表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
2:カブキーフェスタへの道

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

226/744

226:ギルド住まいの聖女(研修中)、一式防具完成

「(呼・ん・だぁ?)」

 呼んでねぇけど、良い(ところ)に!

 五百乃大角(おまえさま)、いまどこにいる!?


「(こっちこっちぃー、(まど)(そと)ぉー♪)」

 じぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ――――居た!

 こっちを見つめるリオレイニア(・・・・・・)(あたま)(うえ)

 ちょこんと、鎮座(ちんざ)ましまして()られやがる。


   §


「ちょっと、ニゲル! アナタのせいでレーニアに、(おこ)られたじゃないのっ!」

「なにいってるんだよ、かってに、あ、あられもない格好(かっこう)で、(ぼく)(けん)(うば)おうとするのが(わる)いんじゃないか!」

 まあ、あっちはリオレイニアに(まか)せとくとして。


 (のろ)いの装備(ローブ)は――晴れて、四枚(よんまい)(ぬの)になった。

「(五百乃大角(いおのはら)迅雷(ジンライ)は?)」

 直したテーブルの(うえ)。ふんぞり(かえ)る美の女神(めがみ)にたずねる。


「(観客席(かんきゃくせき)でレイダと一緒(いっしょ)に、寝こけてるわよ♪)」

 うーん、下手(へた)なことしていろいろ面倒(めんどう)なことになるくらいなら、迅雷(ジンライ)はそのままレイダと居てもらうか。

 夜中(よなか)子供(こども)ひとりにもしておけないしな。


じゃあ(・・・)(かみ)さんを見こんで(たの)みがある」

「じゃあってなによ、じゃあって! まぁ、すべてのイベントの神采配(かみさいはい)(とどこお)りなく完了(かんりょう)したのでぇー、超暇(ちょうひま)だけどっ♪」

 テーブルの(うえ)を見わたす、御神体(ごしんたい)

 その(あし)(した)一面(いちめん)に、(つく)りかけの(ふく)が敷かれている。


 折角(せっかく)、ニゲルが用意(ようい)してくれた素材(そざい)だ。

 (そで)とか(すそ)とかスッパリ切られたローブを、上手(うま)いこと使(つか)って――


「〝無敵(むてき)最強(さいきょう)装備(そうび)〟を、仕立てないと(・・・・・・)いけない(・・・・)んだけどさ――手伝(てつだ)ってくれない?」


「なんでまた、そんな面白(おもしろ)いことになってんの?」

本戦(ほんせん)出場者(しゅつじょうしゃ)装備(そうび)がボロ……使(つか)いこまれてたから、(なお)してあげようかと(おも)って――」


「ふうん、その黄緑色のケープ(・・・・・・・)使(つか)って良いの? けっこう良い生地(きじ)よそれぇ――」

黄緑(きみどり)……ほんとだ、いつの間にか一号(おにぎり)みたいな色合(いろあ)いになってた」

 (ひろ)げてみると、(そで)のあたりが(ほつ)れて――まるで(みじかい)陣羽織(じんばおり)だ。

 あの呪いの神髄(いとくず)が抜けたから、縫い目がほどけちまったのかもしれない。


(いろ)が変わる? ……ぺらぺらり、あった。かなり魔術特性(まじゅつとくせい)(すぐ)れた素材(そざい)みたいよん。どこで手に入れたの?」

「いやまあ、ニゲル……さんが――身を(てい)して?」

「そうなの? 意味(いみ)わかんないけど――じゃあ、すこし気合(きあ)い入れてお手伝いしてあげよーっかしららぁねぇ♪」


 浮かぶ(たま)にのって、テーブル上空(じょうくう)を跳びまわること、数分(すうふん)


「うーん。このネクタイとベストの組み合わせは、(わる)くないんだけど」

 やっぱり、しゃらあしゃらしたのは、(おく)(ふか)くて美の女神(めがみ)さまでも手に(あま)るらしいな。

 〝美の女神(イオノファラー)とは〟――言ってやるな迅雷(ジンライ)空耳(そらみみ)


