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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
3:ダンジョンクローラーになろう

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262/744

262:ダンジョンクローラー(シガミー御一行様)、B2Fひかりのたま不可フロア

(くれ)ぇ――」

 くねる階段(かいだん)を、数歩(すうほ)で駆け下りた。

 (つき)のない(よる)よりも(くら)い、地下二階(ちかにかい)洞窟(どうくつ)

 (あか)り代わりの灼熱(しゃくねつ)亀裂(きれつ)は、ひとつも見当(みあ)たらない。


「(暗視(あんし)モードは正常(せいじょう)作動中(さどうちゅう)です。暗視LV(あんしレベル)を上げます)」

 ヴュパァァァァ――――カッ!

 いくらか階段(かいだん)(かべ)縁取(ふちど)られて、まわりの様子(ようす)がつかめた。

 さっきまでみたいな、迷路(めいろ)になった(かべ)はない。

 階段(かいだん)(かべ)片側(かたがわ)だけで、ひらけた場所(ばしょ)らしい。


 ひかりのたま――――ピカッ!

 フッ――――!?

「なんだぜ!? (あか)りの魔法(まほう)がスグ消えちまった!」

「((なん)らかの遮蔽効果(しゃへいこうか)作用(さよう)しています。ですが――)」

 ヴュザザザッ――――ザラつく画面(がめん)が、じんわりと(あか)るくなっていく。

 だいぶ見えるようになったぞ。

「(一瞬(いっしゅん)でも(あか)るくなれば、光源(こうげん)として機能(きのう)します。(やみ)(ふか)くなるたびにひかりのたまを使(つか)ってください)」

 わかったぜ。


 ヴヴュ――ゥン?

 (あたま)を振るとざらつきが(・・・・・)(ひど)くなるけど、じっとしてるとそれが消える。

 昼間(ひるま)のように……とはいかねぇけど見えるだけマシか。


 地下二階(ちかにかい)はとても(ひろ)く、天井(てんじょう)がとても(たか)かった。

「こりゃ(たたか)いやすくて、鬼退治(おにたいじ)にゃうってつけだぜ」

「(オルコトリアが居たら(なぐ)られる危険(きけん)がありますので、その慣用句(かんようく)推奨(すいしょう)しかねます)」

 おう、そーだな。魔物退治(まものたいじ)な、魔物退治(まものたいじ)


「ゴゥゴォォゴォォオオオォォオォオオォォオォオォォォォッ――――!!!!!!!!」

 振りかえる。

 (ひろ)天井(てんじょう)のすみ。

 丸々(まるまる)とした(なに)かが、降りてこようとしてる。

「ありゃ、ミノタウロースか?」

「さえぎる(かべ)がなくなったため、肥大化(ひだいか)拍車(はくしゃ)が掛かったようです」

 それは大岩(おおいわ)であり、とても人型(ひとがた)とは呼べない。


 ズボゴォン――――!

 せまい階段(かいだん)からすっぽぬけた、大岩(ミノタウ)が――――ドッゴロロロゴロロォォォォンッ!


「やべぇ、(ころ)がり落ちてきた!」

 空洞(くうどう)(ふち)階段側(かいだんがわ)から、あわてて飛び退()く――――スタタッ、トトォォォン!


 ゴロロロッ――――ボッギュボッゴゥワッ!!!!

 ミノタウ大岩(おおいわ)(ころ)がりながら、なおも(ふく)れ上がるもんだから――

 (かべ)(はじ)かれ、こっちに向かって落ちてきやがった!


