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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
2:カブキーフェスタへの道

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209/744

209:ギルド住まいの聖女(研修中)、ガムラン饅頭製造販売所

「ぼ、(ぼく)饅頭屋(まんじゅうや)店主(てんしゅ)!?」

 おどろく青年(ニゲル)

正式(せいしき)にわぁ、猪蟹屋(ししがにや)二号店(にごうてん)になりますわ――しゃらぁしゃらぁ」

 ここは、ガムラン(ちょう)ギルド支部会館(しぶかいかん)B5F(ちかごかい)


「シガミー、かわいいぃぃぃぃぃいっ――♪」

 うるせえ、レイダはうるせえ。

「はい、とってもお似合(にあい)いです、うふふ♪」

 リオもうるさいよ?

 いまおれの格好(かっこう)は、いつもの食堂(しょくどう)簡素(かんそ)給仕服(きゅうじふく)じゃなくて。


併設(へいせつ)される、(われ)のアーティファクト仲介所(ちゅうかいじょ)管理(かんり)も、おまかせしたいコォォン♪」

 がさり。

 狐耳(きつねみみ)少年(しょうねん)上等(じょうとう)(ふく)(うち)ポケットから、一枚(いちまい)絵草紙(チラシ)をとりだした。


『テナント募集

 冒険者ギルドガムラン町支部屋舎内

 3F~7F、B3~B5まで

 (各フロア10店舗程度の空きがあります)

 お問い合わせは、

 冒険者ギルド支部受付まで』


「〝10店舗程度(てんぽていど)の空き〟って言うかニャ、ただの大部屋(おおべや)ニャーン?」

 猫耳族(ねこみみぞく)(わか)女性(じょせい)が、狐耳(きつねみみ)少年(しょうねん)手元(チラシ)(あたま)を突っこんでる。


「このフロアは借り手の問い合わせがまったくなくて、区画分(くかくわ)けや内装(ないそう)まで全部(ぜんぶ)あとまわしにしてたからですわ――しゃらぁしゃらぁ」

 手をひろげ、背後(はいご)のだだっ(ぴろ)隙間(すきま)を指ししめすのは――本格的(ほんかくてき)(つく)りの給仕服(きゅうじふく)

 つまり、(わたくし)ですわ……うふふ?


「なぁにその――しゃらぁしゃらぁ――って?」

 子供(レイダ)率直(そっちょく)な、ご意見(いけん)を述べる。


「へへっ、〝しゃらぁしゃらぁ〟は、しゃらあしゃらだぜ! 女子供(おんなこども)みてぇだが、(いた)(かた)ねぇやな、おれぁ、女子供(おんなこども)だからなっ!」

 がに(また)(こし)を落とし、啖呵(たんか)を切ってみせた。

 真っ(しろ)前掛け(エプロン)に付けられた、〝研修中(みならい)〟の(ふだ)が揺れる。


「こぉら! シガミーちゃぁん、給仕服(きゅうじふく)に身を(つつ)んでいる(あいだ)は、侍女(じじょ)になりきるってお約束(やくそく)

でしょう?」

 (かみ)でできた大箱(おおはこ)(かか)えた少女(タター)が、来るなり小言(こごと)を言う。


「はぁぁい。ごめんなさぁぁい、うふうふ、えへへぇ――しゃらぁしゃらぁ」

 (からだ)をくねらせ、愛想笑(あいそわら)いをうかべてやる。


「それじゃあ、シガミー! この(はこ)中身(・・)(あたま)に付けたら、プレオープンするわぁよぉぉう()

 いま御神体(こいつ)は、出してやったテーブルの上にいる。

 (れい)強制的(きょうせいてき)に、収納魔法(しゅうのうまほう)(とら)えておく仕組(しく)みは――ガムラン(ちょう)転移し(もどっ)てきたときに、切れちまった。


 まあ、うまいものか面白(おもしろ)い出し(もの)がありゃぁ、おびき出せるから――それでやり繰りするしか有るまい。


 御神体(ごしんたい)がテーブル(じょう)に置かれた(はこ)へ、飛び乗る。

 ふたを開け、ガサゴソと取りだしたのは――なんだ?

