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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
2:カブキーフェスタへの道

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217/744

217:ギルド住まいの聖女(研修中)、通路ブックメーカー

「シガミーの物置小屋(ものおきごや)くらいおっきくて、馬車(ばしゃ)みたいに(はし)るゴーレムも居たけど――」

 それは、すごく便利(べんり)そうだな。


「――それにもやっぱり、おなじ(かお)が付いてたわね……ふたつも」

 それは、どれだけ便利(べんり)だとしても、すごくいやだな。


「よくもこんなデザインを、王様(おうさま)(ゆる)してるわね……いえ、それ以前(いぜん)にギ術開発部(じゅつかいはつぶ)のお(えら)いさんが止めるのが普通(ふつう)よね。まあ、あたくしさまには、す・べ・て・お見通(みとお)しなんだぁけどねぇー、ふふん()

 なんだぁ、もったいぶりやがって。

 それに、お(えら)いさんって、ミャニラだろ――?

 モサモサ神官(しんかん)どもの、見た目にはまだ可愛げ(・・・)があった。


「ひょっとして…………ご(ぞん)じ、なのですか?」

「まぁねぇん――えっへん♪」

 (かく)してないで、とっとと(おし)えろ。


「どういうわけで、こんな(おそ)ろしい(もの)(つく)ることを、ゆるしてるんだい?」

「それわぁ、あたくしさまの(くち)からわぁ言えませぇん。なぜなら恋愛相談(れんあいそうだん)契約(けいやく)にわぁ守秘義務(しゅひぎむ)がぁあるかるぁーです――フフン♪」

 それを言ったら、青年(ニゲル)がらみ(・・・)だって白状(はくじょう)してるも同然(どうぜん)だけどな。

 オルコの(はなし)じゃ、ゴーレムを相当嫌(そうとうきら)ってるみたいだし。


恋愛(れんあい)……相談(そうだん)――?」

 ピクリと(かた)をふるわせる、(あお)麗鬼(おに)


「じゃあ、そっちは聞かないけど、さっきの頓知(アイデア)がどうこうってのは、なんなんでしょうか?」

 (くさ)っても五百乃大角(いおのはら)は、女神(めがみ)だからな。

 シガミーでも無けりゃ、(うやま)っとく。

「それなんだけどっさー、おにぎりちゃんと(たたか)いたい(ひと)(つの)って、参加費(さんかひ)支払(しはら)ってもらうのわぁ、どおかしらっ? そして、勝ったひとが総取(そうど)りって寸法(すんぽう)~よぉん♪」


「それは(こま)る。せっかく見つけた〝(いど)むにあたいする御仁(ごじん)との勝負(しょうぶ)〟に(よこ)やりを入れようというのなら、ソレがたとえイオノファラーさまでも、容赦(ようしゃ)出来(でき)かねます――ごきり♪」

 あーもう、物騒(ぶっそう)なヤツだな。(かみ)さん相手(あいて)(ほね)をならすなって。


「ち、ちちちち、ちがうのよ。けっして、(おに)っ子ちゃんの決闘(けっとう)邪魔(じゃま)しようって言うわけじゃなくってねっ()

 ふぉん♪

『イオノ>こら、アンタたち。あたくしさまをお助けしなさい!

     鬼っ子ちゃんの角が、ビリビリ光ってて怖いんだけど?』


「お師匠(ししょう)さまから聞いてるけど、女神(めがみ)さまの御心(みこころ)にしたがうって言ってたよ」

「なにっ!? て、天狗殿(てんぐどの)わぁー、ほかに、な、(なに)かいってなかったか?」

「いや、べつに」

 (かた)を落とし、一本角(つの)のビリビリが消える。


「オルコトリアさんはさ、本気(ほんき)のお師匠(ししょう)さまと一騎討(いっきうち)ちさえできれば、文句(もんく)はないんだよね?」

「それはそうだけど……ごにょごにょ」


「そう、そうなのっ! お(まつ)りの出し(もの)にしようって魂胆(わけ)じゃなくってね、えっとね……」

 目を(およ)がすな。コッチみんな。

「にゃやーぅ?」

 おにぎりも、ときどき(くち)をはさんでるけど、(だれ)かの真似(まね)しかえしてる(・・・・・・)だけだ。


午前(ごぜん)の部わねっ、みんなでおにぎりちゃんに(いど)んでもらってねっ、(たお)すかもしくはおにぎりちゃんに参った(・・・)させたらねっ、午後(ごご)の部に勝ちすすめるのよねっ!」


「午~後~の~部~ぅ?」

 ビキバキッ――ヴァチッ!

 雷光(つの)に照らされる、通路(つうろ)

「そうっ、午後(ごご)本戦(ほんせん)でわぁ、ちゃあんと(いと)しの天狗(テング)さまと一騎討(いっきう)ちをさせてあげるっ!」


「い、(いと)しの――!?」

 ぽふん――(つの)(ひかり)が消えた。

「そうよ! その参加費用(さんかひよう)をみこめば、一世一代(いっせいちだい)の晴れ舞台(ぶたい)にふさわしい決闘場(けっとうじょう)用意(ようい)してあげられるわ」

 やっと御神体(かみさん)(くち)が、まわってきたな。


「どれだけ大暴(おおあば)れしても(こわ)れない、すんごいのぉおー――この子たちに(・・・・・・)(つく)らせるわっ!」

 烏天狗(ぼく)一号(おにぎり)に――カシャ――『(Θ_<(ばちーん♪))』

 〝浮かぶ玉(なんたら)〟が、片目(かため)を閉じてみせる。

 ギルド屋舎(おくしゃ)(なか)に、(むし)は居ないだろうが?


