表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
3:ダンジョンクローラーになろう

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

269/744

269:ダンジョンクローラー(シガミー御一行様)、火消しと共用語

魔物(まもの)(はな)すだぁ!?」

 「にゃがみゃが」言ってるウチの強化服(ねこ)とは(わけ)がちがう。

魔王(まおう)はカタコトでしたけれど、共用語(きょうようご)(はな)しましたわよ?」

「えっ、そーなのか!?」


 ヴォッゴゥオオオオオオオオオオオオオオオオ――――灼熱(しゃくねつ)の吹き上がりが(した)から飛んでくる。

 それは(ほそく)くなり(する)くなり(とが)ることで――――キュドッ――――ンッ!

 (いきお)いを増した。


 ただ、飛ぶ方向(ほうこう)自在(じざい)(あや)れるわけではないらしく――――ボッゴワァァァァン!

 灼熱(しゃくねつ)(ひかり)(すじ)(おお)きく逸れて、横壁(よこかべ)をえぐった。


「レ、レーニアが魔法(まほう)使(つか)えないままでしたら――(わたくし)たちはイチコロだったかも知れませんわね」

 狐面(きつねめん)がドロドロに溶けた横壁(よこかべ)を見て、冷や(あせ)(ぬぐ)った。

 おい、仮面()(うえ)から拭いてどーする。

 相当慌(そうとうあわ)ててるぞ。


 けどたしかに、おれひとりじゃ全員(ぜんいん)(ささ)えられない。

 (ひめ)さんのいうとおりに――お陀仏(おだぶつ)だっただろう。


「(迅雷(ジンライ)。リオの魔法(まほう)どうなってる!?)」

 本気(ほんき)を出したんだとしても、威力(いりょく)段違(けたちが)いだ。


「――魔法(まほウ)翻訳(ほんヤく)というか詠唱速度(えいしょウそくど)……魔法(まホう)(つエ)威力(いりょク)ヲ上げるタめの、呪文(じゅもン)変換効率(へんかんコうりつ)を上げるためニは(なニ)をしますか()――」

 はぁ? なんだぁ(やぶ)から(ぼう)に。

 いきなり、ややこしいことを聞きやがって。


「(呪文(じゅもん)(とお)りを(はや)くするために……活力(かつりょく)(なが)れがとおる(みぞ)を掘るっつうか……埋める?)」

 解析指南(かいせきしなん)に聞くまでもねぇ。

 魔法杖(まほうつえ)修理(しゅうり)強化(きょうか)をするなら、まずソレをしなきゃならねぇからわかる。


「――そウです、そノ活力(マナ)(ナが)れヲ良くするタめに埋めた(もの)(わたクし)迅雷(ジンライ)ソレで(・・・)出来ている(・・・・・)とお(かんが)(くだ)()――」

 合点(がてん)が行った。

「ようは、魔法(まほう)修行(しゅぎょう)成果(せいか)が――全部出せる(・・・・・)ってこったろ?」

「――シガミーノ慧眼(けイがん)は、仕事(しゴと)しすぎデは()――」

 じゃあ、しばらくオマエはリオに使(つか)われとけ。

 ふぉん♪

『>了解しました』


「ひのたまー!」

 エクレアの(うで)必死(ひっし)につかまってたフッカが、(つえ)を突き出す。

 ぼっごわぁー♪

「あっ使(つか)える!? ココはちゃんと魔法使(まほうつか)えますよー!」

 そいつぁー良い!

 火龍(かりゅう)火球(ひのたま)を撃っても、意味(いみ)はねーだろうけど。


炎曲(えんきょく)苗木(なえぎ)――!」

 ぼごぉうわぁぁっ――――ニョキニョキバキバキョッ!」

 つぎにフッカが(はな)ったのは、(くさび)みたいなやつで。

 溶けた(かべ)に当たったら、そこから木が生えた。

 木からはさらに蔓草(つるくさ)が生い(しげ)り――(ほのお)に焼かれて一瞬(いっしゅん)で燃え尽きる。


「なにがしてーんだ?」

 燃えてる(ところ)に木を生やしても、(まき)()べるだけだろが?


消火(しょうか)でーす! (ねつ)苗床(なえどこ)にして(あつ)さを軽減(けいげん)しまーす!」

 燃えちまってるけど――――すぐに(すみ)のように真っ(くろ)になった。


「お、本当(ほんとう)だ。火が消えやがった!」

 火の魔法(まほう)使(つか)うであろう火龍(かりゅう)(たい)して、火の魔法(まほう)得意(とくい)だという彼女(かのじょ)を連れてきてどうなのかと(おも)ってたけど。

 なかなかどうして、使(つか)える魔法(まほう)を持ってたな。


「それで魔王(まおう)は、なんて(しゃべ)ったんでぇい?」

 火龍(した)までは、まだ半分(はんぶん)も来てねぇ。

 もう(すこ)(はな)しても、(かま)わねぇだろ。


「えっと、たしか――――「セカイノハンブンヲ、キサマニヤロウ」とか言ってましたわねぇ」

 は?

