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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
3:ダンジョンクローラーになろう

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252/744

252:ダンジョンクローラー(シガミー御一行様)、迷宮へのいざない

 右側通路(みぎがわつうろ)をレイダがそのまま。

 真ん(なか)をおれが。

 左側(ひだりがわ)をリカルルが、受け持つことになった。

 密書(みっしょ)もどきを一匹一匹(いっぴきいっぴき)退治(たいじ)して、一歩(いっぽ)ずつすすんでいく。


 これなら(どく)を喰らうことも、亀裂(きれつ)に落ちることもない。

 とんでもなく(おそ)行軍(こうぐん)になるが、じつに安全(あんぜん)にすすんでいける。

 おれがシシガニャン二号を着ても良いけど――


 ふぉん♪

『>それだと通路分の時間が掛かり、

  かえって遅くなります』

 そうなるなぁ。


「もし燃えたりしたら言ってくれ、(あたら)しいのをスグにつくるから」

 (まん)(いち)鉄餅(てつもち)駄目(だめ)になっても一度作(いちどつく)った(もの)は、エディタ経由(けいゆ)でスグに複製(ふくせい)できるのは(おお)きい。


「「はぁーい」」

 ふたりともへっぴり(ごし)で、(ひなわ)には慣れてねぇみてぇだ。

 魔法(まほう)でとおくから(てき)を、直に(・・)燃やせる世界(せかい)

 火縄銃(ひなわ)なんて見たことすらないんだから、あたりまえだ。


 ふぉん♪

『>はい。火薬による推進力に頼る必要がありませんので、

  銃器類の類いは発達しなかったようです』


 (なん)でも切れる視線(ぶったぎり)に、しまいには狐火(きつねび)

 攻撃(こうげき)にはろくに使(つか)えねぇけど、一応(いちおう)アーティファクトもあるからな。


「では(ひめ)さま、ココに拠点(きょてん)(きず)いてもよろしいですか?」

 おれが(かつ)いできた荷物(にもつ)(なか)から、夜営(やえい)道具(どうぐ)を取りだす黒騎士(エクレア)

 あの荷物入(にもつい)れの(ふくろ)は、ジンライ式隠(しきおかく)(みの)につながってて、荷物(にもつ)(おも)

さを肩代(かたが)わりする――金剛力(こんごうりき)使(つか)える。


 ソレはいつ売り出すのかしらと、リオに詰めよられたから――「これは五百乃大角(いおのはら)(たの)まれて、(ため)しているだけでな――たぶんそのうちだ」とごまかした。

 迅雷(ジンライ)細腕(かいな)(つく)りおきは――おれたち五百乃大角(いおのはら)(ぐみ)最後(さいご)(とりで)だ。

 シシガニャンに(たい)するおもち(・・・)みたいな、廉価版(やすもの)細腕(かいな)でも(つく)れない(かぎり)りは、外には出せねぇ(・・・・・・・)