「晴れの舞台(ぶたい)……い、いやいや、やっぱりダメだ! 決闘(けっとう)先客(せんきゃく)がいたら、(まん)(いち)ということも(かんが)えられるわ」

「んー? おにぎりを切れるヤツ(・・・・・)なんて――ニゲル……さん(くらい)のもんだと(おも)うけどなー」

 つい、正直(しょうじき)感想(かんそう)がもれた。


「え? ニゲルが、あのさびた(けん)で!? ――ブッフフフッフフハハヒ♪」

 あれ? オルコトリアが、こういうことで他人(ひと)馬鹿(ばか)にするのは、(めずら)しいな。

 それに、こちとらおにぎりとほぼ(おな)強化服(ふく)を着てたのに、現実(げんじつ)なます切り(・・・・・)にされた。

 なんかちょっと――カチンと来ないでもないなー。


「じゃあ、ぼくは――ニゲル……さんに掛けようかな」

 画面(がめん)(なか)の、収納魔法具の中(ファイリングシステム)

 (おお)きな革袋(かわぶくろ)に、シガミーの個人資産(てもち)

 その五分(ごぶん)一程度(いちていど)を、詰めこんだ。


 ヴッ――ゴッチャリン♪

 おにぎりの(はら)(なか)(あずか)かってる、オルコトリアの財布(さいふ)(ばい)くらいか。


「にゃみゃにゃぁ――♪」

 すぽん♪

 掛け(きん)(くち)(はさむ)む間もなく、おにぎりの(はら)(おさ)まった。

 そして、(くち)からジジジジィィィ――ッと、吐き出されたのは――

 ニゲルが(にぎ)りしめてた、『一日デート券』みたいな細長(ほそなが)(かみ)


『最終日午前の部:掛け金 100,000パケタ

 投票 木さじ食堂所属/ニゲル』

 所属(しょぞく)が、木さじ食堂(しょくどう)になってるのは、早朝(あさ)仕込(しこ)みの手伝(てつだ)いは(つづ)けているからかもしれない。


「あらぁん、いいわね、いいわぁねぇー♪ 勝敗予想(しょうはいよそう)の掛け(きん)も足せば、むこう一万年(いちまんねん)(こわ)れない決戦場(コロシアム)がでぇーきぃーるぅーわぁー♪」

 ふぉん♪

『ヒント>コロシアム/円形の競技場』

 御前(おまえ)さまは、一万年後(いちまんねんご)元気(げんき)(はら)を空かせてるんだろうなぁ……諸行無常(しょぎょうむじょう)とは。


「ふふ、これで賭けは成立(せいりつ)だよ。ニゲル……さんに掛けるひとが(すく)なければ、結構(けっこう)なもうけも出るし♪」


「けどさ、カラテェー(くん)わぁさ、天狗(てんぐ)さまに掛けないといけないんじゃなぁいのぉ?」

 は? そっか。烏天狗(おれ)わぁ、天狗(ししょう)の弟子だったか――ややこしいにも(ほど)がある。

 ひとりで何人分(なんにんぶん)やってんのか、わからなくなってくるな。


「いや、ぼくの(かん)だと、お師匠(ししょう)さまよりニゲルはつよい……かもしれないよ」

 ニゲルの実力(ちから)見誤(みあやま)ってたのは、ぼくも(おな)じだけど、この(さい)鬼娘(オルコ)をあおる。


「はぁぁぁぁっ!? (わたし)より、ましてや天狗殿(てんぐどの)よりニゲルの(ほう)が、つよいっていうのっ?」

 ヴァチィ――!

 また(ひか)りだす(つの)。まぶしい。


 ドガチャンッ――――♪

 (おに)(ふところ)から取りだされた、(おお)きな革袋(かわぶくろ)


「その掛け! 受けてあげようじゃないのっ!」

 よし、(おに)がまんまと乗ってきた。

「(シガミー)」

「(なんだ迅雷(ジンライ)?)」

「(ニゲルは最終日(さいしゅうび)にリカルルとのデートを(ひか)えているので、決闘(けっとう)参加(さんか)している(ひま)はないのでは?)」

 あ、そうだった。


「(あーそれね、そーいう(はなし)ならばわぁー大丈夫(だいじょうぶ)よぉ。(まか)せてちょうだぁぁぁぁい♪)」

「(どう、大丈夫(だいじょうぶ)なんだ?)」

「(お(ひめ)ちゃんも、ぜったいに参加したがるから(・・・・・・・・)よ♪)」


「にゃみゃにゃぁ――♪」

 すぽん♪

 (おに)革袋(かね)も、おにぎりの(はら)(おさ)まった。

 そして、(くち)からジジジジィィィ――ッと、吐き出されるのは――


『最終日午前の部:掛け金 累計124,703パケタ

 投票 ガムラン町ギルド支部職員/オルコトリア』

 やっぱりおなじ、細長(ほそなが)(かみ)だった。

諸行無常/万物は流転し、一刻もとどまらないこと。仏教の基となる思想の一つ。俳句の初句のひとつ。

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