「ふーん。じゃあ、いいもんね。あたくしさまには(つよ)味方(みかた)がいるもんねーだ!」

 ヴッ――すたり♪

 となりの説教部屋(せっきょうへや)へ飛んでく、美の女神(めがみ)(わらい))。


   §


「それでしたら――こちら、お借りしても?」

 黒板(くろいた)を持ち、手を差しだすリオ。

 テーブルの(はし)に置いた、黒筆(くろふで)を寄こせと言ってるのだろう。

「はい、どうぞ」

 手渡(てわた)してやると、彼女(リオ)黒板(こくばん)(うえ)白線(はくせん)をササササッと引いていく。

 ぼくでさえ迅雷(ジンライ)がいても最初(さいしょ)は、かいもく使(つか)(かた)がわからなかったのに。

 (おそ)ろしいな。あのじゃじゃ馬(・・・・・)(ぎょ)する手綱(たづな)、その手腕(しゅわん)伊達(だて)ではないのだろう。


「――こんな(かん)じで、いかがでしょうか?」

 それは、門外漢(もんがいかん)のぼくがみても、しゃらあしゃら(・・・・・・・)極致(ちょくち)とわかる。

 さすがは、女の中の女(リオレイニア)だな。


 それを図面(ずめん)がわりにして、黒鋏(はさみ)で切って――必要(ひつよう)(ところ)(むす)び目ひとつ(のこ)さずに、縫いあわせ――ジンライ(こう)黒手袋(てぶくろ)捏ねて(・・・)、留め具や(かざ)りを(つく)っていく。

 (いか)つい防具(ぼうぐ)修復(しゅうふく)の、何倍(なんばい)もの手間(てま)時間(じかん)が掛かるな。


「ふぅ、ひぃ――!」

 迅雷(ジンライ)が居ないのにも苦労(くろう)したけど、ソレを差し引いても――しゃらあしゃらしたのは――(じつ)に手ごわかった。

 (しろ)甚平(ブラウス)留め具(ボタン)を、銀色(ぎん)のジンライ(こう)でつくり、首布(ネクタイ)には細鎖(チェーン)白線(はくせん)をあしらう。

 (そで)のない法被(ベスト)(いろ)灰色(はいいろ)にして、腰巻(スカート)(いろ)とそろえる。

 腰巻(スカート)裏地(うらじ)に、迅雷(ジンライ)式隠(しきかく)(みの)を縫いあわせ、ココにも白線(はくせん)をあしらった。

 (かく)(みの)は、急所(きゅうしょ)(まも)るだけじゃなくて――ふんわぁり……させるタメだ。

 理由(りゆう)はわからん。わからない(ところ)は、図面(ずめん)のまま(すす)める。


「あら、非常(ひじょう)に良い手際(てぎわ)ですね。それに非の打ち(どころ)のない仕上(しあ)がり♪」

 出来(でき)るそばから、(ふく)を手に取って(たし)かめるリオ。

採寸(さいすん)はちゃんと、してあるのですよね?」

 伝説(でんせつ)職人(しょくにん)(まか)せておけば、その(へん)問題(もんだい)ない。

「はい、親方(おやかた)ぁ!」

 最後(さいご)に、腰帯(ベルト)に凝った(つく)りの(びょう)を打ちこんで――完成(かんせい)


親方(おやかた)ではありません――リオさんとお呼びください♪」

 仮面(かめん)(した)から(のぞ)口元(くちもと)が、ほころんでいる。

 ふう、なんとか仮面にかなった(・・・・・・・)みたいで良かった。

 これなら、依頼主(いらいぬし)(ひめ)さんにも着る当人(とうにん)にも、気に入ってもらえそう――


「ですが――鑑定(かんてい)

