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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
2:カブキーフェスタへの道

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220/744

220:ギルド住まいの聖女(研修中)、バトルロイヤルおにぎり杯予選

「こりゃぁ、いくらなんでも(おお)すぎねぇかなぁ」

 突貫工事(とっかんこうじ)完成(かんせい)した舞台(ぶたい)……闘技場(とうぎじょう)

 継ぎ目のない床石(ゆかいし)は磨きあげられ、おにぎり渾身(こんしん)(ため)(なぐ)りにもキズひとつ付かなかった。


 そんな晴れの舞台(ぶたい)(はし)(まわ)る、目鼻立ちがないやつら(・・・・・・・・・・)

 (ねこ)(みみ)が付いてる、(まる)(あたま)をした作業服(さぎょうふく)たち。


「けどあれ全部でも(・・・・・・)椅子(いす)がせいぜい25個分(・・・・)だろう……本当(ほんとう)安上(やすあ)がりだな」

「(いえ、さすがに(はげ)しい運動(うんどう)をするため強度(きょうど)必要(ひつよう)で、一匹(いっぴき)につき椅子(いす)脚分使用(さんきゃくぶんしよう)しています)」

 椅子何個分(いすなんこぶん)って、(ぎゃく)にわかりづらくね?


(かみ)を巻いて(つく)った棍棒(こんぼう)にも木材(もくざい)使用(しよう)しているので、一匹(いっぴき)につき約十二倍(やくじゅうにばい)……いえ、普通(ふつう)(たか)さの木一本分(きいっぽんぶん)木材(もくざい)で、三匹(・・)(つく)れる計算(けいさん)です」

 木一本(きいっぽん)三匹(さんびき)か。すると、三十数本(さんじゅうすうほん)丸太(まるた)があれば百匹(ひゃっぴき)

 百本(ひゃっぽん)丸太(まるた)で――三百匹(さんびゃっぴき)猫耳頭数(あたまかず)だけなら、最低限(さいていげん)の〝(そなえ)〟になる。


「――やばくね?」

 あれを(つく)ったのは、超女神像(ちょうめがみぞう)にくっ付いてる無人工房(むじんこうぼう)だ。

 図面(ずめん)を引いたのは五百乃大角(いおのはら)で、中身(うごき)は……おれと迅雷(ジンライ)真似(まね)強化服(おにぎり)(もと)にしてる。


 あの舞台(ぶたい)(うえ)に〝(てき)をおびき寄せられるなら〟――マジで(・・・)無敵(むてき)じゃね?

 央都(おうと)に居たモサモサ神官(しんかん)どもに、どれだけの材料費(ざいりょうひ)が掛かってるのか知らないけど――

 まちがいなく、使(つか)い捨てシシガニャンの(ほう)安い(・・)


 なんせ中身(なかみ)は、(ひと)じゃねぇ。超女神像(ちょうめがみぞう)ひとつで(まかな)える。

 切られて(やぶ)けても、丸太(ざいりょう)さえありゃ際限(さいげん)なく補充(おかわり)できるし、まるで――――


「ちょっとシガミー、まさか参加(さんか)しないつもりじゃないでしょーね?」

 自分(じぶん)はすでに本戦参加(ほんせんさんか)が決まってるもんだから、見ているだけしか出来(でき)ない(おに)

 不機嫌顔(しけたつら)のオルコトリアが、おれに八つ当たりをしてくる。


「え、出ないよ。(はたら)きづめてさ、むしろ寝るよ?」

 おやぁす――やぁ♪

 (しろ)(かく)(みの)迅雷(ジンライ)(しき)頑丈(がんじょう)(ぬの)にくるまって、シガミー(おれ)寝息(ねいき)を立てる。


 カチャカチャカチャカチャ――♪

 ふぉん♪

『>隠れ蓑固定しました。

  どうぞ椅子の底から、隠し通路へ降りてください』


 キュキュキュキュキュリ――――カチャァ!

