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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
2:カブキーフェスタへの道

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227/744

227:ギルド住まいの聖女(研修中)、剣のさび

「ああもう本当(ほんとう)にっ、ヒ-ノモトー(こく)はこれだから――――!」

 リオレイニアが立ちあがった。

 かと(おも)うと、へなへなとまた(くず)れ落ちる。


「……ど、道理(どうり)でカラテェー(くん)に会いに、奥方(おくがた)さまが乗りこんでくるわけですね。やっと合点(がてん)がいきました――はぁぁぁぁ」

 仮面(かめん)ごと(ひたい)をおさえ……途方(とほう)に暮れている?


「あのーう、コレでも足りないなら、本格的(ほんかくてき)素材(そざい)から吟味(ぎんみ)しないといけなくて、場合(ばあい)によっては――一週間(いっしゅうかん)くらいかかっちゃうんだけど」

 そんなに時間(じかん)を掛けたら、とうぜん明日(あした)、いやもう本日(ほんじつ)最終(さいしゅう)イベントも終わってる。


「って言うことらしいのでぇー、今日(きょう)(ところ)はコレでご満足願(まんぞくねが)えないかしらぁ♪ あたくしさまと、リオ子ちゃんの(なか)じゃない? ねぇぇーん♡」

 べつに正式(せいしき)調達(ちょうたつ)クエストとして受けたわけじゃないから、そこまで五百乃大角(いおのはら)に取りなしてもらう言われも必要(ひつよう)も無いけど、ひとまず言わせておく。

 いちおうは美の女神(めがみ)関係者(かんけいしゃ)である天狗(てんぐ)さまの弟子(でし)ってことで、無関係(むかんけい)でもない――ことになってるし。


「はぁぁぁぁ――――(ぎゃく)にこんな……〝伯爵家(はくしゃくけ)家宝(かほう)クラス〟以上の物を(・・・・・)一週間で作れる(・・・・・・・)と――――ぷっ、うふうふふ、くすくすくす?」

 椅子(いす)に這いあがり、腰掛(こしか)けるリオレイニア。

 うなだれた――(おんな)(なか)(おんな)口元(くちもと)に、(いか)りと(わら)いと(あきら)めが入り()じった、奇妙(きみょう)表情(ひょうじょう)がうかぶ。


 その様子(ようす)をうかがいながら――こっそりと黒板(こくばん)画面(がめん)(ぬす)み見る伯爵(はくしゃく)令嬢(れいじょう)

「へぇーっ♪ 本当(ほんとう)に、お(おかあ)さま……名代(みょうだい)一張羅(いっちょうら)匹敵(ひってき)しかねない代物(しろもの)ですわねぇー」

 その両隣(りょうはじ)から堂々(どうどう)(ぬす)み見る、女将(おかみ)さんと魔術師(まじゅつし)女性(じょせい)

「あはははっはっ――――こりゃ、たまげるしかないねっ♪」

「あわわわわわっはわっ――――!?」


規格外(きかくがい)だけど、よろしいのではなくって? 発注通(オーダーどお)りに〝素敵(すてき)最高(さいこう)装備(そうび)〟にしあがっていますし♪」

 一式装備(いっしきそうび)(かか)えた(ひめ)さんが、目を(まる)くしたままの女性(じょせい)に押しつける。


「あのあの、こんな難度(なんど)SSS(トリプルエス)ダンジョンのクリア報酬(ボーナス)みたいな宝物(たからもの)は、ちょっと――」

 尻込(しりご)みする女性(じょせい)

 くるんと、振りかえるリカルル。

「コッヘル夫人(ふじん)、ウチの(もの)はこんな様子(ようす)ですので――(もう)(わけ)ありませんけれど、お着替(きが)えお(ねが)いできますか?」


「はいよっ、(まか)せときな♪」

 おいでと手招(てまね)きする女将(おかみ)さん。

 イヤイヤと、(くび)を振る女性(じょせい)


 いいからは・や・く、おいで――?

 休憩室(きゅうけいしつ)へ連れて行かれる女性(じょせい)の「こぉまぁーりぃーま――――!?」という(なさ)けない(こえ)は――バタン!

 ドアにさえぎられた。


「じゃあ、(ふく)出来(でき)は、あれで良かったの?」

 おそるおそる聞いてみた。

「ええ、カラテェー♪ アナタはとても素晴(すば)らしい仕事(しごと)をなさいましたわ」


「「「ぃやったぁー♪」」」

 よろこぶぼくと女神(めがみ)青年(せいねん)


「レーニア、(わたくし)個人会計(こじんかいけい)からアナタの裁量(さいりょう)で――正当(せいとう)報酬(ほうしゅう)を、(はら)ってあげて♪」

 ついさっきまでの呆然(ぼうぜん)とした態度(たいど)や、主従逆転(しゅじゅうぎゃくてん)した立場(たちば)は消え――「かしこまりました、お嬢様(じょうさま)

 (こし)を落とし片足(かたあし)を引く――元侍女長(もとじじょちょう)


「(おい、あれでよかったみたいだぞ?)」

「(そうみたいね。ココから一番近(いちばんちか)火山(かざん)に有るダンジョンに、(いど)まなくて済んだわー、あぶないあぶない)」

 ダンジョンって魔物(まもの)の巣だろ――なんかそれ、面白(おもしろ)そうだなー♪


 カッカッカッカッコツーン!