 親方(リオさん)は〝魅了(みりょう)神眼(しんがん)〟スキルに含まれた、〝中級鑑定(ちゅうきゅうかんてい)〟が使(つか)えたはずだ。

 チーン♪

 上級鑑定(じょうきゅうかんてい)を持つ、ぼくのそばで(だれ)かが鑑定(かんてい)すると、こんな(かね)(おと)が鳴る。

 ついでなので、ぼくも上級鑑定(しめしめうっひっひ)

 チーン♪


『令嬢の服

 防御力12。高貴な貴女のための上下服。

 襟元やボタンの猫の意匠が愛らしい。

 追加効果/なし』

 普通(ふつう)(ふく)じゃなくなってる。


『貴婦人の靴

 防御力5。細身の革靴。

 追加効果/なし』

 こっちもだ。


『社交界のベルト【夜】

 防御力3。夜会に最適な高級ベルト。

 追加効果/背筋が伸びる』

 効果(こうか)意味(いみ)は、わからないけど、【(めい)】まで入ってる。


「これは、すこし――かなり、いただけませんねぇ」

 あれ?

 なかなかよくできたと(おも)ったのに、なんか不評(ふひょう)だった。


「「あれ? コレじゃダメだった?」」

 五百乃大角(いおのはら)と、(こえ)がかさなる。


「いえ、そういうことではなくてですね――あっ、コラッお嬢様(じょうさま)!」

 お説教(せっきょう)は、まだ終わっておりませんよっ――――!

 ドアの向こうから、こっそりとコチラを(ぬす)み見ていたリカルルさまが逃げていく。

 追うリオレイニア。


「行っちゃったわねぇー、どうするの? コレじゃマズい(・・・)みたいよ?」

 うーんと、あと出来(でき)ることっていったら、裏地(うらじ)にビッシリと筆書(ふでがき)きして強化(きょうか)するくらいしか(おも)いつかない。

 (つくえ)(うえ)黒筆(ふで)を取り――さらりっ。

 普通(ふつう)じゃなくなった装備(ふく)一筆(いっぴつ)――【(あさ)】、【(ひる)】、【(よる)】って書いてみる。

 意味(いみ)はない。

 ただ、腰紐(ベルト)に【(よる)】って(めい)が付いてたから、それにならっただけだ。

 ルコルなら(きつね)。ニャミカなら(ねこ)

 そういうのが、あの(おんな)(ひと)に有れば良かったけど無かったから。

 まさか、女人(おんな)って書くわけにもいかないし。


「へぇー、なんだかコスプレ衣装(いしょう)みたいな、立派(りっぱ)なのが出来(でき)たねぇー♪」

 開放(かいほう)されたのか、ニゲルが寄ってきた。

「けど、これでもリオレ……リオさんには(しぶ)(かお)をされたから――」

「もう一つ、パンチが欲しいわねー♪」

 衣装(いしょう)(うえ)(なか)(ころ)がりまくってた、御神体(かみさん)(かお)をだす。


「あ、イオノファラー所長(しょちょう)、こんちわッス♪」

「はい、ちわッス♪」

 イェーイ♪

 陽気(ようき)に手を振りあうほどに、仲良(なかよ)くなっている。

 もともと(ちか)時代(じだい)の生まれらしいから、(はなし)も合うのかもしれない。

 気の知れない世界(せかい)で、気の置けない友達(ともだち)ができるのは良いことだ。

 ついでにこのまま〝女神(めがみ)料理番(りょうりばん)〟も分担(ぶんたん)してくれたら、最高(さいこう)なんだけど……。


「そっか、オーダーは〝無敵(むてき)最強(さいきょう)〟なんだっけか。うーん……じゃあこのカワイイ(いろ)のをマントみたくして――シリーズ防具(ぼうぐ)にでもしたら、強化(きょうか)されたりしない?」

 あー、短い陣羽織(ケープとかいうやつ)な。

 切った(ふち)太糸(ふといろ)でしっかり縫い合わせて、簡単(かんたん)(くく)(ひも)をつけたけど――コレには文字(もじ)を入れてなかった。


「シリーズ防具(ぼうぐ)……一式装備(いっしきそうび?)のぉ、(つく)(かた)はねぇー……ぺらぺら、あれ? 載ってない?」

「それ、(なに)を見てるんだい?」

 なにかを必死(ひっし)にめくる仕草(しぐさ)を見た青年(ニゲル)が、興味(きょうみ)を持つ。


「あれは、(とら)(まき)らしいよ」

 告げ(ぐち)をしてやる。

「えぇー、ずるくなぁいー?」

 だろう?