 問答無用(もんどうむよう)で攻めてきたワケじゃねぇのか?


 カシャ――『(Θ_Θ)』

 ヴォォォォン♪

 浮かぶ(たま)が、(ひめ)さんにまとわり付く。

「それ、興味深(きょうみぶか)すぎるんだけどぉ。それでお(ひめ)ちゃんは、なんて(こた)えたぁのぉー?」

「もちろん、「じゃぁ、いただこうかしら」って(こた)えたに、決まっていますわ」

「おい、たとえ半分(はんぶん)でも降参(こうさん)しちゃ、いかんだろーが!」


 ――――キュドッ――――ンッ!

 いきおいを増した、(ひかり)(すじ)が――――ボッゴワァァァァン!

 やっぱりリオレイニアの(ひかり)(たて)を、かすめもせずに横壁(よこかべ)にぶち当たる。

 ボゴガァァン――――バラバララ――ジュジュッ!

 (ねっ)せられてふっとんだ瓦礫(がれき)のが、(あぶ)ねぇくらいだ。


炎曲(えんきょく)苗木(なえぎ)――!」

 ――――ニョキニョキバキバキョッ!

 草木(くさき)が生い(しげ)り――(ほのお)に焼かれて燃え尽きる。


「トッカータ大陸(たいりく)における人類(じんるい)生存圏(せいぞんけん)が、だいたい三割(さんわり)ちょっとですもの。領地(りょうち)は増えるし、侵攻(しんこう)されることもなくなる。領主(りょうしゅ)(むすめ)として、ガムラン冒険者代表ぼうけんしゃだいひょうとして――到底突(とうていつ)っぱねられる提案(ていあん)ではありませんわ」


「たしかにぃー、そう言われるとぉー、とても穏便(おんびん)和平交渉(わへいこうしょう)だわねぇー?」

「けど魔王(まおう)を、斬っちまったんだろう?」

 どういうわけだぜ?


「だって、「じゃぁ、いただこうかしら」って言ってるのに、何度(なんど)何度(なんど)も「セカイノハンブンヲ――」って繰り(かえ)すんですものっ!」

 どういうこったぜ?


「くりかえす? それ……ぱらぱらり……載ってないけど、たぶん強制コマンドぽい(・・・・・・・・)わよぉーぅ?」

 攻略本(とらのまき)には、(なに)も書かれてなかったか。


「どういうことですの? イオノファラーさまには(なに)かおわかりになりましたのっ!?」


「そうわねぇー。魔王(まおう)質問(しつもん)返事(へんじ)をしなければ、魔王(まおう)魔物(まもの)軍勢(ぐんぜい)を――未来永劫(みらいえいごう)……魔王(まおう)居城(きょじょう)(とど)めて置けたかも――知れないかも?」


「そ、それはどちらの(ほう)が、良かったのかしら?」

 (あたま)を抱えた狐面(きつねめん)苦悩(くのう)は、(はか)り知れない。

「斬っちまったもんわぁ、仕方(しかた)がねぇやな! (てき)総大将(そうだいしょう)がもう居ねぇなら、ソレで良いじゃねぇーか!」


「(――――ノハナシ、――トウカ?)」

 んぁ?

 身がまえる狐面の派(リカルル・リ)手な甲冑姫(・コントゥル)

 御貴族(おきぞく)さまは暗殺(あんさつ)警戒(けいかい)する(すべ)を、幼少(ようしょう)(ころ)からたたき込まれるらしい。

 そのせいか〝念話(ねんわ)〟という〝(あたま)ごしに直接(ちょくせつ)する会話(かいわ)〟を、(ちか)くでされると――


「なななっ――――殺気(さっき)!?」

 (こし)(けん)に、手が伸びる。

 やめとけ、この念話(ねんわ)(ぬし)は――

(した)だ! これはあいつの殺気(さっき)だ!」


 みればうだるような灼熱地獄(しゃくねつじごく)が、いくらか鳴りをひそめている。


 メキョメキョキョ、バギバギギッ、メキョメキョメキョキョキョ――――♪

 ぶすぶすぶすぶす――――横壁(よこかべ)を見たら、フッカが出した焦げた木が。

 とんでもない(はや)さで洞窟(かべ)を、(くだ)っていく。


「あれれっ? なんでこんなに(ひろ)がってくの? 大丈夫(はいじょうぶ)なのコレ?」

 燃える木で火を消した張本人(フッカ)が、あわてている。

「ちょっと、フォチャカさん! あの魔法(まほう)どういう物(・・・・・)なんですか!?」

 生活魔法(せいかつまほう)高等魔術(こうとうまじゅつ)達人(たつじん)も、あわてている。


「これは、うちの(ちち)が「(おお)きな火が出て(こま)るようなことがあったら、この魔法(まほう)使(つか)いなさい」って言って財産(ざいさん)をなげうってまで手に入れてくれた、マジック・スクロールで(おぼ)えた(もの)で――――止め(かた)はわかりませぇん!」

