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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
2:カブキーフェスタへの道

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224/744

224:ギルド住まいの聖女(研修中)、呉服屋カラテェー

「じゃあせめて、(ほつ)れてるところを(なお)してあげようか?」

 すっと差しだされる、普通(・・)装備一式(そうびいっしき)


 うん、やっぱりすこし……相当痛(そうとういた)んでる。

 けどこれ、いま着てた(ふく)だよね。

 まだ(あたた)か――い?

 見ると女性(かのじょ)は、タオルっていうやわらかい手ぬぐいを、カラダに巻いていた。


「ちょっと、あなたっ! ココには(たよ)りないですけれど、殿方(とのがた)もいらっしゃるのでしてよっ!?」

 たよりないってのは、青年(ニゲル)のことだ。

 とうぜんぼくは、勘定(カウント)(はい)ってない。


(たよ)りないって、ぼくのこ――――!?」

 伯爵令嬢(リカルル)に、どがーんと蹴りとばされる青年(ニゲル)

 たしかに本気(ほんき)じゃない(かれ)は、いつも(たよ)りない。


 けど蹴らなくても良いんじゃないかなー。

 どうせリカルル(あなた)じゃなければ、どれだけの美女(びじょ)薄着(うすぎ)で居た(ところ)で、ニゲル(かれ)にとっては無意味(むいみ)だ。


 ちらっと見たけど、彼女(かのじょ)背後(うしろ)のドアが開いてる。

 この(ひか)(しつ)隣接(りんせつ)した、休憩所(きゅうけいじょ)だ。

 深夜(しんや)開催(かいさい)ってことで、参加者(さんかしゃ)(やす)めるように建てた。

 ちゃんと温泉(おんせん)も引いたし、フカフカの寝床(ねどこ)六人分(ろくにんぶん)用意(ようい)してある。

 工房長(ノヴァド)たち熟練(じゅくれん)職人(しょくにん)による手直(てなおし)しや、装飾(そうしょく)(はい)ってないから質素(しっそ)だけど、(きゅう)シガミー(てい)よりは快適(かいてき)なはずだ。


 よし――決めた。

 彼女(・・)(うれ)いを――装備品(そうびひん)不具合(ふぐあい)を取りのぞく。

 そして、ぼくは晴れてフカフカの寝床(ねどこ)に、(もぐ)り込めるって寸法(すんぽう)だ。


「こっちに風呂(ふろ)があるよ。じゃあ、あたしらは(あせ)(なが)してこようかね♪」

「あの、ごめんなさい。こんな安物(やすもの)修理(しゅうり)なんてさせてしまって……」

「いーのいーの。カラテェー、どうせならこの素敵(すてき)なレディーに見合(みあ)最高(さいこう)装備(そうび)にして挙げて、お(かね)が掛かるなら全額私(ぜんがくわたくし)が持ちま――ギィィバタン♪」


 くそう、せめて本戦(ほんせん)順番(じゅんばん)だけでも、決めてからにして欲しかったけど。

 ソッチがその気なら、ぼくだって修理(しゅうり)を終わらせたら、寝るもんねーだ。


 〝立て付けの悪いドアも、直した方が良いのでは?〟

 ん? 迅雷(ジンライ)のそんな(こえ)が、脳裏(あたま)に浮かぶ。

 いままで片時(かたとき)(はな)れずに、一緒(いっしょ)に居たからな。

 迅雷(アイツ)が言いそうなことは、わかるようになっちまった。

 ドアも寝る(まえ)にでも、(なお)しておこう。


「じゃあ、どうするかな。まず修復(しゅうふく)何回(なんかい)(かさ)ね掛けして、完璧(かんぺき)(なお)しておこう」

 ポォウ――♪

 一瞬(いっしゅん)――(ふく)とベルトと(くつ)がひかり、ほつれた(ところ)綺麗(きれい)になった。


 ポォウ、ポォウ――♪

 新品(しんぴん)のようになった装備(そうび)(かさ)ね掛けをすると、生地(きじ)(かわ)の〝(あつ)み〟が増した。

 さすがは、〝伝説(でんせつ)職人(しょくにん)〟スキルだ。

 もとの素材(そざい)よりも、良い素材(そざい)に〝修理(しゅうり)〟できた。

 さて、こっからだ。


 (かべ)(これもあとで(なお)す)に突き刺さるニゲル以外(いがい)は、(だれ)も居なくなった。

 (そと)に出て迅雷(ジンライ)を見つけて、応援(おうえん)(たの)むか――

 それとも、いまあるスキルと道具(どうぐ)で――

 依頼主(ひめさん)が――ぐうの()も出ないような、一張羅(いっちょうら)仕立(した)てあげるかだ。


「……手順(てじゅん)としちゃ、ケモノ耳用(みみよう)鉢巻き(バンダナ)(つく)ったときとか、装備修復(そうびしゅうふく)のついでに強化(きょうか)したときの要領(ようりょう)でやれば――」