 ふぉん♪

『>プロダクトアームの在庫は現在4,483,012メートル。

  シガミーの四肢換算で17,242シガミーになります』

 わからねぇな。四百万(よんひゃくまん)メートルてなぁ、何里だ。


 ふぉん♪

『>約4,500㎞、千百二十五里です』

 わか――ふぉん♪

『>平均時速80キロでシガミーが走り続けた場合、約2・3日の距離です』

 らん――ふぉん♪

『>日の本の国の端から端までの1・5倍……ひとつと半分になります』

 わかった。

 おれが使(つか)うだけなら一生分(いっしょうぶん)てこったな。

 なら、すこしくらい……せめてパーティーメンバーには分けてやっても――


 ふぉん♪

『>筋肉痛の問題が、いまだに解消されていません』

 あー、それがあったか。自前(じまえ)卵酒(たまござけ)使(つか)えるが、効くのは7、8割方(わりがた)だ。

 ふぉん♪

『>そもそもプロダクトアームがあっても、パワーアシストは私かSDKがなければ使えません』

 そういや、そうだぜ。

 ほんとうに中々(なかなか)どうして、うまくはいかねぇもんだな。


 ならやっぱり、あの(ある)いてるときだけ(かる)くなる荷物袋(にもつぶくろ)(ほう)を、簡単(かんたん)使(つか)えるようにでもするか。

 このクエストを終わらせて今度(こんど)こそ日がな一日(いちにち)、だらけ(ほう)けてからで良いけど。

 ふぉん♪

『>了解しました』


 全部(ぜんぶ)全部(ぜんぶ)収納魔法具(しゅうのうまほうぐ)に入れちまうと、咄嗟(とっさ)に欲しいものを取り出せなかったりするし。ソレじゃなくてもガムランの連中(れんちゅう)は、魔法具(まほうぐ)荷物(にもつ)を詰めることを――なんでかあまりしないからな。


   §


「引き(がね)を引いて、(つか)についた十字(じゅうじ)摘み(ボタン)を押す?」

 (どく)平気(へいき)な燃えない憑代(おもち)を、いくらでも使(つか)放題(ほうだい)になった。

 おにぎりと(ちが)って、いちいち自分(じぶん)(うご)かさないといけないけど――


 シシガニャンへっどが(くち)から吐きだした、(いた)によれば。

『上のボタンで行進>敵が居れば粉砕。

 右のボタンで調べる>レアアイテムが有れば、背中に背負った頭陀袋に収納。

 左のボタンで防御、下のボタンで戻る。』


 (じゅう)持ち手(つか)親指(おやゆび)(あた)りに、十字(じゅうじ)のボタンがあって、それを押すことで指図(さしず)出来(でき)る。


 (うえ)(みぎ)同時(どうじ)に押せば、足下(あしもと)調(しら)べつつ(てき)粉砕(ふんさい)(みち)なりにすすんでいく。

 (うえ)(ひだり)で身を(かた)めながら前進(ぜんしん)

 (した)(みぎ)注意(ちゅうい)(はら)いながら(もど)る。

 (した)(ひだり)で身を(かた)めながら(もど)る。


 レイダが5(びき)、リカルルが2(ぴき)鉄餅(おもち)崖下(がけした)に落としたけど、すぐに(うご)かし(かた)(おぼ)えた。


 黙黙(もくもく)と〝密書(みっしょ)魔物(まもの)〟を退治(たいじ)して、それを一匹(いっぴき)ずつ踏みこえていく鉄餅(てつもち)

 危険(きけん)はないが、(おも)ったほどには使(つか)えない。

 念話(ねんわ)(おな)じで視界(しかい)(とお)らない(さき)へは、(あか)りを(とど)けることが出来(でき)(ある)いていけない。

 それに、火で(あぶら)られつづけると、焼けないはずのおもちが(ふく)れて――空中(ちゅう)に浮かびやがった。


 ジタバタともがき、やがて鉄餅(てつもち)天井(てんじょう)(よこ)たわる。

 カチリ――ソレを(ねら)い撃つ(ひめ)さん。

 ひょこり、天井(てんじょう)からぶら()がった鉄餅(てつもち)天井(てんじょう)をさまよう。


「「お、おもしろいよっ!?」――ですわっ!?」

 たしかに面白(おもし)れぇが。

「「「プグフヒィ――♪」」」

 おい、うしろで(わら)ってる連中(れんちゅう)

 そんな場合(ばあい)じゃねぇだろう。


 ふすふすふす、ぽてん♪

 天井(てんじょう)で組んず(ほぐ)れつの鉄餅(てつもち)

「ぷはははっ♪」

 たしかに面白(おもし)れぇ、つい(わら)っちまったぜ。


「――遠赤外線(えんせキがいせん)にヨる輻射熱(ふくシゃねつ)にヨり、内部(ナいぶ)空気(くウき)(あたタ)められまシた――」

 おい、猪蟹屋(ししがにや)のかき入れ(どき)じゃなかったのか?

