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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
3:ダンジョンクローラーになろう

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270/744

270:ダンジョンクローラー(シガミー御一行様)、エリア最強タイトルホルダー

「えーっとねー、これ(かみ)(ほん)だから検索機能(けんさくきのう)とか付いてないのよねー……ぱらぱらららっらっ、ぺらぺらり()

 たしかに(かみ)をめくる(おと)が、(ひか)(かがや)く……(した)(ぱら)あたりから聞こえてきた。

 五百乃大角(いおのはら)は浮かぶ(たま)をあやつり、(ひと)姿(すがた)(うつ)し出している。


 ココは三階分(さんかいぶん)の地の(そこ)

 そこら(ちゅう)が溶けた(いわ)や、灼熱(しゃくねつ)(なが)れに(おお)われている。

 神力棒(しんりょくぼう)……迅雷(ジンライ)(めし)背中(せなか)(はこ)に刺した、(ねこの)魔物(まもの)

 その(なか)(はい)ったレイダ以外(いがい)は、全員汗(ぜんいんあせ)だくだった。


 さすがに火龍(かりゅう)のそばでは、リオレイニアの生活魔法(せいかつまほう)も効きが(わる)い。

 かといって、いまだにメキメキと(おと)を立てて(ひろ)がり(つづ)ける――――フッカの〝焦げる木〟で完全(かんぜん)(おお)ってしまったら――

 火龍(かりゅう)倒れかねない(・・・・・・)


 すでに半分(はんぶん)、ひっくり(かえ)ってるしなー。

 (たお)すにしても、(はなし)を聞いてからで。


(わタし)ナら(ゼん)ページに(わタ)っテの精査(せいサ)可能(かノう)でス。こノ(さイ)、『シンシナティック・ニューロネイション (ちょう)攻略絵巻(こうりゃくえまき)読本(どくほん)』へのアクセス(けン)(わたシ)貸与(たいヨ)してみテは()

 迅雷(ジンライ)攻略本(とらのまき)目次(あたま)奥付(さいご)を見たり、気になる事柄(ことがら)(かん)する文言(ぶんしょ)在処(ありか)は知ることが出来(でき)る。

 だが肝心(かんじん)(ところ)は、五百乃大角(いおのはら)にしか読むことが出来(でき)ない。


「そーのーてーにーわぁー、のーりーまーせぇーんーっだっ♪ ……ぱらぱらら、ぺらぺらり()

 迅雷(ジンライ)収納魔法具(しゅうのうまほうぐ)(なか)にも、五百乃大角(いおのはら)(うつ)し出されている。

 コッチのは、寸足(すんた)らずの梅干(うめぼ)しみたいなヤツだが。


「そーだな。あまり(きび)しいことを言ってやるな迅雷(ジンライ)神々(かみがみ)(ふね)使(つか)えないコイツさまは()()(かえ)れねぇんだから、(すこ)しぐれぇの見せ金代(がねがわ)わりが欲しいんだろうよ」

 ふぃー、どっこらせと、(いし)(つく)った(かた)椅子(いす)(こし)をおろした。


 (ちゃ)を入れても煮だるし、饅頭(まんじゅう)を出しても焦げちまう。

 そんな(かまど)(なか)みたいな有様(ありさま)ではあるが、穏便(おんびん)(はなし)(すす)んでいる。


「それで、火龍(かりゅう)のアナタ……お名前(なまえ)(なん)だったかしら?」

 高貴(こうき)指先(ゆびさき)が、大蜥蜴(かりゅう)無遠慮(むえんりょ)に指ししめす。

 甲冑(かっちゅう)上半分(うえはんぶん)胸当(むねあ)以外(いがい)はずしたから、いくらか涼しそう……でもねぇな。

 (あつ)いもんは(あつ)い。


「――ワレの名は、ゲートルーブだ。斬魔(ザンマ)(ヒメ)よ――」

 燃えない迅雷(ジンライ)式隠(しきかく)(みの)で、どでかい布団(ふとん)――寝床(ねどこ)(つく)ってやったら、大人(おとな)しくそこへへたりこんだ火龍(かりゅう)

 火山一帯(かざんいったい)(おさ)める、エリアボスとかいう強敵(きょうてき)のくくり。

 ソイツが(した)をだして、目を閉じた。

 なんだか、とても強敵(きょうてき)に見えなくなってきたぞ。


 タダでさえ調子(ちょうし)(わる)(ところ)に出くわした冒険者(ぼうけんしゃ)が、よりにもよっておれたちってのは……災難以外(さいなんいがい)(なに)ものでもねぇ。


