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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
2:カブキーフェスタへの道

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215/744

215:ギルド住まいの聖女(研修中)、うしみつどきの通路にて

「ふーんっ!」

 ゴォッ――――!

 すさまじい拳風(けんぷう)


「うっわっ――!?」

 ドタリ――!

「みゃがっ――♪」

 ぽきゅり――!


「ぷぅ――――うん、わたしは(けっ)して(よわ)くない……とおもう」

 なぎ(たお)された、ぼくたちを見おろす青鬼(オルコトリア)

 いつもの落ちついた、受付嬢(うけつけじょう)(かお)(もど)ってる。


 どかり!

 通路(つうろ)胡座(あぐら)をかいて(すわ)り込む受付嬢(うけつけじょう)(おに))。


(きみ)ら、ちょっとソコに(すわ)ってくれる?」

 いや、すでに(しり)もちついて(すわ)ってる――と言ったら(なぐ)られそうだな。


「にゃぎゃにゃー、みゃにゃにゃにゃ♪」

 なんて言ってるかわからんが、どうせ減らず(ぐち)だろ。

 やめとけ。コッチまでとばっちりをくらいそうだ。

 うるさい一号(おにぎり)(くち)を、両手(りょうてで)でふさぐ。


「クカカッ――(だれ)かと(おも)えば(おに)女子(おなご)か。(ひさ)しいな」

 平静(へいせい)をよそおい、(こえ)を掛ける。


「あー、そのしゃべり(かた)さ、普段(ふだん)してないでしょ。もう、ふつうでいーわよ」

 ごとんと木箱(きばこ)を取りだし、そのうえに(なに)やらならべだす受付鬼(オルコ)

「あー、うん。じゃぁふつうにしゃべるよ」

 こっちもあぐらをかいて、(はこ)(まえ)にすわる。

「にゃやご、みゃん♪」

 おなじく一号(おにぎり)も、(よこ)にすわった。


正直(しょうじき)、わたしは自分(じぶん)(つよ)さに――胡座(あぐら)をかいていたんだとおもう」

 なんかしゃべり(はじ)めたぞ。

 そしてたしかに、通路(みち)の真ん(なか)胡座(あぐら)をかいてるな――と(おも)ったけど、やっぱり言わないでおく。

「みゃんやぁにゃ、みゃにゃんみゃ♪」

 一号(いちごう)横腹(よこばら)をツネってやったけど、毛皮(けがわ)がよれただけで効果(こうか)はなさそう。

 しかも――()っ――ツネり(かえ)された。


   §


 (はなし)を聞いてみたら、ここしばらく空いた時間(じかん)のすべてを、魔物討伐(まものとうばつ)に当てていたらしい。

「ギルド職員(しょくいん)でも、通常(つうじょう)見回(みまわ)(ちゅう)遭遇(そうぐう)した魔物(まもの)を狩るのは、禁止(きんし)されていないからな」

 ゴッチャリッ♪

 (ふところ)からでてきた、(おお)きな革袋(かわぶくろ)


「さっき全部(ぜんぶ)換金(かんきん)してもらった。魔物(まもの)はイイぞぉー、修行(しゅぎょう)になるし(かね)にもなる――ぎらりっ!」

 (おに)のするどい視線(しせん)効果音(こうかおん)付き)が、黄緑色(きみどりいろ)強化服(ふく)射貫(いぬ)く。

 本気(ほんき)伯爵夫人(ルリーロ)退(しりぞ)けた一号(いちごう)を、本気(ほんき)(たお)すつもりらしい。


「にゃやう?」

 (にら)まれた魔物おにぎりが、じっと見つめかえす。

 やべぇ、コイツら(すこ)面白(おもしろ)い。


 ポッポォー♪

 ひのたまを入れておいた円筒(つつ)から、湯気(ゆげ)がでた。

 どうやら、お(ちゃ)が沸いたっぽい。

 すぽんと革袋(かね)をしまい、茶器(カップ)をみっつ用意(ようい)する鬼娘(オルコ)


 まあ今夜(こんや)仕事(よてい)は、(はこ)んできたガラクタ……アーティファクトを猪蟹屋二号店(ししがにやにごうてん)に置いてくるだけだから――お(ちゃ)くらい付きあってやろう。

