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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
2:カブキーフェスタへの道

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237/744

237:天狗(シガミー)という名の神さま、料理対決開始

「さて(はじ)まりました料理対決(りょうりたいけつ)六本勝負(ろっぽんしょうぶ)なんですけれども、まずはオードブルとなるこの一本目(いっぽんめ)解説(かいせつ)のリオレイニア(じょう)はどうみますか?」

 やたらと滑舌(かつぜつ)が良いギルド職員(しょくいん)

 紹介(しょうかい)された(しろ)悪魔(あくま)……解説(かいせつ)のリオが、テーブルに置かれた(あな)の空いたしゃもじのような魔法具(まほうぐ)(かお)を寄せる、


「はい。テェーングさまが猪蟹屋(ししがにや)で揚げ(もの)を揚げるお手伝(てつだ)いをしてくださったことがあったのですが、その手際(てぎわ)はとてもお見事(みごと)でしたわ」


「なるほど、テェーングさまの料理(りょうり)(うで)には期待(きたい)できると言うわけですね。現在(げんざい)テェーングさまに投票(とうひょう)されたのは142(にん)。それに(たい)し、カラテェー(くん)は83(にん)というすべりだし。一般的(いっぱんてき)少年(しょうねん)料理(りょうり)への評価(ひょうか)が、投票数(とうひょうすう)にあらわれているようです」

 背後(はいご)巨大(きょだい)画面(がめん)が切りかわり、子供(こども)大人(おとな)をあらわす人型(ひとがた)にそれぞれ数字(すうじ)が添えられた。


「(子供(ガキ)だからっていうのは気に入らないけど、まあいい。どのみち最後(さいご)に勝つのは、わしじゃ)」

 包丁(ほうちょう)をかまえ、覆面越(ふくめんご)しにキッと弟子(でじ)を見つめてやる。


「――そウですネ。心配(しンぱい)せズとも(アじ)ノ善シ悪しハ、かナらず結果(ケっか)にアらわれま()――」

 おなじく包丁(ほうちょう)をかまえ、覆面越(ふくめんご)しにキッと見つめかえす弟子(でし)


「なにやら師弟(してい)のあいだに、火花(ひばな)が散っている様子(ようす)だが――」

「お(かお)が見えないので、表情(ひょうじょう)がつかめませんねー。ふぅー」

 (ほほ)に手をあて、ため(いき)をつく解説者(リオレイニア)


「((かお)が見えないのは、リオもいっしょだろーが)」

「(同感(どうかん)ですがシガミー、そろそろ食材(しょくざい)を決めない())」


「なお投票(とうひょう)には制限時間(せいげんじかん)(もう)けさせて(いただ)きます。計六回(けいろっかい)各勝負(かくしょうぶ)ごとに五分間(ごふんかん)猶予(ゆうよ)があり、その(あいだ)にお(すわ)りの座席(ざせき)ちかくの自動発券(じどうはっけん)魔法具(まほうぐ)にて投票(とうひょう)を済ませてください」

 発券(はっけん)魔法具(まほうぐ)。ギルド一階(いっかい)設置(せっち)したのと(おな)じのを、座席列(ざせきれつ)ごとに配置(はいち)したのはこういうことか。

 まさか最初(はなっ)から、料理勝負(めしごと)にするつもりだったんじゃねーだろうな。

 首謀者(あいて)五百乃大角(いおのはら)だ、あやしい。

 そのおかげで伯爵夫人(はくしゃくふじん)妖狐(ようこ)としてのわだかまりを、(ぬぐ)える好機(こうき)をつかんだのも(たし)かではあるが。


「なお、第一回戦(だいいっかいせん)投票券(とうひょうけん)を1キーヌでご購入(こうにゅう)いただき、二回戦以降(にかいせんいこう)はその(けん)魔法具(まほうぐ)へ差しこんで投票(とうひょう)(つづ)けていただく(かたち)となりますので、的中(てきちゅう)した(けん)紛失(ふんしつ)なさいませぬようお(ねが)いいたします」

 たいへんだよな、ギルド職員(しょくいん)も。


司会(しかい)のギデロケさん」

「なんでしょう、解説(かいせつ)のリオレイニアさん」

「その説明(せつめい)だけですと、予想(よそう)をはずしてしまったときの(あつ)いが(みな)さまへ(つた)わりませんが?」

 クイッと仮面(かめん)を持ちあげる、解説者(リオレイニア)

「あーはい、そうですね。えぇぇーっと、ご指摘(してき)いただいたとおりこの六本勝負(ろっぽんしょうぶ)投票券(とうひょうけん)には、はずれても特典(とくてん)があります。くわしくはこちらをご(らん)ください――」

 たいへんだよな、ギルド職員(しょくいん)も。


 ヴォーン♪

 ふたたび切りかわる巨大(きょだい)画面(がめん)

『投票券の特典

 6回的中――ペントハウスへご招待

 5回的中――すべての料理から選んで5品※

 4回的中――的中した料理四品(外れた料理の中からも二品選べます)※

 3回的中――的中した料理三品(外れた料理の中からも一品選べます)※

 2回的中――的中した料理二品※

 1回的中――的中した料理※

 0回的中――猪蟹屋商品券1ヘクク相当※

 ※お食事はギルド会館内食堂での提供になります』


 会場(ここ)にいる客全員(きゃくぜんいん)投票(とうひょう)でもしたら、猪蟹屋会計(ししがにやかいけい)からも相当(そうとう)(がく)が出る。

 一体何(いったいなに)使(つか)うんだと(おも)ってたけど、そういうことかー。

 1キーヌで投票(とうひょう)して全部外(ぜんぶはず)れても、串揚(くしあ)一本分(いっぽんぶん)価値(かち)十本分(じゅっぽんぶん)に化ける。

 けどこれだけ振る舞われりゃ(きゃく)(まつ)りも、(こころ)く終われるってモンだぜ。


「カカカカッ――それじゃ(はじ)めるとするかのう――弟子(でし)よ?」

「カカッ――はい、お師匠(ししょう)さま――ぼくは、コレで勝負(しょうぶ)します!」

 裏烏天狗(ジンライ)が手にしたのは――まるで奥方さま(ルリーロ)魔法杖(つえ)のような、巨大(きょだい)山菜(さんさい)


