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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
3:ダンジョンクローラーになろう

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277/744

277:ダンジョンクローラー(シガミー御一行様)、火龍とレイダ

「――ダンジョン・トラップ<混乱(コンラン)>が、発動(ハツドウ)したワケではないのだな?――」

 みんなに持たせた耳栓(みみせん)は、手直(てなお)しに手直(てなお)しを(かさ)ねて、いまでは全部(ぜんぶ)種族(しゅぞく)(あたま)に付けられるようになった。

 (つく)るときに(おお)きさを変えてやれば――こうして火龍(ゲール)だってつかえる。


「ああ、安心(あんしん)してくれ」

 すんでの(ところ)で、大騒動(おおそうどう)にならずに済んだ。


(へん)所見(ところみ)せちゃって、(わる)かったわねぇー()

 お前さま(いおほはら)からしたら、いつもの食い意地(いじ)だけどな。

 おれの(あたま)(うえ)

 巨大鍋(きょだいなべ)四分(よんぶん)(いち)を、ひとりで(たい)らげた御神体(ごしんたい)(はら)(ふく)れてる。

 こころなしか(おも)い気もするからひっつかんで、あとを付いてきた子供(レイダ)手渡(てわた)した。


「そういえば火龍(かりゅう)さんは、(なに)を食べるの?」

 袈裟(けさ)のように上からかぶる、しゃらあしゃらした(ふく)

 そのへその(あた)りについた物入れ(ポケット)に、ギュッと仕舞(しま)われる御神体(びのめがみ)


「ムゥ? (ヒト)幼体(ヨウタイ)が増えている? 繁殖(ハンショク)したノカ?」

「(ちがうちがう、こいつはあの〝(ねこ)魔物(まもの)〟みたいなヤツの中身だ(・・・))」

「(ムム? 店主(てんしゅ)(こえ)が、聞こえる)」

 すまん。つい念話(ねんわ)使(つか)っちまった。

 ココに居ないから良かったけど――貴族連中(きぞくれんしゅう)……えっと(ひと)魔王(まおう)みたいな。

 なんて言やぁ良い、迅雷(ジンライ)


 ふぉん♪

『>まさにエリアボスと呼べば良いのでは?』

 んー、そうなのか?


「――ゲール、緊急時以外(きんきゅうじイがい)念話(ねんワ)使用(しよウ)ヲひかえてくダさい。(ひト)生息域(せいそくイき)にオけるボスで有ル狐耳族(きつねみみゾく)……天高(てんタか)(トが)っタ(みミ)を持ツ種族(しゅゾく)ノ、まえでは(とク)()――」


「(ひとまず、おれ以外(いがい)のヤツが念話(ねんわ)使(つか)うと、攻撃(こうげき)される場合(ばあい)が有るって(おぼ)えておいてくれ)」

「(わかった)」

 だから使(つか)うな。

「――うぬぅ?――」

 火龍(ゲール)身動(みじろ)ぎをする。


 すたたと、(おおき)きく下がる子供(こども)

 そうだな、ソレで良い。

 シシガニャンなしで触ると火傷(やけど)しそうだからな。


「それで火龍(かりゅう)さんは、(なに)を食べるの?」

 よっぽど知りたいらしい。

 こんなにでかくて火を吐く蜥蜴(とかげ)なんぞ、女子供(おんなこども)(きら)うもんじゃねぇのか。


「――幼体(ヨウタイ)は、レイダと言ったか?――」

「うんそう、(わたし)レイダ! ただのレイダよ♪」

 お(まえ)さんには〝クェーサー〟っていう、立派(りっぱ)氏名(うじな)があるだろーが。


「――フム。ワレは雑食(ザッショク)だ――」

雑食(さっしょく)……(ざつ)なごはん? なんで(ざつ)なの?」

 うるせぇ、子供(こども)か。


「――本当(ほんとー)(ところ)わぁ、どーなのぉん? 魔物(まもの)(ひと)も食べちゃうのぉぉんぉん()――」

 耳栓(みみせん)から聞こえる、ふざけた声色(こえ)

 五百乃大角(いおのはら)だ。

 ささやくような(こえ)で、こっそりと(はなし)に混ざってきた。

 うまい(めし)をたらふく食って、食欲(しょくよく)が満たされて。

 (めずら)しく飯以外(めしいがい)のことに、気でも向いたのかもしれん。


「――ウヌゥ? ワレは(ヒト)は食わぬ。魔石(マセキ)のない(ヒト)など食べる魔物(マモノ)()らぬ――」

「じゃぁ、(なに)を食べるの? (とり)(うさぎ)?」

 子供(こども)、うるせぇ。


「――普段(フダン)はソコラに生えた、適当(テキトウ)鉱石(イシ)を――」

 火龍(かりゅう)が手を伸ばし、(かべ)から生えた――(めず)しくもない(とが)った(いし)をむしり取る。

 それを(つめ)器用(きよう)につまみ、ガッギャガッギャゴギャギャギギ!