 ぶった切りがなくても十分(じゅうぶん)ガムラン最強(さいきょう)ではある、(ひめ)さんの剣技(けんぎ)

 魔法(まほう)を乗せられる大盾(おおたて)使(つか)黒騎士(くろきし)に、魔法(まほう)光盾(たて)をつかう凄腕(すごうで)高等(こうとう)生活魔法使(せいかつまほうつか)いの組み合わせ。

 しかも迅雷(ジンライ)という桁外(けたはず)れの魔法杖(まほうつえ)を――手にしちまってる。

 そしてダメ押しの――火を喰らう木を生やす魔法使(まほうつか)いまで、本当(ほんとう)にたまたまだが連れてきちまった。


 そのうえ、この世界最強(せかいさいきょう)……は言い過ぎだが、このおれ(・・)も居るしな。

 この世界最強(せかいさいきょう)は――(いま)のところ、妖狐(ようこ)ルリーロか?

 刺しちがえるなら、退治出来(たいじでき)ねぇこたぁねーと(おも)うけどよ。


 ――石机(いしづくえ)の空いた(がわ)に、立てられた(ふだ)を見た。


『魔王軍第一エリア統括

 火龍ゲートルブ(224)

 所属:旧魔王軍』


「――ざ、斬魔(ざんま)(ひめ)……プグフッヒブフブッ……きょ、凶暴(きょうぼう)そう――ニャッ♪――」

 (はら)(かか)えた(ねこ)魔物(まもの)

 そのまえに立てられたのは、燃えない迅雷(ジンライ)式隠(しきかく)(みの)とジンライ(こう)(つく)った――立て(ふだ)


『駆け出し魔法使い/猫の魔物きぐるみ/ガムラン町ギルド支部長の娘

 レイダ・クェーサー(13)

 所属:シガミー御一行様』

 ソコにはそう書かれていた。


「れ、レイダ。言ってはいけません……んぐっ♪」

 くの字に折れ曲がり、石机(いし)に突っ伏す給仕服(きゅうじふく)

 すげぇ(おと)がしたけど、仮面割(かめんわ)れてねぇよな。


『生活魔法師/高位の魔術師/コントゥル家元給仕長/堅物モテ女子/白い悪魔

 リオレイニア・サキラテ(19)

 所属:シガミー御一行様』

 なんて書かれた(ふだ)(たお)れた。


 リオレイニア(オマエ)結構(けっこう)なことを、書かれてるぞ。

 ちなみに書いたのは迅雷(ジンライ)、書かせたのは五百乃大角(いおのはら)だ。


「そこ、やかましいですわよ?」

 彼女(リカルル)のまえに立てられた、(ふだ)には――

『ガムラン代表/斬魔の姫/コントゥル伯爵家令嬢/戦闘狂

 リカルル・リ・コントゥル(18)

 所属:聖剣切りの閃光』


 〝牙江戸(げえと)なんたら〟には、特大(とくだい)耳栓(みみせん)(つく)ってやった。

 小声(こごえ)(はな)してもらえると、熱風(ねっぷう)が来なくて(たす)かる。


 (べつ)のテーブルには――

『消火の魔術師

 フォチャカ(20)

 所属:深遠の囁き』

 フッカは、こんな名前(なまえ)のパーティーに(はい)ってたのか。

 まえの顔色(かおいろ)(わる)さならいざ知らず、いまの元気(げんき)がケープをまとって(ある)いてる(かん)じだと――どーなの? って気がしないでもない。


『黒い騎士/コントゥル家護衛隊/新婚

 エクレア・トルティーヤ(25)

 所属:聖剣切りの閃光』

 この(つら)の良い(かれ)には付いてきてもらって、本当(ほんとう)(たす)かった。

 やっぱり大盾(おおたて)も、獲亭屋(とるていや)家の家宝(かほう)だったりするのかもな。

 大盾(あれ)はいろいろ使(つか)えたから、コレから(つく)家宝(かほう)参考(さんこう)にしたい。


『猪蟹屋店主/美の女神の料理番/日の本出身/魔物境界線第一エリアタイトルホルダー

 シガミー(10)

 所属:シガミー御一行様』

 そしておれだ。

 なんかごちゃごちゃ書かれてて、おれの(ふだ)文字(もじ)がいちばん(ちい)せぇ。


 とにかくコッチのテーブルには、三人(さんにん)すわってる。

「あった、あったわよ! エリアボスわぁ弱体化(じゃくたいか)させるとぉー、(はな)すヤツが居るらしいってさー()

