表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
3:ダンジョンクローラーになろう

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

246/744

246:ダンジョンクローラー(シガミー御一行様)、ディナーショー

 おにぎり杯天狗戦(はいてんぐせん)料理(りょうり)六本勝負(ろっぽんしょうぶ)予想投票(よそうとうひょう)半券(はんけん)

 はずれ(けん)以外(いがい)のすべてで、約二万食(やくにまんしょく)にもなった。


 それをさばくために、料理(りょうり)役立(やくだ)魔法具(まほうぐ)を組み立てた。

 ガムラン饅頭(まんじゅう)をつくる無人工房(むじんこうぼう)と似た仕組(しく)みだけど、超女神像(ちょうめがみぞう)には(つな)がっていない。

 半券(はんけん)をあつかう自動発券(じどうはっけん)魔法具(まほうぐ)はギルドの(なか)食堂(しょくどう)にもあって、そっちと超女神像(ちょうめがみぞう)はつながってる。ややこしいな。


 そしてお祭り(フェスタ)から一週間後(いっしゅうかんご)今日(きょう)

 ギルド会館(かいかん)最上階(さいじょうかい)でのお食事会(しょくじかい)には、(やく)80(にん)当選客(おきゃく)招待(しょうたい)された。


   §


「あらあらまぁまぁ、みなさま本日(ほんじつ)は、あたくしさまのディナーショーへようこそぉ、おいてくださいましたわぁーん()

 カシャ――『(Θ_<(ばちーん♪))』

 〝浮かぶ玉(なんたら)〟があらわれたと(おも)ったら、また片目(かため)を閉じやがった。

 どうやらアレは(むし)じゃなくて、歌舞伎者(かぶきもの)が切る見得(みえ)みたいなもんらしい。


「がははははっはぁ――――イオノファラーさまとうまい(さけ)()みかわせるとは、じつにめでたい♪」

 工房長(ノヴァド)……六本勝負(ろっぽんしょうぶ)全部(ぜんぶ)を引き当てたのか。

 げに(おそ)ろしきは、(さけ)への執念(しゅうねん)

 鍛冶工房(かじこうぼう)からは(ほか)一人(ひとり)招待(しょうたい)されている。


 冒険者(ぼうけんしゃ)が6(わり)、フェスタの(きゃく)が3(わり)

 のこりは冒険者(ぼうけしゃ)じゃないガムラン(ちょう)住人(じゅうにん)だ。


「カカカッ――ノヴァド殿(どの)先日(せんじつ)のひれ(ざけ)をお出しできるが、いかがかのぅ?」

 あの天狗(てんぐ)()だ。

 今日(きょう)(めし)支度(したく)は、なんせ百人(ひゃくにん)ちかい。

 面倒(めんどう)だから、便利棒(ジンライ)丸投(まるな)げした。


 いちおう、五百乃大角(いおのはら)のお目付役(めつけやく)として聖女(せいじょ)シガミーが参加(さんか)しないわけにはいかない、という大義名分(たいぎめいぶん)もあるにはある。


 そして今日(きょう)は、カブキーフェスタの発端(ほったん)となった――歌舞伎者(かぶきもの)みたいな派手(はで)格好(かっこう)をさせられている。


 レイダと(そろ)いの……袈裟(けさ)みたいな(ふく)は、(ひざ)よか(みじけ)ぇ。

 (かぜ)が吹きゃぁ、すっかりめくれちまうような、しゃらあしゃらの極致(きょくち)

 それにアーティファクト当番(とうばん)をあらわす橙色(だいだいいろ)(ぬの)を巻きつけ――

 獣耳(けものみみ)が付いた帽子(ぼうし)。これはルコルにもらったのを塗り替えた。

 まるで猫耳(ねこみみ)がついた、神楽舞(かぐらま)いの巫女装束(みこしょうぞく)みたいなありさま。


 レイダもリオレイニアも、この場に居てくれなくて(たす)かった。

 この派手(はで)装束(しょうぞく)をあいつらに見られるのは、気恥(きは)ずかしい。


 そういやそもそもカブキーフェスタは、この装束(しょうぞく)おれを売り出そう(・・・・・・・・)という(はなし)から(はじ)まってる。

 (まつ)りが終わってみれば実際(じっさい)に売り出せたのは、強化服一号(おにぎり)だったけど。


「にゃみゃぁぁぁーご♪」

 ん? おにぎりの(こえ)がしたぞ?

