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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
2:カブキーフェスタへの道

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222/744

222:ギルド住まいの聖女(研修中)、青いローブの女

MP(エムピー)を溜めておいた?」

 ぼくは採取(さいしゅ)にも狩りにも(たたか)いにも、まるでMP(エムピー)使(つか)わないから、(やま)のように(あま)ってるアレ(・・)がある。

「ばたり――これ死ぬほど(あま)ってるから……あげるよ」


 (おな)格好(かっこう)(ゆか)(たお)れこみ、MP(エムピー)ポーションを何本(なんぼん)か取りだす。

 (こし)につけた収納魔法板(しゅうのうまほういた)に入れて置いたヤツだから、迅雷(ジンライ)がいなくても取りだせる。


「ボクぅー、覆面(ふくめん)なんてしてる(わり)にー、すっごく良い子ぉねぇー」

 お? MP(エムピー)ポーションに手が伸びた。

 問題解決(もんだいかいけつ)か。


「ありがとうねぇー、けぇどねぇー、コレじゃないのよねぇー」

 くの字に折れ()がって、(たお)(かた)がひどくなった。

 よかれと(おも)ったんだけど、なんか(ちが)うらしい。


 小瓶(ポーション)を引っこめようと(おも)ったら――「気持(きも)ちとポーションは、ありがたく(いた)いておきます」。

 女性(じょせい)自分(じぶん)(かばん)に詰めこんだ。

 まあ、いいけど。


 MP(エムピー)って活力(マナ)だよな。魔法(まほう)元になる(・・・・)やつ。

 迅雷(ジンライ)五百乃大角(いおのはら)がいないと、くわしいことはわからないな。


「(おーい迅雷(ジンライ)! 五百乃大角(いおのはら)でもいーぞ、いるかぁー!?)」

 返事(へんじ)はない。(ちか)くには居ねぇな。


 ここは、舞台裏手(ぶたいうらて)倉庫(そうこ)とかがある一角(いっかく)

 部屋(へや)(なか)に居るのは五人(ごにん)だけだ。

 視線(しせん)がとおりゃ、どれだけ(とお)くても念話(ねんわ)使(つか)えるんだが。

 耳栓経由(みみせんけいゆ)画面(がめん)にも、迅雷(ジンライ)がらみのヤツは一切表示(いっさいひょうじ)されてない。


 こんな面倒(めんどう)なことになるなら、すなおに棄権(きけん)しときゃ良かったな。

 ただでさえ(ねむ)いのに。


 しゃあない、自分(じぶん)(かんが)えてみるか。

 ただ(よこ)になってたら――すぐに寝ちまう。


MP(エムピー)活力(かつりょく)で-」

 龍脈(りゅうみゃく)と、だいたい(おな)(もの)だって言ってたな。

 ここの温泉(おんせん)にも溶けこんでるし、さっきのMP(エムピー)ポーションにだって当然(とうぜん)(はい)ってる。

 それを、この青くなった(・・・・・)ローブに、一滴一滴垂(いってきいってきた)らすように溜めこんでいたと。

 どうやら(はなし)を聞くなら、そういうことのようだ。

 そしてその(とら)の子の〝取っておき〟を、いまさっき(おどろ)いて使(つか)っちまって……(ゆか)寝転(ねころ)んでる。


「このローブは、アーティファクトですか?」

 迅雷(ジンライ)(よう)神力棒(しんりょくぼう)を持ってるから、アーティファクトならすぐ満杯(まんぱい)になる。

子供(こども)のころ、露店(ろてん)で買ったから良くわからないの。けど着てれば着てるだけ本当(ほんとう)頑丈(がんじょう)になるから、防具(ぼうぐ)ではあると(おもう)うの……ぐすん」

 たしかに、この(ひと)は見るからに(よわ)そうな(からだ)つきと顔色(かおいろ)をしている。

 魔法抜(まほうぬき)きならレイダにも、負けるんじゃないか。

 (ひめ)さんの、ギッラギラした元気(げんき)をしぼって、分けてあげたいくらいだ。


「こら、カラテェー(くん)。イジメちゃだめよ?」

「イジメてないよ。それより、MP(エムピー)が溜まる防具(ぼうぐ)ってしってる?」

MP(エムピー)が溜まる? ……聞いたことありませんわ」

 うーん。着てれば着てるだけ(つよ)くなるって言うなら、そこそこ良い(もの)だと(おも)うんだけど――それこそ、伯爵夫人(ルリーロ)が着てた巫女装束(みこしょうぞく)みたいな。


「たしかに、ちょっと見ないローブですわね? 鑑定(かんてい)はしてみたの?」

 かがみこみ、女性(じょせい)を気づかうように手をのばす伯爵令嬢(リカルル)

鑑定代(かんていだい)だけで買ったときの、五倍(ごばい)もの大金(たいきん)になるもの。そんなもったいないことはしません」

 そういって(からだ)を起こす、不健康(ふけんこうそうな)そうな女性(じょせい)

