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191:龍脈の棟梁(シガミー)、逃げるシガミー(強化服一号)

どっちだっ(にゃやぅー)!?」

 廊下(ろうか)に飛び出すも、(かげ)すら見えない。

「――南南東(なんナんとう)()方角(ほうがク)()――」

 よし、(かた)石床(ゆか)を、割らない程度(ていど)加減(かげん)して――トトォォン!

 (かど)一瞬(いっしゅん)到達(とうたつ)――ぽっきゅむ♪

 正面(しょうめん)(かべ)(こわ)さないよう、細心(さいしん)注意(ちゅうい)をはらい止まる。


居たっ(みゃぁご)!」

 黄緑色(きみどりいろ)が見えた。大階段(だいかいだん)に向かってる。

「みゃぁご!」

 返事(へんじ)をしたからコッチの(こえ)は、聞こえてるみたいだけど――


止まれ(みゃうあ)止まれ(みゃうあ)――!」

 ピタリと立ち止まり、振りかえる――〝極所作業用汎(シシガニャン)用強化服(いちごう)〟。

「みゃうあ、みゃうあ――♪」

 ぽきゅぴょぉーんと面白(おもしろ)(おと)を立てて、階段(かいだん)へ飛びこむ酢蛸(SDK)……おにぎり野郎(やろう)


「(あの(いきおい)いで、(ひと)にぶつかったら――大惨事(だいさんじ)だ)」

 (いそ)いで(つか)まえねぇと!


「――それわぁー、大丈夫(だぁいじょうぶ)よぉーん♪ 一号(いちごう)演算単位(えんざんたんい)はすでに〝1〟(ちか)くなってるからぁ、どういう行動(こうどう)をするときでもぉー、ガムラン町住人並(ちょうじゅうにんなら)びに来訪客(ビジター)安全(あんぜん)最優先(さいゆうせん)確保(かくほ)するはずだわよぉん()――」

 まだ、画面(がめん)(なか)に居てくれたか。

 こういうときは、居てくれると心強い……(しゃく)だが。

 そして、わからん。〝1〟てなぁ、なんだろ?

 二号(ぼく)は〝2〟なのか?


 一号(いちごう)を追って、大階段(だいかいだん)の真ん(なか)へ――ぽきゅむっ♪

 吹き抜けになった、縦穴(たてあな)へ飛びこんだ!

 ひゅるるるるるるうっるるるるぅ――――!


「――シガミー、(わたシ)(ひト)(がイ)すルと(おモ)いまスか()――」

 それは、ないだろ。

「――一号(いちゴう)にハ、簡易的(かんイてき)でスが(わたシ)(おナ)行動(ビヘイビア・)原則(プリンシパル)……頓知(とンち)込めらレて(・・・・・)いまスので、安心(あンしん)してくダさ()――」

 そうか。サッパリわからんが、それなら安心(あんしん)……じゃねぇよ。


「(一号(あいつ)は、生まれて真っ(さき)に――鬼娘(オルコトリア)妖怪狐(ルリーロ)飛びかかってた(・・・・・・・)じゃねーか)」

「――そレは、短期(たンき)行動計画(こうどうけいかく)未設定状態(みせっテいじょうたい)……陣地(じんチ)確保(かクほ)自身(じシん)保護(ホご)最優先(さいユうせん)していたからデす――」

 んー? そーなのぉう?


 ぽっきゅん――ぽきゅぽきゅぽきゅぽきゅむむっ♪

 (さき)一階(いっかい)に降りたち、(だれ)もいない休憩所(きゅうけいじょ)粉砕(ふんさい)した一号(いちごう)が――

 目にもとまらぬ(はや)さで――にげていく。


「――じゃぁ、(ねん)のため放送(ほうそう)しとくわねぇー。(ちい)さい子が怪我(けが)しても大変(たいへん)だしぃー()――」

 封僧(ほうそう)

 僧侶を封じる?

 いやな(ひびき)だ――――ガッキュ、キィィ――――ン!?

 ごこわぁぁぁぁん♪

 (とどろく)怪音(かいおん)に、ギルド屋舎(おくしゃ)(うな)りをあげる。


うるせえ(にゃゆっ)!」


 ひゅごぉぅわぁ――一階(いっかい)天井(てんじょう)を過ぎる。

 一番下(いちばんした)(かい)(たか)さがあるから、逃げていく一号(いちごう)がよく見えた――ぽきゅぽきゅぽきゅぽきゅ♪

 一号(ヤツ)(あし)は、止まらない。


「(やい五百乃大角(いおのはら)、うるせえぞっ!? それは、一号(いちごう)には全然効(ぜんぜんき)かないから、もうすんな!」

 ぽっきゅむん、ぽきゅぽきゅぽきゅぽきゅむむっ♪

 こっちも、割れたテーブルを踏みつけ――一号を追いかける。

 (ひと)はまばらで、全速力(ぜんそくりょく)でカッ飛んでもぶつからなくて済む。


「ポポポォオーーーーン♪ 乙種(セカンドクラス)物理検索(フィジカルサーチ)開始致(かいしいたし)します。論理封鎖態勢(ロジカルブロッケード)解除(かいじょ)されるまでは、白線内(はくせんない)に下がってお待ち下さい」