 おかみさんが手伝(てつだ)いに来てくれているのか。

 フェスタ以降(いこう)、おにぎりは女将(トゥナ)さんに付き(したが)うようになってしまった。

 すこしだけ猫共通語(ねこきょうつうご)がしゃべれる彼女(おかみさん)によれば、舞台(ぶたい)でつかった古代魔法(こだいまほう)がとても面白(おもし)くて、その修行(しゅぎょう)を兼ねて女将(おかみ)さんのところに〝弟子入り(・・・・)〟してる――つもりらしい。


 まあ(おま)のところギルドを建てなおすような、(おお)がかりな工事(こうじ)予定(よてい)もないから――「好きにさせとけばぁー?」

 っていう五百乃大角(いおのはら)意見(いけん)に、(したが)っておく。

 あの魔法(まほう)神髄(ひかり)で絵を(えが)古代魔法(こだいまほう)のひとつでも、おにぎりが(おぼ)えてきてくれるなら、おれたちの出し(もの)(かず)が増えるしな。


「じゃあ、(はっじ)めるわよ()

 画面(ちゅう)(うつ)し出された(うつ)し身の五百乃大角(いおのはら)が、(すみ)に置いてあったテーブルを(ゆび)さした。

 ソコに(なら)べられているのは、様々(さまざま)(いろ)(かたち)(つぼ)(びん)


 カツカツコツコツと足音(あしおと)を立て、(ちい)さな舞台(ぶたい)へ上がる映し身(いおのはら)

 ヴォヴォンゥォー、ズダダダダッダダッダンッ♪

 このお囃子(はやし)――――央都(おうとの)宴会(えんかい)迅雷(ジンライ)(つく)って、リオレイニアの声(・・・・・・・・)(うた)った(やつ)か!


 ここ大広間(おおひろは)は、そうとう(ひろ)い。

 そして(そら)から落ちてくる(かみなり)にも変異種(ヴァリアント)(つの)ウサギの攻撃(こうげき)にも、耐えるように(つく)った。

 だからすこしくらい(あば)れても、ヒビひとつ(はい)らないはずだ。

宴会芸(えんかいげい)をやれってワケか、まったく」

 しゃあねぇから(なら)んだ鋳物(いもの)(なか)から、斬りづらいヤツを、何個(なんこか)退()かす。

 切れずにすっ飛んでったのが、お(きゃく)に当たったらいけねぇからな。


「〽満っ員電車(まんっいんでんしゃ)に乗っかって (きみ)とっ見た(ほし)のような 電ッ光板(でんっこうばん)を見っつめっているゥ――()

 ヴォヴォンゥォー、ズダダダダッダダッダンッ♪

 あれこの(こえ)――――ひょっとして!?


「――はイ。五百乃大角(いおのはら)……いエ、イオノファラーの身体(しンたい)スキャンデータ……(うツ)し身かラ(サい)モデリングしタ、彼女(かのじョ)肉声(にくせイ)()――」

 わからんが、五百乃大角(いおのはら)の素っ頓狂(とんきょう)(こえ)に変わりはあるまい。


「さぁさぁお立ち会い――♪」

 場がしらけねぇよう――ヴッ。

 ぱしん――(いそ)いで小太刀(こだち)を取り出した。


 シュッカァァァンッ――鋳/鍋(いなべ)

 シュカンッ――酒/瓶(さかびん)

 シュカァァン――なんか/(たか)そうな/(つぼ)


 よし、切れ(あじ)は変わりねぇ。

 このシガミーの(からだ)は、(おも)ったとおりに(うご)く。

 沸く宴会会場(ペントハウス)


 さすがに室内(いえのなか)裏天狗(ジンライ)とか強化服一号(おにぎり)と、組み手まがいな演舞(えんぶ)披露(ひろう)する勇気(ゆうき)はなかった。

 こんどギルド屋舎(おくしゃ)(こわ)したら(だれ)だろうが、ガムラン追放(ついほう)されそうだし。

 せっかく数百年(すうひゃくねん)は朽ちないくらいに、頑丈(がんじょう)に建てたし。


 (つぎ)から(つぎ)へと出てくる(めし)合間(あいま)にまで――「なんかやって♪」と抜かす美の女神(いおのはら)

 (かべ)(はし)り(烏天狗(カラテェー)(わざ)だが、背に(はら)はかえられない)、

 独楽(こま)(まわ)し(天狗(テェーング)(わざ)だが、背に(はら)はかえられない)、

 しまいには(きょう)を読む(読経(どきょう)シガミー(おれ)前世(ぜんせ)である僧侶猪蟹(そうりょししがに)技術(スキル)だ)羽目(はめ)になった。


「だ、出し(もの)をよ……ふ、増やさねぇとな」

 どうにかこうにか宴会(えんかい)も、そろそろ終わる。


 コレさえ終われば、ようやく酢蛸(SDK)につかえるアーティファクト――

 ひいては〝朽ちた女神像(めがみぞう)〟を(さが)しに行ける。


 それにまずは、ひとまずは――ほんの一週間(いっしゅうかん)で良いから(やす)みたい。

 日がな一日(いちにち)ゴロゴロして、食べたいときに食べて、寝たいときに寝て、散歩(さんぽ)をしたいときに、気ままに出かけるのだ。


「――シガミー、ひレ酒用(ざけヨう)清酒(せいシゅ)が足りマせ()――」

 裏天狗(ジンライ)樽酒(エール)をかついで持ってきた。

 ひれ(ざけ)を気に入ってくれた工房長(ノヴァド)たちや、そのほかの呑んべぇたちがカパカパと(さかづき)を空けるもんだから――酒樽(エール)も、もう十個(じゅっこ)切り捨てた(・・・・・)


