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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
2:カブキーフェスタへの道

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225/744

225:ギルド住まいの聖女(研修中)、呪いの神髄

「カラテェーくんさ、さっき(かべ)(なお)した手際(てぎわ)がさ、(すご)かったじゃんか?」

 じりじりじりじり――チャッ!


「〝伝説(でんせつ)職人(しょくにん)〟スキルがあれば、大抵(たいてい)(もの)(なお)せるけど――そ、それが、どーしたんだい?」

 大嘘(おおうそ)だ。ほんとは、ソレだけじゃ無理(むり)だ。

 ほかにも(やま)のようなスキルがあって、(はじ)めて出来(でき)ることだ。

 迅雷(ジンライ)かおにぎりが居れば、(こわ)れた(ところ)をまるごと収納(しゅうのう)してから、とりだすことなんかは出来(でき)るけど。


「この呪いのローブをさ、真っ(ぷた)つにしたとしてもさ、(もと)どおりに(なお)せるかなーって(おも)ってさ」

 ザリザリザリザリッ――――すっかり()びついた聖剣(せいけん)安物(やすもの))が、抜かれた。

 もう最近(さいきん)、こんな手合(てあ)いばっかりだな。

 スグに、段平抜(だんびらぬ)きやがって――


「そりゃ、出来(でき)るけど――――!?」

 ヴッ――――じゃりぃぃぃん♪

 ガタタンッ!

 錫杖(しゃくじょう)(かま)えて、椅子(いす)から(ころ)げ落ちる。


 けど、勇者(ゆうしゃ)ニゲルの(あゆ)みは、()れることなくまっすぐに――


「ならさ、このローブを切っちゃってもさ、平気(へいき)だよね?」

 (ねら)いはぼくじゃなくて、(のろ)われたローブだったみたいだ。

「ローブを切る?」

 もう(そで)(とお)すつもりはないだろうから、文句(もんく)は言われないと(おも)うけど。


「そうだよ。カラテェーは日本生(にほんう)まれだから――〝ハジャの(けん)〟って言葉(ことば)意味(いみ)はわかる?」

 破邪(はじゃ)……?

 破邪顕正(はじゃけんしょう)か?

 邪法(じゃほう)邪道(じゃどう)を打ち(やぶ)り、正道(せいどう)(あき)らかにする(おこな)い――完全(かんぜん)坊主(ぼうず)の……僧兵猪蟹(ぜんせのおれ)領分(りょうぶん)だ。


「えー!? なんで寿司(すし)がわからなくて、破邪顕正(はじゃけんしょう)(けん)なんて言葉(ことば)はわかるんだ?」

「えー? この世界(せかい)に来る直前(ちょくぜん)にさ、〝ノラクエ3リマスター(ばん)(しん)のラスボス〟を(たお)すのに使(つかっ)ったばっかだから、(おぼ)えてただけだよ」

 わからん。五百乃大角(いおのはら)なら、わかるのかもしれない。


「それと、〝箱入(はこい)りでカラアゲが添えられてる〟お寿司(すし)しか――ぼくは(みと)めないっ!」

 こっちはわかる。そんな寿司(すし)があるかい。

 ()(もと)(のち)の世ってのは――五百乃大角(いおのはら)みたいな、大食らいばかりになるのかもしれない。

 青年(ニゲル)だって、そのうち(した)(ぱら)が出てくるんだ。


「まるでわかんないけど、この〝(のろ)い〟ごと(・・)切るってこと?」

 たしかに、安物(やすもの)でもありゃ聖剣(せいけん)だ。

 魔王(まおう)っていう(よこしま)な生き(もの)を、切るための剣(・・・・・・)だったんだから――

 まさに破邪顕正(はじゃけんしょう)に、うってつけだ。


「そう。じつは央都(おうと)宿屋(やどや)でさ、(のろ)いのアイテムで部屋(へや)に閉じ込められたことがあってさ、この(けん)だと(なん)でか簡単(かんたん)切れた(・・・)んだよね」

 うん、だからそれ。姫さん(リカルル)が抜けなかった腹いせに(・・・・)、ぶち切った――

 聖剣(せいけん)の……半分(はんぶん)っていうか〝(のこ)り〟っていうか……〝なれの果て〟?


 『>工房長が、くず鉄の中から作成したと思われます』

 迅雷(ジンライ)が、そんなことを言ってた気がする。


「じゃあ、ソレも鑑定(・・)してあげようか?」

 いまここで、聖剣(せいけん)だって言うのを(おし)えとけば、いろいろ面倒(めんどう)がなくて良い。

 ニゲル最強説(さいきょうせつ)(とな)える(たび)に、馬鹿(ばか)にされなくて済むし。


「いやそれは、いらない! こんな安物(やすもの)ごときで手を(わずら)わせるくらいなら、貯金(ちょきん)をはたいて(てつ)(けん)を買うよ」

 なんでここまで、(かたくな)鑑定(かんてい)したがらないんだろう?

「じゃあ、ちょっと(はな)れてて。切ってみるから」

 テーブルから(はな)れる。


「でぇいぃ――――!」

 シュッカァンッ――――!

