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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
3:ダンジョンクローラーになろう

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256/744

256:ダンジョンクローラー(シガミー御一行様)、美(食)の女神とミノタウロースさん

「ミノタウ、ミノタウロースさんじゃぁ、ありませんかっ()


 兎に(かく)、おれが切る(・・)しかねえと――小太刀(かたな)に持ちかえた瞬間(しゅんかん)

 (ねら)いすましたように――素っ頓狂(とんきょう)(こえ)が。


「――一歩遅(いっぽおそ)かったようで()――」

 いま、スンポコした(おた)ぁ、出なかったぞ!?

 いつからいた貴様(きさま)――――ギャリィィィィィィィンッ!!!


 あぶねぇ。気を抜くと、おれの(からだ)大穴(おおあな)があく。

 画面(がめん)(なか)におどり出た――(まる)っこくて(ちい)さいアイコン。

 言わずと知れた――五百乃大角(いおのはら)だ。

 その現身(うつしみ)である御神体(ごしんたい)を、さらにちんまりとした和菓子(わがし)梅干(うめぼ)しみたく(ちぢ)めたアイコン(ソレ)が――――

 ふむふむと(なに)かを(たぶん攻略本(とらのまき)を)読んでるのか……うわの(そら)で。


「(よし、いまのうちに(たた)っ切る!)」

 (いき)を吸って――――飛んでくる死の方角(・・・・)(さぐ)る。

 ざりざり――居合(いあ)いのときはやっぱり、花緒(はなお)がある草履(ぞうり)下駄(げた)(ほう)が良いな。

 (かべ)(はし)るのに(くつ)(らく)だけど、()つかみづれぇ(・・・・・・)


 ――ぅ――ぉ――ぉ――ぉ。

 自分(じぶん)の死を(かん)じとる――よし、正面(まえ)から飛んでくるぞ。

 チキリ――――(かたな)を抜。


 すとん――寸足(すんた)らずのズングリした魔物(まもの)が、3メートルくらいはなれた(ところ)に降り立った。

 目のまえにあらわれるはずの魔物(そいつ)は――すいぶんとおくに居やがる。


 (かたな)を抜いたら(いき)は継げない。

 もう振り抜くしかない。


 コトコトコトコトッ――――ぐぐぐぐっ!

 ゆっくり(ある)いてきて、目のまえで両足(りょうあし)(ちじ)め、いまにも飛び跳ねようとしている。

「(なにやってんだ、魔物(すんたらず)め。わからんが――――切る!)」

 シュッカァァァァァンッ――――!!


 ふぉん♪

『>シガミーのバイタルに〝滅の太刀〟反応』

 ふぉん♪

『イオノ>〝滅の太刀〟反応ってなんだっけ?』

 ふぉん♪

『>ギルド倒壊時と同じ、看過しかねる生理的兆候です』

 ふぉん♪

『イオノ>ふーん、そーなのー? 物騒ねー』


 なんか画面端(がめんはし)がうるせぇけど――振り抜いてやったぜ!

 くるんくるるる――――スゥゥゥゥッ――チャキン♪

 (かたな)をおさめる。

 ぐらぁり――――(たお)れていくズングリ魔物(すんたらず)上半身(うえ)


「あーーーーーーーーっ!? だめよ切ったら! ミノタウさんわぁ両角を折ってから(・・・・・・・・)じゃないと、おいしく食べられないって書いてある(・・・・・)わぁよぉぉぉ()――――!!!!!!」

 知ってる。間にあって良かったぜ。


「――やりマしたね、シガミー()――」

 おうよ、女神(めがみ)め。いまごろ気づいても(おせ)ぇ。

 おれひとりなら、うまい(めし)を食うのに協力(きょうりょく)してやる(ところ)だがな。

 (いま)子供(レイダ)まで居るから、(あぶ)なくて仕方(しかた)がねぇ。

 おかしな魔物(まもの)は、おかしな(こと)をされるまえに、切っとくに(かぎ)る。


「よし切ったぞ。みんな大丈(だいじょう)――――!?」

 ゾッとした。

 (しん)(ぞう)(とら)えられた感覚(かんじ)

 ついつい気合(きあ)いを入れて、(はな)っちまった居合(いあい)

 研ぎ澄ました呼吸(いき)のせいか、(はげ)しい鼓動(こどう)

 血の(はじ)まり――自前(おれ)回廊(かいろう)源泉(みなもと)を、狙われてる(・・・・・)


 ドゴォォォォォォン――――撃たれる火縄(ひなわ)――――大角(おおつの)がおれの(しん)(ぞう)(つらぬ)く!

 (ふた)つにしたはずの寸足らず(・・・・)が、(ひと)つのままだ。

 (あか)い目をすがめた魔物(ヤツ)は、やっぱり普通(ふつう)じゃなかった。

「(おれぁ間違(まちが)いなく、切ったぞ!?)」

 どうなって――――!?


「なにを、よそ見なんてしていますのぉ――――!」

 大角(たま)(とど)く、一筋(ひとすじ)(ひかり)

 それは細身(ほそみ)豪奢(ごうしゃ)(つるぎ)だった。


 ギュギィィィィィィィィンッ――――グギュギッ!!!

 曲がる刀身(とうしん)

 それでもさらに間合(まあい)いを詰める――ガムラン最強(さいきょう)(けん)


 ドッゴオッガァァァァァァァァァァァアァンッ――――!!!