 ふすふすふす、ぽてん♪

 こんなポンコツでいいのか。


「クスクスクスッ――な、なるほど、飛行船(ひこうせん)のようになってしまったのですね」

 リオがニヤける口元(くち)(かく)している。

飛行船(ひこうせん)てのわぁ、一体何(いったいなん)でぇ……なんだでごぜぇますわぜ?」


 ふぉん♪

『>暖められた空気が、空へのぼっていく現象を利用した乗り物です』

 空飛(そらと)(ふね)か?

 なんだよ神々(かみがみ)(すね)がガムラン(ちょう)だか央都(おうと)だかには、ある(・・)ってこっちゃねぇーか!

 よし、これで五百乃大角(いおのはら)御役御免(おやくごめん)……もとい自分(てめぇ)(いえ)(かえ)してやれる。


 ふぉん♪

『>それは出来ません』

 神々(かみがみ)(くに)ってぇのは、(そら)のうえにあるもんじゃねぇのか?

「(あ、やつぁ惡神(わるがみ)だから、地の(そこ)にあるって(はなし)か?)」


 ふぉん♪

『>F.A.T.Sは〝シンシナティック・ニューロネイション〟という名の双六の胴元とお考えください』


「(わからんがわかってる、おれぁくさっても坊主(ぼうず)だからな。五百乃大角(いおのはら)迅雷(おまえ)も――彼岸(ひがん)此岸(しがん)(つぉと)から来たんだろ)」

 冗談(じょうだん)はこの(へん)で終わりにして、(さき)(すす)めるようにするぞ。

 おれはなんでか浮かんでない、おれの鉄餅(てつもち)をじっと見た。


 (かか)えてる魔物(みっしょ)(おも)いから、浮かばねぇのかも――解析指南(かいせきしなん)


   §


 通路(つうろ)魔物(まもの)をぜんぶ始末(しまつ)した。

 お(たから)はとうぜんひとつもなく、残念(ざんねん)がるフッカとレイダ。


 浮かんじまうことへの対策(たいさく)鉄餅(てつもち)(つく)るときに、(なか)に入れる空気(いき)を少なめにして、(おも)しを両足(りょうあし)に詰めた。

 (おも)しには、退治(たいじ)した密書(みっしょ)魔物(まもの)をつかった。


 落ちないように気をつけて、通路(つうろ)(わた)る。

 薄暗(うるぐら)く、熱気(ねっき)(はば)まれていた(さき)を、のぞき込むと――


 ソコはやっぱり通路(つうろ)で、魔物(まもの)はいなかった。

 天井(てんじょう)はさっきの広間(ひろま)とくらべると(ひく)くて……4シガミーくらい。

 エクレアだと……ひとりと半分(はんぶん)くらいか。


 ペチペチと(かべ)(たた)(ひめ)さん。

 狐火(きつねび)(しょう))をだして(かべ)を照らしている。

 よくみれば壁天井床(かべてんじょうゆか)(すべ)てが、(かんな)を掛けた(はしら)のようになめらかだった。


 さらに(さき)に進むと通路(つうろ)は、また曲がってて――その突きあたりは(みち)二手(ふたて)に分かれていた。

 この様子(ようす)だと、どこまでも通路(つうろ)(つづ)いている。


「すこし(はな)れてください」

 そういって(すす)みでた黒騎士(エクレア)が、曲がり(かど)へむかって大剣(たいけん)を突きたてた!

 ガギィィン――そうとう(かた)いのが、(おと)でわかる。


 ほんの(すこ)(くず)れた(かべ)が見る間に、(もと)のなめらかさを取りもどした。

「シガミー、欠片(かけラ)回収(かイしゅう)してくダさい」

 掛けよって落ちたのを(ひろ)おうとしたら、(こおり)みたいに(ゆか)に溶けた。


一旦引(いったんひ)(かえ)しますわよ」

 様子見(ようすみ)に真ん(なか)通路(つうろ)侵入(しんにゅう)したおれたち、リカルル、エクレア、シガミーの三人(さんにん)は、来た(みち)をもどる。

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