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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
2:カブキーフェスタへの道

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213/744

213:ギルド住まいの聖女(研修中)、リカルルに狐火(小)

「バックヤードの点検(てんけん)おわったけど、(すす)ひとつ付いてないよー」

 板場(いたば)を見に行った店主(ニゲル)が、もどってきた。

 燃えひろがったと言っても、〝狐火(きつねび)〟と〝狐火(きつねび)みたいなもの〟だ。

 店先(みせさき)にも変わりはない。


「コォン♪」

 ぼぉぅわっ!

 灯りの魔法(ひのたま)とも、火炎魔法(ほのおのたま)ともちがう――青白(あおじろ)(ほのお)


 ぼわーっ、ぼわわぁー!

 消えそうになりながらも、左右(さゆう)(おお)きく揺れる狐火(きつねび)

 (ぞく)に言う、人魂(ひとだま)とか鬼火(おにび)とか言われてるのと、(おな)(もの)だ。


 レイダやルコル、その他、全員(ぜんいん)がカウンター(せき)(すわ)りこんでいる。

 おー、ぱちぱちぱち♪


「うにゅにゅにゅにゅー、にゅにゅにゅにゅぅうぅうぅー!?」

 カウンターの(なか)には、必死(ひっし)(かお)(しり)を振るリカルル。

 生えたばかりの、ほっそりとした(ちい)さな尻尾(しっぽ)で、仄暗(ほのぐら)くなった(あや)しい(ほのお)(あやつ)っている。


 ぼぉぉわ――ぼわわわぁ。カウンター(じょう)(しず)かに(ただよ)う――いのちの灯火(ともしび)

 (あま)炭酸温泉水(たんさんおんせいすい)(グラス)(そそ)ぎ、トン、トン、トン、トン、トンと(なら)べていく、リオレイニア。


「まさか、こんなことになるとは――」

 なんと(ひめ)さんが、狐火(きつねび)(しょう))を使(つか)えるようになった。


「――(よメ)にモ(おモ)いませんでしタ()――」

 コトン――おれの(まえ)にリオが置いたのは……御神体(いおのはら)だ。

 大方(おおかた)ウロチョロしてて、邪魔(じゃま)だったんだろう。


「おれも、いや、わたしも〝(あま)いお(みず)〟欲しいなぁ――しゃらぁ」

 ギロリッ――!

 仮面越(かめんご)しで見えないんだけど――スゴイ目で(にら)まれた気がする。

 けど、(にら)まれても(こま)る。

 ニゲルが差し出した、『一日(いちにち)デート(けん)』を受けとったのは〝(ひめ)さん本人(ほんにん)〟であって、おれではない。

 そもそもニゲルの一世一代(いっせいちだい)勇気(ゆうき)を、反故(ほご)にする権利(けんり)なんて(だれ)にもない。


「(しっかし、一体全体(いったいぜんたい)どういう理屈(りくつ)で、(ひめ)さんまで狐火(こいつ)使(つか)えるようになったんだろーなー?」

 ふぉん♪

『>狐火の概念がない、この来世で使えるのは、

  不思議と言わざるを得ません』


 ふぉん♪

『イオノ>それは、簡単(かんたん)(はなし)じゃん』

「(どんな(はなし)じゃん?)」

 狐火(きつねび)専門家(せんもんか)で有る奥方さま(ルリーロ)に問いただしたい(ところ)だが、シシガニャン(こわ)さで雲隠(くも)れしちまったからなー。


 ふぉん♪

『イオノ>お姫ちゃんは、ルリーロちゃんの血おー、とても色濃く継いだってことよぅわっちゃちゃちゃちゃっ――熱っ!?』


 ――――ボッワァン!

 ビードロの(うつわ)――グラスを交互(こうご)に避けていた狐火(きつねび)(しょう))が、五百乃大角(いおのはら)にぶち当たって消えた!

 狐火(きつねび)(あつ)い?

 カウンターの狐火(きつねび)から、(ねつ)(かん)じなかった。

 五百乃大角(いおのはら)(なか)のやましい(こころ)が、浄化(じょうか)されて(あつ)(かん)じたんじゃなかろうか。


「ああ、消えちゃった!」

 ごくごく、もぐもぐ、あまい、おいしい♪

「おしかったコォン♪」

 ぱくぱくぱく、もぎゅもぎゅ、ごくごくん――ぷはぁ♪

「もうちょっとで一周(いっしゅう)できたニャ」

 コッチの、もぐもぐもぐ、しょっぱいのは、ごくごくん――大人(おとな)(あじ)ニャ♪

 饅頭(まんじゅう)(あま)(みず)の取り合わせは、(あま)すぎるんじゃないかと(おも)ったけど、好評(こうひょう)だった。


「はい、お腹壊(なかこわ)さないでね。あさってはオルコトリアとの試合(しあい)もあるんだろう?」

 ごとん――そういって店主(ニゲル)が出したのは。

 大皿(おおざら)に盛られた――饅頭(まんじゅう)をつくる工程(こうてい)で出た(はし)っぱ。

 その山積(やまづ)みの生地(きじ)(あん)にならない品質(ひんしつ)煮豆(にまめ)

 それらを(ちい)さなスプーンで、一口(ひとくち)ずつ(くち)にしまい込む一号(おにぎり)

 「こら、山分(やまわ)けだからね」と、たかる御神体(いおのはら)


血筋(ちすじ)なぁ……戦闘狂(いくさぐるい)性格(せいかく)は、たしかに母娘(おやこ)そっくりだ」

「なにかおっしゃいまして、シガミーちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん?」

 目が(わら)ってない。


「な、なんでもないでごぜぇますわぜ? ――しゃらぁ」

 ()本生(もとう)まれの自覚(じかく)……その有る無しで狐火(きつねび)が出る。

 不思議(ふしぎ)ではあるけど、そういうことか。

 真言(じんごん)土台(どだい)は、前世(ぜんせ)(ことわり)だ。


「でも、そうなると(わたくし)にも、ニゲルやシガミーとおなじヒ-ノモトー(こく)の血が(なが)れているということに、なるわけですのよねぇー?」

 (なに)かを、かんがえこむ伯爵令嬢(リカルル)


(めっ)せよっ? ――なんちゃって♪」

 一瞬(いっしゅん)呼吸(こきゅう)が止まった。


「お、おどかさないでくれ……わよ、ふぅーっ」

 ()(もと)血筋(ちすじ)半分(はんぶん)でも有る(・・)ってことは――

 真言(マントラ)使(つか)えるってことだ。


 けど実際(じっさい)使(つか)うとなれば――

 最低(さいてい)でも、十年(じゅうねん)からの修行(ぎょう)必要(ひつよう)になる。

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