 けど、通路(みち)の真ん(なか)ってのも――


「すぐソコの、シガミーちゃんの(いえ)間借(まが)りしてるから、そっちで――」

「んなっ、そ、それは――ひょっとして、て、天狗殿(テングどの)もご一緒(いっしょ)か!?」

「いや、天狗(テング)さまは岩場(いわば)根城(ねじろ)に住んでるよ」

「そ、そうか。(きび)しい生活(せいかつ)修行(しゅぎょう)一環(いっかん)ってことか。(おそ)れ入るわぁ~♡」

 おい、クネクネするな。お(ちゃ)がこぼれるだろうが。


 (おに)自分(じぶん)のギルドカードをチラリと見てから、「もう、こんな時間(じかん)じゃん」と(くび)を振った。

 画面(がめん)表示(ひょうじ)されている現在時刻(げんざいじこく)は、深夜二時過(しんやにじすぎ)ぎ。

 まさに丑三(うしみ)(どき)であり(いえ)訪問(ほうもん)するには、たしかに気が引ける時間(じかん)だ。


警邏(けいら)五日目(いつかめ)だけど、(よる)通路(ここ)をとおる(ひと)は、ひとりも居なかったから、邪魔(じゃま)にはならないよ」

 じゃあ――ヴッ、ぱすぽすん。

座布団(ざぶとん)どうぞ」

「あら、わるいわね」

「にゃみゃぁーご♪」

 あっ、一号(おにぎり)がすかさず座布団(ざぶとんを)をとって、自分(じぶん)(しり)に敷いた。

 オマエは石床(いしゆか)(すわ)っても、(しり)(いた)くならないだろ。

 ぽすん……仕方(しかた)ないから座布団(ざぶとん)を、もう一枚出(いちまいだ)した。


「あとこれ。今日(きょう)、レイダちゃんたちから沢山(たくさん)もらったんだ。良かったら食べてくれ」

 お茶請(ちゃう)けには、ガムラン名物温泉(めいぶつおんせん)饅頭(まんじゅう)をだす。

 紙箱(かみばこ)をあけると(なか)には、一号(くさいろ)二号(ももいろ)(ねこ)(かお)


「あら、かわいい♪」

「にゃみゃーご♪」

 どこからかだした(さら)を、突きだすおにぎり。

 おまえは食べても、どうせ収納魔法箱(しゅうのうまほうばこ)仕舞(しま)うだけだろうが。

 ふぅ……仕方(しかた)ないから、同じ色(くさいろ)のをひとつ取り分けてやる。

 (はこ)には二本(にほん)の〝(ちいさい)さい二股の箸(フォーク)〟が(はい)ってるから、それも一本(いっぽん)そえてやる。


「ずずずずずぅー、こりゃいけるわよ♪」

「ずずずずずぅー、みゃやにゃ、みゃやーにゃ♪」

 うん。できたてもうまいけど、冷えたのも(あま)かったり(桃色(ももいろ))、しょっぱかったり(草色(くさいろ))して、普通(ふつう)にうまい。


「それで、(はなし)ってのはなんだ?」

 一息(ひといき)ついたから、切りだした。

「もぐもぐもぐ……ずずずずぅー。ふはぁ、(べつ)に無いけど?」

「ないのか!? てっきり、まえのケンカの(うら)(ごと)でも聞かされるのかと(おも)ったよ」

「えー、ないない。(きみ)らを(さが)してたのはさー――」


 ――ごきり!

 ふたたび(ふく)れ上がる(うで)

「これを見てもらいたかったのよ」

 (うで)筋肉(ちからこぶ)をか?

 そんなものを見せて、どうしようって言うんだ?

 さっぱりわからんぞ?


「――どうかな? この(うで)全力(ぜんりょく)を込めたら、天狗殿(テングどの)に勝てるかしら?」

 ぼくを(さが)してたっていうのは、それが聞きたかったからか。

「……どうだろう。修験(しゅげん)(わざ)は、手足(てあし)(ちから)とは(べつ)だからなー」

 天狗(じぶん)のことだから、真面目(まじめ)にかんがえてやる。


「みゃにゃぅーにゃ♪」

 (うで)を組み、感慨(かんがい)にふけるシシガニャン一号(おにぎり)

「生まれて二週間(にしゅうかん)のオマエに、(なに)がわかるって言うんだ――ぽこん!」

 あ、ついイラッとして手が出ちまった!


「にゃんやぁー、みゃがにゃ!」

 ぶぉん――――ごごずずむん!

 飛んできた(まる)(こぶし)

 手甲(てっこう)十字にし(かさね)て、かろうじて受けきった。


「わるかった、降参降参(こうさんこうさん)――」

 両手(あげて)を上げてみせる。

「にゃみゃぁー♪」

 両手(りょうて)を上げかえす、おにぎり。


「それ、わたしもやってみていいかなっ?」

 ごきごきり、ぼきぼきりっ――♪

 鳴る(ほね)腕脚(てあし)(ながえ)れ込む――(おに)の血。


「わー、まってまって! こんなとこで(はじ)められたら、建てなおしたばかりのギルド会館(かいかん)が、また(こわ)れちゃうだろ!」


 いままさに黄緑色(おにぎり)に振りおろされようとしていた、手刀(しゅとう)がピタリと止まった。

「そ、そうだな。今度(こんど)やったら、さすがにガムラン追放(ついほう)だ」

 (かた)を落とし(ちゃ)をすすり出す、鬼娘(オルコトリア)


「(なぁ、おい)」

「(なんでしょう、シガミ())」

「(オルコトリアみたいなのにこそ、自律型強化服(おにぎり)必要(ひつよう)じゃね?)」

「(……それは一理(いちり)ありますね。最大(さいだい)脅威(きょうい)だった魔王(まおう)という生命体(せいめいたい)死滅(しめつ)した世の(なか)()――――)」


 ゴロンゴロロロゴロンゴロロロッ――

 (なん)(おと)だ?

 うす(ぐら)通路(つうろ)の向こうから、(なに)かが(ころ)がるような(おと)(ちか)づいてくる。

 (おに)の手が、立てかけてあった(けん)に伸び――


 ヴォヴォヴォッ!

 不気味(ぶきみ)(おと)正体(しょうたい)は、ニゲル専用恋愛(せんようれんあい)相談所(そうだんじょ)に居た〝(まる)(たま)〟だった。

 どっから湧きやがった!


「そのアイデアいっただきぃー! オルコトリアちゃん、この子の正体(しょおたい)わねぇー、じつわぁ契約精霊(けいやくせいれい)をつかったぁ、ゴォーレムゥなぁのでぇしたぁー()

 (まる)(たま)颯爽(さっそう)とあらわれ――――『(>_<)』

 シシガニャン一号の(へっど)に、ぶち当たった。

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