 おにぎり(おにぎり)みたいなのがくっ付いた――手投(てな)武器(ぶき)か?


「スチャッ――コレわぁ、ネコミミでぇーす()

 御神体(ごしんたい)(あたま)に乗せたのは――たしかに猫耳族(ねこみみぞく)のニャミカそっくりの〝(みみ)〟だった。


「チゃんと人数分(にんズうぶん)、有りま()


   §


「ここですの? シガミーがあたらしく(つくった)った〝お菓子(かし)が食べられるお(みせ)〟というのは?」

 立てたばかりのドアを、蹴破(けやぶ)らんばかりに開けて(はい)ってくるガムラン町代表(ちょうだいひょう)


「おかえりなさいませ、リカルルさまニャン♪」

 (みず)の入った透明な(ビードロの)(さかずき)を、客一号(ひめさん)にだしてやる。

 冷えた温泉(おんせん)がシュワシュワと(はじ)けている。

 (あま)大根(だいこん)から取った砂糖(ざらめ)が溶かしてあるから、コレだけでも売り(もの)になるけど、一杯目(いっぱいめ)はタダで出すことにした。


「さまは要りませんよ、シガミー――がふたり!?」

 見よう見まねで(ぼん)甘い水(サイダー)をのせて来た一号(おにぎり)と、目の(まえ)少女(おれ)を見くらべてる。


「じつわっねぇー、修行(しゅぎょう)(はや)く終わったからぁ、実戦投入(じっせんとうにゅう)してみたのよっねぇー♪」

 おれ、いや(わたし)(かた)から、(ちい)さな二人掛(ふたりが)けのテーブルに、降りたつ御神体(いおのはら)


実戦投入(じっせんとうにゅう)? 一体(いったい)どういうコトですか、イオノファラー(さま)――あとシガミー……どっちのシガミーも、すっごくかわいいわよ♪」


「に゛ゃーや、みゅぅー?」

 しきりに(はら)を撫でられ、困惑(こんわく)した一号(おにぎり)が――伯爵令嬢(リカルル)(あたま)を撫で返す。


   §


「シシガニャンは精霊(せいれい)を詰めたゴーレムで、シガミーたちに着てもらうことで(・・・・・・・・)、〝(ひと)の振る舞い〟を(おぼ)えてもらったのよぉーん♪」

 (はなし)がさっぱりわからんが――迅雷(ジンライ)

 あれ? アイツどこ行った?


「ゴーレムッ――――!? いま(だれ)か、ゴーレムって言った!?」

 とおくで、(こし)聖剣(ヴォルト)安物(やすもの))に手を掛ける、二号店店主(ニゲルせいねん)


(ひと)の振る舞い? では(れい)の〝(なぐ)ると(なぐ)り返す〟のは、しないようになったのですか?」

 お品書(しなが)きを持ってきた侍女(メイド)達人(たつじん)――の(あたま)にも猫の耳(ネコミミ)が乗せられている。


「レーニアーッ――――っきゃぁぁぁぁぁっ♡」

 (ほほ)を染め、(さけ)客一号(リカルル)

 まあ、わからんでもない。 

 いつもの姿(すがた)に、猫の耳(ネコミミ)が付いただけだが。

 そのはずなのだが。

 なんかこう、とてもとてもかわいらしく(おも)えるのだ。


殴り癖(それ)護身(ごしん)のために(のこ)してあるから、あんまり(ゆよ)(たた)いたり蹴ったりしたらダメよぉん――(いのち)(かか)わるから、ソレだけは本当(ほんとう)にぃー気ぃおーつけてー

ちょうだぁぁ()

 一号(おにぎり)には『餌を与えないでください。 強く押したり叩いたり、 魔法や呪いを掛けないでください。 ※1・3倍のチカラでやり返されます。 ~カブキ-フェスタ事務局~』の(ふだ)(くび)から提げられてる。

 あの(いた)、見つかったのか。


「というわけで、この一号(いちごう)ちゃんには神々(かみがみ)御業(みわざ)……女神像(めがみぞう)と似たようなアーティファクトが詰まってるから、(なか)を開けたりしないようにしてくださぁぁぁいねぇぇ()

 ぽきゅぽきゅぽきゅん♪

 (おく)から二号(にごう)がでてきた。


「(どうなってる!? おにぎり(SDK)一個(いっこ)しかないはずだろ?)」

 ヴッ――ん?

