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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
2:カブキーフェスタへの道

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223/744

223:ギルド住まいの聖女(研修中)、黒板と黒手袋と呪いのアイテム

(うつ)す? そんなの(ゆび)でつまんで張りつけたら、できるんじゃない?」

 ニゲル青年(せいねん)が、(のろ)いのアイテムをおおきくよけて、(まわ)りこんで来た。


(ゆび)でつまむ?」

 なに言ってんだろ。

 そもそも〝スキルでみえる画面(がめん)〟と、〝女神像(めがみぞう)とか黒板(くろいた)がみせる画面(がめん)〟は(べつ)(もの)だ。

 そのふたつを(・・・・)(つな)ぐには(・・・)迅雷(ジンライ)五百乃大角(いおのはら)が要る。


「ちょっと借りるよ?」

 そういって、ニゲルが手にしたのは――なんでか、黒筆(くろふで)

 そして「鑑定結果(かんていけっか)は――このへん?」と、(なに)もない空中(ちゅう)(ふで)で指ししめした。


「コッチだけど――?」

 と目の(まえ)のあたりを(ゆび)さして、ぼくにしか見えない鑑定結果(かんていけっか)場所(ばしょ)(おし)えてやる。


 すると青年(ニゲル)は、ちょっと右上(みぎうえ)あたりの空中(ちゅう)黒板(こくばん)を、交互(こうご)に突き刺し(はじ)めた。


 (なん)真似(まね)だろう?

 たしかにこの黒板(くろいた)は、ニゲルが五百乃大角(いおのはら)にあずけた道具(やつ)に似てる。

 ニゲルがもってた〝ちいさい黒板〟を(もと)に、何個(なんこ)かの道具(どうぐ)がつくられた。

 それはこうしてお祭り(フェスタ)二号店(にごうてん)運営(うんえい)なんかに、早速使(さっそくつか)われてる。

 そもそもニゲルは、五百乃大角(いおのはら)がいた未来の(・・・)()(もと)に、(ちか)い生まれらしい。

 たぶん、ぼくよりよっぽど、神々(かみがみ)道具(どうぐ)上手(じょうず)使(つか)えても不思議(ふしぎ)じゃない。


「あれー? つかめない?」

 ひょいひょいひょひょい――?

 奇行(きこう)にはしる青年(せいねん)を、遠巻(とおま)きに(なが)める予選通過者(よせんつうかしゃ)たち。


「アプリ(がわ)対応(たいおう)してないと、つかめないのかなー?」

 ひょいひょいひょひょい――?

 うーん。居たたまれなくなってきた。

 いつも迅雷(ジンライ)五百乃大角(いおのはら)に言われるままに、神々(かみがみ)道具(どうぐ)を持ちだしてたけど。

 シガミー(ぼく)も、こんな(ふう)にみられてたのかもしれない。


 鑑定結果(かんていけっか)も見てもらいたいし、なんとか(たす)(ぶね)を――

 黒筆二本(くろふでにほん)で〝(はし)〟みたく、つかめないかな。

 黒筆(これ)は、黒板(くろいた)(ふち)に差しこんであったヤツで、ぼくの収納魔法板(しゅうのうまほういた)にはこれまで使(つか)った道具(どうぐ)なんかは、入れっぱなしだから――


 ヴッ――ぱさり。

 でた――けど黒筆(くろふで)じゃなくて、(くろ)手袋(てぶくろ)みたいなのがでた。

 まちがえた。こりゃ『再生品(なんとか)』って判子(はん)を押すヤツだ。


「あれ? データグラブじゃん。それならつかめるかも……借りても良いかい?」

「コレは、〝再生品(さいせいひん)〟って判子(はん)を押すヤツだけど?」

 青年(せいねん)手渡(てわた)すと、手につけてキュッと(こぶし)(にぎ)った。


判子(はん)を押す? それって、テェーングさまが(わたくし)仮面(かめん)に押してくれたのと、おなじものかしらっ――!?」

 ぎゅっ♡

 しなやかな細指(ほそゆび)が、青年(せいねん)の手をつかんだ。


「うっわっ――――!?」

 姫さん(りかるる)(にぎ)られた手を、必死(ひっし)に振りほど――

 ――こうとしたけど「こらっ、ニゲル(・・・)んじゃ有りませんわよ。(わたくし)にも、お見せなさいな!」

 と力一杯(ちからいっぱい)、引きよせられた。


「ヒーノモトー(こく)神々(かみがみ)につらなる神秘(しんぴ)技術(ぎじゅつ)独占(どくせん)は、ガムラン町代表(ちょうだいひょう)として見過(みす)ごせませんわっ♪」

 それは建前(たてまえ)で、本音(ほんね)(かお)に書いてある。

 「面白(おもしろ)そうな(もの)はすべて、(わたくし)にもお見せなさい」と。


 ニゲルを胸元(むなもと)に引きよせるリカルル。

 見つめあう二人(ふたり)

