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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
1:輪廻転生、おいでませガムラン町

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24/744

24:見習い冒険者(幼女)、ムシュル貝を釣ろう

「おい、まだ着かねえのか?」

 子供(おれ)ですらせまい、この横穴(よこあな)に入ってから、かれこれ小半刻(こはんとき)にはなる。


「(シガミー。正確(せいかく)には、まだ5分40秒……(しばらく)しかすぎていません)」

 レイダの魔法(まほう)、『(あか)り』に照らされる周囲(しゅうい)はうすぐらい。


「もう少しだってば、はぁひぃ。せ、せまい」

「しりがつかえてんじゃねーのか? ()してやる」

「ちょっと、()さないでよ、引っかかっちゃうでしょ!」

「いていて、蹴るな、(いて)えだろうが!」


「むぎゅっ?」

 へんな声をだしたレイダが、ピタリととまった。

「どうした? やっぱり、しりがつかえたのか!?」


「しょーがないでしょ、はさまっちゃったんだから!」

 また、蹴り足がとんできたから、うしろににげる。

 ――ガッガガリリリッ!

 蹴りがとどかないとみるや、即座(そくざ)魔法杖(ながいぼう)を突き込んできやがる!

 レイダは礼儀(れいぎ)ただしいのに、ときどき気がつよい。

 あのギルド長の娘らしいっちゃらしいが――こんな狭いところで、子供(ガキ)みてえなマネをするんじゃねえ。


 ここは、水路(すいろ)をすすんだ先にあった横穴(よこあな)

 城壁(まもり)に穴があいてて大丈夫なのかと思ったが――

 町の外から水路(みず)を引きこむために、二重(にじゅう)三重(さんじゅう)頑丈(がんじょう)になってるせいで、逆にできたスキマらしい。

 とにかく、はいつくばって進まなきゃならねえから、なかなか思うようにいかねえ。


「おい、迅雷(ジンライ)、ど-にかしろ!」

 こういうときこそ、便利棒(すだれ)出番(でばん)だ。


「コこまでピッタリとはさまッてなケれば、私の機械腕(マニピュレータ)……工具(こうぐ)で石を切断(セつだん)するこトも、できたノですが――」


「わるかったわね、お尻がおおきくて!」

 ドカカカッ、ガリガリッ――!

 また杖がとんできた。ほそくて曲がるから、折れたりはしねえだろうが、大事(だいじ)なもんじゃねーのか?


切断(せつだん)? おまえの中には刃物(はもの)も入ってんのか?」

刃渡(はわ)り58センチ……シガミーの半分(はんぶん)のながさまでなら、どんな形の刃物(はもの)もつかえます」


 ガツガツガツ、カカカンッ――!

 おれは杖をつかんで、引っぱってやった。


「きゃー、杖を取られたぁー! 迅雷(ジンライ)ー、たぁすぅーけぇーてぇー!」

 弱音(よわね)をはく子供(レイダ)


「デは、強度(きょうど)計算(けいさん)しながら石垣(いしがき)をひトつズつ()いテいきまシょう」


   §


 ゴゴ、ゴゴゴ、ゴツンゴツン――ゴワラララッ、ゴゴン!

 散乱(さんらん)する石をどけてすすむと、外の光が差し込んできた。


「「はぁはぁはぁ……やっと、出られた」」

 そこは外ではなく、(かべ)の中にできた、縦穴(たてあな)だった。


城壁(じょうへき)にしみコんだ(あめ)地下水(ちかすい)を、一カ所にまとメて水路(すいろ)へ逃がす構造(こうぞう)のようです。年代(ねんだい)――文化(ぶんか)水準(すいじゅん)を考えルと、なかなかの名工(めいこう)によるすぐれた設備(せつび)かと」


「すぐれた……この町にはドワーフの鍛冶(かじ)ギルドがあるから……職人(しょくにん)さんが……たくさん集まるって言ってたー」

 杖をかかえてへたり込む子供(レイダ)


「あの……小柄(こがら)だけど……怪力(かいりき)連中(れんちゅう)だろ?」

 通路(つうろ)や家だけじゃなく、町中(まちなか)のほとんどが石畳(いしだたみ)で敷かれてるのは、そういう腕が良いやつらが大勢いるかららしい。

 そのわりには、女将(おかみ)の店くらいでしか、みかけねえけどな。


 ………………さぁぁぁぁぁぁ――。

 ぼーっと空をみあげていると、みずの音がきこえてきた。


 井戸(いど)みたいなかたちの、縦穴(たてあな)中央(ちゅうおう)

 そこには、まるい穴が空いていて、のぞき込むと下の方を水路(すいろ)が流れている。


「なんかいるぞ、かすかに動いてる!」

 水路(すいろ)につうじる穴の下の方。

 まるい(ふち)がうごいている。


「ありゃあ、貝か!? 何でこんなところに?」

「上を見て。木が城壁(じょうへき)(おお)ってるでしょう?」

 上を見ると、まるい空に木の枝が、すこし飛び出していた。


「森から引いた水路(すいろ)にそって森が、伸びてきてるのよ」

「(森に侵食(しんしょく)されてる? 夜盗(やとう)に侵入されねえか?)」

「(ふと枝は払われているようです。あの枝をつたって城壁(じょうへき)に飛び移れるのは、せいぜい栗鼠(リス)ていどです)」


 もういちど、まる穴にあたまをつっこむ。

「生き(もん)逃げる(・・・)って、話だったんじゃ?」


水路(すいろ)魔方陣(まほうじん)は水が流れてないと、効果(こうか)発揮(はっき)されないのよ」

「(水路(すいろ)内部(ないぶ)、水のない天井(てんじょう)部分(ぶぶん)をつたってきているようです)」


「そういうことかー」

 だが、こっからどうすりゃいいんだ?

 水路のあなに頭は入るが、肩までは入らねえ。


迅雷(ジンライ)、この穴も広げられるか?」

 あたまをぬいて、空に浮かぶ独鈷杵(ジンライ)に話しかける。


強度(きょうど)問題(もんだい)がアり……床が抜けます。そレと魔方陣(まほうじん)隣接(りんせつ)する石垣をはずすト、水路(すいろ)全体(ぜんたい)魔方陣(まほうじん)影響(えいきょう)がでる危険(きけん)(せい)がアります」


   §


 レイダの杖のさき、しばりつけた細い糸がたれて、まるい穴に落ちている。


「またつれた!」

 レイダの横に詰まれた(あみ)ぶくろは迅雷(ジンライ)が作り出したもので、木くずや草や石ころなんかから(いく)らでも作り出せるらしい。


迅雷(ジンライ)、これで何匹(なんびき)()?」

「22匹目(ひきめ)でス。レイダ」


 おれの(あみ)ぶくろには、まだなにも入っちゃいねえ。

 便利棒(ジンライ)をひきあげた。

 小さな針に付けた餌が、またなくなってた。

小半時/15分。

暫/5分から10分程度。または、それ以下の短い時間。

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