 この座席(いす)には細工(さいく)をしておいた。

 (かく)(みの)(した)から、人知(ひとし)れず抜け出せる。


「(じゃあ迅雷(ジンライ)。おにぎりやみんなのことを(たの)むぞ)」

「(はい、おまかせください。ご武運(ぶうん)を――)」


 すたっ!

 座席(ざせき)(した)には(ほそ)通路(つうろ)が張りめぐらされていて、(なな)めになった(ゆか)(からだ)をあずけた。


「いそがないと――」

 なんせ、烏天狗(カラテェー)としては、出場(しゅつじょう)することになってるからな。

 スルスルスルスルルッ――――ッシャァァァァァァァッ!

 すべり落ちる(はや)さが、どんどん増していく。

 これなら舞台下(ぶたいした)(かく)通路(つうろ)に、すぐ出られ――


 ――()っち、あちあち!

 こりゃ火傷(やけど)するぞっ――――なんでも実際(じっさい)にやってみないと、わからねえもんだぜ!

 ヴッ――小太刀(こだち)二本尻(にほんしり)に敷いた。


   §


「あ、あの真っ(くろ)いの、カラテェーミャ!」

「ほんとコォン! 真っ(くろ)だコォン!」


 ついさっき、自分(じぶん)で組み立てたばかりの舞台(ぶたい)に立つ。


「おぉぉーいコォン!」

「うをぉーいミャァ♪」

 (きみ)ら、観客席(かんきゃくせき)最前列(いちばんまえ)陣取(じんど)ってたのか。


   §


 出来(でき)たばかりの〝(あか)りの魔法具(まほうぐ)〟を仕舞(しま)った一号(おにぎり)

 背中(せなかの)魔法具箱(まほうぐばこ)がなんでか、(みょう)(おも)くて。

 その背中(せなか)を押してたらルコルたちの(はな)(ごえ)が、とおくから聞こえてきた。


「どうするミャッ? (あか)りの魔法具(まほうぐ)(いま)さら出てきたけど、とても足りそうもないミャ!?」

 (あそ)んでたわけじゃなくて、一応探(いちおうさが)してくれてたのか。

 魔法具(まほうぐ)はコッチで用意(ようい)できたよって、説明(せつめい)しとくか。

 烏天狗(からすてんぐ)装束(すがた)で、(かお)を出したら――


「え? カラテェーは、イベントに出るコォン?」

 舞台(ぶたい)(つく)って、そのまま乱取り(バトルロイヤル)参加(さんか)するって言ったら――

「ひらめいたミャ♪」

 ニャミカが、手のひらを(こぶし)(そこ)(たた)いた。


「フフフフフフのふニャ♪」

 ゴソゴソッ――バリッ!


(われ)のお財布(さいふ)を、どうするコォン!? それは喫茶店(ノーナノルン)の、運用資金(うんようしきん)だコォン!?」

「よく聞くミャ! ……ひそひそ……みんなはカラテェーの強さを知らない(・・・・・・・)ニャ♪」

 聞こえてるよ?


 ぎらりん――コォン!

 ぎろりん――ニャァ!

 (けだもの)の目で見られたときは、(こわ)かったけど――――さすがに喫茶店(きっさてん)運用資金の全部(ぜんざいさん)を突っ込まれちゃうとな。

 まるっきり無視(むし)するのも、(しの)びない。

 (かり)にも喫茶店(きっさてん)従業員(じゅうぎょういん)として、名をつらねてもいるし――


 たしか乱取り戦(バトルロイヤル)三位入賞(さんいにゅうしょう)で――掛け(きん)(もど)仕組(しく)みだから。

 三位入賞(さんいにゅうしょう)したら、すぐに場外(そと)に出よう。


 (まん)(いち)勝ちすすんじゃうと――――一人二役(ひとりふたやく)で、(たたか)えないし。

 迅雷(ジンライ)裏天狗(うらてんぐ)……いや、裏烏天狗(うらからすてんぐ)をさせても良いけど――

 本気(ほんき)のオルコトリアあたりには、一人三役(ひとりさんやく)がバレたりしそうでなー。


   §


「うぉぉぉぉぉぉぉぉ――――――――!」

 ズバズバ――ッ!