   §


「――あらぁ? シガミーとの接続(リンク)が切れちゃった!――」

 おれが地下二階(ちかにかい)に降りたとき、地上組(ちじょうぐみ)では一悶着(ひともんちゃく)あったらしい。

 そのときのことはやっぱり(れい)によって、あとから聞かされた。


「ちょっと、イオノファラーさまっ! それってたいへんじゃありませんのっ!」

 大事(だいじ)(かか)えてた小太刀(こだち)(こし)のベルトに差し込む、冒険者筆頭(ぼうけんしゃひっとう)

「リカルルさま、ここはまず現状(げんじょう)を――!」

「――正確(せいかく)把握(はあく)するコトが、先決(せんけつ)です!」

 黒騎士(エクレア)白給仕服(リオレイニア)に止められる、赤色(リカルル)(・リ・)甲冑(コントゥル)


「シガミーちゃんは、なんて言ってたのですか?」

 黄緑色(きみどりいろ)のケープをまとった魔術師(フッカ)が、心配(しんぱい)げにたずねた。


「――(つの)二本(にほん)とも(こわ)した……っていってたお♪――」

 (ねこ)魔物(まもの)のようなのが、(ひざ)(かか)えたまま返答(へんとう)する。


「――それなら(にゃにゃ)大角の(みゃ)ミノタウロースも(みゃにゃにゃーご)もう怖くないよね(みゃんやにゃにゃん)――」

 (ねこ)魔物(まもの)はにゃぁにゃぁと愚痴(ぐち)りつつ――(くち)から黒板(いた)を取りだした。


 椅子(いす)(すわ)気取(きど)った様子(ようす)で――黒板(くろいた)肉球(にくきゅう)を押しあてる。

 画面(がめん)(あらわ)れたのは――ゴツゴツした(・・・・・・)通路(つうろ)の行き止まり。


「なっ、なんですのこれ!?」

「――通路(つうろ)(はさ)まって、どうやらシガミーたちを閉じ込めたつもり(・・・・・・・・)らしいわよん♪――」


「ぷぐふひひっ――ゴッツン!?」

 (ちゃ)用意(ようい)(ほう)り出し――いきおい(あま)ってテーブルの(かど)(あたま)を打ちつける元給仕長(リオレイニア)

「にゃがにゃ――!」

 椅子(いす)からころげ落ちる――(ねこ)魔物(まもの)

 なかには子供(レイダ)が入ってる。


「どういう状況(じょうきょう)とみるべきでしょうか?」

 ひとり(どう)じない黒い騎士(エクレア)

 口元(くちもと)を押さえつつ、ソレに(おう)じたのはケープの魔術師(フッカ)と――

 真っ赤な仮面(かめん)を、ひろげた片手(かたて)で押さえつけ――(なに)かに耐えるお嬢様(リカルル)


最大(さいだい)脅威(きょうい)であった大角(おおつの)が、二本(にほん)とも(こわ)されたのなら――」

「ええ、さしあたっての危険(きけん)は、回避(かいひ)されたと(おも)いますわ」


「そうですねぇ――なんせミノタウロースの本当(ほんとう)(おそ)ろしい(ところ)は、しつこくドコまでも追いかけてくる大角(おおつの)ですからね」

 黒騎士(くろきし)のそんな言葉(ことば)に、なごむ火龍の寝床(ダンジョン)入り(ぐち)


「〽(おお)きな角持(つのも)つミノタウロースにー、あーぁーぁーぁあー気をつけてぇえぇー♪」

 炎の魔術師(フォカチャ)が――とつぜん(うた)(くち)ずさむ。


「――なぁに(きゅう)に、(うた)い出したりして。お気楽(きらく)ねぇー?――」

 強化服(からだの)制御(せいぎょ)(うば)ったのか、むくりと(からだ)を起こす猫の魔物(シシガニャン)