 その(うつ)し身の(くび)からも、(ふだ)か下げられている。


『美の女神/イオノフ教開祖/ガムラン町食育理事会代表取締役/猪蟹屋御神体

 イオノファラー(17)

 所属:なし』

 おい、(めし)(かみ)とか大食漢(たいしょくかん)とか(した)(ぱら)とか食い意地(いじ)とかを、ちゃんと書いとけ。


   §


「エリアボスを弱体化(じゃくたいか)? ならその(さい)たるものが魔王(・・)ということかしら」

「イオノファラーさまのお言葉(ことば)をそのまま受け取るなら、そういうことのようです」

「んーっとね。ボスクラスの魔物(まもの)(なか)でも、一匹(いっぴき)しか居ないヤツわぁー(すご)(あたま)がぁ良ーいーみたいよぉ?」

 五百乃大角(いおのはら)が、火龍(とかげ)(あたま)見上(みあ)げた。


「――ヌウ、タシカに魔王(マオウ)気配(ケハイ)がなくなってからはダイブたつ。オマエが(タオ)したならば、ワレはコレからオマエに(ツカ)えよう――」

 (あたま)を地に着ける、燃える大蜥蜴(おおとかげ)


「え? なんですのそれっ! 火龍(かりゅう)(したが)えるだなんて――――(よめ)のもらい手がなくなるじゃありませんのっ! わ、わわわわわわ、(わたくし)わぁ魔王(まおう)(たお)しましたけれどっ、もうタイトルホルダーじゃぁありませんでしてぇよぉー!!!」

 (きゅう)(あわ)てる伯爵令嬢(はくしゃくれいじょう)

 (よめ)に行く気、あったのか。

 ニゲルに取っちゃ、良い(はなし)……だといいけどなぁ。


「――ワレの統括地(トウカツチ)である火山周辺(カザンシュウヘン)を取りしきるがよい、斬魔(ザンマ)姫王(ヒメオウ)よ――」

「ぷぶひゅひゅひゅぷぎゃっ――ニャッ♪」

「ひっ、姫王(ひめおう)!? フグヒッ――――ヒッ♪」

 ウチのパーティーメンバーは……面白(おもしれ)(はなし)をする御伽衆(おとぎしゅう)にでも(おそ)われたら、イチコロなんじゃ?


「で・す・か・らっ、もう(ちが)うって言ってますでしょぉぉう! ――あと、そこ本当(ほんとう)にうるさいですわよっ!?」

 (こし)(けん)が抜かれ、石机(テーブル)(すみ)(ちぢ)こまる二人(ふたり)へ向かってピタリ。


「――魔王(マオウ)を斬る(モノ)は、(マゴ)うコトなく強者(キョウシャ)であろう?――」

 身をよじる火龍(かりゅう)


「いーえ、この(わたくし)無敵(むてき)ではありませんわ。コントゥル家名代(けみょうだい)である(はは)には、いまだ(かな)いませんし純粋(じゅんすい)剣技(けんぎ)でしたら、父上(ちちうえ)にもまだ(およ)びませんしっ!」

 なんか(かた)(はじま)まったぞ。

 こんどは切っ(さき)(てん)を突いた。


「あとガムラン(ちょう)(はじ)めて来たときには、女将(おかみ)さんにコテンパンにしてやられましたわっね!」

 たしかに結構負(けっこうま)けてるな。

 (おも)い出して(くや)しかったのか、(なに)もない方向(ほう)連撃(れんげき)(はな)ちはじめた。


「――ならワレはその、〝オカミサン〟とやらに(ツカ)えれば良いのか?――」

 一瞬(いっちゅん)、でかい蜥蜴(とかげ)(した)えたオカミサンが(まち)(ある)いてる(ところ)を、想像(そうぞう)しちまった。


「いーえ、火山(かざん)からガムラン(ちょう)までのエリア最強(さいきょう)が、この場に居るわよっ!」

 その目が(ほそ)められ、にたぁり♪

 (した)なめずりをするな。


(なに)(かく)そうソコに居る、(ちい)さくて可憐(かれん)頑固爺(がんこじじい)にしか見えない言動(げんどう)でおなじみの――シガミーちゃんこそ、この(わたくし)(くだ)した最新(さいしん)のぉー宿敵(しゅくてき)ですわぁー♪」

 切っ(さき)がついに、おれを(とら)えた。


「――なんと、そうであったか(チイ)さき(モノ)よ。ではワレはこれから、オマエに(ツカ)えよう――」

御伽衆/武将の相談相手。なかでも特に話のうまい者が夜襲に備える武将達の眠気覚ましに、武功話や笑い話を聞かせた。

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