「はいよぉー♪」

 もう解析指南(かいせきしなん)もなしに、ぱっとしない樽酒(エール)から(から)みのあるキツイ(さけ)(つく)れるようになった。

 手順(てじゅん)のひとつに、おれがスキルでやった(ほう)(はや)いのがあるから、それとバレないように清酒(せいしゅ)に変える。


 シュォォォォォォォオッ――――すぽん♪

 燃える霧(・・・・)裏天狗(ジンライ)回収(かいしゅう)した。


 こうして(いま)自前(じまえ)で、澄み(ざけ)すら(つく)れるようになった。

 つまり筋肉痛(きんにくつう)特効薬(とっこうやく)卵酒(たまござけ)すら、自分(じぶん)(つく)れるってことで。

 おれひとりなら金剛力(パワーアシスト)使(つか)って、いつでもドコでも自由(じゆう)に出かけていけるのだ。


 さすがに五百乃大角(いおのはら)(じるし)御利益(ごりやく)までついた、本物(ほんもの)卵酒(たまござけ)ほどの効果(ききめ)(のぞ)めないかも知れない。

 けど、おれの酒瓶(さかびん)からでた澄み(ざけ)とくらべて、この(つく)った〝樽澄(たるす)(ざけ)〟だってそこそこ良い(せん)いってる。

 そうだな……六割方(ろくわりがた)(さけ)出来(でき)

 ソレに(おう)じたくらいの利き目はあるだろ。


 あちこちに出かけて、色々(いろいろ)なことをしよう。

 神域惑星(しんいきわくせい)自動地図(ちず)も、埋めていきたい。

 早々(そうそう)(うみ)でもみつけられたら、五百乃大角(いおのはら)にどんな(めし)催促(さいそく)されても(こま)らなくなるからな。

 魔物(まもの)大根(だいこん)……マンドラゴーラも神域惑星で取れりゃ――


「――神域惑星(しんいきわくセい)はイオノファラーにヨり、()(モと)食材(しょクざい)が採れルように設計(せっけイ)されテいま()――」

 あー!? 無ぇ(・・)ってことか。

 残念(ざんねん)だけど、贅沢(ぜいたく)は言うまい。

 十分(じゅうぶん)十分(じゅうぶん)、いいよいいぞ。かなり良い(かん)じじゃね?


 うひひ。ひとまず明日(あした)一日(いちにち)寝床(ねどこ)から出ねぇぞ。

 (まん)(いち)レイダが(あそ)びにでも来た日にゃ(いえ)に引っ張りこんで(十中八九来(じゅっちゅうはっくく)るし、リオレイニアも絶対(ぜったい)朝一番(あさいちばん)(かお)を出す)――

 そうだなー、双六(すごろく)でもやろう。絶対(ぜったい)(そと)にはでねぇことを、ここに(ちか)うひうひひ。


 ピピピピピッ――「ハッチ開閉(かいへい)します。白線(はくせん)外側(そとがわ)までお下がりください♪」

 突然(とつぜん)拡声(かくせい)された(こえ)に、あたりを見わたす招待客(おきゃく)たち。

 (れい)の〝ひらく仕組(しく)み〟が、天守閣(ココ)にも仕込(しこ)まれてた。


「にゃみゃごぉ――♪」

 仕込(しこん)んだのはおにぎり。

「あらぁ、うまく機能(きのう)したじゃなぁーい♪ 上々(じょうじょう)上々(じょうじょう)――ウケケケケッ♪」

 設計(めいれい)したのは五百乃大角(いおのはら)か。

 天守閣(ペントハウス)防衛(まもり)が気になるが、(ひら)いたのは一瞬(いっしゅん)で――テーブルに掛けられた白布(クロス)を、ふんわりと揺らしただけだった。


 ヴォォォォォォンッ――――♪

 宴会(えんかい)最後(さいご)(まど)から乱入(らんにゅう)した伯爵夫人(ルリーロ)の、ある(・・)一言(ひとこと)で――

 おれのささやかな(ちか)いは、もろくも(くず)れさることになる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