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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
2:カブキーフェスタへの道

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221/744

221:ギルド住まいの聖女(研修中)、赤いローブの女

 舞台(ぶたい)(のこ)冒険者(ぼうけんしゃ)は、見た(かお)だけになった。

 ニゲル、(ひめ)さん、女将(おかみ)さん、短剣(たんけん)使(つか)うヤツ、魔法杖(まほうつえ)に乗ったヤツ、そしてぼくの六人(ろくにん)

 そして、まだ二十匹(にじゅっぴき)くらいの紙製(つかいすて)(のこ)ってる。


「――む?」

 ニゲルたち、見知(みし)った(かお)と目が合った。

 あの(かお)は、まだ本気(ほんき)じゃない。

 十中八九(じゅっちゅうはっく)(よわ)いヤツを(さき)仕留(しと)めるつもりだ。


 よし、ならぼくも、(よわ)い……かどうかはわからないけど、短剣(たんけん)魔法杖(つえ)をはたき落としてやろう。

 一番近(いちばんちか)くに居たぼくが、地を()うように(しの)びよる。


「――!」「――!?」

 さすがに、気づかれた。

 ガムラン(ちょう)(となり)城塞都市(オルァグラム)つまり魔物最前線(まものさいぜんせん)冒険者(ぼうけんしゃ)と、央都(おうと)精鋭(せいえい)たち。

 コイツらは(おおむ)(つよ)い。

 お祭り(フェスタ)(あそ)びに来た、普通(ふつう)冒険者(ぼうけんしゃ)とは一線(いっせん)(かく)している。


 短剣(たんけん)をかまえる、革鎧(レザーアーマー)(おとこ)

 魔法杖(つえ)旋回(せんかい)させる、(あか)いローブの(おんな)

 この二人(ふたり)は、レイダやリオレイニアと(はな)しているのを見たことがある。

 それぞれ(べつ)中級(ちゅうきゅう)冒険者(ぼうけんしゃ)パーティーに、所属(しょぞく)していたはず。

 もちろん手合(てあ)わせするのは、はじめてだ。


 この乱取り戦(バトルロイヤル)では、冒険者(ぼうけんしゃ)による冒険者(ぼうけんしゃ)への直接的(ちょくせつてき)攻撃(こうげき)は、禁止(きんし)されている。

 体術(たいじゅつ)場外(じょうがい)へ投げとばしたり、(さや)(たて)(なぐ)ったりと、致命傷(ちめいしょう)になりえない攻撃(こうげき)(みと)められてる。


 (おと)もなく飛んでくる――――(くろ)短剣(たんけん)

 ヴォォォォンッ――――うなりをあげ、(たか)く舞いあがる(あか)いローブ。


 避け――る間もなく、トストストス!

 割りこんできた作業服(つかいすて)に、吸いこまれていく(くろ)(やいば)

 ヒュボボォ――ン!

 (しろ)(かみ)(やぶ)けて、ぼとぼとと中身(なかみ)を落とす。


 ゴガァァァァァン――――ッ!

「なんだ?」

 どうした?

 それは()から(とどろい)いた。


 落ちてくる魔法杖(まほうつえ)と、(あか)冒険者(ぼうけんしゃ)

 あー、作業服(つかいすて)たちを動かすために(・・・・・・)必要(ひつよう)な、やたらとややこしい(つく)りの魔法具(まほうぐ)仕込(しこ)んだ――鉄柱(てっちゅう)

 舞台(ぶたい)上空(うえ)設置(せっち)した、魔法具(あれ)にぶつかったらしい。

 〝聞こえない(おと)〟と〝ほとばしる陽光(ようこう)〟を(はな)つ、(おお)きなはこ

 その一カ所(いっかしょ)が、(こわ)れて(くら)くなってる。


 すととと、すととと、すとととととととっ。

 気を(うしな)った女性(じょせい)を受けとめようと、四方(しほう)から(しろ)作業服(さぎょうふく)……まだ名前(なまえ)がない〝使(つか)い捨てシシガニャン〟が、一斉(いっせい)(はし)りだした。

 参加者(さんかしゃ)安全(あんぜん)配慮(はいりょ)した、救助(きゅうじょ)目的(もくてき)とした行動(こうどう)だ。

 けど、(かお)のない(しろ)(ねこ)魔物(まもの)(むら)がるさまは――


「――んえっ、あ、きぃぃぃぃぃやぁぁぁぁぁぁぁっ――――!?」

 気がついたのだろう、当然叫(とうぜんさけ)女性(じょせい)

 ローブから伸びる手に、(つえ)が吸い寄せられ――ぱしりっ!