「ふむ山菜(さんさい)か――ならわしはコイツにするかのぅ!」

 オードブルってのは――

『ヒント>オードブル/先付けやお通し。主役となる料理の前に出てくる料理』

 チョットした(さけ)のつまみってこった。

 なら神域惑星(しんいきわくせい)食材(しょくざい)をかき(あつ)めてるときに目をつけておいた、アレ(・・)が有れば事足(ことた)りる――すぽん♪


 包丁(ほうちょう)をしまって――ヴッ――ぱしん♪


「おおーっと、テェーングさまが取りだしたのは、まがった(けん)だぁー」

「あらぁ、まるでフェスタのマスコット〝おにぎり〟ちゃんのような、きれいなお(いろ)ですわぁーね♪」

 この五百乃大角(いおのはら)よりも(した)っ足らずな子供声(こどもごえ)

 ちらりとみると奥方さま(ルリーロ)が、司会者席(しかいしゃせき)まで出張(でば)ってきていた。


 あの(こえ)を聞くといつ真言(マントラ)(とな)えやしないかと、びくびくしながら料理(りょうり)(つく)らなきゃいけなくなる。

 それにジンライとの念話(ねんわ)(ぬす)み聞きされないとも(かぎ)らないから、本当(ほんとう)にやりづらい。


 ちらり――弟子(ジンライ)をみれば山菜(さんさい)(した)ごしらえを済ませ、一番下(いちばん)(ほう)に埋まってた食材(しょくざい)をいきおいよく引っこ抜いた。

 弟子(じんらい)が選んだのは猪肉(ししにく)

 猪蟹(おれ)にたいする意趣返(いしゅがえ)しだろうか?


 まあ(かに)は見つからなかったけど、神域惑星(しんいきわくせい)もひろいからそのうち見つける。

 なんせ五百乃大角(いおのはら)(そな)えるものは、〝うまいもの〟じゃなけりゃならないからな。

 ぜひとも具材(ぐざい)(くわ)えておきたい。


 びったん――♪

 ばらばらと(くず)れたなかのひとつが、足下(あしもと)にころげ落ちた。


「ふむ。じゃーわしゃぁ、こいつにするかのぅ?」

 ちょうど足下(あしもと)に落ちてきたのは――

 チーン♪

『>特選ニジマス【中】 ×1』

 味噌鍋(みそなべ)にして喰ったさかなの、小振り(・・・)(ソレでも相当(そうとう)でかいが)なヤツをつかみあげた。


 すととんすととん、サクサク――「ひのたま」

 手際(てぎわ)よく(のく)をさばいて(くし)に刺し、かまどに火を入れる裏烏天狗(ジンライ)


「おぉーっとカラテェー選手(せんしゅ)手慣(てな)れているーぅ♪」

「そうですね、山菜(さんさい)を煮る(なべ)の火で同時(どうじ)調理(ちょうり)するつもりのようです。じつに素晴(すば)らしい」

 ジンライの野郎(やろう)が、リオに褒められてやがる。


「ちぃぇぇいっ――――!」

 まな板代(いたが)わりの堅木(かたぎ)(うえ)

 (よこ)たわる一抱(ひとかか)えはある(さかな)を、三枚(さんまい)におろし(うろこ)を取った。


 おぉぉおぉおおぉぉ――!

 (げい)としちゃ、こんなもんだろうが――これは料理勝負(りょうりしょうぶ)だ。

 最初(はな)からとっておきを出していく。


 (ふか)さがある(うつわ)に、切りわけた(さかな)の身と(ほね)とひれ。

 それを立てるように(・・・・・・)並べていく。

 そして鬼の娘(オルコ)にふるまった(みりん)に入れた、薬味(やくみ)

 あれと(おな)(もの)を――――チョキチョキチョキ♪

 (はさみ)(きざ)んで、うえから掛ける。


 審査員全員(しんさいんぜんいん)の分と、味見役(いおのはら)(ぶん)用意(ようい)した。

 ついでに自分(じぶん)味見用(あじみよう)小鉢(こばち)をひとつ。

 あー、小鉢(こっち)はギルド職員(しょくいん)解説(リオ)(ぶん)も、ついでに(つく)っとくか。


 さてあとは――あった。

 女将(おかみ)さんが今朝(けさ)がた持ってきたのと(おな)酒樽(さかだる)

 きゅぽん♪

 なかみはあのぱっとしない、あんまり酔えないぬるい(エール)(さけ)


 大鍋一杯(おおなべいっぱい)にソレを(うつ)し――「キリキリバサ(ひの)ラウンハッタ(たま)!」

 ぼっごぉわぁん♪

 (なべ)から吹きあがる火の(たま)

 呪文(じゅもん)天狗(てんぐ)(わざ)っぽく(とな)えただけの、ただの「ひのたま」だ。


 この(とな)(かた)一度(いちど)リオレイニアに見せたことがあるけど、〝真言(しんごん)〟や〝刀印めっせよ〟は日の本(ヒーノモトー)生まれのお家芸(いえげい)だと(おも)ってくれてる……と良いんだが。


 うぉぉぉぉぉぉぉぉ――――!

 パチパチパチパチ!

 拍手(はくしゅ)がすこしもらえた。

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