 あー、(こと)次第(しだい)が、なんとなくわかった。


 カシャ――『(Θ_Θ)』

「フゥ――、どうやって(ほのお)(よわ)めようかと(おも)ってたけど――(おも)わぬ伏兵(ふくへい)ねぇ♪」

 ヴォォォォン♪


「どーすんだこれ! 火山(かざん)の火は(よわ)めても……平気(へいき)なのかぁ!?」

 それに火龍(かりゅう)がうなだれて、ますます(よわ)っちまってるんだがぁ?


 カシャ――『(Θ_Θ)』

安心(あんしん)して良いわよ、アイツは全然(ぜんぜん)おいしくないらしいから」


 ふぉん♪

『火龍/

 四つ足、翼有り。火山の熱を取り込み活力へと変換する。

 肉は焦げ臭く、食べられるところはない。

 鱗表面の膜は耐熱素材としてだけでなく、

 熱⇔MP変換機能へ転用可能』


(おに)か、お(まえ)さまはぁー! だれも味の心配(・・・・)なんぞしとらんわぃ!」

 おれは(からだ)をすぼめて、(した)へ落ちる。


 ヒュォォォォォォォッ――――バササササササッ!

 リオレイニアの浮かぶ魔法(まほう)は、(からだ)(ちい)さくすると(よわ)まる。

 それは羽ばたいて飛ぶときと、(おな)じだ。


「おい、オマエ。一時休戦(いちじきゅうせん)だ!」

 燃える大蜥蜴(おおとかげ)を、見下(みお)ろす。

ギャオゥ(ヨカロウ)グギャウ(コチラモ)グゥワァウ(キキタイコト)グワォゥ(ガデキタ)!」

 (くび)をちょっとだけ、(こっち)に向ける蜥蜴(とかげ)

 やっぱり目に、かわいげがある。


「シガミーッ、ひとりでは危険(きけん)ですわぁ」

 姫さん(リカルル)まで、落ちてきた。

 心配(しんぱい)しなくても火龍(コイツ)、もうなんか――

 とうとう(あたま)を、地べたに付けちまったぞ。


 派手(はで)甲冑(かっちゅう)の取っ手をつかんで、かるく羽ばたく。

 バサササッ――スタ、スタリ。

 降りたったのは火山(かざん)階層深(かいそうふか)く……もないか。

 (たか)さがあるけど、地下三階分(ちかさんかいぶん)だからな。


グギャオウ(ワレハ)グギャギャオウ(マオウグン)ギャギャギャウ(ダイイチエリア)ゴギャア(トウカツ)ギュギャワォォォウ(ゲートルーブダ)!」

 (くび)を持ちあげ――またドスンと付けちまう。


「あらこれはご丁寧(ていねい)に。(わたくし)はリカルル・リ・コントゥルよ。ガムラン町冒険者(ちょうぼうけんしゃ)代表(だいひょう)にして、コントゥルに名を(つら)ねているわ」

 (こし)を引き、ドレスの(すそ)をつまむような仕草(しぐさ)


「おれは、シガミーだ」

 (かく)(みの)(すそ)をつまんで、片膝(かたひざ)を引く。

 ようやく(おぼ)えた、しゃらあしゃらした(れい)をした。

 ちかくで見たら火龍(とかげ)のなんとか言うコイツは、ほかの魔物(まもの)とちがってたからだ。

 たぶん彼女(リカルル)も、コイツの(ひとみ)に……(こころ)(かん)じたんじゃねーかと(おも)う。


「けれど(いま)さら〝魔王軍(マオウグン)〟と言われましても……魔王(まおう)は、とうの(むかし)(たお)されてましてよ?」


グギャォォゥ(ダレニダ)?」

(なに)をかくそう、この(わたくし)にですわよ? ふふっふぅーん♪」

 あー、(なさ)容赦(ようしゃ)ねぇな。

 しかも仁王立(におうだ)ちのご令嬢(れいじょう)の、片目(かため)が閉じられた――バチィーン♡

 これは〝(むし)が目に(はい)った〟んじゃなくて――

 見得(みえ)を切りやがった。


 (かり)にも魔王(まおう)配下(はいか)名乗(なの)ったヤツ相手(あいて)に、その態度(たいど)わぁねぇんじゃねぇか。

 (おに)か? 鬼姫(おにひめ)だな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