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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
2:カブキーフェスタへの道

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206/744

206:神域探訪、大根と大豆と

「オヴォボヴォヴォゴゴボボボゲゲゲゲボヴォヴォヴォガビャビャビャ――――!!!」

 まさかの、大根(だいこん)……マンドラゴーラの群れに遭遇(そうぐう)した。

 木の(うえ)からの奇襲(きしゅう)成功(せいこう)したが、収穫(しゅうかく)はたったの二匹(にひき)


「そっち行ったぞ!」

 地面(じめん)に引っ込まなかった(たつ)らを、追ったはいいが――

 こう()()んだ(もり)(なか)じゃ、(つか)まるもんも(つか)まらねぇ。


「きゃぁぁぁぁっ――みずのたマギョボギョヴォゴゴゴボボボギョリャピボルボッギャニティゲヒシビッ!!!」

 魔法(まほう)(はな)とうとしたタターの喉奥(くち)から、あの気持(きも)ちの(わる)絶叫(ぜっきょう)がほとばしる!

 ――ぱたり。


 ちっ、やべぇ、白目(しろめ)むいちまってる。

 二匹(にひき)大根(マンドラゴーラ)から真正面(ましょうめん)(とら)えられると、(はな)たれた呪言(じゅごん)自分(じぶん)(くち)から飛びだしてくる。

 アレは女子供(おんなこども)にはキツイ。

 おれでさえ、あまりの衝撃(しょうげき)胆力(たんりき)のすべてを(うば)われたほどだ。

 おれは子供(こども)(おんな)だが、生前(まえ)約四十年(やくよんじゅうねん)

 戦国(せんごく)の世を生抜(いきぬ)いた、破戒僧猪蟹(はかいそうししがに)としての人生(きおく)がある。


 しかたねぇ――トン――ゴン!

 大木(たいぼく)の根を蹴りあがり――ぱしりと(えだ)をつかんで――

 (いきお)いのついた(からだ)を――ガサガササァ――止め――!?


 ゴォォォォォォォォォォォォォッ――――!!!

「(シガミーッ、100メートル直下(ちょっか)滝壺(たきつぼ)発見(はっけん)())」

 なんだと、あぶねぇな!

 なんで、わからなかった!?


「(神域(しんいき)女神像(めがみぞう)は、まだ地図(ちず)白紙(はくし)です。それと指向性(しこうせい)(たか)音波(おんぱ)により、周囲(しゅうい)索敵(さくてき)阻害(そがい)されたためで())」


「おぼう゛ぉぉぉぉぇ――――!」

「ぎゃびゃぶぎゃぉぉ――――!」

「――――!」「――!」

 次々(つぎつぎ)と飛びこんでいく、紫色の大根(マンドラゴーラ)

 タターが(たお)れてくれてなけりゃ、おれまで滝壺(たきつぼ)に飛びこんでた(ところ)だ。


「ん?」

 わしっ、わささっ、しゅるるる、わささささっ、しゅりゅるりゅ――――ぶらぁぁぁん。

 大根(だいこん)どもは手、いや葉を(から)め――ぶら下がった!

 なんだと、あのまま落ちてたら、おっ死んでたのは、おれだけだったのか!


「(なかなかに高度(こうど)な――ひょっとしたら、追い込んでいたのはコチラではな()――――)」

 まさか、滝壺(たきつぼ)に飛びこんだのは――狩りの手口(・・・・・)だったってぇのか!?


 ぶちぶちぶち、ばきっ――――ばらら、ばららっ――オボオビョ――ギュリュリャ――バヴァビャババッ――――――――!!!