 給仕服(メイドふく)小物入れ(ポケット)(ふる)えた。 

 取りだすと、ソレはいつもの耳栓(みみせん)

 その片側(ひとつ)だけの(ちい)さいヤツを――(みみ)に差しこむ。


「――(わタし)でス、シガミ()――」

 迅雷(ジンライ)か! 見ないと(おも)ったら。


「――裏天狗(うレてんぐ)(おナ)要領(ようりょウ)デ、(あやツ)っていま()――」

「あ、カラテェーみゃ!」

「どこ行ってたコォン?」

 喫茶店組(きっさてんぐみ)に、まとわり付かれてる。


(れい)真似(まね)ることで()修行(しゅぎょう)というのは、ひょっとして――」


「そうですわ、リカルル。じつわ修行(しゅぎょう)してたのわ、このシシガニャン一号(いちごう)(ほう)だったのですわ――しゃらぁしゃらぁ」

 これで、シシガニャンまわりのいろんなややこしいのが、なくなってくれると助かるけど。


「そういうことなんだですわの。五百乃大角(いおのはら)命令(めいれい)とは言え、みんなを(だま)しててすまなか……大変申(たいへんもう)(わけ)ありませんでしたわ」

 (こし)を落とし、侍女(メイド)啖呵(たんか)を切る。

 (たばか)っていたのは事実(じじつ)だし、せめて正式(せいしき)作法(さほう)(あやま)っておく。


「ゴーレムって知られると、どうしても自然(しぜん)(ひと)(うご)きを真似(まね)できないから、(うそ)をつかせていただいたの。みんなぁ、ご☆め☆ん☆ねぇ――きゃっるぅーん♪」

 おいお(まえ)さま、(あやま)(かた)


「ふう、(べつ)(おこ)理由(りゆう)もないですわ。その一号(いちごう)ちゃんは――ギルド再建(さいけん)多大(ただい)貢献(こうけん)をしていただきましたし。はい、この(はなし)(わたくし)の名において不問(ふもん)といたしますわ」


「お(ゆる)しも出たことだしぃー、引きつづき二号(にごう)にはシガミーかカラテェーが時々入(ときどきはい)ってるから、そっちはいくら(なぐ)っても蹴ってもOK(オッケー)よん♪」

 良くねえよ。

 いつまでも(はなし)(すす)まねえから、二号(ジンライ)が持ってきた(ちい)さな紙箱(かみばこ)を、(ひめ)さんの(まえ)においた。


「あけてみてくれ……くださいませ――しゃらぁ」

 言われるままに、(はこ)を開けるリカルル。

「なっ、なななっ――――なー!」

 動揺(どうよう)しているな。

 そうだろう、そうだろーう。

 (はこ)中身(なかみ)は――二匹(にひき)のシシガニャンの〝(かお)〟だ。


 出来(でき)たばかりの饅頭(まんじゅう)

 若草色(わかくさいろ)薄桜色(さくらいろ)

 その(かたち)を、すこしだけ変えた。

 給仕(メイド)とテーブルと椅子(いす)の背もたれと(まど)とお(ぼん)饅頭(まんじゅう)

 そのすべてに――〝ネコミミ〟を付けた。


 それは意外(いがい)なことに、ニゲルが(かんが)えた。

 それもあっての、饅頭屋店主(まんじゅうやてんしゅ)のお(たっ)しだ。


「おかえりなさいませ、リカルルお嬢様(じょうさま)……にゃん♪」

 もちろん、店主(ニゲル)にも――ネコミミが付いた。

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