 それは彼女(かのじょ)の、おそらくは――取っておき(・・・・・)


蒼き風(Blue wind)止ま(Unstop)ない雨(pable rain)大海(Drops of )の雫(the ocean)――――!」

 (あか)いローブから紅蓮(ぐれん)(ほのお)がわきだして――――ゴォッバァァァァァァァァ――――ヒュゴォォォォォォォォォォォオ!


瀑布火炎(ばくふかえん)(じゅつ)――カッ!?」

 いや、似てるけどちがう。

 彼女(あかいの)(とな)えたのは真言(しんごん)じゃなくて、魔法(まほう)呪文(じゅもん)だ。


 とりあえず避けないと、ぼくまで燃えちまう。

 しょうがないから、(たか)く跳んだ。


 火がついた作業服(つかいすて)たちは、一瞬(いっしゅんで)で燃えおちていく。

 なんせ(かみ)だ。わらわらと逃げまどう作業服(かみども)


 参加者全員(さんかしゃぜんいん)場外(じょうがい)に落ちて失格(しっかく)になるか、すべての使(つか)い捨てシシガニャンたちを(こわ)したら、予選(よせん)終了(しゅうりょう)となる。


   §


 ここは(ひか)(しつ)

 まいったな。予選通過(よせんつうか)はしたものの、五位(ごい)だ。

 ルコルたちの全財産(ぜんざいさん)(もど)ってくるには、順位(じゅんい)がふたつ足りなかった。


 ぼくがニゲル青年(せいねん)に掛けた(ぶん)で、いくらかは取り(もど)せるけど。

 それだと、ルコルは受け取らないからなぁ。

 ニャミカは遠慮(えんりょ)なく受け取りそうだけど。


 予選(よせん)終了(しゅうりょう)した時点(じてん)(のこ)ってた全員(ぜんいん)が、おにぎりとの勝負(しょうぶ)参加(さんか)できる。

 そして、おにぎりに「(まい)った」させられたら、修験者(しゅげんしゃ)天狗(てんぐ)との一騎討(いっきう)ちができる。

 あの変異種(バリアント)(つの)ウサギを、〝たったひとりで(ほふ)った〟、あの(・・)老人(ろうじん)とである。


 今夜(こんや)出し物(イベント)としては、作業服(つかいすて)強化服(おにぎり)相手(あいて)演舞的(えんぶてき)要素(ようそ)(おお)きい。

 つまりココに居る5(めい)が、(けん)(つえ)(まじ)えることはない。


「そーだ、ニゲル。シガミーに言っといて、オーミソー(じる)ってやつ、ウチの(みせ)でも出したいから〝オーミソー〟をくださいってさ」

「えぇー、自分(じぶん)で言ってくださぁいよぉう。これおわったら(ぼく)また二号店(にごうてん)片付(かたづ)けに(もど)らなきゃならないんでぇすぅよぉー」


 女将(おかみ)さん(たい)ニゲル(せん)は、ちょっと見てみたかったかも。

 いつもは飛んでくる木さじを、青年(ニゲル)一方的(いっぽうてき)にうしろ(あたま)で受けてるけど――

 本気(ほんき)のニゲルとなら、なかなか良い勝負(しょうぶを)をしそうでさ。


 (ひか)(しつ)を見わたす。

 このイベントは、ウチの女神(めがみ)さまの仕切(しき)りだ。

 半分運営側(はんぶんうんえいがわ)みたいなもんだし、このままじゃ(らち)があかない。

 烏天狗(ぼく)がこの場を、仕切(しき)ってやろう。


「じゃあ、順番(じゅん)――どうしましょうか?」

 おにぎりの(くび)に提げた木の板(ヤツ)じゃなくて、真っ(くろ)(ほう)(いた)(つくえ)に置いてある。

 (ざつ)準備(しごと)をしやがって、五百乃大角(あのやろう)め。