 (おも)さと(いきお)いに耐えられなかった、高級お野菜(マンドラゴーラ)どもが――バラバラと落ちていく。


「(練達(れんだつ)集団行動(しゅうだんこうどう)を見せましたが……葉や地下茎の強度までには考えが至らなかったようでんす《・》)」

 かなりの(たかさ)さだから追いかけられないけど、もし下流(した)(まわ)りこめる(みち)でもあったら、半欠(はんか)けでも良いから回収(かいしゅう)しようぜ。


「(そうですね。食堂(しょくどう)女将(おかみ)への良いお土産(みやげ)になります……イオノファラーに発見(はっけん)されなければです())」

 そうだな。持ちこんだ食材(しょくざい)を、全部(ぜんぶ)くうからなアイツは。

 いまは取りこんでるらしくて、『ニゲル専用恋愛相談所』とかいう(ふぉるだ)の中に閉じこもってくれてるから、コッチのことは筒抜(つつぬ)けにはなってねぇみてぇで(たす)かる。

 ずっと居たら居たで、めんどうだな五百乃大角(いおのはら)わぁ。


 しかし、なんで大根(だいこん)どもはあんなに沢山(たくさん)、まとめて()わってやがった?

「(おそらく神域(ここ)では、イオノファラーが(ほっ)する食材(しょくざい)が、優先(ゆうせん)して発生(はっせい)するようで())」


「(じゃあ、大根取(だいこんと)放題(ほうだい)ってわけかっ♪)」

 (つか)まえるのは(ほね)だが、ガムラン(ちょう)のまわりには、まるで居なくなっちまったからな。

「(また日を(あらた)めて、優先的(ゆうせんてき)に狩りに来ましょ())」

 異論(もんく)はないが、そこまで(あわ)てなくてもいいぞ。


「(いいえ、生息分布(せいそくぶんぷ)広範囲(こうはんい)にわたる場合(ばあい)には、生態系(せいたいけい)構築(こうちく)される過程(かてい)外敵(がいてきに)(ねら)われやすくなりま())」

 わからん?

「(絶滅(ぜつめつ)――大型(おおがた)草食動物(そうしょくどうぶつ)などの天敵(てんてき)に、刈り尽くされるおそれがありま())」

 かーっ!

 中々(なかなか)うまくわぁ、いかないもんだな。


「まあいいや、コイツはとっておきのとっておきだ」

 収納魔法(しゅうのうまほう)(なか)大根(マンドラーゴーラ)二匹(にひき)


五百乃大角いおのはらに見つからない場所(ばしょ)に、仕舞(しま)っておけるか?」

残念(ざんネん)ながラ、見つからナい場所(フォルダ)はありませ()

 だめか。


「イえ、一カ所(いっかシょ)ダけイオノファラーの視線(しせン)かラ(ノが)れらレる場所(ばしょ)がアりま()

 どこだ?

強化服一号(きょうかふくイちごう)(ふク)(ナか)でス。あソこならイオノファラーでモ開けてみることハないと(オも)われマ()


「そうだな、五百乃大角(いおのはら)一号(おにぎり)のことは、面白(おもしろ)がってたからな。あとでちゃんと取りだせるのか?」

「はイ(たダ)し、大暴(おおあバ)れスる一号(いちゴう)ノうゴきが、内部(ないブ)にあたエる影響(えいきょウ)予測(そよク)できマせ()

 おれは二号(ふく)(なか)でうごき(まわ)っても、ピンピンしてるじゃねーか。


「そレはシガミーの(かラだ)に合ワせて、隙間(すきマ)自動的(じどうテき)に埋めているかラです。マンドラゴーラが、ふた株だけ(・・・・・)デは、どうしテも隙間が出来まス(・・・・・・・)

 まあすこしくらい折れたりしても、いいそ。どうせドラゴーラ焼きにするなら、すり下ろしちまうわけだし。

「そうイうことでしたら、一号(いチごう)接近次第(せっきンしだい)収納魔法(しゅうのウまほう)箱経由(ばこケいゆ)デ、服内(ふくナい)(おク)っておキま()