 ここにリオレイニアが居なくて良かった。


 姫さん(リカルル)の目は、手袋(てぶくろ)を見つめ――。

 青年(せいねん)の目は、(ひめ)さんの手、胸元(むなもと)(かお)をいつまでも――行ったり来たりしてる。


「それでニゲル。その手袋(てぶくろ)で、(なに)しようってんだい?」

 女将(おかみ)さんまで来た。

 木さじで(のろ)いのローブを、テーブルの端に追いやってる。

 背中(せなか)には顔色(かおいろ)がいくらか良くなった気がしないでもない、ローブの持ち(ぬし)がひっついてる。

 その様子(ようす)から、彼女(かのじょ)食堂(しょくどうの)常連客(じょうれんきゃく)だとわかる。


「こっ、手袋(コレ)で、カラテェー(くん)が見た鑑定結果(かんていけっか)を、みんなで見られるようにするだけだよっ――はなぁーして、はなしてっぇ!」

「なさけないねぇー。リカルル(ひめ)(はな)しておあげ」


 開放(かいほう)される青年(せいねん)

 (ひと)ってのはここまで〝(あか)く〟なれるんだな。


「ふぅー、じゃ、じゃあやってみるけど――」

 ニゲルが、ぼくの目の(まえ)のあたりを、つまみ上げ――

 黒板(くろいた)に押し当てる。

 すると、パッっと画面(がめん)が切りかわり――


『真蒼のローブ【吸血の呪い】

 防御力60。魔術師向けの一体型防具。

 追加効果/DEF+着用時間×0.001%

 条件効果/【火炎縛】ローブが吸った血を使い、

      無差別に火炎系魔法を放つ』


 黒板(くろいた)上級鑑定(じょうきゅうかんてい)結果(けっか)が、(うつ)しだされた。


「お、でたでた。すごいね、ニゲルさん♪」

 これで、みんなにも見てもらえる。


「うっわー、便利(べんり)ね♪ けどこれ……洒落(しゃれ)になりませんわよ?」

「むしろ今日(きょう)この(とき)暴発(ぼうはつ)してくれて――アンタ、(いろ)んな意味(いみ)命拾(いのちびろ)いしたねっ♪」


「まさか、ローブの(いろ)って!? いままでMP(エムピー)じゃなくて……血を吸われてた(・・・・・・・)のっ!?」

吸血(きゅうけつ)(のろ)い……この世界(せかい)には、吸血鬼(きゅうけつき)なんて……居るのかい?」

 (あお)ざめる女性(じょせい)と、身をすくめる青年(せいねん)


大丈夫(だいじょうぶ)ですわよ、真祖(しんそ)と呼ばれてたのは、魔王(まおう)一緒(いっしょ)に切りすてたから――ふふん♪」

「けどその(なり)じゃ、いくらなんでも心許(こころもと)ないねぇ――アタシが女学校(じょがっこう)のころ使(つか)っていたローブを、あげようかい?」

 ぶるるるんと絢爛豪華(けんさんごうか)なカラダを振りまわす、女将(おかみ)さん。

 いいええええ、遠慮(えんりょ)しておきますと突っぱねる、女性(じょせい)

 リオレイニアみたいに(うす)胸元(むなもと)を、(かか)えた魔法杖(つえ)(かく)している。


「そうかい? 魔法攻撃力(まほうこうげきりょく)命中率(めいちゅうりつ)補正(ほせい)がつく、結構(けっこう)なレア(もの)なんだけどねぇ」

 ぶるるるるるるん――いーえ、遠慮(えんりょ)しておきます。

 たしかに体型(たいけい)がちがいすぎて――部分的に(・・・・)ぶかぶかで、着られそうもない気がする。


 上級鑑定(じょうきゅうかんてい)(しめしめフヒヒと品定(しなさだ)めするような(わる)(かお))で、女性(じょせい)を見た。


 ――――ぽこん♪

『普通の服

 ふつうの服。特筆すべき所はない。』

 ――――ぽこん♪

『普通の靴【ぼろぼろ】

 ふつうの革靴。そろそろ壊れる。』

 ――――ぽこん♪

『普通のベルト【ぼろぼろ】

 ふつうの革ベルト。そろそろちぎれる。』


 こりゃ、ひどいな。


「それ、いま装備(そうび)してるオンボロも、一式(いっしき)ぜんぶ、そろそろ(こわ)れそうだよ?」

 ぼっと、(かお)(あか)くして、身をかがめる女性(じょせい)


「こら、カラテェー! 女性(レディー)に向かって、なんてこと言うの!」

 ぼかり――!

()った――!」

 姫さん(リカルル)に、本気(ほんき)(なぐ)られた。

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