「うるせぇ!」

「うるさぃ♪」

 火龍(かりゅう)(いし)を、むさぼり食う。

 (いし)のかけらが飛び散って(あぶ)ねぇから、(おく)拠点入(きょてんい)(ぐち)まで(はな)れた。


「――ちょっと引くわねー……よいしょっと。もしあたくしさまが「(いし)でも食ってろ」なんて言われたら……絶対(ぜったい)(ゆる)さないわよいしょっと……むこう(ひゃく)不可説不可説転(ふかせつふかせつてん)億年(おくねん)くらい(たた)自信(じしん)あるっ()――」

 レイダの(ふく)を、よじ(のぼ)(はじ)める御神体(ごしんたい)

 (からだ)(うご)かすのは良いことだが、その永劫(えいごう)単位(たんい)はやめろ。


「しかしそうだなぁ。(なん)でも食えるなら、(いし)ばかりってなぁ――味気(あじけ)ねぇやなぁ」

「じゃぁ、アレ(・・)っ――火龍(かりゅう)さんにも食べさせたいっ!」

 子供(レイダ)(ゆび)さしたのは――魅惑(みわく)蠱惑(こわく)狂乱(きょうらん)(かお)り。


 突きだした(うで)に、よじ(のぼ)り――てちてちてち。

 ばっ!

 巨大鍋(きょだいなべ)に立ち(ふさ)がる、美にして飯の(かみ)

 五百乃大角(いおのはら)……おまえは本当(ほんとう)に、大人(おとな)げがねぇなぁ。


「良ぃーじゃねぇーか、ひと(さら)ぐれぇ。ありゃたしかに、いつでも食えるもんじゃねぇだろう?」


「ばかねっ! そのひと(さら)が、お鍋一個分(・・・・・)になるでしょ!?()

 必死(ひっし)か!

 あの巨大鍋(きょだいなべ)にはまだ、半分以上(はんぶんいじょう)シチューとやらが(のこ)ってる。

 けどたしかに――火龍(ゲール)を振りかえる。


「フッカさん、ちょうど良いや。その(あら)った(うつわ)、ちょっとかしてくれる?」


「良いですけど、(なに)使(つか)うんですか? まさか、まだオカワリするの?」

「するかっ、もうこれ以上(いじょう)は入らん!」

 まるで五百乃大角(いおのはら)みたいな、(ふく)れた(した)(ぱら)(おさ)える面々(めんめん)


 かちゃ――(うつわ)をひとつかりて、火龍(かりゅう)()へもどる。


「おれたちが食う(めし)(りょう)は、こんなもんしかねぇんだが。こんなんでも、(あじ)くらいはわかるか?」


「ウム。ウヌラをあそこまで狂乱(キョウラン)させた(モノ)に、興味(キョウミ)がわいた。(スコ)し下がれ」

 火龍(かりゅう)(あた)りに(だれ)も居ないことを、確認(かくにん)してから――


 岩壁(いわかべ)(つめ)を立て――「ヌオワァ――――フム!」


 ズゴドドドドドゴゴゴォォォォン!

 ぐわらぐらわ、らららわっ!


 ガチャガチャァァン――パリパリィィン!

 グワラララッ――なんかが色々割(いろいろわ)れて(くず)れてる。


 すっ(ころ)ぶ、おれたち。

 真っ(さき)に、「おなべがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――――!?」とわめく御神体(いおのはら)

 つられて巨大鍋(なべ)をみたらエクレアとニゲルが、必死(ひっし)に押さえてくれてた。


「ふう、大丈夫(だいじょうぶ)かレイダ?」

「うん、へーき♪」

 起きあがり(ちい)さな手で、おれよりは(すこ)しだけ(おお)きな手をとる。


 おそるおそる火龍(かりゅう)()をのぞくと――――ソコには。


「グッギャワオォォォォォォウ――――グルルルッ!」

 荒れ(くる)(ほのお)

 蜥蜴(とかげ)(かたち)をした――燃えさかる何か(・・)


 それと、もうひとつ。

「――店主(テンシュ)よ。コノ姿(スガタ)ではドウか? (ヒト)としての意識(イシキ)抽出(チュウシュツ)してみた――」

 燃えさかる何か(・・)にまたがるのは、少年(しょうねん)のすがた。

 あれ? かろうじて(あたま)に乗ってるのは、ひょっとして……耳栓(みみせん)じゃね?


「おまえ――〝牙江戸瑠伏(げえとるぶ)〟かっ!?」

 (ひと)意識(いしき)ってなんだ、オマエは火龍(かりゅう)だろーが!

 それと――


「――どーせなら、もうひとこえ! あと半分(はんぶん)だけ(ちい)さく出来(でき)なぁーいぃー!?()――」

 (うな)(ごええ)と、燃えさかる業火(ごうか)

 その騒乱(そうらん)(なか)耳栓(みみせん)にとどく五百乃大角(いおのはら)(こえ)

 それは至極(しごく)もっともで。


 少年(しょうねん)(おお)きさは、大男(エクレア)倍くらい有った(・・・・・・・)

不可説不可説転/仏典に記された最大の数詞。悟りをひらく徳の途方もなさを、表したもの。10の37澗乗。

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