   §


「よしじゃぁ、おにぎりが居る(ほう)に、もうすこしだけ(すす)むぞ……よ」

「お野菜(やさい)って言ってたけど、ぜぇーはぁー、ガムラン(ちょう)で取れるのじゃ、ふぅぅぅぅっ、ダメなんですか?」

 復活(ふっかつ)したタターが、貸してやった錫杖(しゃくじょう)に寄りかかり――よろよろと付いてくる。

 言葉(ことば)づかいを注意(ちゅうい)する気力(きりょく)までは、まだ回復(かいふく)してない。


(ニが)みヤ(かラ)みノない葉野菜(はヤさい)があレば十分(じゅうブん)でスが、ほかに不足(ふソく)してイる(もノ)がアりま()

「それはなんですわぜ?」

「シ、シガミーちゃん、はぁはぁ……さ、最後(さいご)の〝ぜ〟は要りま……せんよ」


「おう、わかった――それはなんでごぜえますわ?」

「ご、ございますか――さん、はい……♪」

 だいぶ調子(ちょうし)(よか)ったみたいで、よかった。

「それはなんで、ございますか――っていうか、(べつ)に〝ニゲル語〟でも良いんじゃないのかい?」

 ニゲル語なら、いくらか(はな)せる。


「ダメです。カラテェー(くん)と似たような(もの)じゃないですか。シガミーちゃんは面白(おもしろ)おかしく(たの)しく冒険者兼(ぼうけんしゃけん)猪蟹屋店主(ししがにやてんしゅ)(けん)女神(めがみ)使(つか)わされた聖女様(せいじょさま)をやっていくつもりなのでしょう?」


「おう、いや……ハイでござるわよ」

「はぁ、もーじゃあ(あいだ)を取って――レイゲル語(・・・・・)でいきましょう」


「なんだその、レイゲル語(・・・・・)っていうのわぁ?」

基本的(きほんてき)には、ニゲル(くん)丁寧(ていねい)なしゃべり(かた)真似(まね)しつつ、(おんな)の子らしさ――レイダちゃんの(はなし)(かた)をまぜてみるのよ」


「レイダの(はな)(かた)ぁ?」

 そりゃ、どんなだったか。

 枝葉(えだは)(はら)ってた包丁(ほうちょう)仕舞(しま)い、ほんのすこし(ひら)けた平地(とこ)でタターを待つ。


 (おく)れてたどり着いた給仕服(めいど)

 (つえ)のように使(つか)われる錫杖(しゃくじょう)

 アレは本来(ほんらい)ああして(・・・・)使(っつか)うもんだったなあ。


 さて、じゃあ少し似せてみるか……。

「シガミー、お尻がつっかえたのー、たすけてー」

 (からだ)をくねらせて、(いま)源泉(げんせん)と化した通路(つうろ)での一幕(ひとまく)披露(ひろう)する。


「……(こえ)真似(まね)する必要(ひつよう)はないわよ?」

「じゃあ――お(しり)がつっかえたのだわ、たすけてでごわす――こんな(かん)じか?」

「はぁ、どうしても、なにか足したいみたいね」

 錫杖(しゃくじょう)(たお)し、地に突っぷす少女(タター)


「シガミー、そノ木の(うラ)に生えてイる(まメ)ヲ、すコし採取(さイしゅ)してくダさい」

 木の(うら)だぁ――?

「お? 枝豆(えだまめ)じゃねーか。これなら茹でるだけでも食えそうだ」


「あら緑色(みどりいろ)の……(まめ)? (へん)(かたち)ね」

 メイドさんが、よろよろと寄ってきた。

()(もと)に生えてたヤツと(おな)じなら、(しお)ゆでにするだけで、(さけ)のつまみになる」

「お(さけ)成人(せいじん)の儀を、済ませてからですよ?」


「わかってる、わかってる♪」

 この(まめ)で、(なに)出来(でき)る?

五百乃大角(いおのはら)の、なんたら(なべ)使(つか)えるのか?」


「はイ、(数種類(しゅうしゅるイ)ノスキルを収得(しゅうとク)シ、調理工程(ちょうりこウてい)簡略化(かンりゃくか)すれ()味噌(みソ)豆腐(とうフ)確保(かクほ)できマす」

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