 ニゲルの(けん)もだけど安物(やすもの)(たい)して、お(かね)をはらってまで鑑定(かんてい)をするひとはいないんだな。

「うーん?」


 現在時刻(いまのじかん)深夜3時(よなかのさんじ)本戦(ほんせん)は9時から11時まで。

 人数(ひと)が増えたから場合(ばあい)によっては開始時間(かいしじかん)(はや)まる。

 天狗戦(てんぐせん)……御前(デモンストレー)試合(ションマッチ)はかわらず、午後1時(ごごいち)から午後五時(ひぐれ)まで。

 ふう……いい加減(かげん)、ねむい。


 ちゃっちゃとへたり込むのを終わりにしてもらって、順番(じゅんばん)を決めないと。

 上級鑑定(じょうきゅうかんてい)(しめしめフヒヒと品定(しなさだ)めするような(わる)(かお))で、〝(あお)いローブ〟を見た。


 ――――ぽこん♪

『真蒼のローブ【――】

 ――/――――――

    ――――、――』

 上級鑑定(これ)もぼくのスキルだから、迅雷(ジンライ)無しでももちろん使える。

 烏天狗(カラテェー)偽装(ぎそう)した冒険者(ぼうけんしゃ)カードにも、ちゃんと書いてあるヤツだから、人前(ひとまえ)でも使(つか)える。


「そういえばカラテェーは、上級鑑定(じょうきゅうかんてい)使(つか)えるのでしたわね」

 (かね)(おと)がしなかったから、(ほか)鑑定(かんてい)できる(ひと)は居ない。

「そりゃあ、たいしたもんじゃないか」

「ほんとだよ。(ほく)もこんど(なに)か、鑑定(かんてい)してもらおうかな」

 みんなが寄ってきた。


 けどニゲル、鑑定(かんてい)してもらうなら〝(なに)か〟じゃなくてさ。

 いま(こし)に下げてる〝伝説(でんせつ)聖剣(せいけん)安物(やすもの))〟を、真っ(さき)にするべきだろ!

 まったく、ニゲルは。


   §


 どれどれ――

『真蒼のローブ【吸血の呪い】

 防御力60。魔術師向けの一体型防具。

 追加効果/DEF+着用時間×0.001%

 条件効果/【火炎縛】ローブが吸った血を使い、

      無差別に火炎系魔法を放つ』


「どんな防具(ぼうぐ)なんだい?」

(めい)(はい)ってますの?」

 テーブルにひろげたローブに、興味津々(きょうみしんしん)女性陣(じょせいじん)たち。


「だいじょうぶかい? コレよかったらポーション飲んで、(らく)になるよ」

 あーもー、ニゲルは。

 ソレは(みせ)から、お(つか)れのニゲルに支給(しきゅう)したヤツだろ。

 思い人(リカルル)の目の(まえ)で、ほかの(おんな)にやさしく……するのは、(わる)いことではないけど。


「あ、ありがとう店員(てんいん)さん」

 ガムラン(ちょう)にながく住んでて、女将(おかみ)さんの食堂(みせ)を知らない(やつ)はいない。

 そして、ニゲルはこう見えても、麒麟児(スーパールーキー)として名を()せたらしくて。

 そういうわけで、ニゲルが食堂(しょくどう)(はたら)いていたのは、みんな知っている。


 あーあー、手までつかんで起こしてあげちゃって。

 色恋沙汰(いろこいざた)五百乃大角(いおのはら)が居ないと、どうにもできない。

 いまは、この(おんな)(ひと)に、一刻(いっこく)(はや)元気(げんき)になってもらおう。


「えーっと、真蒼(しんそう)……のローブ。吸血(きゅうけつ)(のろ)い……!?」

「「「「(のろ)いのアイテム――――!?」」」」

 全員(みんな)(つくえ)から逃げていく。

 持ち(ぬし)まで、(あお)(かお)をして……顔色(かおいろ)(わる)いのは(もと)からか。


(のろ)われたアイテムか。いままでに、何個(なんこ)か見かけたことはあったけど――」

 迅雷(ジンライ)五百乃大角(いおのはら)が居れば、たちどころに(わる)(もの)はどうにかしちまってたからなぁ。

 「おいしいごはんの(さまた)げになる(もの)わぁー、こうしてくれぇるぅわぁー!」ってなかんじで。


「ひとまず、この鑑定結果(かんていけっか)を、みんなにも見せたいな」

 (ひめ)さんは仮面(かめん)してないから、見せられないし。

 予備(よび)耳栓(みみせん)はあるけど、そもそも迅雷(ジンライ)(とお)さねぇと、このスキル画面(がめん)は――画面(がめん)(うつ)せねぇのか。

 便利(べんり)不便(ふべん)で――本当(ほんとう)にややこしい。


 ニャミカが使(つか)ってた上級鑑定箱じょうきゅうかんていばこは、こういうときに便利(べんり)だ。

 このスキル画面(がめん)(かみ)に書き(うつ)魔法具(どうぐ)を、迅雷(ジンライ)(つく)らせよう。

 けどまずは、この場を乗り切って、一時間(いちじかん)でも良いから寝るぞ。


 この場は、ぼくにしか見えない鑑定結果(かんていけっか)を、この黒板(くろいた)にでも(うつ)せれば良いんだけど。

 ――わかるかい、そんなややこしいこと。

 っていうか、やっぱり迅雷(ジンライ)視線(ねんわ)(つうじ)場所(ところ)まで、移動(いどう)するか?

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