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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
2:カブキーフェスタへの道

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229/744

229:ギルド住まいの聖女(研修中)、フォチャカさん

「はぁ!? 揚げ物……ニゲルが?」

「なんだよっ、これぇ~!?」

 いろめき立つ大人(おとな)たち。


「ぷははははははははっ――――!?」

「ぷっ、ふふふふふっ、クスクスぷふーっ!?」

 なぜか、くの字に折れ曲がる、パーティーメンバーたち。


 なんだか騒々(そうぞう)しいけど、こっちは()いた小腹(こばら)をどうにかするのに専念(せんねん)する。

 じゅわぁぁぁぁっ――パチパチパチパチ♪


「ちょっと待って、おくんなさいよ。いま揚げてるからー♪」

 はぁ、いそがしーなこりゃ、目も冴えて来ちまったし。


 (こわ)れた(たな)仕舞(しま)って――かまどを(つく)った。

 手持(ても)ちの収納板(しゅうのういた)(いも)が、えーっと3,648個!?

 いざってときの兵糧(ひょうろう)がわりに、市場(いちば)で見つける(たび)に買い込んでたけど――


「そんなに一杯(いっぱい)わぁ、食べられなぁいわぁー♡」

 やい御神体(ごしんたい)。いくら収納魔法並(しゅうのうまほうな)みの胃袋(いぶくろ)でも、そんなには(はい)らねぇだろう。

 まず(さき)一皿(ひとさら)、お(そな)えした(ぶん)大人(おとな)しく喰っててくれ。


「はいよっ、あがったよ! 冷めないうちに、どーぞ♪」

 一度(いちど)に揚げられるのは、20(ぽん)くらい。

 これなら大皿(おおざら)も、つぎつぎと山盛(おおも)りに出来(でき)る。

 たぶん、薬草師(やくそうし)としての基本(きほん)スキル、〝生産数最大(せいさんすうさいだい)〟が効いてるんだと(おも)う。


 〝高速調理(こうそくちょうり)〟、〝食物転化(しょくもつてんか)〟、〝さじ加減(かげん)〟あたりも、上手(うま)いこと(やく)に立ってる。

 けど――(くし)(いも)を刺して――(こな)をまぶして――揚げて――(あぶら)を切ったら――(さら)に盛る。

 その調理工程(ちょうりこうてい)のひとつごとに――1・5(ばい)くらいに増えるのは、どういうこった迅雷(ジンライ)!?


 じゅわぁぁぁぁっ――パチパチパチパチ♪

 じゅわぁぁぁぁっ――パチパチパチパチ♪

 やべぇ、なんでか芋を揚げる手が、止まらねぇ――――!?

 揚げ(いも)大皿(おおざら)が、次々(つぎつぎ)(なら)べられていく。


「――シガミー、こレは……〝伝説(でンせつ)職人(しょくニん)〟スキルまデ効果発動(こうかハつどう)していマせんか()――」

 裏烏天狗(ジンライ)(ひか)(しつ)(そと)にテーブルを、次々(つぎつぎ)と置いていく。


「もー、ダメじゃないかっシガミー!」

 この(こえ)は、女将(おかみ)さんだ!

 コレだけの揚げ(いも)を、こんな夜中(よなか)にさばける(はず)がない。

 「――食材(しょくざい)無駄(むだ)にしたら、木さじで(たた)くからね――」

 食堂(しょくどう)(はたら)かせてもらっていたときに聞かされた、彼女(かのじょ)口癖(くちぐで)


「(まずい、木さじで(たた)かれる!)」

 どうやって、この場から姿(すがた)をくらますか、必死(ひっし)(かんが)えてたら――

(れい)の〝たまごソース(・・・・・・)〟がなくちゃ、折角(せっかく)(いも)がかわいそうだよ!」

 うしろに居た、だれかをぼくに押しつけて、女将(おかみ)さんはどこかへ(はし)って行ってしまった。

 あっちには温泉街(おんせんがい)貯蔵庫(ちょぞうこ)があるから――たまごでも取りに行ったのかも。


「あのー、あなたはシガミーちゃんね?」

 やたらと血色(けっしょく)の良い美人(びじん)が、取りのこされた。

 派手(はで)(かお)つきは央都(おうと)で見た〝しゃらあしゃらした(おんな)(ひと)たち〟を、(おも)い起こさせる。


「そ、そうだけど?」

 (だれ)だろう――これほどのべっぴんさんなら、ひと目見(めみ)りゃ(おぼ)えてるはずだけど。


「わたしはフォチャカよ、よろしくね♪」

 麩落家花(ふおちゃか)――だれだ?


「ところで……カラテェー(くん)女神(めがみ)さまが、ドコに行ったか知らない?」

 カラテェーの知り合い?