 相変(あいか)わらず、(すさ)まじい太刀筋(たちすじ)だ。

 〝(てき)先手(せんて)を取る〟、姫さん(リカルル)のアレともちがう。

 まばたきより(はや)い。

 (たたか)いの最中(さいちゅう)でもなけりゃ、とても見えない。


 (くず)れるテーブル。

 テーブルごと横一文字(よこいちもんじ)に切られた、真っ(さお)のローブ――

 ――から鮮血(せんけつ)が、ほとばしった!


「うっわぁ――――!?」

 (かえ)り血で、黄色(きいろ)に染まる青年(せいねん)

 (なん)だ、その(いろ)!?


 ボゴゥワァァッ!

 燃えあがるローブ!


 燃えた!?

 火を消さないと――「みずのたまっ!」

 ばしゃーっと(みず)がかかり、(ほのお)鎮火(ちんか)された。

 すると――――ヒュヴォワァァァァァ♪

 装備(そうび)修理(しゅうり)した(とき)みたいに、(ひか)るローブ。

 その(ひかり)が、(つよ)くなっていく。


「グワァァァァァァァッ――――!」

 魔物(まもの)(さけ)(ごえ)のような――――なんだっ!?

 ローブからはい出てきた、〝魔法(まほう)神髄(しんずい)〟みたいな(ひか)(いと)くずが――(くる)ったようにのたうち(まわ)る!

 うっわっ、これは――「「気色悪(きしょくわる)い!」」


「なにごとですのっ――!?」

 ばぁん!

 飛びこんできたのは――さっきの女性(じょせい)のような姿(すがた)

 タオルを巻いただけの――リカルル・リ・コントゥル、その(ひと)

 さっきは半裸(はんら)女性(じょせい)に出くわしたけど、こんどは半裸(はんら)意中の相手(・・・・・)に出くわしたわけだ。


「っぎゃっ!? なんだい、その気持(きも)(わる)いのっ!?」

「ま、魔物(まもの)っ!?」

 ほか二名(にめい)も、タオルを巻いている。

 湯気(ゆげ)が出ているから、温泉(おんせん)につかっていた(ところ)だったんだろう。


「リさこさっロー(のろ)っみんよ――――!!!」

 あー、ニゲルは何言(なにい)ってんの!?

 真っ赤な(かお)、あわてて(くび)(よこ)に曲げたのは――えらい!


 けど、その大口(おおぐち)(ねら)いすましたかのように――――魔法(まほう)神髄(しんずい)……いや、(のろ)いの神髄(しんずい)が、わちゃくちゃと(から)まりながら飛んでいく!

 あれが【吸血(きゅうけつ)(のろ)い】の正体(しょうたい)なら――ニゲルの(くち)(はい)られるのは、マズい気がする!


 くそ、どうする!?

 真言(マントラ)(とな)えている(ひま)はねぇ!

「その(いと)くずは――呪いだ(・・・)! ローブを切ったら出てきた!」

 タッ――地を蹴る!


「なんだってぇっ――!?」

 にげる女将(おかみ)さん。

「きゃぁぁ――!?」

 にげる女性(じょせい)


 ニゲルを突き飛ば――すより(さき)にニゲルの(くち)に飛びこむ、〝のたうち回る糸くず(のろいのしんずい)


「コ――ON(オォォン)♪」

 ぼっごぉぉぉぉぉぉぅわっ!


 (あか)りの魔法(まほう)とも、火炎魔法(かえんまほう)ともちがう――青白(あおじろ)(ほのお)

 青年(せいねん)(あたま)をつつむ、(あお)陽光(ようこう)


 ゆらゆらぁ――――ふわっさ♪

 (ひめ)さんの必死(ひっし)(かお)

 (ちい)さな尻尾(しっぽ)が、タオルの(はし)から飛び出ている。

 回転(かいてん)する――仄暗(ほのぐら)(ひかり)


「むぐぐぐぐっ――――ぅ!?」

 うめくニゲルの(くち)から〝呪い(いとくず)〟が、しゅるるるるるるるっ――――巻き取られていく。

 毛玉(けだま)になったソレをガシリとつかむ、ガムラン町代表(ちょうだいひょう)半裸(はんら))。


「――――(めっ)せよ♪」

 なぜか――ばちぃーん♪

 と閉じられる片目(かため)


 きゅぼっがぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!!!!

 (いん)(むす)ぶしなやかな(ゆび)には、ニゲルがはめてやった指輪(ゆびわ)(ひか)っている。


 やべぇなこりゃ。前世(ぜんせ)のおれよか、達観(たっかん)してやがる――けど?

「あれ、(むし)かい? (むし)が居るのかい? ぼくが手で、(はら)ってあげようか?」

 ねぇ、ねぇ、ねえってばさ。


「やっ、やっかましーですわよっ――――(ひと)折角(せっかく)、かわい格好(かっこ)よく決めてるのにぃ――――!!!!」

 ぼわーっ、ぼごぉうわわわぁー!


 このあと狐火(きつねび)(しょう))で、しこたま追いかけられた。

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