 鳴り(ひび)く、伯爵(はくしゃく)令嬢(れいじょう)靴音(くつおと)


「それにしてもニゲルは、〝呪いを切れる(・・・・・・)〟んですのね?」

「えーっと、(ぼく)にもよくわからないんだけどさ、出来(でき)るものは出来(でき)るんだから、仕方(しかた)が無いっていうかさ、有るものは使(つか)うっていうかさ――――!?」

 (かべ)に、追いつめられる青年(せいけん)


(のろ)いに有効(ゆうこう)と知っていた(わたくし)でさえ……狐火(きつねび)使(つか)うのを躊躇(ちゅうちょ)しましたのに」

 狐火(きつねび)なぁ。(のろ)いを(はら)い燃やし尽くすには、破邪顕正(はじゃけんしょう)剣並(けんな)みにうってつけだ。

 その専門家(せんもんか)である奥方(おくがた)さまから、使(つか)(かた)(なら)ったんだろう。


「じゃあ、あらためて、その()びたヤツ――ちょっとかしてみて?」

 ほそい手が伸びる。

「いやこれは、(ぼく)にしか使(つか)えないから――ドガタンゴトン!」

 器用(きよう)にも、背後(はいご)(たな)をうしろ(あし)で駆けあがるニゲル。

(ぼく)にしか使(つか)えない――安物(やすもの)(けん)――なんて有るはずがないでしょうがっ!?」

 (たな)(のぼ)った青年(せいねん)(あし)を、ギュッとつねる。


「痛ってっ!」

 (こし)(かが)めたところに、電光石火(でんこうせっか)平手打ち(ペチーン)

「痛ったっ!」

 (けん)を持つ手を、はたき落とされ――


 落ちてきた(けん)(つか)を――がしり!?

 驚愕(きょうがく)伯爵令嬢(はくしゃくれいじょう)

 (けん)のあつかいでは(みぎ)に出る(もの)が――(あまり)居ない彼女(かのじょ)が、(けん)を落とした。


 ゴズズン!

 手をすり抜けた(けん)は、かなり頑丈(がんじょう)(つく)ったはずの(ゆか)に、ヒビを入れた。


 そりゃそうだ、なんせありゃ金剛力(パワーアシスト)でも持ちあげるのが精一杯(せいいっぱい)の、代物(しろもの)だ。

 生身(なまみ)金剛力(こんごうりき)をつかうオルコトリアでも、振り(まわ)せるかは(あや)しい。

 とうぜん、細腕(ほそうで)(ひめ)さんには持ちあげることすら、出来(でき)ないだろう。


「だからいっただろ? あぶないよっ!」

 (たな)から飛びおりた青年(せいねん)が、指先(ゆびさき)でつまむように、軽々(かるがる)(けん)を持ちあげる。


「なによあれ――まるでノヴァド工房長(こうぼうちょう)の、鉄塊(てっかい)ハンマーみたいじゃーないのっ……おっもしろいわねっ……(あぶ)なぁーいけどっ♪」

 いつだかニゲルが、工房長(こうぼうちょう)腕相撲(うでずもう)(いど)んだ(とき)のことを(おも)いだす。

「(ニゲルは、工房長(こうぼうちょう)とかオルコトリアみたいに、怪力(かいりき)(わけ)じゃないよ)」


「そういえば、カラテェーやシガミーも言ってましたわね――ニゲルが相当(そうとう)手練(てだ)れだって」

 む? ニゲル最強説(さいきょうせつ)(みと)められるのは、(うれ)しいけど――まずい。

 がしり――スッ。

 テーブル(うえ)御神体(ごしんたい)をつかんで、(みみ)(ちか)づけた。

 これで迅雷(ジンライ)無しでも、内緒話(おんせいつうわ)くらいできる。


 ザギザギザギギィィィン――――!

「これ、()びがスゴイだろ? どれだけ()いでもスグ、こうなっちゃうんだよね。たぶんこの〝(のろ)()みに(ひど)(さび)〟でたぶん、呪いを弾いてる(・・・・・・・)んだと……(おも)うよ?」

 目が(およ)いでる。(くる)しい言い(わけ)だ。

 っていうかニゲルは本当(ほんとう)に、聖剣(せいけん)鑑定結果(かんていけっか)を知らないっぽいな。


「(あの(けん)が、かつて(ひめ)さんが執着(しゅうちゃく)した〝聖剣(せいけん)ヴォルト〟だと知れたら、(ひめ)さんはどう(おも)う?)」

「どう(おも)うって、どういうコトよ……ひそひそ……迅雷(ジンライ)からぁ、(けん)(かん)する報告(ほうこく)わぁ受けてぇるぅけぇどー?」

「(かつてリカルルが(とど)かなかった(ところ)に、ニゲルはすでに到達(とうたつ)してることになるって言ってるんだよ)」


「え!? そんなの――あのプライドが(たか)い、お(ひめ)ちゃんのことだもの――ニゲルをライバル視するに決まってるじゃない! ……ひそひそ」

「(だから大変(たいへん)だって、言ってるんだよ。ニゲル専用恋愛(せんようれんあい)なんたらとしちゃ――ここが分かれ目(・・・・)だろうがっ!)」


 シャァァァァァァァァァッ――――この緊迫(きんぱく)したときに、(なん)(おと)だ!?

「あっ!」

 いけねぇ――舞台側(ぶたいがわ)(なに)もない(かべ)を見る!


 そこには、丸い(あと)が付いていて。

 そこから(おと)が、聞こえてくる!


「(おい、まさか迅雷(ジンライ)――!?)」

 (かべ)がスコポンと(ひら)いて、飛びこんできたのは――

 (しろ)(ぬの)を巻いた小柄(こがら)(ひと)みたいなのと――子供(こども)だった。

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