 切り(むす)んでから、さらに(まえ)に出る――――いくさ場じゃなくても会いたくない(たぐ)いの剣筋(けんすじ)


 すっ飛ぶおれと、短ぇ魔物(ズングリ)

 (あたま)から(かべ)にぶち当たるところを――バッサッ、ザリザリィッ!

 (かく)(みの)が突きたてられ――(からだ)を起こす。

 くるん――スッタァン!


「((わり)ぃ、迅雷(ジンライ)!)」

 靴足(くつあし)(かべ)踏めた(・・・)


 (いて)ぇが(むね)(あな)は開いてねぇ。

 迅雷(ジンライ)式隠(しきかく)(みの)(よる)(まぎ)れるのにも、(てき)(やいば)をせき止めるのにも使(つか)える(うえ)に――(そら)まで飛べるようになった。


 (かべ)を蹴り上がり――スタタタァァンッ!

 ヒュォォォォ――――ブゥワサブワサ、バササササッ!

 おれを(たす)けてくれた伯爵令嬢(リカルル)をさらう。


「きゃぁぁぁぁっ――――シ、シガミー!?」

 あばれるな、灼熱地獄(しゃくねつじごく)に落ちちまうだろ!


「(ゑゑゑゑゑゑゑゑゑゑ/∋³ゑゑ――∋∋∋、ゐ・ゐゐ勺勺ゐ)(○○○、勺勺勺勺)」

 肩越(かたご)しに魔物(ヤツ)をみると、(つの)(かべ)に突き刺さってやがった。

「――こノ世界(せかイ)使用(しヨう)さレる(スべ)てノ言語(ゲんご)照合(しょウかい)しましタが、該当(がイとう)ありマせ()――」

 念話(ねんわ)(つた)えられる言葉(ことば)は、なんて言ってるのかはわからねえが――とち(くる)ってるのだけは、(つた)わってきた。


 さっきのヤツの(うご)き。

 そしてさっきまでの間がない(・・・・)、ニゲルみたいな(うご)き。

 さらに姫さん(リカルル)の、ぶった切りの(けん)

 そして――なんで魔物(ヤツ)切られても平気なんだ(・・・・・・・・・・)

 かんがえることが、(やま)のようにある。


 おかしな魔物(あんにゃろう)壁際(かべぎわ)に追い詰められたのは、(ちょう)ありがてぇ。


 バサバサバササッ――――スタン。

 おれは真ん(なか)の、魔物(ヤツ)が出てきた通路(つうろ)に降り立った。


「レイダ――(そと)はちゃんと見えますか?」

「みゃにゃぁーん、にゃ♪」

 (ねこ)魔物(まもの)みたいなのを、(たて)にするメイドさん。

 二人(ふたり)が身を(まも)るためには、ソレで良い。


(いま)のうちに、(わたし)のうしろへ!」

「は、はい!」

 大盾(おおたて)回収(かいしゅう)して、(ほのお)魔術師(まじゅつし)をかばう黒騎士(くろずくめ)


 一方(いっぽう)(かべ)には強化服(きょうかふく)を着たレイダと、(みじか)魔法杖(つえ)両手に(・・・)(かま)えたリオレイニア。

 魔物(ズングリ)をはさんだ反対側(はんたいがわ)には(たて)をかまえたエクレアと、(なが)魔法杖(つえ)(かま)えたフッカ。


 地上(ちじょう)(つう)じる通路(つうろ)から、(つよ)魔物(まもの)は来ない。

 階下(かいか)(つう)じる通路(つうろ)からは、また(つよ)魔物(まもの)が来ないとは(かぎ)らないから、(ひめ)さんに――


(ひめ)さんはうしろに居てくれ。あとその(けん)、ちょっと貸せ――指輪(ゆびわ)(なお)してやる」

 手渡(てわた)された(けん)を――すぽん♪

 ヴ――くるん、ぱしん♪

 おれの収納魔法具(しゅうのうまほうぐ)指輪(ゆびわ)には、小太刀(かたな)錫杖(しゃくじょう)(なお)簡単(かんたん)仕組(しく)みが有るからそれで、かるく(なお)すに(とど)めた。

 おれのスキルで本格的(ほんかくてき)修理(しゅうり)しちまうと――冒険者(ぼうけんしゃ)カードの偽装(ぎそう)したスキルとズレちまう(・・・・・)からな。


「うふふ、ありがとうですわ♪」

「こっちこそ、命拾いしたぜ。さすがガムラン最強(さいきょう)だ」

 本当(ほんとう)に、死んでたかも知れねぇからな。(れい)を言っておく。


当然(とうぜん)ですわよ。聖剣切(せいけんぎ)りがなくても、もともと魔王城(まおうじょう)に攻めこむ程度(ていどの)(けん)技量(ぎりょうは)は持ちあわせてますもの」

 よーし、仕切(しき)りなおしだ!

 ヴッ――――じゃりぃぃん♪


 ふぉん♪

『イオノ>わかってるよね?

     あの角を最初に二本とも、壊すんだからね?』


「(へいへい、わかったぜ)」

 ふぉん♪

『イオノ>へいは一回』


「(へぇーい)」

 ふぉん♪

『>へい、イオノファラー』


 ガララララッ――――!

 (かべ)から抜けだした魔物(ズングリ)が、のそりと起きあがった。

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