   §


 黒板(くろいた)黒筆(くろふで)黒手袋(くろてぶくろ)黒鋏(くろばさみ)黒小太刀(くろこだち)迅雷(ジンライ)式隠(しきかく)(みの)

 手持(ても)ちの(くろ)道具(どうぐ)全部(ぜんぶ)、テーブルの(うえ)(なら)べた。


 そして、最上級(さいじょうきゅう)になった〝普通装備(ふつうそうび)一式(いっしき)〟も(ひろ)げてみる。

 材質(ざいしつ)まで上等(じょうとう)(もの)に取りかえた。

 けど、それだけじゃ……足りないんだろうな。


無敵(むてき)なレディーに見合(みあ)最強(さいきょう)装備(そうび)――だっけ?」

 女性向(じょせいむ)けの〝しゃらあしゃらした(かん)じ〟は、ぼくにはわからない。

 なあ伝説(でんせつ)職人(しょくにん)、なんか上手(うま)いことチャチャっとやってくれねぇかい?


 女性(じょせい)着物(きもの)なぁ。

 小袖(こそで)浴衣(ゆかた)打掛(うちかけ)袈裟(けさ)……(ちが)うな。


 ううううぬ。

 (おんな)(なか)(あんな)っていやぁ、リオレイニアだ。

 (からだ)つきも、ちょうど(うす)っぺら……(おな)じだし。


 いつもの給仕服(きゅうじふく)(ちが)うだろ……一度(いちど)だけ(ちが)(ふく)を着てたのをみたな。

 たしか(くび)(ところ)に、おにぎりに巻いてやったみたいな(ぬの)が、垂れさがってた。


「よし、迅雷(ジンライ)式隠(しきかく)(みの)を切って――チョキチョキチョッキン♪」

 できた。

 真っ(しろ)上着(うわぎ)(かく)(みの)(くろ)が、映えてる気もする。

 (つぎ)灰色(はいいろ)のヒラヒラした腰巻(こしまき)を、どうにかしよう。


「う、うーん」

 あ、ニゲルが起きた。

 よし、意見(いけん)を聞いてみる。


「えぇー、無理(むり)無理(むり)無理(むり)無理(むり)! (おんな)(ひと)(ふく)のことなんて、ぼくにわかるわけないだろう?」

 それはそうだけど――大穴(おおあな)が空いた(かべ)に手をかざし、修理(しゅうり)しておく。


「けど、聞いたよ。今度(こんど)ギルドの(なか)出来(でき)るお(みせ)の、お洋服(ようふく)見立(みた)てたのはニゲルさんだって」

(だれ)に聞いたの? アレはメイド喫茶(きっさ)なら、あたりまえの(ふく)だよ」

「じゃあ、この普通(ふつう)(ふく)を――その〝あたりまえの(ふく)〟にするのを、手伝(てつだ)ってよ」


「えぇー、リオレイニアさんの仕事着(しごとぎ)(すそ)をつめて、ベストを着せて、リボンを(むす)んだだけだよ?」

 それは上等(じょうとう)だ。(みっ)つも工程(こうてい)があれば〝伝説(でんせつ)職人(しょくにん)〟さんが、きっとなんとかしてくれる。

 〝シガミー、それを世間(せけん)では『(くる)しいときの神頼(かみだの)み』と――〟

 うるさいよ、縁起(えんぎ)でもない。


   §


「なんとなく、よさげなような――」

「それほどでも、ないような――」

 女性(じょせい)(ふく)をならべ、(かんが)えこむ青年(ニゲル)少年(カラテェー)(おっさん幼女(ようじょ))。


 防具(ぼうぐ)としての性能(せいのう)は、(ばい)になっている。

 けど(もと)普通(ふつう)なので、(ばい)になっても性能(せいのう)微々(びび)たる(もの)だ。


「リカルルさまたってのご希望(きぼう)だから、〝伝説(でんせつ)職人(しょくにん)〟スキルを全力(ぜんりょく)使(つか)っちゃっても良いかもしれないなぁ――」

 この一言(ひとこと)が、マズかったんだと(おも)う。


「えっ!? いま、なんて言ったの?」

「〝伝説(でんせつ)職人(しょくにん)〟ス――」

(ちが)う、ソコじゃなくて、その(まえ)!」

「まえ? リカルルさまたってのご希望(きぼう)――」

「そうっ! ソレ(・・)(はや)く言ってくれないとさ――(こま)るよ!」

 (こし)(けん)に手を掛け、(なに)かを決意(けつい)する勇者(ゆうしゃ)(かお)

 (なに)そのやる気。

 (ニゲル)は、(なに)を切ろうとしてるの?


「いまやらないといけないのは、〝無敵な服(・・・・)〟を(つく)ることだからね」

「わかってるよ――キリッ!」

 ガシャリッ――――!

 だから、(かま)えないで。


 ――(かべ)にめりこんだ角度(かくど)でも、(わる)かったんじゃ?

 しゃらあしゃらした(ふく)をつくるのに、聖剣(それ)絶対要(ぜったいい)らないよね。

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