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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
2:カブキーフェスタへの道

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212/744

212:ギルド住まいの聖女(研修中)、天火と狐火

 ぼごぉぉぉぉぉぉわわわわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――――――――!

 (ふく)れあがる(ほのお)が、店裏(みせうら)饅頭工房(まんじゅうこうぼう)(なが)れこむ。


 ごぉわごぉぅわぁ、ぱちぱちぱち――――燃えひろがる(おと)が聞こえてくる。


 開いた(ドア)の向こうに、積み(かさ)なっていく饅頭(まんじゅう)紙箱(かみばこ)

 (おく)(ひと)は居ない。饅頭(まんじゅう)をつくるために、超女神像(ちょうめがみぞう)無人工房(むじんこうぼう)をうごかしてるのだ。


「「「「「っきゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ――――――――――――!?」」」」」

 とつぜんの大火(たいか)に、あわてる全員(ぜんいん)


 ヴォォン――『<MAGIC・SHIELD>』。

 リオレイニアが――さっき使(つか)ったお盆(たて)を、また出した。


 ヴァチヴァチヴァチヴァチィ――――――――ッ!

 (ほのお)(ふせい)いだリオレイニアが――(くび)をかしげた。


「この(ほのお)……(あつ)くありませんわ」


「ま――さかっ、お(かあ)さまの〝つめたい(ほのお)高等魔(こうとうま)――(じゅつ)〟!?」

 リカルルの見る先々(さきざき)が、つぎつぎと燃えていく。


 どうやら狐火(きつねび)らしいんだが、ソレにしちゃ――

 (いろ)仄暗(ほのぐら)くねぇし、空中(ちゅう)にとどまらずに――ぼごぅぼごごぅわわぁぁっ!

 (ひめ)さんの見た(さき)へ、まっすぐ飛んでいく。


「あ――あぁぁぁ――ぁ……あ――ぁぁあぁぁああ――ぁ!?」

 ぼっごおごぉわっ――――とうとう目から(じか)に、飛びだす(ほのお)


「リカルルッ――!」

「お(じょう)さまっ――!」

 (さけ)ぶニゲルとリオ。

 燃えひろがる(ほのお)から、みんなを(まも)っているから、リオレイニアは(うご)けない。

 この狐火(きつねび)(あつ)くはないが、見た目は燃えさかる(ほのお)にしか見えない。

 背後(はいご)には子供(レイダ)も居る。(たて)をおろすのには勇気(ゆうき)が要る。


 幾重(いくえ)もの(ほのお)につつまれた姫さん(リカルル)が、ひざをついた。

「――――っ!」

 果敢(かかん)にも、狐火(きつねび)に駆けよる勇者(ゆうしゃ)ニゲル!

 コッチはあまりの見た目に、呆然(ぼうぜん)として出おくれた。

 (かか)えられたリカルルの狐耳(みみ)が、(おお)きく(うご)く。


 ニゲルが(コップ)温泉水(みず)(ぬの)(ふく)ませ――(ひめ)さんの目に当てる。

 燃える()を消そうと、(おも)ったのだろう。

 が、飛びだす(ほのお)は――濡らした(ぬの)だけでなく、青年(ニゲル)の手まで(とお)りぬけてしまう。


「――ルリーロの(はっ)する狐火(きつねび)(おな)粒子(もの)ですが、長波長(ちょうはちょう)のため通常(つうじょう)(ほのお)との区別(くべつ)が付きマせ()――」

「((あつ)くねぇ(ほのお)……ありゃぁ〝天火(てんか)〟かもしれねぇ)」


 ふぉん♪

『イオノ>なによ、テンカって?』

 ふぉん♪

『>該当は一件。古来より日本で観測された怪奇現象です。

 ヒント>天火/災いを呼ぶ燃えない炎』


「お(じょう)さま――――――――!!!」

 リオの悲痛(ひつう)(さけ)び。

 やべえ、大事(おおごと)になっちまった。


 ふぉん♪

『イオノ>引き金になったのは間違いなく、

     シガミーの一言よね』


「(面目(めんぼく)ねぇ、奥方様(おくがたさま)妖狐(ようこ)だし、狐火(きつねび)(こと)なんかは(ひめ)さんも知ってたからつい――)」

 (おのお)につつまれる饅頭製造販売所(ししがにやにごうてん)


 ゥ゛ォゥ゛ゥ゛ォゥ゛ォッゥ゛ォォォォォォォォォン――――♪

 んぁ!? なんだっ!? 背後(せなか)からせまる――うなるような(おと)

 いや、聞きおぼえがある。

 こいつは魔法杖(まほうつえ)の、(おおお)きなうなりだ。


 振り向けば、(あん)(じょう)――居た。

 山菜(ぜんまい)三本束(さんぼんたば)ねたような(かたち)の、巨大(きょだい)魔法杖(まほうつえ)