 流麗(りゅうれい)(こえ)が告げたのは、(わけ)のわからない(こと)で――


「(いまのは、(なん)だ?)」

 梅干し大(いおのはら)が、居ねぇ。


「――リファレンスによルと、空間(くうかん)異常検疫(いじょうケんえき)でス。(わタし)にモ理解(りかイ)しかねマす――」

 迅雷(おまえ)がわからんことを、おれ……ぼくが気にしても意味(いみ)はない。


「こわぁん♪ えー、ガムラン(ちょう)ギルド支部(しぶ)へお越しの皆様(みなさま)ぁ、大変(たいへん)(さわ)がせいたしましたわぁー♪ 魔法具(まほうぐ)トラブルによる騒音(そうおん)(たい)するお詫びとして、お一人様(ひとりさま)一枚(いちまい)ずつ串揚(くしあ)無料(むりょう)チケットを発行(はっこう)いたしまぁす♪」

 ぬぅん?

 このよく(とお)(こえ)……(しめ)さんか?


本日中(ほんじつちゅう)ならどなたでも、ギルド会館一階(かいかんいっかい)掲示板横(けいじばんよこ)自動発券(じどうはっけん)魔法具(まほうぐ)で、お受け取りになれますので、お手すきの(さい)是非(ぜひ)お受け取りくださぁいませぇー♪」


 ガッチャンッ――――すぐそばを(ある)いていたヤツが――――()ってぇ!!!

 (かか)えていた(おお)きな木箱(きばこ)を落として、もんどり打ってる。

 って、なんだただのニゲルか。

 そりゃ思い人の声を(・・・・・・)、こんな大声(おおごえ)で聞かされたら、(はこ)くらい落とすわなぁ。


「こぉわん♪ もう一つ、おしらせがぁ、ございますわぁー」

 ギルド正面(しょうめん)から(そと)に出る。

 (そと)にも(ひび)くこの(こえ)は、いつだか天狗(わし)(こえ)(あた)りに(とどろ)かせたのと似た仕組(しく)みなんだろう。


「えぇー、現在(げんざい)(あば)れシガミーが出没(しゅつぼつ)しています。(とく)(がい)御座(ござ)いませんが、(なぐ)ると(なぐ)(かえ)されますので――」

 ぶっはっ――――ぽっきゅごろごろごんろろろっぷりゅん♪

 盛大(せいだい)()(ころ)んだ!

 なんだその〝(あば)れシガミー〟ってぇのわぁ――おれぁ牛馬(ぎゅうば)かぁ!


「――むやみに(なぐ)りつけたりせず、(えさ)(あた)えたりもしないでください。なお――」

 だから――おれぁ、牛馬(ぎゅうば)かってんだぜ!

「――ピンク(いろ)のシガミー、いえ、シシガニャン二号(にごう)(ほう)は、とても大人(おとな)しいので、見かけたら(はな)しかけてあげてね♪」


「こぁん♪ えっとねぇー……どーしよっかな?」

 む、この()頓狂(とんきょう)(こえ)は、五百乃大角(いおのはら)

 居ねえと(おも)ったら、あの野郎(やろう)め。


「――よし決めたっ! 二号(にごう)に「(まい)った」を言わせた(ひと)にわぁー、あたくし美の女神様(イオノファラー)かリカルルちゃんのぉ、どちらかお好きな(ほう)とぉのー〝一日(いちにち)デート(けん)〟がぁ、もらえますぅー♪ どんどぉんぱふゅぱふ――――ちょっと、イオノファラー(さま)突然(とつぜん)なにをおっしゃいますの――どがたがたごわぁんッブッツン♪」 」


「(おおかた、猪蟹屋(くしあげ)無料券(むりょうけん)も、五百乃大角(いおのはら)の入れ知恵(じえ)だなっ!)」

 ちっ、余計(よけい)なことを言いやがって!

 祭り(フェスタ)を盛りあげるのに異論(いろん)はねえが――たぶん、(みせ)の切り盛りを頑張(がんば)ってくれてる、ネコアタマ青年(せいねん)負担(ふたん)を掛けちまう。


 ふぉふぉん♪

『▼――――<シシガニャン一号>』

 迅雷(ジンライ)表示(ひょうじ)した、暴れシガミー(シシガニャンいちごう)は――

 まっすぐに、城壁(じょうへき)へ向かってる。

 とっとと一号(アイツ)(つか)まえて、(みせ)手伝(てつだ)いに行かねぇと。


「おい待て、そこの二号(にごう)っ!」

 この(いそ)しいときに、呼び止められた。

演算単位/量子的な特性をあらわす高濃度な演算リソースと、それを計る仮想単位。

乙種物理検索/保全された物体のインデックスを参照する機能。三年前に蹴飛ばした石ころの所在も検索できる。

論理封鎖/宇宙の連続性が脅かされる危険に際し、白線内の全ての量子的運動を観測記録すること。

空間異常検疫/▒▒▒▒▒▒が策定した、実理に基づいた▒▒▒で、相転移に対しての実効や実利はない。

※参照URL https://mypage.syosetu.com/665746/

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