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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
3:ダンジョンクローラーになろう

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265/744

265:ダンジョンクローラー(シガミー御一行様)、ミノタウロースはこのあと女神がおいしくいただきました

「にゃみゃにゃぁーごぉ――――ごろごろごろろろっ♪」

 こりゃ、化け猫だな。

「よ、よせやい。(みじけ)夏毛(なつげ)が、くすぐってぇだろーが!」


「はぁー、すっかり野生(やせい)の――おじいさんのようなシガミーに…………(もど)ってしまいました……わね」

 派手(はで)甲冑(かっちゅう)が、(かた)を落とした。

「そうですねぇー。それでなにが「――ってやるからな!」なのですか、シガミー?」

 給仕服(きゅうじふく)(そで)をまくり上げ、意地悪(いじわる)声色(こわいろ)披露(ひろう)する(しろ)鳥仮面(とりかめん)


「いやその――あんにゃろうが、ことのほか強敵(きょうてき)だったからよ――えーっと、もっと(つえ)防具(ぼうぐ)をだな?」

「――ソうですね、烏天狗(カラテェー)発注(はっチゅう)したいナと相談(そうダん)していたノで()――」


「そうですか、ひとまずご無事(ぶじ)(なに)よりでしたけれど――――よくご無事(ぶじ)でしたね?」

 (なに)かが大暴(おおあば)れした周囲(しゅうい)有様(ありさま)が、縁取り越し(・・・・・)でもわかる。

 折れた(つの)無数(むすう)散乱(さんらん)しているし、(あば)れた張本人(ミノタウ)そのものも地面(じめん)(よこ)たわってるからな。


「ひかりのたま、ひかりのたま、ひかりのたま――――!」

 ピカピカピカッ――カッ!」

 すげぇ、さすがは生活魔法使(せいかつまほうつか)い。

 連続(れんぞく)(あか)りの魔法(まほう)をとなえて、曲がりなりにも消えないひかりを(つく)り出した。


 ――――スゥゥゥゥゥッ。

 それも時間(じかん)が経てば消えるけど、(ほか)連中(れんちゅう)では――

「ひかりのたま」「ひのたま!」「ほのおのたま!」

 ――――ぷすん♪

 魔法(まほう)が出るのは一瞬(いっしゅん)で、スグに消えちまう。


「どうやらこのフロアでは、魔法(まほう)のすべてが制限(せいげん)されているようですねぇ」

 迅雷(ジンライ)経由(けいゆ)暗闇(くらやみ)を見ているおれからしたら、いつものまるで昼間(ひるまの)のような(あか)るさで見えるようになった。


 彼女(かのじょ)仮面(めん)にも、迅雷(ジンライ)同程度(どうていど)の〝夜目よめが利く仕掛(しか)け〟が入れてある。

 給仕服(きゅうじふく)(すそ)を摘まんでひょいひょいと、リオレイニアがどこかへ行ってしまった。


 気づくと同時(どうじ)に飛びかかってきた(ねこ)魔物(まもの)を、(たた)っ斬らなくて本当(ほんとう)に良かった。

 しかしよぅ、わけがわからんにもほどがあるだろうがよ。

 いまおれは、どーなってやがる?

 念話(ねんわ)地声(じごえ)のうるせぇ怒声(どせい)