「「「「なんの?」」」」

 もちろん本戦(ほんせん)で、おにぎりへ(いど)順番(じゅんばん)にきまってる。


『第一回バトルロイヤルおにぎり杯本戦出場順申請』

 黒板(くろいた)表示(ひょうじ)されてる申請画面(しんせいがめん)には、1から5の数字(すうじ)


(ひめ)……リカルルさまは、あいつ……〝おにぎり〟を切れる(・・・)?」

 黒筆(ふで)(さき)を、姫さん(リカルル)に向ける。


「おにぎりちゃん? やってみないとわかりませんわね。(げん)一度(いちど)、〝ヴォルトカッター〟を(こぶし)(はじ)かれていますものっ、くすくす♪」

 取っておきを(ふせ)がれたのに、なんで(わら)ってんの?


「じゃあ、女将(おかみ)さ……コッヘルさんは、どうですか? その〝木さじ〟であの毛皮(けがわ)を、こじ開けられる?」

「リカルル(ひめ)(わざ)(はじ)くってんなら、〝木さじ(これ)〟じゃ力不足(ちからぶそく)だね」

 (うで)を組み、(なに)やらかんがえはじめた。


 そういえば、きょうは前掛け(エプロン)(した)に〝しゃらあしゃらした(ふく)〟を着てる。

 ときどき観客(きゃく)に向かって片目(かため)を閉じるたびに、おっさんどもの歓声(こえ)会場(かいじょう)(とどろ)かせてたっけ。

 おっさん連中(れんちゅう)は……(むし)が好きなのかもな。


「――それこそ、ニゲルの(それ)でもなけりゃ、切れないだろう――?」

「えー、(ぼく)ぅー? ムリムリムリムリ、こんな錆びた(けん)じゃ丸太一本切(まるたいっぽんき)れやしないよ」


 はぁ? シガミー(おれ)が着てた二号(にごう)を、すっぱすっぱっ切りやがったじゃねぇか!

 そして女将(おかみ)さんはニゲルの実力(じつりょく)と、あのさびた(けん)(ちから)に気づいてる。

 さすがは、ガムラン最高(さいこう)LV(レベル)なだけはある。


「そうですわ、コッヘル夫人(ふじん)。いくらなんでも、ニゲルには荷が(おも)すぎませんこと♪」

 そしてさすがは、(ひめ)さんだ。

 ブレのない、節穴(ふしあな)っぷり。

 もうちょっとでいいから、ニゲルに興味(きょうみ)を持ってくれ。


「じゃあ、そこの(あか)いローブ……じゃないね、あれ? 青いローブ(・・・・・)(ひと)は、おにぎり……あのねこの魔物(まもの)みたいなのに、勝つ自信(じしん)はありますか?」

 いまは、本戦(ほんせん)試合順(しあいじゅん)を決めかねてる(ところ)だけど。

 おにぎりが「(まい)った」するより(さき)に、毛皮(けがわ)を切ってSDK(なかみ)を風にさらしたら、本戦(ほんせん)はそこで終わる。

 強化服(おにぎり)中身(なかみ)SDKおにぎりを風にさらすと、〝ふりだし(・・・・)〟に(もど)ってしまうのだ。


 下手(へた)したら(たたか)えるのは、先着一名(せんちゃくいちめい)になりかねないわけで。

 こうして、自信(じしん)のほどをうかがってる――んだけど。


「はぁぁぁぁっ――――物心(ものごころ)ついてからコッチ、ずぅぅぅぅぅぅぅっと溜めつづけてきたMP(エムピー)が……ぶつぶつ……」

 (しか)(しつ)(すみ)(たお)れ込んだ(あか)い――(あお)いローブの女性(じょせい)が、地獄(じごく)(そこ)から(とどろ)くような(こえ)で、ブツブツ言っている。

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