ)に飛んだ!

 かっしゃ――チャキャチャカチャキャ――ブッツンッ!

 細腕(かいな)が、迅雷(ジンライ)に巻きとられて――ヴヴヴゥーーン!

 迅雷(ジンライ)がはずれて、どっか飛んでいく。


 くそう、空中(ちゅう)(からだ)をひねるくらいはお手の(もの)の、この(からだ)だが。

 迅雷(ジンライ)金剛力(かいな)をはずす(あいだ)は、自由(じゆう)がきかねぇ――

 おれはレイダとゲール少年(しょうねん)(あいだ)に、ドスンと落ちた!

「痛ってぇ!」


 給仕服(メイド)が――ちょうど良い(なが)さになった銀色(ぎんいろ)(ぼう)をつかむ。

「――――ひかりのたて、ひかりのたて!」

 エクレアの背に向かって(はな)たれる、曼荼羅(もんよう)


 火龍(かりゅう)()喧噪(けんそう)(とお)ざかり――エクレアがそっと(たて)をはずす。

 〝ひかりのたて〟は入り(ぐち)二重(にじゅう)にふさぎ、(ねつ)(おと)もほとんど(とど)かなくなった。


「ふぅー。これでひとまずは安心(あんしん)ですよ……こちらどなた?」

 迅雷(ジンライ)空中(ちゅう)(はな)し、(ひたい)から血を(なが)少年(しょうねん)に駆けよる――(しろ)仮面(かめん)給仕服(きゅうじふく)


(いた)くはないですか? ひとまずコレを、飲んでください」

 ゲールの血ぬれの(ひたい)をソッと拭いて、ポーションを飲ませてやる慈愛(じあい)化身(けしん)リオレイニア。


「そいつは、ゲールだ」

「あらまぁ♪ とても、かわいらしい姿(すがた)に」


(なに)ごとですの――!?」「大丈夫(だいじょうぶ)かい!?」

 甲冑一式(かっちゅういっしき)装備(そうび)した(ひめ)さんと、錆びた(けん)をかついできたニゲル青年(せいねん)


 (いた)(ひじ)をさすりつつ、巨大鍋(きょだいなべ)を見たらフッカと、機械腕(かいな)を生やした浮かぶ(たま)が、必死(ひっし)形相(ぎょうそう)死守(ししゅ)してた。


「(おい、(ソイツ)はひとまず仕舞(しま)っとけ!)」

 迅雷(ジンライ)――手が空いたなら、あっちを手伝(てつ)ってヤッてくれ。

「――了解(りょうかイ)しまシ()――」


 (ドガガァン――――グォゥルルルッギゥッ)!

 (ドドガガァァァン、ジタバタタァァン――――グッギャゥオゥルルルゥゥゥゥゥッ)!

 ひかりのたては、向こうが透けて見える。

 (いい)きいのと(ちい)さいのの、二匹(にひき)

 小蜥蜴(ことかげ)が、ひどく大暴(おおあば)れしてる。


「シガミー! ゲールが(おとこ)の子になっちゃったよ!?」

 (いま)のゲールは、(ひと)と変わらない。

 むしろヒトよりも非力(ひりき)に見える。

 はしゃぐ子供(こども)に抱きつかれ、(あお)(かお)をしている。


「そうだなぁ、なんでまた姿(すがた)を変えたり出来(でき)るんだ?」

「エリアボスに昇格(ショウカク)すると色々(イロイロ)なコトが出来(デキ)るようになるのだが、その(ナカ)でも〝人化(ジンカ)〟は初歩的(ショホテキ)なものだ」

 ポーションがきいたのか、ゲールの顔色(かおいろ)が良くなった。


初歩的(しょほてき)……それはおかしいですわ」

「なにがだい、リカルルさま?」

 ニゲルも咄嗟(とっさ)のときには、こうして普通(ふつう)(はな)せてる。

 いつもこうなら、なんとかなるかも知れねぇのに。


(いま)まで(ひと)姿(すがた)魔物(まもの)確認(かくにん)されたのは――魔王(まおう)一体(いったい)だけですわよ?」

「グヌゥ? ワレの(ホカ)にも姿(スガタ)を変える(モノ)()るではないか」

 そう言って少年(かれ)は、かたわらの少女(レイダ)(ゆび)さした。


「このレイダは、まだ(ヒト)幼体(ヨウタイ)でアリながら、(ネコ)のような姿(スガタ)変化(ヘンゲ)していたであろう?」

 あー、コレを説明(せつめい)するのには(すこ)時間(じかん)が掛かった。


   §


「せめてむこうの二匹(にひき)を――ひとまとめ(・・・・・)には出来(でき)ねぇか?」

「ヤッテみよう」

 子供(レイダ)を張りつかせたままの子供(ゲール)が、ひかりのたて越しに手をかざすと――

 スポスポン――小気味(こきみ)良い(おと)

 燃えさかる蜥蜴(とかげ)(だい))((しょう)二匹(にひき)が、より(おお)きな燃えさかる蜥蜴一匹(とかげいっぴき)になった。


 グゥゥウゥゥォルルルルルルゥ――――――!?

 止まったのは、ほんの数秒(すうびょう)――――ドガドガドガドガッズゴゴゴゴゴォォォォンッ!

 入り口(こっち)に向かって、体当(たいあ)たりをしてきた。

「おれたちを、(ねら)ってやがる!」

 アレを(たお)しちまうわけには……いかねぇよなぁ。


「ワレの半身(ハンシン)(タオ)しても、かまわぬぞ。魔力不足(マリョクブソク)で、店主(テンシュ)が言った〝ダンジョン経営(ケイエイ)〟は(かな)わぬコトになるが――」


「じゃぁー、ダメよっ! ミノタウ素材(そざい)まわりで融通(ゆうずう)を利かせてもらう交換条件(こうかんじょうけん)

としてぇー、〝魔法(まほう)修練所(しゅうれんじょ)〟はないと(こわ)()

 巨大鍋(なべ)をなんとかしまい込んだらしい御神体(いおのはら)が、フッカの手に乗せられやってきた。


「「「「(こま)る?」」」」

「んーん、「(こわ)る!」よ。ルリーロちゃんがぁ「お約束(やくそく)ぉー(やぶ)ったらぁー、火龍(かりゅう)寝床(ねどこ)とこの辺一帯(へんいったい)、まるごと(こわ)る」って言ってた()

 (こわ)る?


 ふぉん♪

『>とても強い怨念を感じます』

 リオレイニアのひかりのたてで、強固(きょうこ)(ふせ)がれてるけど。

 ずっとココに居るわけには、いかない。


「じゃぁ、どーすんだこれ?」

 (なに)より、明日(あした)には(まち)へ向かって出発(しゅっぱつ)しねぇと――

 クエスト失敗(しっぱい)で、依頼者(いらいしゃ)から「壊る(・・)」されかねない。

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