 浮いたソレが――一瞬(いっしゅん)で目の(まえ)止まった(ヴォウォォン)


「はぁぁーい、よ・ん・だぁ?」

 (うわさ)をすれば(なん)とやら。

 呼んではないけど――この状況(じょうきょう)では……(わた)りに(ふね)だ。


「(わるい、奥方様(おくがたさま)()(もと)うまれだってのを言っちまったら、(ひめ)さんが――――!)」

「(あー、だいじょうぶ、だいじょぉぶーよ♪)」

 奥方様(ルリーロ)は、こう見えて前世(ぜんせ)じゃ稲荷(いなり)五穀豊穣(ごこくほうじょう)(かみ)眷属(けんぞく)だった。

 だからこうして、五百乃大角(いおのはら)眷属(けんぞく)でもないのに、おれたちの念話(ねんわ)に割り込んだりもできる。まえにも一回(いっかい)やられた。


 ヴォヴォヴォォォォンッ――――くるりん♪

 回転(かいてん)する魔法杖(つえ)

 奥方様(ルリーロ)背中(せなか)がみえた。

 フサフサの尻尾(しっぽ)が揺らめき――


「コォON(おぉん)!」

 ぎちり――――――――シュッボゥ!

 やい、真言(マントラ)をとなえてどーする!


 ごぉぉぉぉぉぉぉっぉぉわわわわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――――――――――――!!!

 爆発(ばくはつ)する(ほのお)


 リカルルとニゲルが、仄暗(ほのぐら)狐火(ほのお)につつまれた!

 あたり一面(いちめえん)が、青白(あおじろ)く塗りつぶされる。

 それでも陽光(ようこう)のようなきらめきは、脈動(みゃくどう)をつよくしていく。

 

 ふわっさぁぁ――――伯爵夫人(ルリーロ)尻尾(しり)を、(おお)きく振ると――火炎(かえん)狐火(きつねび)一カ所(いっかしょ)(あつ)まった。


「くすくす、クツクツクツッ――とっても綺麗(きれい)(いろ)ぉ♪ よしよし素敵に育ってくれた(・・・・・・・・・)みたいで、(はは)わぁうーれーしーいーわぁ♪」

 ふっしゅるるるるりゅっ――――すべての(ほのお)がかき消え……たかわりに、すさまじく(つよ)光点(ひかりのたま)がのこった。


 ギラァァン――――!


「「「「「まぶしっ!」」」」――はっくちゅ♪」

 (だれ)か、くしゃみしてる。

「ひとまずコレぇー、リカルルちゃぁんに(わた)し――――」


 親指(おやゆび)(はじ)かれた、ちいさな――指輪(ゆびわ)

 朱色地(しゅいろじ)金色(きん)の、縁取(ふちどり)りと文様(もんよう)

 それを――つかんだのは。


「――ぱしっ!」

 勇者(ゆうしゃ)ニゲルだった。

 一瞬(いっしゅん)で5シガミーほどの間合(まあ)いを詰めた(かれ)が、ふたたび一瞬(いっしゅんで)でリカルルの(もと)にもどる。

 普段(しんそく)はまったく使(つか)わない、神速のアレだ。


 ふぉん♪

『>〝勇者の歩み〟スキルです』

 あー、そんな名前(なまえ)だった。


「リカルル――!」

 手にした指輪(ゆびわ)を、リカルルの指にはめる。


 すると――――ぼわぁん♪

 爆発(ばくはつ)するふたり。

 白煙(はくえん)が晴れると――ぴょこん!

 (ひめ)さんに、ちいさな尻尾(しっぽ)が生えた。


 ギラギラギ――ラァ――――ヴォォォオォォォォォォッ!

 ギラついていた(ひかり)が、(つき)(ひかり)に変わり――さらに青く(・・)なっていく。

 やがてそれは、(ちい)さな狐火(きつねび)になり――


「にゃぁぁん♪」

「にゃにゃぁーん♪」

 (ひかり)にまぎれていた一号(おにぎり)と、リカルルたちを(たす)けるつもりだったのか、二号(ジンライ)(なら)んで立っていた。


「ぎゃっ、(まも)(がみ)!? しかも二匹(にひき)も出たぁ――――――――!!!」

 ヴォヴォヴォヴォォォォォンッ――――♪

 一瞬(いっしゅん)階段口(かいだんぐち)から(うえ)へ、逃げていったルリーロ。


 よっぽと、シシガニャンが(おそ)ろしいとみえる。

 完膚無(かんぷな)きまでにコテンパンに、のされてたから無理(むり)もないけど――

 (のこ)されたのは、手を(にぎ)りあう若者達(ふたり)とおれたち。


「――こほん!」

 リオレイニアが咳払(せきばら)いをするまで、勇者(ゆうしゃ)(ひめ)さんは見つめ合ってた。

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