 それに気圧(けお)され、たぶん(はら)(つらぬ)かれた……はず。


「それで、なんであいつぁ――――あそこでひっくり(かえ)ってやがるんだぁ?」

 たぶんあのブヨブヨしたヤツが、ミノタウだ。

「「「「それはコッチが聞きたいですわよ」です」」――にゃぁ♪」


「(やい迅雷(ジンライ)……どうなってやがる?)」

 せつめー。

 ふぉん♪

『>子細つつがなく、ミノタウロース討伐を果たしました。

  しいて特筆するなら、日の本の僧兵猪蟹殿は、

  まごうことなき、漢の中の漢でした」


「はぁ!? おれぁ前世(むかし)今世(いま)も――(おとこ)に決まってんだろーがあっ!」


「そんなに可憐(かれん)(いさ)ましくて小生意気(こなまいき)殿方(とのがた)なんて、この世に存在(そんざい)いたしませんわよ――まったく!」

 (ひめ)さんはすこし、おかんむりだ。

「――こノ階層(フロあ)へ来テからイオノファラーとノ(ぜン)チャンネルが途絶(とぜツ)したノで、ゴ心配(シんぱい)をかけしたよウで()――」


「そうですよ! あわてて(もど)ってきたら地下(ちか)への階段(かいだん)まわりが(くず)れてるし、魔法(まほう)一切使(いっさいつか)えないしで――もう生きた心地(ここち)がしなかったんだからっ!」

 コイツは(だれ)でぇい?

 リオの(あか)りがどっか行っちまったから、また(あた)りが(くら)くなって来やがった。


「――フォチャカ(じょう)です――」

 フッカか、たしかに魔法杖(まほうつえ)を持ってる。

 しかしこう(くれ)ぇと、気も滅入(めい)ってくるぜ。


「――ようヤく地下二階(ちかニかい)解析(かいセき)が、終了(しゅウりょう)しまシ()――」

 ふぉん♪

『イオノ>随分、時間が掛かったわね』

 ふぉふぉん♪

『>さっきまでシガミーを再蘇生させるのに手一杯で、解析どころではなかったのです』

 ふぉん♪

『イオノ>蘇生薬使ったの? それも二回も?』


 蘇生薬(エリクサー)だとぅ!? まるで――(おぼ)えちゃいねぇ。

 (はら)に空いたはずの(あな)(ふさ)がってるし、こうしてピンピンしてるってことわぁ、使(つか)ったんだろうな。


 ふぉん♪

『>はい。一度目は緊急時戦術プロトコルによる強制循環蘇生を。

  二度目は〝卵酒(二級)〟による筋肉痛緩和処置も同時に行いました』

 わからんし、毛ほども(おぼ)えちゃいねぇ。


 ふぉん♪

『イオノ>ちょっとそれ、大事じゃないのよ♪

     あとで見るから詳細なリザルト画面、出力しといて♪』

 ふぉふぉん♪

『>了解しました』


「――それと蘇生薬(エリクサー)使(つか)ったことわぁ、内緒(ないしょ)にしときなさいよ♪――」

 ふぉん♪

『イオノ>特にシガミー。独断先行の責は問いませんが、

     迂闊なことを言ってガムラン町から出してもらえなくなったら、

     未知の食材や調理法、ひいては廃棄女神像探索に、

     支障を来しかねないから注意してよね♪』


「(わかったぜ。その辺は迅雷(ジンライ)任せにすらぁ。どうせ(おぼ)えちゃいねぇんだし――)」

 しかし美の女神(おまえ)さま。

 真面目(まじめ)(はなし)最中(さいちゅう)に、なんだよそのしまりのねぇ(つら)わぁ。

 まるで見えなくても、輪郭(りんかく)表情(ひょうじょう)がわかる。


 どさっ――どさっ――どささっ!

 なんかがテーブルに乗せられた。

 見なくてもわかる。

 五百乃大角(いおのはら)をここまで、喜ばせる物(・・・・・)なんて――ひとつしかない。


「こんなに手元(てもと)(わる)(なか)、ありがとうエクレア。褒めてつかわすわよぅ♪」

 五百乃大角(いおのはら)が乗ってるのは、黒甲冑(くろかっちゅう)手甲(てっこう)(かぶと)(はず)した護衛(ごえい)(かた)だ。

 やたら(つら)が良くてガムラン最強(さいきょう)冒険者(ぼうけんしゃ)パーティーの一員(いちいん)でもあり、あまつさえ先日嫁(せんじつよめ)をもらったばかりである(ところ)の――だ。