「〽(たに)から(とどろ)くその咆哮(こえ)はー、あなたの(こころ)(ふる)わせるーぅ♪」

「〽三歩(さんぽ)八歩(はちほ)十歩(じゅっぽ)ごと、地が揺れ空割り追ってくるーぅ♪」

「〽角は突き刺さる、角は突き刺さるーぅ♪」

「〽(はし)って、(はし)って、できるだけ(はーや)くーぅ♪」

「〽でないと、ミノタウロースに突かれますーぅ♪」

「〽(かく)れて、(かく)れて、(おと)を立てないでーぇ♪」

「〽折れない(つの)(するど)く、その目はアナタを見逃さなーぃ♪」

「〽みんな灰色(はいいろ)(つの)に、きをつけてーぇ♪」

「〽(もり)木陰(こかげ)(たに)(そこ)、お(しろ)中庭(なかにわ)(みずうみ)(そこ)ーぉ♪」

「〽ギルドの鉄塔(てっとう)魔城(まじょう)(いただ)きーぃ♪」

「〽ドコまでも(とど)くぞ追ってくるぞ、灰色(はいいろ)(つの)が追ってくるーぅ」


「〽(おお)きな角持(つのも)つミノタウロースにー、あーぁーぁーぁあー気をつけてぇえぇー♪」

「「〽(おお)きな角持(つのも)つミノタウロースにー、あーぁーぁーぁあー気をつけてぇえぇー♪」」

「「「〽(おお)きな角持(つのも)つミノタウロースにー、あーぁーぁーぁあー気をつけてぇえぇー♪」」」


「「「「〽(おお)きな角持(つのも)つミノタウロースにー、あーぁーぁーぁあー気をつけてぇえぇー♪」」」――みゃぁ♪」


「――えぇー、なんで大合唱(だいがっしょう)なのん!? (なに)コレ(こわ)っ! (なん)なのこの土着信仰(どちゃくしんこう)――!?」


   §


 ドッッゴバッキッツドッズズズズズズズムムン――――――――!!


 うぉりゃぁ――――すんでの(ところ)で飛び退()いた。

 (しん)ギルド屋舎(おくしゃ)の吹き抜けよりも(たかい)天井(てんじょう)に、届きそうなほど(・・・・・・・)巨躯(きょく)

 当然(とうぜん)その(はば)も、相当(そうとう)(おお)きさで。


「ヴォギュヴォギュヴォギュヴォギュヴォグギュ、ヴォギュヴォギュヴォギュヴォギュヴォグギュ、ヴォギュヴォギュヴォギュヴォギュヴォグギュ、!」

 (からだ)(くら)べたら(ちい)さな四つ(あし)を、ぎりぎり地につけて――(ふし)が付いた鳴き(ごえ)


「(おいおい、まさか! まだ膨れあがろう(・・・・・・)ってぇのか!?)」

「(これ以上(いじょう)体積(たいせき)を増やされると、ダンジョン崩壊(ほうかい)(おそ)れがあります)」

 どうする!? (くず)れる(まえ)(なが)階段(かいだん)を駆け上がるか?


 しゅるるるりゅるるっ――――――――。

 だが、おれたちの心配(しんぱい)をよそに――――ミノタウロースの(からだ)が、見る間にしぼんでいく。


「(原因(げんいん)不明(ふめい)ですが、命拾(いのちびろ)いしましたね)」

 ばかいうなっ!

 しぼむ(からだ)に、(まど)わされるもんかい。


 (ぎゃく)に、急激(きゅうげき)(ふく)れ上がっていくのは――殺気(さっき)

 その(つよ)さは地下一階(ちかいっかい)のときの、何倍(なんばい)だか見当(けんとう)も付かない。


でげぱべ((でげぱべ)ぷぢぜぐ(ぷぢぜぐ)ぼぴせご(ぼぴせご)ずぶばぶ(ずぶばぶ))!」

「――っがぁ!? うるっせ――――!!!」

 もう念話(ねんわ)地声(じごえ)か、わからねぇ!

 とにかくうるせぇ怒声(どせい)が、おれをつらぬく。


 その一瞬(いっしゅん)が、命取(いのちと)りになった。

 なんか灰色(はいいろ)のが、おれの脇腹(わきばら)貫いてる(・・・・)

 迅雷(ジンライ)式隠(しきかく)(みの)も、まだまだだな。


 つぎがあったら――伝説(でんせつ)職人(しょくにん)スキル全開(ぜんかい)絶対(ぜったい)(つらぬ)けず、未来永劫朽(みらいえいごうく)ちない(よろい)(つく)

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