 もう(かれ)は、()本軍団(もとぐんだん)一員(いちいん)だからな。


「なによ! ニゲルはノラクエ8とか38とか67とかぉー、ヒント無しでクリアできるって言うのっ!?」


「えぇー、なにそのナンバリング!? まだ11が出たばっかりだよ?」

「えっ!? あ、そっか! その(へん)のお(はなし)ぃ――全然(ぜんぜん)してなかったっけ?」

 わからん。


 なんか(はなし)(はず)んでるならソレはソレで。

 じゃあ、(みっ)つの【(あさ)】【(ひる)】【(ばん)装備(そうび)を、この陣羽織(ケープ)でまとめてみる。


 ――さらり♪

 【日夜(にちや)

 ケープの背中(せなか)(くび)うしろに、そんな言葉(ことば)を入れる。

 ポォウ――♪

 間違(まちが)いなく強化(きょうか)はされたけど、そのあとは(なに)もおこらない。


 出来(できた)(ふく)(かさ)ねて――〝一式防具(ひとそろえ)になれ〟と(ねん)じてみる。

 ――――ぽこん♪

 スキルによる画面(がめん)が出た。


『一式装備へのランクアップをしますか?

    はい/いいえ』

 何か出たから、『はい』を指でおす。


 ――――ぽこん♪

『SPを1消費しますが、続行しますか?

    はい/いいえ』

 SP(スキルポイント)使(つか)うのか。


「(おい五百乃大角(いおのはら)SP(スキルポイント)使(つか)うみたいなんだけど?)」

 コチラを見上(みあ)げた丸頭(まるあたま)が、かすかに(かたむ)く。


「(1ポイントだけ、だけど)」

 丸頭(まるあたま)が、こくりと(うなづ)いた。


 押してみる――ポンッ♪

 ピッカァァァッ!

 目映(まばゆ)(かがや)き。

 テッテレーッ♪

 騒々(そうぞう)しい(おと)


 ――――ぽこん♪

『シリーズ防具が完成しました』


「できた……みたいだよ」

 さーて、どうなったかなー(しめしめうっひっひ)


 ――――ぽこん♪

『日夜シリーズ一式【終日】

 全防御力日中336~夜半784(+229~+677)。

 全魔法攻撃力日中342~夜半81(+143~-118)。

 時間帯によって追加効果が変わる、

 摩訶不思議な魔術師向け防具一式。

 追加効果/日中INT+30/AGL+30

 条件効果/日没中にHPが一割を切ると女神の加護により、

      STR+30/ATK+30/VIT+30

 装備条件/INT25。成人女性または、成人前の子供』


 上級鑑定(じょうきゅうかんてい)だと、こまかい数字(すうじ)まで出るから、こうして(なが)くなりがちだけど――


「ん? んぅー?」

 (なん)だろこの、ややこしいの。

 当然(とうぜん)、ぼくの(くび)(かたむ)く。

 その(かたむ)いた(くび)の、目の(まえ)

 ニゲルが黒手袋(くろてぶくろ)鑑定結果(かんていけっか)をひっつかんで、黒板(くろいた)に押し当てる。


 画面(がめん)をみたリオレイニアが、なんでか(ゆか)(くず)れ落ちた。

 ぼくは、女神(めがみ)やニゲルと(かお)見合(みあ)わせる。


「ひょっとして……ひそひそ……コレでも足りなかった?」

「きっと……ひそひそ……そうだよ」

「そうわよ……ひそひそ……どうするぅ?」

陣羽織/甲冑や具足の上から着る羽織。煌びやかな装飾あり。

日夜/ひるとよる。四六時中。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