「いいえ解体(かいたい)はいつもの仕事(しごと)でスキルまかせですので、お(やす)いご(よう)ですイオノファラーさま。文献(ぶんけん)には500グラムと記載(きさい)されていたと記憶(きおく)してましたが、これならば――(やく)4キロほどはあるかと(おも)いますよ」

「ほんっっと! (うれ)しい誤算(ごさん)わよねぇー♪」

 すぽん――カシャ――『(Θ_Θ)』

 ヴォォォォン♪

 御神体(いおのはら)が消えたと(おも)ったら、浮かび上がる丸い輪郭(ふちどり)


「にゃみゃにゃぁぁーご、にゃご♪」

 猫の魔物(レイダ)も寄ってきたが、猫公用語(ねここうようご)しか聞こえん。

 迅雷(ジンライ)おれの頭(コッチ)に張りついてるから、しかたねぇけど――にゃがにゃがうるせぇな。


 ふぉん♪

『>取り急ぎ解析結果をお伝えします。

  この階層には二つの物が存在していません』

 そうだな――まずは(あか)りがねぇよな。

 もうひとつは、(なん)だ?


 ふぉん♪

『イオノ>でかしたわよシガミー。褒めてつかわすわよ迅雷』

 カシャ――『(Θ_<(ばちーん♪))』

 〝浮かぶ玉(なんたら)〟が、片目(かため)を閉じた。

 おれは(まな)んだから知っている。

 ありゃぁ虫を避けてる(・・・・・・)んじゃなくて、見得を切ってる(・・・・・・・)って(こと)をなぁ!


 ヴォヴォォォォ――――ン。

 片目(かた)を閉じた人の形(いおのはら)が、(いろ)を濃くしていく。

 お?

 ひかりのたまも、ひのたまも出ねぇこの(かい)

 五百乃大角(いおのはら)がまるで女神(めがみ)のような神々(こうごう)しさで。

 生前(せいぜん)(ひと)(おお)きさと姿(すがた)をさらす――――ずっと暗闇(くらやみ)に居たからまぶしい!


 そして女神(こいつ)さまは死んではいない。

 (うつ)し身の(うつ)し身でややこしいが、生身(なまみ)(からだ)もちゃんと持ってる。

 ただその維持(いじ)女神()SP(スキルポイント)をやたらと使(つか)うから、消えちまうのを(ふせ)ぐため、こうして(いろ)んな(もの)憑依し(とりつい)てやり過ごしてるのだ。


(もど)ったら早速(さっそく)さぁー、史上最美味(しじょうさいびみ)(まつ)りを開催(かいさい)するかるぁー♪ みぃんなもぜひーご参加(さんか)してくださいましねぇーん♪」

 (かみ)宿(やど)れる(もの)(なか)のひとつ、〝浮かんで姿(すがた)(うつ)しだす(たま)〟が――超役(ちょうやく)に立った。


「ああもう、おにぎりみてぇに小躍(こおど)りするんじゃねぇやいっ!」

 それに(まつ)りは、この(あいだ)やったばかりだろーが。

 それと(まち)(もど)るためには、まず火龍(かりゅう)だかを倒さねぇと(・・・・・)いけねぇ。


「――みナさま、取り(いソ)ギご報告(ほうコく)がアります。コの階層(かいソう)にハ(ふタ)つノ(モの)欠落(けつラく)していマ()――」

 だから〝(あか)りがねぇ〟ってんだろう?

 そいつは、五百乃大角(おまえさま)後光(ごこう)が――十分灯(じゅうぶんあか)り取りになってるじゃ――


大変(たいへん)です、この階層(かいそう)には――下へ降りる階段(・・・・・・・)がありません!」

 瓦礫(がれき)を乗り越え(もど)ってきた給仕服(リオレイニア)が、(こえ)(あら)げた。

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