 烏天狗(カラテェー)正体(しょうたい)はおれで、こんな知り合いはいない。


(わる)いけど、おれをうしろに引っぱってくれない?」

 もう手がとまらないから、テーブルが揚げ(いも)山盛(やまも)りだ。

 麩落家花(おんなのひと)が「よいしょっ」とおれの背中(せなか)をひっぱって、引き剥がしてくれた。

「ふぅー、たすかったよ」


「むぐもぐ……フォカッチャ? なんか聞き(おぼ)えが――パンの名前(なまえ)だっけ? もぎゅもぎゅもぎぎゅ♪」

 大皿(おおざら)のひとつに(すわ)りこんで、(いも)をむさぼってた女神(めがみ)(かお)を上げた。

 たしかにこれじゃ、どっちが(いも)かわかりゃしねぇ。


女神(めがみ)さま、ソコにいらしたのですね……(あぶら)まみれになって」

 五百乃大角(いおのはら)に駆けよった女性(フォなんとか)が――黄緑色(きみどりいろ)陣羽織(じんばおり)を押さえて、あとずさる。

 たしかに、そんな一張羅(いっちょうら)(あぶら)だらけにされたらたまらない。逃げてくれ。


「あれっあなたぁ、まさかぁ、ひょっとしぃてぇー――さっきの魔術師(まじゅつし)ちゃん!?」

 はぁぁっ!? 何言(なにい)ってやが……る?

「はい、そうです! ど、どうでしょうか? もちろん、(なんか)なんかが着て良い装備(そうび)じゃないんですけど……」

 おい、こりゃいくらなんでも――別人(べつじん)すぎるだろう!


「なに言ってるのっ――すっごい、すっごい、すっごぃく素敵(すてき)!」

 よくわかったな、五百乃大角(おまえさま)のくせに。

 ふぉん♪

『イオノ>仮にもあたくしさまは、美の女神ですから。

     美しさに関するすべてにおいて、

     左右に出る者は居りません』


「あ、ありがとうございます! えへへ……それで、カラテェー(くん)やリカルルさんは?」

 しかし、どういうこった?

 一式装備(いっしきそうび)出来(でき)姫さん(リカルル)のお墨付(つみつ)きで、上等(じょうとう)らしいけど。

 ソレを着たからといって、ここまで変わるかぁ……まず顔色(かおいろ)がちがいすぎる。


「そうわね。たしかにうぬぬぅ……おかみさぁんにぃ、メイク(なお)してもらったりしたぁー?」

「いいえ、(かみ)をかるく巻いてもらったくらいで……」

 たしかに、うごくたびにビョンビョンしてるな。


「――〝(のろ)い〟が消えたことによる、純粋(じゅんすい)体力回復(たいりょくかいふく)による効果(こうか)(おも)われます――」

 おいカラテェー(くん)、ご指名(しめい)だ。どっかその(へん)にいる、ニゲルと(ひめ)さんもつれてきてくれ。


「カラテェー(くん)たちは、(つく)り過ぎちまった(いも)(なら)べてくれてる」

「そうなの? この料理(りょうり)は――どうしたの?」

「こいつ、うちの女神(かみさん)小腹(こばら)()いたって言うもんだから、(つく)(はじ)めたら、なーんか、止まらなくなっちまってな」


「じゃあ、わたしもお手伝(てつだ)いを――あ、けど、この装備(ふく)(よご)したりするわけには、いかないわね」


 ズゴォン――――ゴガガドン!

 いきなり(なべ)(まえ)(かべ)(あな)()いた。


「やあ、とっても良く似合(にあ)ってるよ」

 そういって、(あな)の向こうから(かお)を出したのは――裏烏天狗(ジンライ)


「カラテェー(くん)!」

 なべ(なべ)に駆けよる見目麗(みめうるわ)しき、フォなんとかさん。


「やあ、見違(みちが)えたね。けどそれは、(ふく)のせいだけじゃないよ。(のろ)いから解放(かいほう)されて、お(ねえ)さん本来(ほんらい)姿(すがた)にもどっただけだよ?」

 生意気(なまいき)そうな少年(しょうねん)(こえ)カラテェー(ぼく)(こえ)頭巾越(ずきんご)しだと、こんな(ふう)に聞こえるのか。

 これなら、シガミー(おれ)見破(みやぶ)(ひと)は居ないだろう。


 いまシガミーはココに居るし、その(かた)をガシリとつかんだ鬼の娘(オルコトリア)が、(おに)形相(ぎょうそう)で見つめてなんていない。

「やっとみつけたぁ~♪」

 気のせい、気のせい。


「ぎゃっ――――!?」

 カラテェーの(よこ)から(かお)を出した子供(レイダ)が、()(かお)を見るなり逃げていった。

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