「ヤァァァァ――――――ッ!」

 ヒュボボォ――ン!


 次々(つぎつぎ)と切りきざまれたり燃やされたりして、減っていく使い捨て(さぎょうふく)たち。

 ぼとっ。ひらひら。

 (なか)には(ちい)さな(つつ)みや、(なに)かの引換券(チケット)(たぶん(れい)のアーティファクトが当たるやつ)が(はい)っている。


「にゃにゃみゃーう、みゃごー♪」

 舞台(ぶたい)そばの高台(たかだい)に、まるで王様(おうさま)のように鎮座(ちんざ)ましましておられるのは。

 賞品(しょうひん)でもある一騎討(いっきうち)ちの相手(あいて)、シシガニャン一号(いちごう)(|おにぎり)だ。


 ズバズバ――ッ!

 ぼとぼとっ。

 ヒュボボォ――ン!

 ひらひらららっ。

 落ちた景品(けいひん)即座(そくざ)回収(かいしゅう)され、あとでまとめて(わた)される。


 美の女神(いおのはら)伯爵夫人ルリーロ(おも)いつきで急遽(きゅうきょ)開催(かいさい)された見世物試合(みせものじあい)だが、優秀(ゆうしゅう)なギルド職員(しょくいん)たちが(とどこお)りなく(すす)めてくれていた。


 使い捨て(さぎょうふく)たちは、そこそこ(つよ)い。

 けど、ガムラン(ちょう)冒険者(ぼうけんしゃ)たちなら、まず参加料(さんかりょう)(もと)は取れる。


 100匹居(ぴきい)使(つか)い捨て。作業服(その)頭数(あたまかず)が減ってきた。

 冒険者(ぼうけんしゃ)たちも場外(じょうがい)に押し出されて、半分(はんぶん)くらいになった。


 三位入賞(さんいにゅうしょう)ってことは――えーっと。

 (おと)もなく背後(はいご)から飛びついてきた作業服(しろいの)を、錫杖(しゃくじょう)で引っかけて引きたおす。


 あ、そういやニゲルは――アソコでさびた(けん)を振るってるな。

 もう錆びついたのか。おにぎり本戦前(ほんせんまえ)に、また研いでやるか。


 えーっと、そしたら、姫さん(リカルル)もどっかにいるはず。

 あれ? まてよ、あのふたりが居るってことは、三位中(さんいちゅう)ふたりは確定(かくてい)じゃんか。


 すこしは本気(ほんき)を出さないと、入賞(にゅうしょう)できなくな――――ブゥォォォォォオォンッ♪

 この風切(かざき)(おん)――――まさか!?


「あんたたち! 遠慮(えんりょ)はいらないよぉっ、どっからでもかかっておいでっ!」

 その(こえ)に気をとられた、一瞬(いっしゅん)逡巡(しゅんじゅん)

 (おと)もなく死角(しかく)から飛んでくる、(かみ)(うで)(かみ)(こん)――


 これをに(かわ)すには、石床(ゆか)にぺたりと(たお)れるしかない。

 見上(みあ)げた鼻先(はなさき)を、木さじがスゴイ(いきお)いで、すっ飛んでった!

 やべぇ! 女将(おかみ)さんまで参加(さんか)してたのか!


 入賞(にゅうしょう)のためには、(だれ)かを(場外(じょうがい)に)蹴落(けお)とさないといけなくて――

 金剛力(パワーアシスト)のない(いま)のぼくじゃ、手加減も出来ないし(・・・・・・・・・)――

 マジ(・・)でやらないと!

備/戦国時代から江戸時代において、戦時に構成された最小の戦術単位。

  単独作戦行動可能な人員の総勢は300~800名程度。

  槍隊、弓隊、鉄砲隊、騎馬隊等で構成される。

  これをひとつでも編成できることが、大名としての基準。

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